2009年10月31日

米国図書館協会部会のヤングアダルト図書館サービス協会による、10代向け推薦グラフィックノベル・ノミネートに含まれた日本マンガ


毎年この時期の、恒例の話題ですね。
フォローし始めて4年目になりますけど、
米国図書館協会(ALA-American Library
Association
)の、青少年部門である、ヤング
アダルト図書館サービス協会(YALSA-Young
Adult Library Services Association

が毎年選出している、「アメリカのティーンに
ふさわしいグラフィックノベルの推薦リスト」
の、
本年度のノミネート作品が発表され始めてい
ます(via MangaBlog)。


ここでいうYoung Adultというのは、12〜18歳
が対象であり、そのフィクション部門では、年を
経るごとに日本のマンガ作品が多く選ばれるよ
うになってきていて、アメリカの図書館における
マンガの人気と、このマンガは図書館に置くの
にふさわしいという、当地の人達の判断の傾向
を知るのに役立つものとなっています。
近年TOP10リストにまで選ばれている日本マン
ガは、


2006年
「DEATH NOTE」第1〜3巻
 (作・大場つぐみ/画・小畑健 VIZ Media)

2007年
「いばらの王」第1〜2巻
 (岩原祐二 TOKYOPOP)
「放課後保健室」第1〜5巻
 (水城せとな Go Comi!)
「エマ」第1〜5巻
 (森薫 DC Comics / CMX)

2008年
「砂時計」第1〜3巻
 (芦原妃名子 VIZ Media)
「リアル」第1〜2巻
 (井上雄彦 VIZ Media)
「うずまき」第1巻
 (伊藤潤二 VIZ Media)


ですね。
選出されたことを受けて、実際に全米各地の図
書館がこぞって購入したかどうかは、また別の
調査が必要ですけど、それなりの影響力はある
ものだと想像します。
現時点でノミネートされている、日本人作家によ
る翻訳出版されたマンガ作品は――。


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「テガミバチ」第1巻
 (浅田弘幸 VIZ Media)

「桜蘭高校ホスト部」第11巻
 (葉鳥ビスコ VIZ Media)

「逆転裁判」
 (CAPCOM Del Rey)

「CLOVER」
 (CLAMP Dark Horse)
  ――既刊4巻を1巻にまとめた、オムニバス・
 エディション

「トレイン☆トレイン」第1巻
 (影木栄貴 Doki Doki/DMP)

「はこぶね白書」第1&2巻
 (藤野もやむ TOKYOPOP)

「焼きたて!!ジャぱん」第15巻
 (橋口たかし VIZ Media)

「海獣の子供」第1巻
 (五十嵐大介 VIZ Media)

「ソラニン」
 (浅野いにお VIZ Media)

「もやしもん」第1巻
 (石川雅之 Del Rey)

「隠の王」第1巻
 (鎌谷悠希 Yen Press)

「オトメン(乙男)」第1巻
 (菅野文 VIZ Media)

「高校デビュー」第8巻
 (河原和音 VIZ Media)

「ラピスラズリの王冠」
 (川瀬夏菜 DC Comics/CMX)

「ミックスベジタブル」第1巻
 (小村あゆみ VIZ Media)

「さよなら絶望先生」第1巻
 (久米田康治 Del Rey)

「takeru-〜SUSANOH〜魔性の剣より」第1&2巻
 (唐々煙/中島かずき TOKYOPOP)

「僕等がいた」第1〜4巻
 (小畑友紀 VIZ Media)

「ひぐらしのなく頃に」第1&2巻
 (竜騎士07/鈴羅木かりん Yen Press)

「花の名前」
 (斎藤けん CMX/DC Comics)

「君に届け」第1巻
 (椎名軽穂 VIZ Media)

「カラクリオデット」第1巻
 (鈴木ジュリエッタ TOKYOPOP)

「PLUTO」第1〜3巻
 (手塚治虫/浦沢直樹/長崎尚志 VIZ Media)

「Go West!」第1巻
 (矢上裕 CMX/DC Comics)

「大奥」第1巻
 (よしながふみ VIZ Media)


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になりますね。
全ての作品を知っているわけではありませんが、
なかなかバラエティに富んでいると思います。
あ、途中の巻がノミネートされているのは、出版
時期条件が、この16ヶ月間、つまり昨年の9月1
日から、今年2009年の12月31日の間に指定さ
れているからですね。
マンガが単巻構成でなく、続き物だと知っている
図書館サイドなら、当然最初の巻から購入すると
思います。
これらの提出されたノミネート作品から、議長を
含め11人で構成される選定委員会がTOP10
リストを選ぶわけです。
発表は、年明けの2010年1月になってからですね。


個人的な注目はやはり、「PLUTO」ですね。
僕は正直、「20世紀少年」よりも「MONSTER」
よりも、「PLUTO」派だったりしますし。
昨年のリストでは、手塚治虫さんの「どろろ」
「ブラックジャック」が、「Great Graphic Novels」
には選ばれたものの、TOP10からは外れたので、
今年は浦沢版アトムに頑張ってほしいです。


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2009年10月28日

アメリカ・オレゴン州ポートランド発のポッドキャストKaijucastの最新エピソードのテーマは、「妖怪映画」


10月21日付け記事でご紹介した、アメリカ・
オレゴン州ポートランド在住のKyle Yount
さんによる、怪獣映画専門のポッドキャスト
Kaijucastが、10月27日付けで、最新エピ
ソードの第10回、
"Japanese Ghosts and Goblins take over"
を配信しています。


