2010年09月14日

英語字幕が収録される「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st」ディスクの、海外での違法配信予定問題について

11月26日に日本で発売される映画「魔法少女リリカルなのは
The MOVIE 1st」の、DVD/ブルーレイの細かな仕様について、
公式サイトで13日に発表されましたね。

「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st」公式サイト

その両ディスクに、日本語だけでなく英語字幕も収録されて
いるという情報は、海外の英語ニュース・サイトでも、すぐに
伝えられました。

UK Anime Network(イギリス)
"Magical Girl Lyrical Nanoha - 1st movie release has
English subtitles"


Anime News Network(北米)
"Nanoha Film BD/DVD Add English Subs, Audience Track"

ディスクのリージョン・コードや送料などの問題はありま
すけど、再生環境がある人ならディスクを購入すれば、
これで英語の公式字幕によって台詞を理解しつつ、映画
「なのは」を楽しめるようになる、というわけですね。
海外では、8月20日から台湾でも劇場公開されていて、
TVシリーズ第3作「StrikerS」までのDVDリリースが完了
していることから、いずれ映画版についても、ディスクが
発売されると思います。

「魔法少女奈葉 the movie 1st」公式サイト


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残念ながら、映画「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st」
のDVD/ブルーレイに、英語字幕が収録されるというニュースは、
海外のアニメ違法配信サイトにも、喜ばれてしまっています。
宣伝したくはないので直接のリンクはしませんが、ある英語圏
のファンサブ制作・配信グループは、ニュースが流れた直後に、
かねてより予定していた、HD画質での映画「なのは」のファン
サブ配布に、この公式ディスクに収録される英語字幕を利用す
ることを、さっそくブログで発表しています。
公式の字幕を用いるのですから、ファンによる字幕を用いた
「ファンサブ fansub」では、既になくなっていますけれど。
同グループはまた、ディスクが発売されたら、すぐにその中
身をリッピングしてアップロードしてくれる、日本在住者から
の協力を募ってもいます。
収録されている英語字幕を付けた映像を、自分達のために
アップして欲しい、ということですね。


このグループはかつて5月頃に、日本の劇場で盗撮された
映画「なのは」の映像に、英語字幕をつけて違法配布して
いたところでもあります。
(「自分がアップした盗撮映像を無断で利用するなんて」と、
盗撮映像の配信サイト主から抗議のコメントが届くという、
失笑すべき展開にもなりました)
なので以前から、日本でブルーレイが発売されたら、その
HD画質の映像に、自分達が既に作っていた英語字幕を
付けて、また配布する予定を公言していたのですが、正規
版のディスクに英語字幕が最初から収録されているのなら、
それをそのまま流した方が、彼らにとっては、いちいち字幕
を重ねる手間が省けることになるわけですね。


日本版の映画「なのは」ディスクに、英語字幕を収録した
のは、海外からの購入者に対する配慮もあるのかもしれま
せんが、現時点では悪用される可能性も高そうです。
この問題については、自分も以前からずっと日本の権利者
さんサイドに情報を伝えてはいるのですが、グループがブ
ログで活動内容と予定を公言し続けているところからすると、
警告のようなものは届いていないか、届いても無視されて
いるのだろうと想像します。
同グループは、11月に海外でも各国語字幕が収録された
ディスクが発売される、「機動戦士ガンダムUC」第2話の
英語字幕版を、第1話に続いて違法配信する予定も発表
しています。
こちらは、日本と同時に海外でも正規版ディスクが発売さ
れるのですから、その作品の中身が流されたら、海外での
ビジネスに与える悪影響も大きいと思います。



参考・当ブログ2010年5月10日付け記事
「映画『魔法少女リリカルなのは』『マクロスF』の劇場盗撮
 動画ネット流出事件について」

同2010年5月15日付け記事
「映画『魔法少女リリカルなのは』『マクロスF』の劇場盗撮
 動画ネット流出事件について・続報」
posted by mikikazu at 14:43 | TrackBack(0) | ファンサブ/スキャンレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月17日

ファンサブによるアニメ作品レビューについての、北米ニュースサイトAnime News Network編集者氏からの説明


当ブログ10月5日付け記事で、北米の大手
ニュースサイトであるAnime News Network
(以下ANN)が、北米で未ライセンスの、つま
り字幕付きで見ようしたら、違法なファンサブ
を利用するしかないと思われる作品を含む、
秋期新作アニメのプレビュー企画を進行して
いることが、問題視されているとお伝えしまし
たよね。


Twitterの方でも既報でしたが、その企画の
担当編集者であるZac Bertschy氏が、情報
サイトAni-Gamersが配信しているポッドキャ
ストの第21回
(10月15日配信開始)にゲスト
出演し、ANNによるプレビュー企画に対する
批判に応える形で、企画意図の説明を行って
います。
以下、ファンサブで作品を視聴していることを
否定しない上で語られた、Bertschy氏の主張
をまとめてみます。


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・北米のアニメファンのほとんど全てが、日本
 での放送直後にファンサブでアニメを見てい
 る以上、その現実状況には合わせなくてはな
 らない。

・他に合法手段で視聴するルートが存在しない
 作品の場合、やむを得ない。

・企画の目的は、ファンサブという手段の宣伝で
 はなく、作品内容そのものについて伝えること。
 ダウンロードのためのリンクなども紹介してい
 ない。

・レビューを掲載せず、日本での放送についての
 情報だけでも、結局ファンはファンサブで見て
 しまうのだから、同じこと。

・プレビュー企画を問題視しているのは、わずか
 な人達だけで、ほとんどのアニメファンは企画
 を支持し、毎回期待を寄せている。

・企画が、正規版DVD購入のためのガイドになっ
 たというファンもいる。

・名前は出せないが、たくさんの北米のアニメ業
 界の人からも、「企画を楽しんだ」との反応が伝
 えられている。

・年に2回(春・秋期)、それも、各作品の1話だけ
 なのだから、大きな問題ではない。

・現状のスタンスで、北米のアニメ業界とも良好な
 関係を保っている。ファンサブの1話くらいは、
 現実的妥協の範囲内。

・ANNは日本のアニメスタジオとも親密な関係を
 築いているが、自分は部署が異なるので、詳し
 いことはわからない。 

・プレビュー企画のページからの広告収入は微々
 たるもの。メインの収入は、ニュースやエンサイ
 クロペディアのページから。

・ファンサブを利用しているメディアはANNだけ
 ではない。
 AnimeOnDVD(現Mania.com)のフォーラム
 には、ファンサブで見た作品について語るスレ
 ッドが存在しているし、そのページからの広告
 収入を得ている。
 雑誌OTAKU USAにしても、北米でまだ正規リ
 リースされていない作品のレビューが掲載され
 ていたことがある。
 ファンサブを利用せずに、アニメ関連のメディア
 を運営するのは、現実的に無理。

・個人的には、ファンサブでアニメを見るのは大
 嫌い。全ての作品が、日米で同時配信される
 日を夢見ている。


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という辺りになると思います。
担当編集者であるBertschy氏の側のスタンス
が明確にされたことで、さらに議論が発展して
いくと思います。
とりあえず現状としては、ANNは今後も、例え
存在それ自体は違法であっても、ファンサブを
利用したプレビュー企画を、定期的に続けてい
く模様ですね。


