というわけで、「極上生徒会」は、佳境の第19話
「さらば愛しき友よ」 でした。
今回のエピソードが、シリーズの中でも重要なター
ニング・ポイントになったのはやはり、髪を下ろし
たご贔屓キャラの和泉香さんが、また違うキュート
さを示してくれたこと――というのは、半分くらい
本気です(笑)。私生活部分をあまり見せない彼女
にとっては、貴重なシーンだし。
奏会長を慕いつつも、お気に入りナンバーワンの
座をりのさんに占められて久しい香さんは、扱い
ようによっては、ジェラシーにまみれた、とても
嫌なキャラになる可能性もありました。
なのでこれまでの本編が、彼女をとてもまっすぐ
でいい子として描いてくれているのは、個人的に
は安心しています。
特に今回、ランスと最初に出会った人間という経
緯はあったにせよ、ブッチャンとランスとの、1人
3役状態に困ったりのさんが、まず頼りにしたの
が他ならぬ香さんだったという、自然な接し方と
やりとりが描かれたのは嬉しかったです。
そういう、根本的な健全さみたいなものは、この
作品の愛すべき魅力の1つですし、変な言い方で
すけれど、語り口を信頼出来る理由になっている
と思います。
少し話はずれますが、公式サイトでもTOPで大きく
告知されている(ランダムですが)、9月15日に
発売予定のゲーム版では、余計な男性主人公な
んか登場させないで、極上生徒会のオリジナル・
メンバーだけのお話にして欲しかったと、あらた
めて強く思います。
このゲーム版では、先生や管理人さんまで含む、
総勢16人(!)のヒロイン達との恋愛物語を楽し
めるようですが、本編での立場を見ると、特に香
さんなんかは、主人公なんかとデートするんじゃ
なくて、憧れの奏会長とこそ、パヤパヤ(笑)する
機会をあげてほしいなって……。
それは勿論、香さんが男性と付き合ってもいいわ
けですし、無理からに百合的な世界観に巻き込む
のも失礼なんですが、彼女自身の物語を進めら
れるゲームだからこそ、彼女が報われる、幸せな
瞬間も見てみたいと思っています。
主人公=プレイヤーの僕だと、例えトゥルーエン
ドに達しても、「えっと、でもホントは僕じゃないよ
ね」と思ってしまうでしょうから。奏会長に勝てる
自信なんてありませんっ。
ブッチャンとランスの正体について、はっきりと
明かす方向で物語が進みつつあることは、僕に
は少々驚きでした。
見る人によって、大きく意見が分かれるポイント
だとは思いますが、僕としてはとりあえず、理屈
でブッチャンの正体を説明しなくてもいいかも、と
考えてはいましたから。
というのも、「極上生徒会」という作品世界の独
自性を象徴していたアイコン的存在であるブッチ
ャンについて、「彼は結局何者であるか」と語るこ
とは、物語自体を「終わらせて」しまうからです。
自意識をもった人形というブッチャンは、確かに
不可解で不思議な存在ですが、そんなブッチャン
をとりあえず追求せずに、「あり」とすることで、
この「極上生徒会」の作品世界は成り立ってきま
した。
ブッチャンについて、「こんな存在はあり得ない」
と思ってしまったら、もうそれで物語を楽しむこ
とは出来ませんよね?
また、理屈を越えたブッチャンを認めることで、
語れる物語の範囲というのも、いい意味でルー
ズに出来てきたと思います。ブッチャンがいるん
だから、これもありだよね、という風に。
ただし、それはあくまでファンタジックな方向性
に限られていますから、久遠さんのお話のように、
それを学外のシリアスな方向に広げようとしても
すぐに破綻してしまうのは、世界構造的にいって
も当然です。
そういう意味で、「いる」だけで作品の世界観を
支えてきたブッチャンですが、そんな彼の出自を
説明するということは、彼について必要以上に突
っ込まないことを前提として成立してきた作品世
界が、それ以上の展開を許されなくなる、という
結果を導きます。
そもそも学校機関である極上生徒会を舞台にし
ている以上、どんなメンバーもいずれは卒業し
て去らねばならない、というリアリティは常に
秘められてきました。
もちろん、卒業を永遠に迎えずに、終わらない日
常を繰り返す種類の作品もたくさんあるわけです
が、そんな作品は必ずどこかに、答えを出しては
いけない問題を設定し、それを保留し続けること
で、永遠性を維持するようになっています。「うる
星やつら」でいうと、ラムとあたるの関係の「本質」
みたいなものですね。
「ブッチャンの正体」も、それを積極的に解明し
ようとしない、主人公のりのさんの成長の保留、
という意味合いも含めて、触れてはいけない問題
だったわけですが、それを解き明かすということは、
現状の、楽園としての極上生徒会の物語の命が
尽きることも意味しています。
それだけの覚悟を背負うだけの物語が、これから
終局に用意されているのですね。
母親を失い、宮神学園へ来てからのりのさんを支
えてきたのは、実はブッチャンとりのさんの関係
を、無粋に問い詰めすぎることなく認めてきてく
れた、極上生徒会のメンバー達ですよね。桜梅歩
さんは……、もうバレバレですけど。
ブッチャンの正体を語るということは、そんな極
上生徒会のメンバーと、りのさんとの関係が解体
と再構築の機会を迎える、ということでもあります。
その時にこそ、組織機能ではなく、真の意味での
極上生徒会という場の存在意義が語られるのでし
ょうね。
整合性とか辻褄とかいうことではもはやなくて、
奏会長がつくろうとした極上生徒会という楽園の
「意味」と、「極上生徒会」という物語自体の「意
味」が、見事に重なるような語り口の妙技を、期
待したいと思います。
【アニメ感想・2005年度-「極上生徒会」の最新記事】