時期はハロウィン、ということでいつもとは少
し趣きを変え、今回のお題は「妖怪映画」とい
うことになっていますね。
怪獣映画とも色々重なる、日本独自のファン
タジー映画ジャンルです。
ゲストは第3回に続いての出演となる、地元の
ラジオ局で、「Horror Holocaust」という、ホラ
ー映画の話題専門の番組でDJを務めている、
Jeff Deanさん。Kyleさんのお友達で、当然ゴ
ジラ映画の大ファンとのことですね。


なかなかに楽しい内容だったので、今回はいつ、
どういう話題が語られたのかについての記録を
日本語でも掲載しておきたいと思います。英語
だと"show note"ですが、日本語で何と称すべ
きかよくわかりません。
こういうのって、「今はこの話題について話して
いるんだな」とわかって、個人的には外国語の
ポッドキャストを聞く時には便利なものなので、
同じようにお役に立てば幸いです。


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(00:00〜02:25)
・OPテーマ、イントロダクション。

(02:25〜10:21)
・紹介される映画からの音楽。

(10:21〜23:00)
・「妖怪」とはなにか?
・大映妖怪映画三部作
 「妖怪百物語」
 (1968年 安田公義監督)
 「妖怪大戦争」
 (1968年 黒田義之監督)
 「東海道お化け道中」
 (1969年 安田公義、黒田義之監督)
 についての解説。
 アメリカでは、かつてADV Filmsからリリース。
 それぞれの英語題は
 「Yokai Monsters: One Hundred Monsters」
 「Yokai Monsters: Spook Warfare」
 「Yokai Monsters: Along With Ghosts」
 現在では入手困難か?

(23:00〜29:00)
・妖怪の生まれた理由。
 「小豆洗い」
 「河童」 ―― なぜお寿司の「カッパ巻き」には
 そういう名前がついているのか。
・妖怪について英語で学べる本。
 「Yokai Attack!」(Hiroko Yoda&Matt Alt)

(29:00〜33:09)
・映画「さくや妖怪伝」(2000年 原口智生監督)
 について。
 (スタッフが平成ガメラ映画の人達ということで、
 大好きなJeffさんが喜んでいました)

(33:09〜38:08)
・映画「怪談」(1964年 小林正樹監督)について。
 アメリカでは、CriterionからDVDリリース。

(38:08〜46:33)
・「妖怪大戦争」(2005年 三池崇史監督)に
 ついて。
 アメリカでは、「The Great Yokai War」の
 タイトルで、Tokyo Shock(Media Blasters
 のレーベル)からリリース。

(46:33〜50:12)
・水木しげる氏について。
・「ゲゲゲの鬼太郎」の解説。

(50:12〜54:45)
・音楽紹介。

(54:45〜1:00:20)
FilmusikのプロデューサーGalen Huckins氏
 インタビュー。

(1:00:20〜1:07:54)
――ニュース
 ・「ゴジラ」(1954年)ブルーレイについて。
 ・ 日本のブログUltimo Spalpeenに紹介される。
 ・今月のアンケート結果。
 ・ebayに出品されている「百鬼夜行」掛け軸。

(1:07:54〜1:19:14)
・音楽紹介。


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音質は良好で、お二人とも大人ですし、Jeffさん
はプロのDJですしで、わりに分かりやすい英語
でゆっくり喋ってくれますから、聞き取り易い方の
英語ポッドキャストだと思います。
ニュースコーナーでは、もちろん報告してあるの
で、うちのブログについても紹介してくださって
います。例によって、発音には苦労されていて、
申し訳なかったですけど(笑)。


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テーマである妖怪映画とは関係なく、インタビュー
が挿入されていた、Filmusikについては説明が
必要ですね。
Filmusikは、ポートランドで活動している音楽家・
声優・音響効果技術者のグループで、古い映画の
画面に、違う音楽・台詞・効果音を重ねて、新しい
ものを表現してみよう、というプロジェクトなんですね。
来月取り上げられる作品が、「ガメラ対大悪獣ギロ
ン」
(1969年 湯浅憲明監督)ということで、Kaijucast
からも取材を受けた、ということみたいです。
予告編で、かなりやろうとしていることの雰囲気が
掴めます。


Filmusik: Gamera vs. Guiron from Galen Huckins on Vimeo.




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2009年10月26日

映画「Astro Boy」(邦題「ATOM」)の、アメリカでの第1週週末成績


アメリカではこの10月23日から、3014スクリーン
で公開の始まった、手塚治虫さんの「鉄腕アトム」
を原作とするCGアニメーション映画「Astro Boy」
(邦題「ATOM」 米公式サイト)の、1週目の推定
週末興行成績の数字が出ています。
Box Office Mojoによると、「Astro Boy」は初
登場6位で、興行成績は701万7000ドル(約6億
5188万円)になっていますね。