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ポッドキャストの会話の中では取り上げられ
ませんでしたが、ファンサブを利用してレビュ
ーを行う上での問題点のひとつは、法的・倫
理的な面以外に、純粋な作品批評という面か
ら指摘せざるを得ない、「アマチュアによる翻
訳で作品を評価するのは、作品に対してフェア
だろうか?」ということだと、個人的には思っ
ています。


日本でも、外国映画について論じる映画評論
家さんはたくさん存在していて、彼らの全てが、
外国語に堪能だというわけではありませんよね。
せめて自分が専門とするジャンルにおいて堪能
であれば、ベストですけど。
そういった人達の鑑賞は、翻訳字幕に頼るもの
になるわけですが、それでも作品批評という行
為が成立・確立しているのは、翻訳家に対する
信頼があるからだと思います。
プロの翻訳家が、可能な範囲で、作品の中の台
詞を正しく伝えてくれているという大前提が存在
しているからこそ、外国映画の批評もまた成立
するわけです。


アニメのファンサブの場合、翻訳しているのは
匿名のアマチュア個人あるいはグループです。
その出来は様々で、時にプロの仕事よりも正確
だと評されることもあれば、ネットに流す速さを
競うばかりに、杜撰な結果になることもあります。
ただ共通するのは、匿名かつアマチュアという
立場で行っている以上、翻訳の出来や道義的な
結果に対して、責任を取る必要がない、というこ
とですね。


日本の映画界でも、プロの翻訳家による字幕翻
訳が批判にさらされることがあります。
それは逆に言うと、それだけプロの仕事には責
任が伴われて然るべきだし、実際ほとんど全て
のプロフェッショナル翻訳家さんは、責任に見合
うだけの仕事をきちんとされていると思います。
されているからこそ、映画評論家も、自分が理
解していない言語で語られる外国語映画につい
て、安心して批評が展開出来るわけです。
それだけの信頼を、アマチュアによる翻訳でし
かないファンサブに寄せていいとは思わないし、
そういったファンサブに頼って作品評価を下す
ことは、作品に対してフェアではないと考えます。


posted by mikikazu at 11:32 | TrackBack(0) | ファンサブ/スキャンレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月16日

マンガ・スキャンレーションの歴史(90年代から現在まで)


Brigid AlversonさんのMangaBlog経由で
知りましたが、僕もその膨大なテキスト量に
驚いたのが、マンガ情報サイトComiPress
が、本サイトの活動休止と合わせて発表した
新しい企画の、Inside Scanlationです。


スキャンレーション scanlationは、ご存知
のように、マンガを権利者の許可を得ずに
翻訳したものですね。アニメの場合はファン
サブ fansubです。
ファンサブと同じく、ネットの普及と共に、海
外のファンの間で、自国では出版・放送され
ていない作品・エピソードを手に入れる手段
として重宝されてきましたが、一方でその違
法性・市場に与える功罪についても、議論が
あります。


このInside Scanlationの目的は、賛美や
批判ではなく、客観的にスキャンレーション
について考えるためのデータを提供していく
こと、だそうです。
ざっとコンテンツを見渡しても、歴史や用語・
技術解説、主要スキャンレーション・グルー
プの紹介、メンバーへのインタビュー、歴史
的資料(出版社からの警告文・事件解説)な
ど、膨大な量です。
賞賛するにせよ批判するにせよ、対象につ
いてよく知ることは必要ですから、その理解
のためのリソースとして役立つことは、間違
いないでしょう。じっくりと読んでいきたいと
思います。


まず目を通してみたのは、Historyのコーナ
ーで、90年代から現在にかけてのスキャン
レーションの歴史を、大まかに三世代に分
けて解説していました。
テキストだけをA4用紙に印刷してみても、
20ページになってしまう、とてもボリューム
のあるコーナーですけど、スキャンレーショ
ンの歴史を俯瞰する一助になると思います。
その全てを紹介するのは無理ですが、簡単
に各年代の大きな動きだけまとめてみますね。
原文には、スキャンレーション・グループ名
や個人名も細かく記載されていますけれど、
ここでは紹介しません。


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・90年代

個人や小さなグループで、マンガのファン翻
訳は既に行われていて、ファンサブがVHSテ
ープでやりとりされていたように、スキャンに
ついてもCD-Rに焼かれて、普通の郵便で送
られることもあったよう。
ネットが広まり始めると、オンラインでのやり
取りも始まり、この頃のスキャンされていた
作品として、

「らんま1/2」
「きまぐれオレンジロード」
「ドラゴンボール」
「X」(CLAMP)
「魔法騎士レイアース」
「ふしぎ遊戯」
「美少女戦士セーラームーン」
「スレイヤーズ」
「幽遊白書」

などが挙げられている。
当時の目的としては明確に、日本国外では入
手出来ないマンガ作品を紹介すること、とされ
ていた。


スキャンレーション scanlationという言葉
が定着したのは2000年頃で、それ以前は
"fanscan"、"fanscanning"、"fan-lettering"
という表現もあったよう。


・2000〜2001年

この頃までに、それまで個別に活動していた
スキャンレーション制作者の組織化が始まり、
4月には初めての、現在と同じような形のス
キャンレーション・グループが誕生する。
手がけた最初の作品は「D・N・A²」「I"s」
「ラブひな」。メンバーの数はすぐに30人ほど
に到達。
刺激を受けて、同様のグループが次々に立ち
上げられていく。
この頃のコミュニティは、IRCチャンネルをメ
インに構築されていた。スキャンレーションの
ダウンロードも、そこで行われる。


90年代後半からの、第1世代に属するこの
頃のスキャンレーション・グループ間では、
「ライセンスされた作品のスキャンは取り下
げる」「他のグループがスキャンしている作
品には手を出さない」という暗黙の了解が
成立していた。
一方で、スキャンレーション技術の向上と共
に、市場に与える悪影響についての懸念も
生まれてくるようになる。



・2002〜2003年

ネットのブロードバンド化の浸透、アメリカ国
内でのアニメ・マンガの認知度の高まりによ
り、スキャンレーションの人気と需要も一気に
増加する。
スキャンされる作品の数・ジャンルは爆発的
に増え、日本マンガだけではなく、韓国マンガ
の翻訳も始まる。
逆に、アメリカで出版された英語版マンガを
ヨーロッパ向けに翻訳するグループも。
グループの数も増えていくが、同時にグルー
プ間での対立・抗争も起きる。


ファンサブと同様に、ダウンロードのための
ソフトとして、BitTorrentが活用され始める。


増加するグループ数に対応して、スキャンレー
ションの総合情報サイトが登場。コミュニティの
場は、それぞれのグループのサイトから、情報
サイトのフォーラムへと移り始る。
そういった、個々のグループにこだわらなくなっ
てきたのが、第2世代とされている。



・2004〜2005年

スキャンレーションされる作品の数はさらに増
加傾向。
新規参入者の急増により、かつての「手に入ら
ない未知のマンガ作品を紹介する」という意義
は薄れ、「タダのマンガを手に入れるため」に、
スキャンレーションの目的は変容していく。
前者の理由にこだわる第1世代と、スキャンレ
ーションが当たり前に手に入る時代しか知らな
い第2世代の対立も深まる。
マンガ情報サイトにおいても、スキャンレーショ
ンのリリース情報を扱うところと、そうでないと
ころに分かれる。
アメリカでライセンスされた作品でも、構わず
未出版巻・エピソードがスキャンされていく。


