ラスベガスのアニメコンベンション「Tour For The
Cure」事件についての情報を続けます。
新たに13日付けで、theOtaku.comに、現地で最
も被害を被ったと思われるAnime Vegas代表の、
Richard Stott氏が、事件後初めてとなる公式コ
メントを発表していました。
コンベンションAnime Vegasは2004年9月に創
設(公式サイト)。
昨年の第3回大会は、日本からも「HELLSING」の
平野耕太氏、「かみちゅ!」「R.O.D」シリーズの
脚本家・倉田英之氏をゲストに招き、3209人(内
有料入場者数2774人)を集めて好評を博し、その
人気と動員を順調に高めているようです。
コメントはかなり細かく長いのですが、イベント運
営の内実がとてもよくわかるので、時間経過に沿
って、主なポイントを箇条書きにしてみます。
・2006年9月に、チャリティーイベント「Tour For
The Cure」の運営団体を名乗る、Anime Film
Foundation (AnimeFF) のプロモーターから、
Anime Vegas側に接触が。
乳がん患者支援団体への寄付という目的に賛同
したAnime Vegasは、コンベンション運営のノウ
ハウ、ボランティア・スタッフの提供、コネクション
があるゲストの手配などによる協力で合意。
・Anime Vegasは、会場の設営案・予算運営・会計
処理・出店するディーラーとの連絡と契約、などにつ
いての情報をAnimeFF側に提供していく。
AnimeFF側も、会場設営の一部を除いて、Anime
Vegasによる提案におおむね同意。数週間内での
最終決定を、Anime Vegasは見込む。
・数週間後に、Anime Vegasは会場であるCash
man Centerに、コンベンションのための会場設営
についての連絡が届いているかどうか確認を求め、
それどころか会場使用のための、契約すらまだ結
ばれていないことを知る。
AnimeFF側に確かめると、契約書は既に郵送済だ
との答え(のちに嘘と判明)。
・Anime Vegasは旧知のディーラー達に声をかけ、
AnimeFFを紹介。この時AnimeFFはディーラーに、
イベントは数千人規模のものになる予定と説明。
Anime Vegasはゲストも探したが、これが第一回
目のイベントであることを考慮して、呼ぶのは1人
だけに絞る。
・イベントの1週間前(1月6日頃)に、Anime Veg
asはAnimeFFに、準備状況を確認。
その時に、何も必要な物は印刷されておらず、スケ
ジュールも全く未定、機材のレンタルも手配されて
いなくて、予定されているスペースが、ずっと狭い
2部屋だけに減らされていることを知る。
・イベント5日前の1月8日(月)の時点で、Anime
Vegasのスタッフ達は、自分達の手でイベントを救
うことを決意。ほとんど何も準備がなされていない
状態からの、必死の奔走が始まる。
AnimeFF側からの承認を得て、あらためて会場で
あるCashman Centerとの使用スペースの交渉、
必要な各種認可の取得、入場登録用書類の整備、
各ルームに必要な機材の確保、ダンス・パーティ
ーのためのDJとの契約などなど……。
・にもかかわらず、最終準備の日(1月12日金曜)
の時点でもまだ、AnimeFFは(送ったと言っていた)
会場の使用契約を結んでいなかったことが判明。
また、承認を得た筈の会場設営についても約束が
守られておらず、AnimeFFの代表Jeff Borncam
p氏によって、Anime Vegasが必要と主張してい
た8部屋のうち、5部屋が勝手にキャンセルされて
いた。
また、土・日曜日プラス金曜日の夜という予定だっ
たスケジュールも、氏によって土曜日一日だけに、
一方的に変更。
・上記の変更をAnime Vegas側が知ったのは、
同日(12日)午後になってから。
一時はイベントからの撤退も考えられたが、彼らが
声をかけたディーラーやゲストは既にベガスにまで
来てしまっているし、何より約束は、彼ら側だけで
も守ろうという信念で、与えられたスペースに合わ
せて、スケジュールの再調整を必死に進めていく。
・同夜、会場規模や保証金の扱いが約束と異なる
ことを知ったディーラー達が不満を訴え始める。
金曜日のコスプレ・パレードを取材する筈だった、
MTVのクルー(後述)もついに現れず。コスプレ・パ
レード自体が中止になる。
・イベント当日(1月13日土曜日)。
Jeff Borncamp氏はディーラー達に、設営は午前
7時からと伝えてあったが、Cashman Centerは
9時15分にならないと開場しないことが判明。
慌ててAnime Vegas代表のRichard Stott氏が、
会場側に頼みに行くことに。
・午前9時開始の予定が、正午までずれ込んだ
イベント開始後の午後、約束が違うと怒ったディ
ーラーの1人が、Jeff Borncamp氏と口論に。
その場を収めるために、Richard Stott氏は自分
の財布から、保証金を立て替える。
このイベントでStott氏が個人的に被った現金支
出は、都合2000ドルほどに。
・その騒動の直後(午後3時半頃)、Borncamp
氏は警備員と共にイベントを去り、会場のCash
man Center側に、突然「イベントの終了」を伝え、
警備員の引き上げを要請する。
伝えられたのはCashman Center側のみで、イ
ベント会場側にいたボランティアスタッフ・参加者
達には、全く知らされなかった。
・Richard Stott氏が知ったのは午後4時頃。
Borncamp氏がいる筈のディーラーズ・ルーム
に足を運んでみると、すぐそばの受付に座って
いたのは、ボランティアの女性一人のみ。
彼女からStott氏は、Borncamp氏がほぼ全て
の登録料収入の現金(推定2000〜3000ドル)
をふところに、姿を消したことを教えられる。
そしてCashman Centerのイベント・マネージ
ャーが現れ、全員に退去を要請。
・この時、MTVの撮影クルーが到着。
MTVが予定していたのは実は土曜日だったの
だが、彼らが来た時には、既に主催者は逃走
し、イベント自体が崩壊していた。
・ダンスパーティーを主催するDJ氏は、知らず
に準備を進めていて、それを待ちわびるわずか
なファン達もいたのだが、警備のない状態でダ
ンスを行うわけにはいかず、やむなく中止に(も
ちろんノーギャラ)。
・怒りの声を呟きながら去っていく参加者達を
横目に、Anime Vegasのスタッフ達は会場の
片付けを始める……。
という経過になるようです。
ここまで散々苦労して、最後の最後に、がん
患者のためになると思っていたお金まで持ち
逃げされたのでは、それは怒りますよね……。
というか、もう怒る元気もなかったかも。
MTVの取材については、1月10日付けプレスリ
リースで、確かに「金曜午後五時に取材班がや
ってくる」と述べられていますよね。
でもこれは、リリースが述べているような、
「会場にいるコスプレイヤー個人個人にインタ
ビューするドキュメンタリー」というのとは、実は
違うものでした。
本当は、MTVが「Guitar Hero 2」というゲームを
テーマにした特集番組を企画していて、その一部
として、ゲームに登場するPandoraというキャラの
コスプレイヤーである女の子が、初めてイベント・
デビューする様子を撮影しよう、というだけのもの
だったんですよね。
詳しくは、その女の子のブログ2月7日付けの記
述をご参考ください。
困惑した彼女を撮影するスタッフを、「こんな最
悪の状況をわざと撮影するなんて」と、Yaoi
Pressの人が誤解して怒ったりもしてましたが、
コメント欄での直接のやりとりで、誤解は解けた
ようなのが幸いでした。