ComingSoon.netが事前に出していた予想では、
順位は4位で、数字は1270万ドルでしたから、
順位はともかく数字としては、予想の半分少し上
と、かなり下回ってしまったものになっています。
配給側の期待がどの辺りだったのかは、知りま
せんけど。
「Astro Boy」の製作費は、4000万ドル(IMDb)
から、6500万ドル(Box Office Mojo)まで諸説
ありますが、おそらくは2000万ドルを超えないだ
ろう、アメリカ国内だけの成績ではまったくの赤字
でしょうから、今後の世界各国での頑張りを期待
するしかないでしょうか。
とはいえ、最も「鉄腕アトム」フランチャイズの
認知度が高い筈の日本では、初登場で10位、
二週目でトップ10圏外ということで(eiga.com)、
既に頼れない市場になってしまっていますが。


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僕自身は未見なのですけれど、現時点でネッ
ト上では、75ほどのレビューが確認出来て、
その三分の一である25ほどのレビューにざっ
と目を通してみたんですが、かつての宮崎駿
作品のような、絶賛の嵐というわけじゃないで
すけど、そんなに反応は悪くないと思います。
Rotten Tomatoesの分類だと、肯定・否定
で半分ずつくらいにされていますが、実際のレ
ビューを読んでみると、Rotten Tomatoesが
引用するようなネガティブな文章もあるものの、
評価出来る部分もある、というものも結構見
つかります。
ただもちろん多くの場合、「子供・ファミリー
映画としては」「コアな鉄腕アトム・手塚治虫
ファンからは、『あれが違う』『これを変えた』と
批判を受けてしまうかもしれないが」という注釈
付きではありますが。
批評家受けがそんなに悪くなかったとしたら、
やはりメイン観客である子供達、あるいは彼ら
を劇場にまで連れて行く、親御さん達向けのマ
ーケティングの失敗、ということになるんでしょ
うか……。


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多くのレビューで指摘されていた、「Astro Boy」
における「鉄腕アトム」からの変更点のひとつは、
アストロのモデルとなった、テンマ博士の息子で
あるトビーの死因が、「アトム」における飛雄での
「交通事故死」から、ロボットの実験中の事故で
ビームを浴びての、「消滅死」に変わったことみた
いですね。
これは何故かというと、あくまで想像ですけど、
交通事故ではリアル過ぎるし、死ぬほどの事故
ですから流血の描写などがあったら、映画のレイ
ティングだって上げなくてはならなくなる。
ビームを浴びての消滅死なら、血も描写しなくて
済む、「きれいな」死に方に出来る ―― という
ことかなとも思うんですが、どうでしょう。


それはともかく、批判ということではないですけ
ど、このトビーの死が、いくつかのレビューでは
話題にされていたんですね。
つまり、「子供向けの映画で、キャラクターの『死』
を描いてもいいのか」「子供が『死』を理解出来る
のか」という指摘です。
もちろん飛雄/トビーが死ななければ、そもそも
アトムもアストロも作られないわけで、これは変
更のしようのない大前提のプロットなわけですけ
れど、新たにそういう指摘を目にすることは、個人
的に興味深かったです。
そんなにアメリカ製の子供向けアニメーション映
画で、「死」を描くことがタブーなのか稀なのかは、
僕は不勉強なのでわかりませんけれど、逆にいう
と、今回の「Astro Boy」製作者は、死なせ方は変
えても、とにかく死なせるという、そのゆずれない
一点は守ったわけですね。



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2009年10月24日

アメリカ・アイオワ州のオンラインストアRight StufのDVD在庫状況から想像する、北米でのアニメ不人気作品


今日は、いつもとちょっと違う角度からの調査
をしてみたいと思います。
アメリカ・アイオワ州グリムスに拠点を置くオン
ラインストアRight Stuf(公式サイト)については、
隔週で配信しているポッドキャスト番組Anime
Today
と合わせて、よく紹介していますよね。
  

BOXセットは違いますが、そのアニメDVDの単
巻カタログには、Right Stufが現在保有してい
る在庫数も表示されるんですね。
本来は、「残りがこれだけしかないですから、
注文はお早めに」というメッセージの役目を務め
ているんだと思います。


そもそもの仕入れ数が不明ですから、その表示
される在庫数から、「売れた」実数を想像するの
は難しいですけれど、「売れなかった」数につい
ては、ある程度の想像が可能だと、結果から見
えてきました。
DVDの単巻価格が10ドル以下になっている
Bargain Binのリストの中から、特に在庫数の
多い作品をリストアップしてみます。
全ての作品は無理なので、僕が知っている範囲
での有名作になりますが。


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「009-1」第1巻(6ドル) ―― 401
「エア・ギア」第1巻(5ドル) ―― 407
「エリア88・TVシリーズ」第1巻(3ドル) ―― 467
「怪〜ayakashi〜」第3巻(7ドル) ―― 437
「極上生徒会」第1巻(5ドル) ―― 426
「ベイブレード」第1巻(2ドル) ―― 432
「瓶詰妖精」第1巻(7ドル) ―― 360
「BURN-UP SCRAMBLE」第1巻(8ドル) ―― 496
「SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK」
 第1巻(4ドル) ―― 365
「クロノクルセイド」第7巻(6ドル) ―― 442


「魁!クロマティ高校」第1巻(4ドル) ―― 440
「魔装機神サイバスター」第1巻(5ドル) ―― 445
「地球防衛家族」第1巻(5ドル) ―― 468
「北へ。 〜Diamond Dust Drops〜」
 第3巻(8ドル) ―― 370
「せんせいのお時間」第1巻(8ドル) ―― 403
「すっとこ大戦ドッコイダー」第1巻(3ドル) ―― 454
「はじめの一歩」第1巻(5ドル) ―― 442
「ファイナルファンタジー:アンリミテッド」
 第1巻(3ドル) ―― 485
「ガドガード」第1巻(4ドル) ―― 461
「岩窟王」第1巻(4.49ドル) ―― 431