それまでは単行本なりを輸入しなくてはならな
かったRAW、つまり日本語のオリジナルが、ネ
ットを通じて簡単に入手出来るようになってくる。
単行本はおろか、連載されている雑誌が発売さ
れる前にリークされたものが流れてくることも。
結果として、質よりも、毎週のスキャン制作の
速さだけを競うグループも登場。翻訳者などの
スタッフの不足も。


IRC経由ではなく、直接スキャンレーションをダ
ウンロード出来るサイトが人気。
料金を徴収しているサイトに対抗するために、
同じスキャンが無料でダウンロード出来るサイ
トを立ち上げる行動も。
また、スキャンをCD-Rに焼いて、Ebayに出品
する者も現れる。



・2006年〜現在

この頃までに、始めた頃は大学生くらいだった
第1世代のスキャン制作グループの多くが消
える。
続く世代は、作業が簡単になってきたこともあ
り、かつてのような大規模なグループは作らず、
少人数で、少ない作品を手がけるように。


RAWを提供するサイトの登場で、スキャン制作
のスピードアップがさらに加速。
「Generation JUMP」とされる第3世代、少年
ジャンプの作品だけを手がけるグループが増加。
「NARUTO」だけでも、同じエピソードのスキャン
を毎週制作するグループの数が10を超える。
それに対抗して、速さよりも質を重視したスキャン
制作を目指すグループも登場。
人気作だけではなく、かつてのように「知られて
いない名作」の認知普及を目的に。ライセンスさ
れた作品にも手を出さない。


ダウンロードするまでもなく、ウェブ上でそのまま
読めるスキャンレーションを提供するサイトが普
及していく。
他人の作ったスキャンを掲載し、広告収入を得る
手法に批判も。


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とりあえず要所だけですが。
今回のInside Scanlationの立ち上げで
驚いたのは、Marco Paviaさん(TOKYOPOP)、
Simon Jonesさん(Icarus Publishing)
さんといった、北米のマンガ出版社の人も、
スキャンレーションをテーマにしたインタビュ
ーに答えていることですね。
「どうしてスキャンレーション制作に対して、
法的措置を取らないのか?」という質問には、
両者が口を揃えて、「そんな経済的余裕がな
いから」と答えています。


ちなみに、歴史的に確認出来る最も古いファン
翻訳のひとつとして、フレデリック・ショットさん
をメンバーに含んだDadakaiによる、77年の
「火の鳥」のケースが紹介されていましたけど、
ショットさんによれば翻訳に際して、手塚プロか
らはきちんと承認を得たそうですから、現在の
無許可スキャンレーションと同じものとして語る
ことは出来ないと思います。
というのも、スキャンレーションのエクスキュー
ズとして、「今は研究者として評価されている
フレデリック・ショットだって、かつてはスキャン
を作っていた」というコメントが、時々出される
ので。


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2009年10月05日

ファンサブでしか視聴出来ない作品をレビューする、北米のニュースサイトAnime News Networkへの、Scott VonSchillingさん(The Anime Almanac)のボイコット運動


今月に入って、北米のアニメ・ファンダムで
話題を呼んでいるのが、Scott VonSchilling
さん(ブログThe Anime Almanac)がご自身の
ブログ及びTwitterで宣言した、ニュースサイト
Anime News Network(以下ANN)へのボイ
コット運動です。
投稿日である10月2日からの30日間、つまり
10月いっぱい、ScottさんのTwitterから、
情報のソースとしては、ANNにリンクしないし、
記事も紹介しない、という宣言ですね。


Scottさんがこういう活動を始めた理由は、
ANNが10月1日より掲載開始した、2009
年秋シーズン新作アニメのレビュー特集
である、"The Fall 2009 Anime Preview
Guide"
です。
これは、今後2週間に渡って、日本で放送
される新作テレビアニメ第1話(第2話まで
含む場合もあり)のレビューを、可能な限り
早く掲載していこう、という企画ですね。
あくまで第1話及び第2話だけでの感想で
すから、シリーズ全体を判断するものでは
ないという意味で、"preview guide"と
題されています。


これら、レビューされている作品の中には、
北米地域ではまだライセンスされておらず、
合法的な手段では視聴出来ないものも含
まれていることを、Scottさんは問題視して
いるんですね。
現時点(10月5日午前)までに、レビューが
されている作品の、北米での状況を調べて
みると、


「犬夜叉-完結編-」
・ShonenSunday.com及び、動画配信サイト
Huluで、日本での放送(日本テレビ)数時間
後に、英語字幕版がネット配信


「ミラクル☆トレイン〜大江戸線へようこそ〜」
「乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつぁ♪」
「戦う司書」
「テガミバチ」
「アスラクライン」
「しゅごキャラ!パーティー!」
・動画配信サイトCrunchyrollで配信中


といった作品は、合法的にネット配信されて
いますが、


「生徒会の一存」
「聖剣の刀鍛冶」
「とある科学の超電磁砲」
「けんぷファー」
「クイーンズブレイド 玉座を継ぐ者」
「にゃんこい!」
「ホワイトアルバム シーズン2」


については、北米地域で合法的に視聴出来る
ルートを確認出来ませんでした。
つまり、北米地域に住む一般の人が視聴する
には、違法動画配信サイトなり、P2P経由で違
法ダウンロードするなりといった、違法手段を
頼るしかありません。
確認してみると、これらの未ライセンス作品全
てにおいて、既に英語ファンサブが制作・流通
されていることがわかりました。


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ANN自身がどういう手段で、これらの作品を
入手しているかはともかく、Scottさんの問題
提起は大きく分けて二つで、

・ANNという、大きな影響力を持つニュース
サイトが、ファンサブでしか現在見られない、
ファンサブでなら手に入る作品のレビューを
掲載することは、ファンの違法視聴を奨励し、
容認することにつながる。

・ANNは企業広告を掲載し、そこから収入を
得ている、プロフェッショナルなサイトである。
そういったサイトが、アクセス数を増やすため
に、違法配信を利用した記事を掲載すべきで
はない。


というものになります。
実は、ANNが違法配信されてる作品のレビュ
ーを掲載したのは、これが初めてではなく、
2008年の春シーズンにも、"The Spring 2008
Anime Preview Guide"
という、同様の企画を
行っています。
その時にも、Scottさんは批判のためのコラム
を執筆したのですが、

The Anime Almanac
 2008年4月16日付け記事
"What’s Happening to the Anime News
Network?"


