2007年12月13日

パネル「米国のアニメ業界の現状」(ニューヨーク・アニメ・フェスティバル)パート1


NYAF-New York Anime Festival(公式サイト)
の3日目(12月9日)午後1時からは、「State of
the Anime Industry」と題されたパネルが開か
れていて、北米のアニメ業界に関わる企業の関
係者が集まり、今年から来年にかけての、アメリ
カでのアニメ業界の状況を語る、という内容だっ
たようです。

ToonZone2007年12月10日付け記事
「NYAF 2007: State of the Anime Industry
Panel Report」


Anime News Network12月10日付け記事
「State of the Anime Industry」

パネリストは、

Adam Sheehan (FUNimation Entertainment)
Ken Iyadomi (Bandai Entertainment)
Satoshi Kanuma (Kadokawa Pictures USA)
Chris Oarr (ADV Films)
John O'Donnell (Central Park Media)
Keisuke Inoue (Think Corp.)

という方々で、司会進行はANN編集長のChris
Macdonaldさんです。
ToonZoneとANNの記事を基に、パネルで語られ
た発言をいくつか抜き出してみますが、どらちも
ほとんど間接話法による記述ですし、両者で異な
っている表現もありますから、当人達の発言その
ままではなく、大体の意味合い、くらいでよろしく
お願いします。完全な採録か音声が見つかりまし
たら、また補完しますね。


short_g.gif


Q1.「北米のアニメ業界の現状は?」

「どんな業界にも浮き沈みの時期があるものだが、
北米のアニメ業界はこれまでのDVDから新世代
ディスク、そしてデジタル・ダウンロードといったメ
ディア形式への変換期にある」(Sheehan)

「業界は厳しい時期を経験しているが、アニメ全
体の人気は成長し続けている」(Iyadomi)

「『涼宮ハルヒの憂鬱』は世界的に成功をおさめ
たが、上手くいかなかった作品もある」(Kanuma)

「業界に必要なのは、『ポケモン』や『Bleach』
のように市場を再び活気づかせる、『次の大物』
だ。今はそれを待っている時期」(Inoue)

「2007年後半のセールス不調の原因のひとつは、
市場を引っ張る作品の発売や、それに伴うイベン
トがなかった、リリース・スケジュールの問題」
(Oarr)

「アニメDVD販売不調には2つ原因がある。
ひとつはDVD小売チェーンの合併整理・破綻。
Music LandとTower Recordsの経営破綻により、
アニメDVDの小売ベースが35%失われ、未だに
他のチェーンによっても埋め合わされていない。
DVD市場全体の縮小もあり、Targetはもはやア
ニメDVDを扱っていないし、Best Buyもその在庫
を減らしつつある。
もうひとつはファンサブなどの違法ダウンロード。
Media Defender社に依頼した調査では、
BitTorrent経由で違法ダウンロードされている
アニメの数は1週間で600万にも達している
(ICv2関連記事)」(O'Donnell)


Q2.「アメリカのDVD市場全体が、昨年では30%も
の下落を示しており、アニメDVD市場も2003年の
5億5000万ドルから、今年は3億5000万ドルにま
で減少するとの予測だが、各社の対応は?」


「逆に、FUNimationの業績は昨年から上向きである。
ただし、今の業界トップの地位にとどまるためには、
新たな価格設定やプロモーション方法、購買者のDVD
棚スペースを減らす方策など、様々な努力が必要だ。
例えば、まもなく発売される『創聖のアクエリオン』
(北米公式サイト)のディスクは2枚だけで、1枚に13
話を収録する予定だ。iTunesやXbox Liveを利用し
たオンライン販売も考慮中」(Sheehan)

「BANDAIの旧作のセールスは好調だが、獲得が難
しくなってきている新作をリリースし続ける努力も必
要だ」(Iyadomi)

「ADV Filmsの旧作は売れているが、現在では新作
アニメから、アメリカでヒットする作品を予測するのは
とても難しい」(Oarr)

「今では小売市場にアニメDVDが出回りすぎてい
て、小売側も仕入れる作品を選ぶのに慎重になっ
てきている。結果、売れ筋の有名作品のセールス
は引き続き良好だが、知名度の低い旧作は、リリ
ースが難しくなってきた」(O'Donnell)

「ライセンサーの立場では、流通業者に新作購入
を促すための、特別なサービスやプロモーションを
より費やさざるをえなくなってきた」(Kanuma)

「北米での、アニメを含むDVD市場全体の縮小は、
日本側にも影響を与えている。日本でもDVDのセ
ールスは落ちてきており、そもそもの作品を制作
するのが難しくなってきている」(Inoue)


Q3.「今後、DVD以外に収益をあげられそうな
分野は?」


「ライセンス料や放送権料などが重要。しかしそれ
も人気がある作品があってこそなので、作品の選択
自体が鍵となる。放送局とは常に交渉をしているが、
小さな局はマイナー作品でも放送してくれる一方で、
メジャー局はマーチャンダイジング展開の可能性が
大きい有名作品を欲しがる」(Sheehan)

「BANDAIはこれまでのデジタル・ダウンロード、
ストリーミング、テレビ放送といったメディアでは
成功を収めてはおらず、(個人的意見では)広告
付きのストリーミング放送などへ切り替えるべき
かもしれない」(Iyadomi)

「オンライン配信や放送権料は、いずれはそうなる
にしても、現時点では、まだDVDの売り上げを埋め
合わせるほどではない。ファンサブや違法ダウンロ
ードの問題も片付けるべき」(Oarr)

「オンライン販売は、DVDの価格低下により失われ
た金額を埋めるほどではなく、Central Park Media
では、アニメ・マンガ以外の、実写やドキュメンタ
リーといった作品からの収益が重要になっていく」
(O'Donnell)

「例えばDJをウェブマンガに登場させ、そこから
iTunesにリンクを張り、マンガの中でDJがプレイ
している曲を実際に購入出来るようにする」
(Inoue)


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という感じで前半までです。
明日以降更新予定のパート2での質問は、
「新たな技術を用いた流通方法に対する、日本
側からの『抵抗』は」
「日本側から見て、アメリカやその他外国の市
場は、どれだけの重要性があるのか」
「日米でのDVDリリースの時間差は、どれだけ
ビジネスに影響しているのか(日米での同時リ
リースの可能性について)」
「最近日本政府が熱心に行っている、日本の
ポップカルチャーの宣伝は、アメリカのアニメ
市場になにか影響するだろうか」
といったものになる予定です。


posted by mikikazu at 08:57 | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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