「GANTZ」第1巻(3ドル) ―― 444
「学校の怪談」第1巻(4ドル) ―― 456
「ギルガメッシュ」第1巻(4ドル) ―― 481
「GIRLSブラボー」第6巻(8ドル) ―― 413
「神魂合体ゴーダンナー!!」第1巻(4ドル) ―― 472
「超重神グラヴィオン」第1巻(3ドル) ―― 485
「ガン×ソード」第1巻(8ドル) ―― 380
「強殖装甲ガイバー」第1巻(4ドル) ―― 395
「ヒートガイJ」第1巻(3ドル) ―― 480
「人間交差点」第1巻(3ドル) ―― 441


「JINKI:EXTEND」第3巻(5ドル) ―― 404
「十兵衛ちゃん2 -シベリア柳生の逆襲-」
 第1巻(6ドル) ―― 411
「カレイドスター」第1巻(3ドル) ―― 452
「恋風」第1巻(6ドル) ―― 379
「LAST EXILE」第1巻 (4ドル) ―― 482
「L/R Licensed by Royal」第1巻
 (4ドル) ―― 447
「超時空要塞マクロス」第1巻(9.99ドル)
―― 488
「MADLAX」第1巻(4ドル) ―― 482
「陸上防衛隊まおちゃん」第1巻(5ドル)
―― 446
「忘却の旋律」第1巻(6ドル) ―― 470


「機動新撰組 萌えよ剣」第1巻(5ドル) ―― 425
「魔探偵ロキ RAGNAROK」第1巻(6ドル) ―― 495
「ななか6/17」第1巻(6ドル) ―― 474
「練馬大根ブラザーズ」第1巻(6ドル) ―― 372
「新ゲッターロボ」第1巻(6ドル) ―― 461
「ニニンがシノブ伝」第1巻(12ドル) ―― 482
「NOIR」第1巻(5ドル) ―― 450
「パンダーゼット THE ROBONIMATION」第1巻
 (4ドル) ―― 425
「南国少年パプワくん」第1巻(4ドル) ―― 436
「新白雪姫伝説プリーティア」第1巻
 (3ドル) ―― 490


「プリンセスナイン」第3巻(5ドル) ―― 436
「Red Garden」第2巻(6ドル) ―― 437
「京極夏彦 巷説百物語」第1巻(7ドル) ―― 406
「聖闘士星矢」第1巻(3ドル) ―― 448
「最遊記RELOAD」第1巻(8ドル) ―― 438
「サムライガン」第1巻(4ドル) ―― 437
「少年陰陽師」第1巻(2ドル) ―― 426
「ソウルテイカー」第1巻(4ドル) ―― 413
「スターオーシャンEX」第1巻(6ドル) ―― 403
「宇宙のステルヴィア」第1巻(5ドル) ―― 415


「苺ましまろ」第1巻(8ドル) ―― 385
「鉄人28号」(2004年版)第1巻(3ドル) ―― 464
「TEXHNOLYZE」第1巻(8ドル) ―― 412
「この醜くも美しい世界」第1巻
 (8ドル) ―― 447
「東京アンダーグラウンド」第1巻
 (5ドル) ―― 451
「円盤皇女ワるきゅーレ」第1巻(5ドル) ―― 442
「ウルトラマニアック」第1巻(5ドル) ―― 469
「勇午-交渉人-」第1巻(3ドル) ―― 485
「戦闘妖精雪風」第1巻(5ドル) ―― 455
「ゆめりあ」第1巻(4ドル) ―― 427
「ジパング」第1巻(6ドル) ―― 449


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という辺りが、在庫数の多さ上位作品ですね。
売価については、人気作でもBOXセットが出れば
同じくらい下がりますけれど、各在庫数を見てわか
るのは、500を超えたものがなく、上限は400台後
半ということですね。
これは想像ですけれど、Right Stufでの、少なくと
も単巻第1巻の最低仕入れ数が、おそらく500なん
だろうと思います。
その想像が正しければ、各作品の売れた本数は、
500から、現在の在庫数を引いたものになる筈で
すよね。そうすると本当に、Right Stufで500本
仕入れても、数十本しか売れていない作品が、たく
さんあるわけです。


もちろん、北米でアニメDVDを売っているのはRight
Stufだけではありませんが、仮にこの十倍の小売
ルートで売れているとしても、数百本レベルにしか
ならないと思えます。オンラインストアでしか売れ
ないようなマニアックな作品(上記リストのほとんど
が当てはまると思います)だと、もっと小さな倍率に
なりますよね。
BOXセットが出てしまうと、単巻DVDは上記のよう
な叩き売り価格で売るしかないわけですけど、仮に
それで全ての在庫がさばけたとしても、利益が出る
ようなことはないでしょう。
Right Stufの倉庫を、実際に一度覗いてみたいなあ、
とは思います。


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2009年10月21日

アメリカ・オレゴン州ポートランド発の怪獣映画専門ポッドキャストKaijucast


最近面白く聞き始めたポッドキャストが、アメ
リカ・オレゴン州ポートランド在住のKyle Yount
さんがホストを務める、Kaijucastです。

http://kaijucast.com/

名前が示すように、ゴジラを代表とする、日本の
着ぐるみ怪獣映画の話題だけを専門に語るポッ
ドキャストなんですね。
仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊を含む、
特撮 tokusatsu全体を扱ったポッドキャストなら
他にもあるようですが、怪獣映画だけにテーマを
絞ったポッドキャストは、Kyleさんが知る限りで
は、このKaijucastだけになるようです。日本発
の怪獣映画ポッドキャストなんて、あってもよさそ
うですけど?