結局ANNの姿勢は変わることがなく、

2008年秋シーズン
2009年春シーズン

と、北米地域では合法視聴出来ない作品を含む
新作レビュー企画を、ずっと続けています。


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このScottさんの行動に対して、アダルトマンガ
専門の出版社Icarus PublishingのSimon
Jonesさんは、そのブログ2009年10月2日付
け記事
の中でまず、今年4月に起きた、映画
「ウルヴァリン/X-MEN ZERO」本編流出事件
のことを思い出した、と語ります。
ネット上に違法に流出した、映画「ウルヴァリ
ン」の映像を見て記事を書いたコラムニストが
解雇されてしまった、という事件があったんで
すね。


参考 ―― マッシュ・アップ:フィルム
 2009年5月6日付け記事
「先週末に全米公開された『ウルヴァリン 
X-MEN ZERO』のネット流出映像を見てレビ
ューしたコラムニストが解雇!」



実写映画の場合だと、違法に入手した素材を
基にしたレビューを書いた人は解雇されるの
に、ANNの場合は何故問題とされないのか、
ということは、この事件が起きた時に、アニメ
ファンダムでも発言があったと記憶しています。
これを踏まえてSimonさんは、「一番重要なの
は、ANNをスポンサーしている、それぞれのア
ニメ・マンガ企業が問題とするかどうかだろう」
とコメントしています。


もうひとつ付け加えておくと、現在ANNは、
BANDAI ENTERTAINMETの「かんなぎ」の、
北米地域での独占配信サイトになっています。
その「かんなぎ」も、日本での本放送時、つま
りファンサブでしか視聴出来ない時期に、
2008年秋シーズン企画内で、レビューが掲載
されていました。
その事実を、BANDAIがどう考えるか、という
ようなこともあると思います。


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Scott VonSchillingさんもかつては、
「定期的にDVDを購入するのなら、ファンサブ
を見ても構わない」という考えでしたが、ファン
サブが日米の業界に与えている害を、積極的
に北米のアニメファンダムに伝えている、声優
のGreg Ayresさんにインタビューし、そのパネ
ルを聞くことによって、ファンサブの問題点を
理解することが出来、今では全くファンサブを
見ずに、アニメファンとしての生活を満喫して
おり、またジャーナリストとしての活動も、本格
的に進めつつあります。
今回の行動は、少なくとも問題提起としては
意味があるでしょうし、それなりにファンダム
に伝わっているのだろうと想像します。
結果については、何が起きるにせよ起きない
にせよ、いずれ見えてくると思うので、またレ
ポートしたいと思います。


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2009年09月10日

ネットでの同時配信が、ファンサブ制作をスピードアップさせる結果に? ―― ポッドキャストAnime 3000での議論


かなり前のエントリーではあるんですけど、
サイトAnime 3000が、毎週配信しているポッ
ドキャストの4月13日配信回"State of the
Anime Industry"
は、他のアニメ系サイト・
ポッドキャストの運営者の方々を集めて、
タイトル通りの、北米のアニメ業界の状態に
ついて語るものでした。
で、その冒頭15分程のテーマが、今年にな
って本格化した、"simulcast" ―― 日本で
の放送の直後に、ネットで字幕版を配信する
サービスが、その抑制をひとつの目的として
いる、ファンサブ行為に対して与える影響に
ついて、でした。


ネットでの(ほぼ)同時配信が、ファンサブを
抑制する可能性については、否定的な意見
が多かったですね。
まずファンサバーの多くは、日本語の学習の
ためにファンサブを制作しているのだから、
公式の字幕があろうとなかろうと、制作の努
力は続ける、あるいは、ファンサブ制作者と
してのプライド、などが挙げられていました
が、なにより大きい理由として、同時配信さ
れている作品であっても、引き続きファンサ
ブのニーズが存在し続けているから、という
ことがあるようです。


そのニーズを発生させているのが、一番多
くの新作アニメを同時配信しているCrunchyroll
(公式サイト)のサービス内容とされています。
現在提供されているサービスは、月額6.95
ドルのメンバーシップ料金を払えば、日本で
の放送直後に作品が見られて、1週間待て
ば、メンバーでない人も無料で見られる、と
いうものです。


月額6.95ドル(約640円)が高いかどうかは、
それぞれの人の生活レベルによりますけれ
ど、やはり払いたくない人は多いわけです。
長い間ファンサブで、日本で放送された直
後のアニメをずっと見続けてきた人には、
それが当たり前のことになって、今さらお金
を払ったりはしたくない。
特に「NARUTO」を見ている人は、いわゆる
カジュアルなファンで、見ているアニメも
「NARUTO」だけ、という人も多い。そういう
人は、「NARUTO」一本だけのために、わざ
わざお金を出したりはしないだろう。
その一方で、放送直後に、各所のフォーラ
ムのような場所で、最新のアニメ・エピソー
ドについて語り合うことも、アニメファンのア
イデンティティを守るために必要である。
無料になる1週間後まで待っていては、もう
話題遅れになってしまう。
そこに、ファンサブのニーズが発生している
のですね。合法な配信が始まる前に、無料
で見られるものを提供するという。


議論の中で、ファンサブを無くす方法があ
るとしたら?という問いに、「見る人が誰も
いなくなれば、そのファンサブはなくなる。
見てくれる人がいるからこそ、ファンサブは
作り続けられるのだから」という答えがあ
りました。
どんなに頑張ってファンサブを作っても、
誰も見てくれない、誰も自分がファンサブ
を作った作品について、フォーラムで語った
りもしない、という状態が続けば、当然モチ
ベーションは下がります。


しかし、Crunchyrollで配信されている作品
については、無料配信が開始される前に無
料で見たいという層が、確実に存在するわけ
です。配信から一週間以内にファンサブを
作れば、その人達が見てくれることは間違
いない。「自分達の行動に期待してくれてい
る人がいる」と、ファンサブ制作に努めるた
めの理由が、はっきりとするのですね。モチ
ベーションも高まるわけです。
無料で見られるのは1週間後という設定をし
たために、そも無料で見られるファンサブが
入り込める余地が発生してしまったのだ――
というのが、この議論での指摘でした。


では実際に、Crunchyrollでの配信後一週間
以内に制作されている英語ファンサブが、ど
れだけあるでしょう。この一週間最新の状況
を、ちょっと調べてみます。
日本放送日は日本時間、ファンサブ配信時間
は、どこかわかりませんけど現地時間です。
北米地域なら、14〜17時間の時間差があります。


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「NARUTO-疾風伝-」第125話(345話)
日本放送・9月3日
ファンサブ配信・9月3日

「よくわかる現代魔法」第9話
日本放送・9月5日
ファンサブ配信・9月5日

「しゅごキャラ!!どきっ」第99話
日本放送・9月5日
ファンサブ配信・9月5日

「ハヤテのごとく!!」第23話
日本放送・9月4日深夜
ファンサブ配信・9月5日

「咲-Saki-」第22話
日本放送・9月6日深夜
ファンサブ配信・9月6日

「青い花」第10話
日本放送・9月2日深夜
ファンサブ配信・9月7日

「シャングリ・ラ」第23話
日本放送・9月6日深夜
ファンサブ配信・9月8日

「かなめも」第10話
日本放送・9月6日深夜
ファンサブ配信・9月8日

「花咲ける青少年」第19話
日本放送・8月30日
ファンサブ配信・9月8日


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というように、この一週間の範囲だと、
「花咲ける青少年」第19話以外の、ここに
挙げた全作品が、同日から数日内にファン
サブが配信され、Crunchyrollでの一週間
後の無料配信を待つまでもなく、視聴可能に
なっていることがわかります。
待たずに、かつお金を払わずにエピソードを
はやく見たいファンのニーズに、ファンサブ
制作者達が応えているわけですね。
――Crunchyroll側からすれば、明白な営業
妨害なわけですが。
こういう状況で、Crunchyrollのビジネスが
上手くいっているとは、あまり思えないという
のが、正直なところです。


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2009年08月20日

議論・スキャンレーション(マンガの無許可翻訳)は、アメリカのマンガ市場の害になっているか


始まったのは少し前からだったんですけど、
もう動きもなさそうなので、まとめておきたい
と思います。
ご存知のようにスキャンレーション scanlation
とは、マンガ作品の台詞を著作者に無断で
各国語に翻訳し、ネット上で配布しているも
のですね。アニメなら、ファンサブになります。
そのスキャンレーションを巡るちょっとした議
論が、1ヵ月ほど前から交わされていました。
スキャンレーションに対しては、それぞれの立
場から、こういう意見が出るという、ひとつの
データとして参考になればと思います。


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ことの起こりは、7月23〜26日に米・カリフォル
ニア州サンディエゴ市で開催されたサンディエゴ・
コミコンでの、出版社Yen Pressのパネルです。
Yen Press(公式サイト)は、マンガ版「涼宮ハ
ルヒの憂鬱」、日韓のマンガ作品を集めた月
刊誌Yen Plusなどを出版していて、7月24日
の午後5時半〜6時半に行われたパネルには、
パブリッシング・ディレクターのKurt Hassler
氏も出席していました。


新規ライセンス作品についての発表などが行
われた後、質疑応答セッションがあったので
すが、そこで、「スキャンレーションがYen
Pressの作品の売り上げに与えている影響は?」
という質問が出たんですね。
採録は、お馴染みDeb Aokiさんによる、

About.com:Manga 2009年8月3日付け記事
"Comic-Con '09: Yen Press Adds New
CLAMP Manga, Tackles Scanlation Questions"


で読めます。
Hassler氏の答えは、ちょっと長くなりますが
引用させていただくと、


「マンガの売り上げに、スキャンレーションが
どんな影響を与えているか答えるのは、実に難
しいですね。これだけの量のスキャンレーショ
ンがオンラインで出回ったから、これだけの数
の正規出版された部数が売れなくなったという
ことを、何らかの数字で証明するのは、ほとんど
不可能でしょう。
確かに、スキャンレーションが作品の認知を広
めてくれていたこともありました。けれど同時に、
セールスを妨げてもいるのです。


スキャンレーションは、著作物の不法な使用に
もかかわらず、『誰かが正規出版してくれてい
たなら、自分達がこのスキャンレーションを作
ることもなかった』と正当化されることがしばし
ばです。しかし結局のところ、所有権のないも
のを不法に利用し、どういう形であれ利益を得
ているに過ぎないのです。マンガ市場にとって、
とても厄介な流れです。同じことは、アニメDVD
の売り上げについてもあります。
これはファンの熱意が、市場にマイナスの影響
を与えている、稀なケースといえます。


マンガ業界の初期においては、スキャンレーシ
ョンも作品の認知を広めてくれるものでした。
けれど今では、ほとんど全ての出版社が同意し
てくれるでしょうけど、我々のビジネスを成長さ
せ、ファンが読みたい本を市場に流通させてい
く上での、妨げになってしまっています」



というものでした。


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このHassler氏の発言に反論したのが、在イギ
リスのブログであるTiamat’s Discipleです。
同ブログ7月25日記事、

"Scanlations kill the manga industry,
according to Yen Press…"


では、特にHassler氏の発言の中から、

・ビジネスを成長させ、ファンが読みたい本
を市場に流通させていく上での、妨げになっ
てしまっています
・ファンの熱意が、市場にマイナスの影響を
与えている、稀なケースといえます。

という言葉に反対を表明します。
運営人本人も、スキャンレーション制作者だ
と認めている、このブログTiamat’s Disciple
の主張を並べてみると、


・自分がマンガと出会えたのはスキャンレー
ションのおかげであり、イギリスの多くのマン
ガファンがそうである。
自分達がスキャンレーションで読んでいるほ
とんどの作品は、未ライセンスの作品なのだ
から、アメリカやイギリスの正規品市場に、
そもそも影響を与えはしない。

・正規出版されている作品でも、クオリティが
スキャンレーションに劣るものがある。

・アメリカで正規出版されたとしても、日本で
の出版からはずっと遅れているし、追いつく
こともない。ライセンスされたからといって、
最新巻・エピソードが読めるスキャンレーシ
ョンを止める理由にはならない。

・そもそもスキャンレーションは無料だから
読んでいるという人は、正規出版されても、
どの道買わないのだから、全ての違法ダウ
ンロードが、売り上げの損失になっている
わけではない。

・出版社自体が、スキャンレーションでの人
気を、どの作品をライセンスするかという指
標として利用しているのだから、スキャンレ
ーションを批判するのはおかしい。

・そもそも、スキャンレーションが、業界にど
れだけの影響を与えているかという、具体
的な証明がされたことはない。

・これまでどの出版社も、スキャンレーション
や違法アップロードに対して、直接抗議したり
対策を講じたことはない。もし問題があるとい
うのなら、行動に移している筈だし、すべきだ。
何故訴えたりしない?



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この記事に対して、コメント欄でも賛成・反対
の意見が寄せられます。
代表的なものをそれぞれまとめると、

賛成意見

・自分も持っているマンガの90%は、スキャンレ
ーションで読めたから、知ることが出来た。

・スキャンレーションも正規出版も、クオリティに
はそんなに差がないのに、正規出版は時間が
かかり過ぎる。

・実際に役立つマンガ事典か情報サイトが完
備されない限り、スキャンレーションを頼るしか
ない。

・スキャンレーションで読んで気に入ってくれ
た人は、その正規版を買ってくれるだろうし、
買わない人はどうあれ買わないのだから、ス
キャンレーションが、セールスの妨げになって
いるということはない。

・スキャンレーションがそんなに問題となって
いるのなら、VIZ Mediaやクランチロールが、
ファンサブに対抗するために、アニメの日本で
の放送との同時配信を始めたような、スキャン
レーションに対抗する努力を出版社はすべき
だ(日本での出版と同時に、外国語翻訳も読め
るようにして欲しい)。

・VIZ Mediaは、「境界のRINNE」の同時配信
を始めているが、アクセス出来るのは北米地域
からだけで、英語圏でもイギリスやニュージーラ
ンド在住の自分達には恩恵がなく、スキャンレ
ーションに頼らざるを得ない。

・書店に置いてあるマンガは、子供達に立ち読
みされてボロボロなので、買う時はオンライン
ストアで買う。オンラインストアだと内容のチェ
ックが出来ないので、スキャンレーションを利
用している。




反対意見

・ライセンスされていようといまいと、他人の著
作物の勝手なアップロードは、ベルヌ条約違反
である。

・そもそも一番悪いのは、他人の著作物を勝
手にアップロードしている人達なのに、どうして
出版社が責任を取らなくてはいけないのか。
その人達の責任をまず問わなくていいの?