2009年1月に配信を開始し、月に1話ずつのペ
ースで、現在までに9話を配信している、全ての
エピソードを聞き終えたわけではありませんが、
基本的には1時間の長さで、Kyleさんと友人の
怪獣映画ファンとのトーク、お薦め怪獣映画音楽
の紹介、怪獣映画の最新情報を伝える、という
フォーマットのようですね。
Kyleさんは、現在30代の半ばくらいだと思うんで
すけど、友人の方々も同じくらいで、アメリカとい
う国で、どうやって怪獣映画を知り、惹かれてい
ったのか、というそれぞれのプロセスを知ることが
出来るのが、一番興味深いと思います。


例えば、Kyleさんご自身が怪獣映画にハマったの
は、1987年に日本に滞在していた時に、1984年
版「ゴジラ」(橋本幸治監督)の、アメリカ版である
「Godzilla 1985」をたまたま見たことがキッカケ
だそうですが、他の多くの方は、地元のローカル
テレビ局で繰り返されていた、昭和ゴジラ映画の
リピート放送を見たことが理由になるようですね。
たぶん、それより若い世代だと、そういう経験は
少なくなって、ネットが情報収集ルートの主体にな
っていってると想像します。


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個人的にお薦めのエピソードは、Kyleさんが
2009年7月3〜5日にイリノイ州シカゴで開催
されたG-Fest XVI(公式サイト)に参加し、様々
な人に取材した、第7回エピソードですね。
G-Festは、1994年から毎年開催されている、
ゴジラ及び怪獣映画をテーマにしたコンベンシ
ョンで、今年で16回目になります。日本のファ
ンにも、結構知られたイベントですよね。


Kyleさんがインタビューしたのは、G-Festを
主催している雑誌G-Fanの発行人であるJ. D.
Lees氏、日本からのゲストである佐原健二氏、
イベントの常連ゲスト・スタッフであり、「ゴジラ
vsキングギドラ」(91年)で、アンドロイドのM-11
を演じていた、ロバート・スコット・フィールド氏、
その他会場に詰めかけていた、色々な世代の
ファンの人達ですね。現在進行形での、アメリカ
の怪獣映画ファンの声がたくさん聞けます。


フィールド氏が語っていたんですけど、「ゴジラ
vsキングギドラ」に出演した時の苦労のひとつ
は、自分はずっと大阪でDJをしていたので、日
本語にも関西弁のクセがついてしまっていた。
でもアンドロイドのM-11が関西弁で喋ってはさ
すがにおかしいので、標準語できっちり喋るよう
に頑張ったことだとか。
また、台本には英語の台詞もいくつかあったの
だけれど、文法的にはメチャクチャだったので、
ネイティブ・スピーカーの立場から、意味が通じる
正しい英語に直す役目を買って出たりもしたそう
ですね。


残念ながら、2004年の「ゴジラ FINAL WARS」
から5年近くも、ゴジラ映画が製作されていないこ
ともあって、アメリカでもさすがに、怪獣映画ファ
ンが減ってきているそうですね。
仮面ライダーもスーパー戦隊シリーズもウルトラマ
ンも新作が作られ続けているのだから、いずれは
「ゴジラ」も復活するでしょうけど、どういう形になる
でしょう。
エピソード1話ではKyleさんも、次のゴジラでは、
着ぐるみとCGIをどう使い分けるべきかという問題
を語ったりもされていました。


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2009年10月19日

北米マンガ売り上げランキング2009年10月中旬期(NYタイムズ・オンラインストア)


ちょっと間が開いてしまいましたが、今日は
北米でのマンガ売り上げについての情報を
久々に。
間が開いた理由は、いつもICv2が掲載して
いる、グラフィック・ノベルの月間売り上げラ
ンキングが、なかなか伝えられなかったから
で、とりあえず今日のところは、The New
York Timesが伝えている最新ランキングと、
各オンラインストアでの動きのみですね。


まず、The New York Timesによる10月
第2週(4〜10日)のmangaベストセラー

(要登録)のTOP10は、


1.「NARUTO」第46巻
2.「ロザリオとバンパイア」第9巻
3.「かりん」第14巻
4.「鋼の錬金術師」第20巻
5.「VAMPIRE KISSES」第3巻
 (Ellen Schreiber, Elisa Kwon and Rem)
6.「スキップ・ビート!」第19巻
7.「ONE PIECE」第22巻
8.「しゅごキャラ!」第7巻
9.「アラクレ」第8巻
10.「よつばと!」第6巻



ですね。
「NARUTO」第46巻の1位は、まあ当然で、
また吸血鬼ものが、TOP5に3作入るという、
アメリカでのジャンル人気傾向を示しています。


相当な数の人が待っていた、「よつばと!」第
6巻は、おそらく出版元のYen Pressの歴史
(まだ2年と少しですが)始まって以来、最高の
ヒット作になっていると思います。
このランキングでの順位は、