・まず無料でスキャンレーションを読んでしまっ
た人は、そのほとんどが、あらためて正規出
版をお金を出して購入したりはしない。



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人気のあるブログでの記事ということで、すぐ
に伝わったのか、影響力を懸念したのか、当事
者である北米のマンガ出版社の人からも、コメ
ントが寄せられました。
やおい作品専門の出版社であるYaoi Press
匿名氏と、アダルトマンガ専門の出版社Icarus
Publishing
の代表Simon Jones氏です。


両者はまず、Tiamatの主張のひとつである、

・これまでどの出版社も、スキャンレーション
や違法アップロードに対して、直接抗議したり
対策を講じたことはない。

を即座に否定します。両者共に、自社ライセン
ス作品の違法アップロードに対しては、何度と
なく抗議・警告を送っており、それが業務の妨
げになっているくらいだと。
Yaoi Pressは、自社の出版物をそのままスキ
ャンしたものがネットに流れ始めると同時に、
その本の売り上げが完全にストップしてしまう
こと、あるコンベンションでは目の前で、「その
本は買う必要ないよ。ネットの×××でダウン
ロード出来るから」と言われたこと、訴えるに
しても、その費用はYaoi Pressのような小さ
な(そして現時点でも負債を抱えている)出版
社が払えるものではないこと、などを説明して
くれました。


そしてIcarus PublishingのSimon Jones氏
は、そのブログ7月27日付け記事でもあらため
てコメントし、スキャンレーションがマンガの認知
を広める役割を果たしたこと、業界人にもスキャ
ンレーションによって、マンガを知った人が多い
ことは認めつつ、例え動機がなんであれ、スキャ
ンレーションは一度ネットに流れたら、ずっと無料
で入手出来る、正規出版作品の違法代用品として
存在し続けてしまうことの問題を指摘しています。
そこまでの責任を、スキャンレーション制作者は
理解していないと。


また、Icarus Publishingの認知度が高まりつ
つある一方で、注文自体は減りつつあることの
原因を、より早く多くスキャンされ配布されてし
まっていることだろうと想像しながら、ファンダム
を敵に回さず、出来れば良好な関係を築き上げ
ていきたいという、難しい心境も吐露しています。


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2009年08月12日

調査・同時ネット配信は、アニメファンサブ制作を抑制したか。


昨日の記事をアップして、しばらくしてから気づ
きましたけど、日本での「20世紀少年<最終章>
ぼくらの旗」(公式サイト)の公開日は8月29日
で、米・サンフランシスコのVIZ Cinemaでの
公開日も、現地時間の8月28日午後5時20分、
日本時間で8月29日午前9時20分ですから、
何気に、日米同時公開ということになりますよね。


箔をつけるために、海外の映画祭などで、日本
での公開前に上映することはよくありますが、
1館だけとはいえ、これはれっきとした商業ロー
ドショーです。ついでに言うと、これでアカデミー
賞へのエントリー資格も得たのかな?
ハリウッド映画なら、日本との同時公開も、今
では普通ですけど(先週末なら、「G.I.ジョー」が
そうでした)、合作というわけでもない、純然たる
日本映画が、日本と同時にアメリカでも商業公
開された例は、僕にはすぐに思い出せません。
あったでしょうか……。
なんにせよ、タイムラグ無しに日本と同時に新作
を楽しめるのですから、サンフランシスコのVIZ
Cinemaにまで行ける方には、とても嬉しいこと
でしょう。
逆に考えると、メディアこそ違え、日本での放送
直後にネットで海外配信される作品が増えてきた
日本製テレビアニメの状況が、どれだけユニーク
で、それを実現したのが、どれだけ大変なことか
と想像出来ます。


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"Simulcast"と称されている、このテレビとネッ
トでの同時放送・配信の目的のひとつは、日本
で放送された直後に出回ってしまう、ファンサブ
や違法配信を抑制することだと言われています
よね。

参考・毎日新聞 2009年4月3日付け記事
「鋼の錬金術師:異例の世界同時期展開 
 ネットでの違法動画配信に対抗」


このサービスが始まって、それなりの時間を経た
わけですが、実際の状況は、どれだけ変化したで
しょうか。
ネットで同時配信されるようになった日本製アニ
メのファンサブは、もう作られなくなったでしょうか。
それぞれの作品の状況を、わかる範囲でチェック
してみました。


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放送終了作品

「リストランテ・パラディーゾ」(全11話)
―― 全11話ファンサブ化
第1〜2話・三グループ
第3〜5話・二グループ
第6〜11話・一グループ

「夏のあらし」(全13話)
―― 全13話ファンサブ化
第1、6話・三グループ
第2〜4、7〜8話・二グループ
第5、9〜11話・一グループ

「黒神 The Animation」(全23話)
―― 全23話ファンサブ化
第1〜3、7〜8、11〜15話・二グループ
第4〜6、9〜10話・三グループ
第16〜23話・一グループ

「金色のコルダ〜secondo passo〜」(OVA 全2話)
―― 全2話ファンサブ化(一グループ)


放送中作品

「青い花」(現在6話)
―― 第6話までファンサブ化
第1、4話・二グループ
第2、3話・三グループ
第5、6話・一グループ

「ファイト一発!充電ちゃん!! Charge Girl!!」
(現在第8話)
―― 第6話までファンサブ化(一グループ)

「よくわかる現代魔法」(現在第5話)
―― 第4話までファンサブ化
第1話・三グループ
第2、3話・二グループ
第4話・一グループ

「かなめも」(現在第6話)
―― 第6話までファンサブ化(一グループ)

「毎日かあさん」
(現在第17話)
―― 第1話のみファンサブ化?

「NARUTO-疾風伝-」(現在第121話)
―― 第120話までファンサブ化
グループ数は最低2つ。

「銀魂」(現在第169話)
―― 第117話までファンサブ化(一グループ)

「ハヤテのごとく!」第二期(現在第19話)
―― 第18話までファンサブ化(一グループ)

「しゅごキャラ!」(現在第95話)
―― 第95話までファンサブ化(二グループ)

「家庭教師ヒットマンREBORN!」(現在第145話)
―― 第144話までファンサブ化(一グループ)

「チーズスイートホーム あたらしいおうち」
(現在第19話)
―― 第12話までファンサブ化(一グループ)

「咲-Saki-」(現在第19話)
―― 第19話までファンサブ化(二グループ)

「シャングリ・ラ」(現在第19話)
―― 第17話までファンサブ化(二グループ)

「イヴの時間」(OAV 現在第5話)
―― 第5話までファンサブ化(一グループ)

「花咲ける青少年」(現在第17話)
―― 第11話までファンサブ化

「鋼の錬金術師 Fullmetal Alchemist」
(現在第19話)
―― 第19話までファンサブ化(二グループ)

「Phantom: Requiem for the Phantom」
(現在第19話)
―― 第19話までファンサブ化
第1話は五グループだったが、現在は一グル
ープのみか。


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という辺りまで、とりあえず確認しましたが、
完全に把握は出来ていないと思います。
「ファンサブ」と称して、グループ名を冠したファ
イルを見つけられた数だけで、実際の字幕は、
公式配信されているものを流用し、HD画質ファ
イルに移し変えたものもあるようです。
ただ、これだけの数のファイルを、全てチェック
するのは無理ですね。
ともあれ、中身はどうであれ、公式配信が開始
されても、これだけの数の違法ファイルが配信
され続けている現状がわかると思います。


公式なネット配信が行われている作品にもか
かわらず、こういった違法ファイルが流通して
いるエクスキューズのひとつは、公式配信は、
世界全地域に対応しているわけではない、とい
うことがあるでしょうね。
例えば「よくわかる現代魔法」は、日本、シンガ
ポール、マレーシア、フィリピン、インド、パキス
タン、バングラディシュ、スリランカ、モルジブ、
ネパール、ブータン、アフガニスタン、ブルネイ、
カンボジア、中国、香港、マカオ、東ティモール、
インドネシア、タイ、ラオス、モンゴル、ミャンマー、
台湾、ベトナム、フィージー、マーシャル諸島、
ミクロネシア、ナウル、パラオ、パプア・ニュー
ギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、
バヌアツ、そしてモーリシャスといった国々から
は、視聴することが出来ません。
そういった地域の人達のニーズに応えている、と
いうエクスキューズです。


また、公式版の字幕や画質が気に入らない、と
いうこともあるでしょう。
「鋼の錬金術師FA」の場合は、ネットでの配信が
放送から4日後なので、それよりも早く流そうと、
複数のグループが競っている様子ですね。
「NARUTO-疾風伝-」にしても、ネット配信開始と
同時に、最大手のグループが撤退を表明しました
が(他作品のファンサブ制作は続けています)、違う
グループが制作・配布を引き継いだので、実質の
状況は変わっていないと思います。


一方、これだけの違法動画が流通している一方で、
ではどれだけの数の人が、その違法動画を見続け
ているのか、それは公式配信サービス開始後減っ
たのか、それとも変わらないのかについては、僕の
調査能力では、とても全てを把握出来ません。
2009年1月25日の時点で、Crunchyrolの有料
会員数は1万人を超え、3年後に4万人を予想と
いう話がありましたよね。

アニメ!アニメ! 2009年2月5日付け記事
「TV東京 海外向けアニメ配信有料会員1万人
 突破 3年後4万人目指す」


ということは、現在の有料会員数は多くても、
2万人に届くくらいかなと想像します。
P2P経由はわかりませんが、ある違法動画配信
サイトで、Crunchyrolが公式配信している作品
の、英語字幕付き動画の視聴カウント数を調べ
てみると、


「青い花」第5話 ―― 17047
「シャングリ・ラ」第15話 ―― 12507
「よくわかる現代魔法」第4話 ―― 6920
「かなめも」第2話 ―― 6758
「ファイト一発!充電ちゃん!! Charge Girl!!」
第6話 ―― 2828


ここだけで、このくらいの違法視聴の数字はわ
かります。
むろん、無料だから見ている、という数ではある
んですけど、これがどれくらいの割合で、ビジネ
ス・チャンスの損失になっているのか考えるのは、
やはり難しいでしょうか……。


posted by mikikazu at 11:37 | TrackBack(0) | ファンサブ/スキャンレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月06日

クランチロールによる合法配信開始によって、「NARUTO-疾風伝」などの違法配信は抑制されたか


アニメ!アニメさんの2月5日付け記事、

「TV東京 海外向けアニメ配信有料会員1万人突破
 3年後4万人目指す」


では、テレビ東京とアメリカのアニメ動画配信サイト
Crunchyrollによって1月8日から始められた、海外
向けアニメ合法配信の、初期結果の詳細が伝えら
れていますね。
そこでなんですが、今回の事業の目的のひとつとさ
れている、違法配信の抑制については、どれだけ効
果があったんでしょうか。
いわゆるファンサブ容認論のひとつに、「日本で放送
されたエピソードを待たずにすぐ見たいから」という
ものがあったわけですけど、そういう状況を合法的に
用意された作品については、みな合法視聴に移行して
くれたんでしょうか。


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あくまでサービス開始から約1ヶ月が過ぎた、現時点
での状況ということですけれど、Crunchyrollによる
合法配信が始まって以降も、「NARUTO-疾風伝」「銀魂」
「スキップ・ビート!」「しゅごキャラ」「続 夏目友人帳」
「ネットゴーストPIPOPA」の6作品については、違法
動画とその配信は続いています。
ただし、その状況が大きく異なるのは、これまでの違
法動画の中身が、字幕のないRAW、あるいはアマチ
ュアによる字幕をつけたファンサブだったのに対して、
合法配信が始まって以降は、本来なら有料でないと見
られない、Crunchyrollによる合法配信エピソードその
ものに代わっていることですね。
Crunchyrollの有料会員は、日本での放送1時間後に、
英語字幕のついたエピソードを視聴出来るというのが
売りなわけですが、お金を払うまでもなく、配信の直後
に、その中身が流出しているわけです。
昨夜日本で放送されたばかりの、つまりCrunchyroll
版はまだ有料会員でないと見られない筈の、「NARUTO-
疾風伝」第95話も、もうあちこちで流れています。


一応合法を謳っている大手の動画投稿サイトなどだと、
すぐに削除されると思うんですが、最初から違法配信
を目的に運営されているサイトでは、これまでのファン
サブから、そのCrunchyroll版エピソードの配信に移
行したようですね。
ファンサブよりも早く、しかもオフィシャルの字幕まで
つけてくれているのだから、そういうサイトにとっては
ありがたい話です。皮肉ですが。
また、ファンサブ・グループからの配布とされているフ
ァイルを開いてみても、画面にグループ名を掲げている
ものの、字幕はCrunchyroll版というものも確認出来ま
した。それはもはや、「ファン」サブではないですけど。


つまり今回のCrunchyrollからの配信は、違法配信
サイトあるいはファンサブ・グループに、格好の素材を
提供してしまっている、という面もあるわけです。
もちろん、違法配信されているからといって、全ての
人がそちらを見ているとは限りません。
ただ、どれだけの視聴・ダウンロード数にまで広がっ
ているのか、合法視聴に対して多いのか少ないのか
については、確認のしようがありませんし、サービス開
始から1ヵ月も経ったのに、Crunchyroll側が気づい
ていないのか、それとも放置しているのか、対処はし
ているけど追いつかないのかも、ちょっとわかりません。
フォーラムやコメント欄では、確かに話題になっていま
したけど……。


ともあれ今回の状況は、海外のファンのモラルを試す、
大きな機会になるだろうと思います。
Crunchyrollの会員となった人は、とりあえずどんなサ
ービスになるのか試してみようと思っていたのでしょう
けれど、サービスの開始直後から、こうして広まってし
まう違法動画の状況を知って、それでもお金を払って会
員でい続けるのか、これまでファンサブを無料で視聴し
続けてきたように、違法でも無料の動画を選ぶのか。
今後の会員数の増減で、その辺のことがわかっていく
でしょう。


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2009年01月02日

アニメをファンサブで違法視聴している、英語アニメブログの割合は


アメリカ・ニュージャージー州プリンストン在住の
Scott VonSchillingさんのブログ、The Anime
Almanac
の12月17日付け記事、

"How the Japanese are Reclaiming the Internet"

を興味深く読みました。
VonSchillingさんは、当ブログ2008年8月28日
付け記事「実験『アメリカで、ファンサブに頼らず
にアニメファンとしての生活を過ごせるか?』」
でも
紹介したことがあるので、ご記憶の方もいると思い
ます。
今回の記事は、「ファンサブは北米のアニメ市場に
とって害である」というVonSchillingさんの主張を
ふまえて、ファンサブへの唯一の対抗手段である、
日本での放送とのほぼ同時のネット配信をやっと始
めるようになった、業界への期待を語るものです。


その中で昨年夏のOtakonでの、ある実際のエピソ
ードが紹介されていました。
角川エンターテインメントのChiyako Tasaiという人
が、「狼と香辛料」や「H20 - Footprints in the
Sand」などの新作アニメのプレゼンテーションを、
Otakonで行ったんですね。
これらの作品は、まだ日本でしか見られない筈で、
これがアメリカで公式に披露する初めての機会であ
ったのにもかかわらず、観客のアニメファン達の、
驚きも喜びもしない反応に、Tasaiさんは戸惑います。
観客に尋ねてみると、とっくにダウンロードして見ている、
と答えられ、Tasaiさんは失望を隠せませんでした。
パネルの後、VonSchillingさんはTasaiさんにイン
タビューする機会を得て、そこで「どれくらいのファン
が違法ダウンロードしてアニメを見ているんですか?
1パーセント? 5パーセント?」という質問を向け
られます。
VonSchillingさんの答えは、「少なくとも90パーセ
ント」というもので、Tasaiさんは、信じられないとい
う風に、息をのんだそうです。