9月13日〜19位
・第3位

9月20日〜9月26日
・第3位

9月27日〜10月3日
・第8位

ということで、アニメ化されているわけでもない
作品としては大健闘だと思います。
もちろん、それだけのクオリティを備えた作品な
わけですし、同じ作者さんの「あずまんが大王」
の人気を引き継いだ部分もあるでしょう。
なので、予定されている、Yen Pressからの「あ
ずまんが大王」の再出版も、かなり売れると想像
します。


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引き続いて、北米(アメリカ・カナダ)の各オンラ
インストアにおける、マンガ作品の売り上げラン
キング2009年10月中旬編です。


アメリカ

大手一般書店チェーン

・Borders

1.「NARUTO」第46巻
2.「ロザリオとバンパイア」第9巻
3.「遊戯王R」第1巻
4.「鋼の錬金術師」第20巻
5.「紳士同盟†」第10巻
6.「ONE PIECE」第22巻
7.「スキップ・ビート!」第19巻
8.「かりん」第14巻
9.「VAMPIRE KISSES」第3巻
10.「アラクレ」第8巻
11.「よつばと!」第6巻

・Barnes & Noble

1.「Maximum Ride」第2巻
 (James Patterson)
2.「NARUTO」第46巻
3.「純情ロマンチカ」第1巻
4.「Dark-Hunters」第1巻
 (Sherrilyn Kenyon)
5.「フルーツバスケット」第23巻
6.「Dark Hunger」
 (Christine Feehan)
7.「NARUTO」第45巻
8.「ヴァンパイア騎士」第7巻
9.「Bleach」第28巻
10.「Bleach」第27巻


・Books-A-Million

1.「NARUTO」第46巻
2.「VAMPIRE KISSES」第3巻
3.「NARUTO」第38巻
4.「Bleach」第28巻
5.「フルーツバスケット」第23巻
6.「NARUTO」第33巻
7.「ヴァンパイア騎士」第7巻
8.「フルーツバスケット」第22巻
9.「NARUTO」第36巻
10.「ヴァンパイア騎士」第6巻


オンラインストア

・アメリカAmazon

1.「Maximum Ride」第2巻
2.「Warriors: Ravenpaw's Path」第1巻
 (Erin Hunter, James Barry)
3.「銃夢 LastOrder」第12巻
4.「NARUTO」第46巻
5.「ベルセルク」第31巻
6.「Maximum Ride」第1巻
7.「Darkstalkers Tribute」
8.「Warriors: Tigerstar and Sasha」第3巻
9.「xxxHolic」第14巻
10.「Black Lagoon」第8巻


アニメ・マンガ専門店

・Right Stuf

1.「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE」第24巻
2.「xxxHolic」第15巻
3.「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE」第26巻
4.「鋼の錬金術師」第22巻
5.「魔法先生ネギま!」第25巻
6.「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE」第25巻
7.「桜蘭高校ホスト部」第13巻
8.「鋼の錬金術師」第21巻
9.「さよなら絶望先生」第6巻
10.「xxxHolic」第14巻


・Anime Castle

1.「NARUTO」第46巻
2.「ロザリオとバンパイア」第9巻
3.「Black Lagoon」第8巻
4.「親指からロマンス」第4巻
5.「犬夜叉」第41巻


コミック専門店

・Midtown Comics
(ニューヨーク州ニューヨーク市)

1.「NARUTO」第46巻
2.「GANTZ」第7巻
3.「コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー」
 第2巻
4.「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」
 第2巻
5.「Starcraft Frontline」第4巻
6.「AKIRA」第1巻
7.「ベルセルク」第31巻
8.「PLUTO」第5巻
9.「デトロイト・メタル・シティ」第2巻
10.「ロザリオとバンパイア」第9巻


カナダ

・Bookmanager
(コミック&グラフィックノベル・ランキング)
――カナダ国内の、大手チェーンに属していない
独立書店向けの書籍データ・サイトで、調査対象
はコミック専門店や、大手チェーンを除く、400店
ほど。

1.「NARUTO」第46巻
2.「The Zombie Survival Guide : Recorded
 Attacks」(Max Brooks)
3.「WATCHMAN」(Alan Moore)
4.「ONE PIECE」第22巻
5.「Hobbit Graphic Novel」(Tolkien)
6.「ロザリオとバンパイア」第9巻
7.「ヴァンパイア騎士」第7巻
8.「Bleach」第28巻
9.「フルーツバスケット」第23巻
10.「The Book Of Genesis」(R Crumb)


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という結果ですね。
ほとんどのお店で1位を取っている、「NARUTO」
第46巻が、いま現在北米で最も売れているマンガ
だと判断していいでしょう。
それを追うのが、「ロザリオとバンパイア」第9巻
ですか。


今回興味深いのが、ニューヨークのコミック専門店
Midtown Comicsのランキングですね。
「NARUTO」の1位はともかく、その他のラインナッ
プは様々な感じで面白いです。コミックファンとアニ
メファンが入り混じってるみたいな?
あ、例によってRight Stufは、Del Rey作品の全
品33%引きセールス中なので、こういう偏ったラン
キングになっています。「さよなら絶望先生」第6巻
なんて、2010年4月発売予定なんですが(笑)。