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実際、どれだけ数・割合の海外のアニメファンが、
ファンサブでアニメを違法視聴しているのかは、
わかりません。全員を調査するわけにもいきませ
んから。
ただ、ひとつのアプローチとして思いついたのが、
アニメ感想をメインとした、ブログの内容調査です。
感想ブログをわざわざ開設するということは、アニ
メ視聴をしている、自分の立場を自認していて、か
つそういう自分の立場を世間に伝えることについて、
肯定的である、ということですよね。
違う言い方をすれば、もしファンサブで見ている作
品について語っているとしたら、違法視聴をしてい
る自分の立場にも、後ろめたさを感じていない、と
いうことです。


調査に利用したのは、英語圏のアニメ・マンガ関連
ブログを捕捉している、AnimeBlogger.net Antenna
そこに登録している501の関連ブログから、この2週間
内に新規記事投稿のあった、155のブログを選び、その
内のどれだけが、違法視聴したファンサブについて語っ
ているか、調べてみました。


結果はというと、ファンサブ視聴したアニメについて
語っていたのは、155中105のブログになります。
ただし、語っていないブログのほとんどは、日本発の
情報だったり、フィギュアの話題が専門だったりで、
感想系という枠にくくるなら、ほぼ全てのブログで語
られているのが、ファンサブで配信されているアニメ
でした。北米で正規放送されているアニメ作品のみに
ついて語っているところは、ほとんどなかったと思い
ます。


これを、作品別に分けると、ここ2週間で話題に
された100作品のうち、正規リリースされていない、
つまりファンサブで視聴されている作品は、73作品
に及びます。
その中には、「NARUTO」「Bleach」「機動戦士ガン
ダム00」「コードギアス 反逆のルルーシュ」など、北
米でライセンスされ正規放送されていても、日本で放
送された最新エピソードがファンサブで配信され続け
ている作品も含みます。


これらの結果からわかるのは、英語圏のアニメファン
を自認している人々の間では、アニメはまずファンサ
ブで見るもの、そしてその行為の違法性を考慮する必
要はない(考えたなら、自身のブログで違法行為をし
ていると発表などは出来ない筈です)、という認識が、
既に広く定着してしまっていること、だと思います。
また、先日BANDAI ENTERTAINMENTのプロデュ
ーサーであるRichard Kekahuna氏が語っていた
うに、ファンサブで見ても、実際にDVDを購入する人は
1パーセント以下なのが現実でしょうし、改善の努力を
している人達もいますけれど、そういったファン達の意
識改革を促すのは、相当に難しいと思います。


posted by mikikazu at 11:40 | TrackBack(0) | ファンサブ/スキャンレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月28日

実験「アメリカで、ファンサブに頼らずにアニメファンとしての生活を過ごせるか?」


オリジナル記事の発表は3週間も前のことですから、
既に話題にされた方もいるかもしれませんが、タイミ
ング悪くお休みをはさんだりしちゃったので、うちの
方でも、念のために紹介しておきますね。
例によって、Brigid AlversonさんのMangaBlog
8月6日付け記事内で取上げてくれたので知ったのが、
Scott VonSchillingさんのブログThe Anime
Almanac
の、

The Anime Almanac 2008年8月5日付け
"Living Legit - A Month Without Fansubs"

という記事でした。
アメリカのアニメ声優であるGreg Ayresさんが、
ファンサブの非合法性と、それが業界に与えている
深刻な被害について訴える活動を、コンベンション
のパネルなどで続けていることは、何度もご紹介し
てきましたよね。
大きな話題になった、昨年10月のワタナベシンイチ
監督による、コンベンションOni-Conでのファンサブ・
違法ダウンロードに対する厳しい発言も、Ayresさん
の活動を受けたものです(2007年10月23日付け記事)。


2008年6月20〜22日に、ニュージャージー州セコー
カスで開催されたコンベンションAnimeNEXT(公式サ
イト
)にも、Greg Ayresさんはゲスト参加されていて、
Ayresさんへの直接のインタビューと、パネルでの説
明から、The Anime AlmanacのScott VonSchilling
さん自身も、ファンサブ視聴を、ついにやめる決意に
到りました。

The Anime Almanac 2008年7月1日付け記事
"Greg Ayres and the Fight Against Fansubs"


今回の企画は、その決意を受けて、合法的な手段
のみによって、アニメ視聴生活をどこまで楽しめる
のか、アメリカでアニメファンでいるためには、ファン
サブを違法視聴し続けないと本当にいけないのか、
ということを試してみた、2008年7月の、1ヵ月間の
記録になります。


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1ヵ月を過ごした上でのVonSchillingさんの結論を、
先に一言でいってしまうと、「違法視聴に頼らずとも、
アニメファンとしての生活を楽しめた。それもかなり
の安価で」というものになります。
VonSchillingさんが用いた、メインの視聴手段は、
宅配DVDレンタルのNetflixで、一度にDVDを3枚
レンタルして、1ヵ月間なら何度でも返却・レンタル可
能という、16.99ドル(約1860円)のプランを選択します。
このプランによって、VonSchillingさんは16枚の
DVD(そのうち9枚がアニメ、あるいはマンガを原作
とした日本製実写映画)をレンタル出来ました。
「英國戀物語エマ」「スクールランブル」「人間交差点」
などの作品を見てみたそうですが、映画作品も含めて
エピソード数換算してみると、合計で33エピソードに
なり、1エピソードあたりのコストは、60セント(約65.7
円)という計算になります。


その他にも、1エピソードにつき平均1.69ドル(約185円)
という価格になった、 iTunesやBOST TVからの合法ダ
ウンロード購入(「ストライクウィッチーズ」「月詠 -MOON
PHASE-」)、1エピソードにつき1.69ドル(約296円)と
いう価格の、通常のDVD購入(「パプリカ」「らき☆すた」
「天元突破グレンラガン」)、無料のオンライン配信
(「DEATH NOTE」「コードギアス 反逆のルルーシュ」
「クレヨンしんちゃん」「バッカーノ!」、FUNimation
のYouTube配信)など、たくさんの合法手段でアニメ視
聴を満喫し、その合計は、7月の1ヵ月間で、94エピソ
ードに達しました。毎日3話見なくては、消化出来ない
ほどの数です。
使った金額は104ドル(約1万1390円)で、その詳しい
作品リストは、こちらに掲載されています。


これだけの合法視聴出来るアニメが、アメリカ国内で
もたくさんあるという事実が証明出来たことで、もうフ
ァンサブ視聴に戻る必要はないと、VonSchillingさん
自身は結論付けています。
むしろ、実際には買ったりしないのに、「ファンサブを
見るのは、DVD購入判断のためのサンプルとして」と
いう嘘のエクスキューズを口にせざるをえないストレス
から解放された、安らぎも感じているようですね。
例えわずかな金額しか返せなくても、合法視聴によって、
作品を作ってくれたクリエイター達と業界を支えていき
たいと。
こういう人の声が、どれだけアメリカのアニメファンの
中で広まっていくのか、それとも相手にされないのか、
引き続き注目していきたいです。


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