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2009年10月14日

ANIME 3000ポッドキャスト最新回のテーマは「アメリカのマンガ業界」


アメリカのアニメ/マンガ/ゲームの情報・レ
ビューサイトAnime 3000が定期的に配信
しているポッドキャストの最新回である、
シーズン2・エピソード6(10月9日配信開始)
は、"Manga Industry"というタイトルが示
すように、アメリカのマンガ業界・出版状況に
興味がある方には、必聴の内容だと思います。


サイトのオーナーである、フロリダ在住の
Sean Russellさんがホストを務めているこの
ポッドキャストの今回のゲストは、Vertical
Inc.(公式サイト)のマーケティング・ディレク
ターであるEd Chavezさん、TOKYOPOP
(公式サイト)のシニア・エディターである
Lillian Diaz-Przybylさん、そして昨日も記
事をご紹介した、お馴染みManga:about.com
のDeb Aokiさん。
当然のことながら事情について詳しいお三方
によって、アメリカのマンガ出版における、流
通・マーケティング・プロモーション・市場開拓
といった、ビジネスに関わるお話が、1時間た
っぷり聴けます。


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まず最初に語られたのが、同じマンガを扱って
いる出版社であっても異なる、TOKYOPOPと
Verticalの主な流通経路です。
前提として、返品の出来る一般書店では、ここ
2年程返本率の上昇が問題となっており、返本
の出来ないコミック専門店でも、コミックと比較
して単価の高いマンガはリスキーだとも思われ、
仕入れにも慎重になっている、という全体状況が
説明されました。


TOKYOPOPの商品の50%以上が売れている
のは、大手の一般書店チェーンであり、Amazon
などのオンラインストアでの売り上げは小さなも
のだとか。
その理由をLillianさんは、TOKYOPOPの出版
しているマンガを読んでいるのは、主にまだクレ
ジット・カードを使えない10代の子供達であり、
親のカードを頼ったりしない限りは、オンライン
ストアを積極的に使うことはないからでは、と解
説します。


一方のEdさんによると、Verticalの場合は、
全く逆とまではいかなくても大きく状況が異
なっていて、Amazonでの売り上げは、とても
大きいそうです。一般書店での扱いは少なく、
Diamond Comic Distributorsを通したコ
ミック専門店の方が大きい。
Amazonでの扱いが大きい理由としては、
Verticalの書籍は小説やパズル・ゲームなど
も含めて購読者の年齢層が高く、クレジット・
カードの所有者が多いこと、オムニバス版(日
本版の単行本数冊分を一冊にまとめたもの)
での出版が多いマンガの場合は単価も高く、
一般書店よりは値引率のいい、Amazonを利
用したがるのではないか、とEdさんは考えてい
るそうです。


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続いてはマーケティング。
Lillianさんによれば、正規商品が発売・出版
される前に、ファンサブやスキャンレーション
によってファンダムが構築されてしまっている
アメリカでは、企業や商業広告に対する反感
や抵抗も強く、マーケティングするには、とても
難しい対象だとのことですね。
ファンから搾取していると糾弾されるほどの大
儲けをしているわけでもない、「ほとんどのマ
ンガ出版社の規模の小ささを見れば、アンチ
企業活動なんて、的外れだと理解出来そうな
ものだけれど」というコメントを溜息まじりにさ
れていました。


マーケティングの難しさということで、具体的
に例に出されていたのが、TOKYOPOPの
「学園アリス」(樋口橘)ですね。
ご存知のようにTOKYOPOPの圧倒的な稼ぎ
頭は「フルーツバスケット」(高屋奈月)でした
が、日本では2006年に既に完結しています。
アメリカでは、単行本の出版間隔を広げるな
どの努力も費やしていましたけど、どうやって
も今年2009年には、最終巻である第23巻を
出版しなくてはならなくなり、「フルバ」の穴を
埋めるヒット作が求められていました。
そこで白羽の矢が立てられたのが、「学園アリ
ス」だったんですね。アメリカでの英語版出版
前にも、ポスト「フルバ」として期待する声を、
コンベンションのTOKYOPOPのパネルでよく
目にしましたし(実際に行ったわけではないので、
レポートされている発言を読んだ、わけです)、
プロモーションなども大々的に行われていたよ
うです。


なので、出版開始後は、各種の売り上げランキ
ングも注視していたんですが、まったく売れて
いないというわけではないにしても、とても「フ
ルバ」の地位には届きそうにもない順位でしか、
その姿を見なかったんですね。「フルバ」は新刊
が常に1位を獲得していましたけど、「学園アリ
ス」の場合は、トップ10入りしたようなことは、
まったくなかったと思います。
英語版「学園アリス」は、現在第9巻まで出版
されているのですが、悪い売り上げではないけ
れど、マーケティングに投じた費用に見合う結
果ではなかったという失望を、Lillianさんは、
今回はっきりと認めています。日本側(白泉社)
の期待も満たせなかったと。
「フルバ」クラスのヒットになれば、日本側への
ロイヤリティも大きいでしょうし、当然の期待だ
ったろうとは思います。


逆に、マーケティングにはそれほど力を注がな
かったにもかかわらず、意外な今年のヒット作
となってTOKYOPOPを驚かせたのが、「ブラッ
ディKISS」(古都和子)です。
ニューヨーク・タイムズのマンガベストセラー
ランキングにも、複数回ランクインしていまし
たよね。
考えてみれば吸血鬼ものというジャンルは、
「かりん」「ヴァンパイア騎士」「ロザリオとバン
パイア」といった作品が現在進行形で大ヒット
中であることからもわかるように、アメリカでは
売れ筋なのですから、同じ吸血鬼ものの「ブラッ
ディKISS」が売れても、おかしくはないわけです。
マーケティングが少なかった分、口コミでその
人気が広められたのだろう、というのがDebさん
の推測ですね。


個人的な見解を述べると、「フルバ」の後釜とし
ての「学園アリス」が受け入れられなかったのは、
やはり高校生主人公の「フルバ」から、小学生
主人公の「学園アリス」に、そのままの読者層
が移行することはなかった、ということかもと想
像します。
「学園アリス」も、これはこれで可愛らしい作品
ですけど、小学生の子供のお話ということで、一
度「フルバ」の大人びた洗練を経験してしまった
人には、ちょっと無邪気過ぎるかな、と。
今年6月からやっと始まった、アニメ版の正規
リリース(公式サイト)が、いい意味で影響する
可能性は……どうでしょう。


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長くなってきたので以降は端折りますが、
その他語られたのは、

・アニメとのタイアップ、クロス・プロモーション
・アニメコンベンションでの企業ブースに必要な
 予算とその効果
・新規マンガ読者の開拓(アニメファンの取り込み)
・日米同時出版・配信の未来

などで、続いてファンから寄せられた質問として、

・学校図書館との関係を活用しているか
・スキャンレーションはすぐにネットに流れる
 のに、どうして正規の翻訳出版には、いつも
 時間が長くかかってしまうのか
・TOKYOPOPは、何故OEL Manga(非日本人
 作家による作品)をプッシュしているか
・TOKYOPOPが紙媒体での出版を打ち切った
 作品が、オンライン配信で復活する可能性は
 あるか
・どうしてアメリカのマンガ出版社は、もっと広告
 を出して宣伝しないのか
・翻訳の際の基準のようなものはあるのか

などに、丁寧に答えられていました。


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そうそう、マンガではないんですが、アニメ関連
で、ひとつだけ追記です。
Edさんが、日米での同時出版・配信の話題の時
に少しだけ言及したんですけど、日・米・韓でほと
んど同時放送された、「黒神 The Animation」
(日本公式サイト)という作品についてです。
今ネットで盛んになってきた同時配信で流されて
いるのは、ほとんどみな、オリジナルの日本語音
声に、字幕を重ねたものですが、この「黒神」に
ついては、各国語での吹替版が放送されたんで
すね。
で、Edさんによると、アメリカ側でプロデュースし
たBANDAI ENTERTAINMENTに台本が届け
られるのは、日本でのアフレコ収録が終了した直
後だったんだそうですね。今はネットで送れます
から、文字通り直後なんでしょうけれど。


この送られてくる台本が、日本語のままなのか、
それとも英語に翻訳されているものかはわかり
ませんけれど、仮に後者だとしても、翻訳をその
まま英語吹替には使えませんよね。
何故なら、そのままでは、キャラクターの口パク
に合いませんから。
ADR(additional dialogue recording)に
おいて最も難しい作業のひとつが、この口パク
に合わせて、あらためて台詞を調整することです。
オリジナルの意味から外れ過ぎてはいけないし、
かといって、英語のセンテンスとして、不自然な
切り方になってもいけない。日本語の台詞の長
さと同じ長さで、同じ意味の英語表現が常に見
つかればいいですけど、語学の神様はそんなに
寛容じゃありません。
日本でアフレコが行われるのは……早くても放
送の数週間前でしょうか? それから台本が送
られてきて、必要なら翻訳し、口パクのタイミン
グに合わせて台詞を考案・調整し、そしてキャ
ストを集めて収録し、という作業を毎週続ける
わけです。Edさんが「クレイジー」と言うのもわ
かります。


あ、アメリカのアニメ吹替においては、合理化
もあって、各キャストが個別に、複数話分をま
とめて収録していくのですけど、この「黒神」の
場合は、きっと日本方式の、1話ごとにキャスト
が全員集まるものですよね。そういう点でも、
コストが高くついたと思います。
今後、この吹替版による世界同時配信が普及
するかどうかはわかりませんが、正直、かなり
無理がありそうですね……。


posted by mikikazu at 09:34 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月13日

アメリカ・VIZ Mediaがオリジナル・コミック企画の募集を再開


というわけで、帰ってきました。
帰省していた、高知県の実家にはネット環境
がないので、色々ニュースが溜まっているよ
うですね。
ぼちぼち片付けていくとして、まず目についた
のが、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置く
VIZ Media(公式サイト)が、オリジナル・コミッ
ク企画の募集プログラムを再開した、という話
です。
この企画は、2008年に一度立ち上げられて
いたんですが(参考・ICv2 2008年7月14日
付け記事
)、2009年2月に行われたリストラで、
そのオリジナル・コミック部門担当副社長の
Marc Weidenbaum氏が退社したことにより、
どうなったんだろうと、ずっと懸念されていまし
た。幸いにして、再開の運びとなったようですね。


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再開の証拠となったのは、VIZ公式サイト内に
用意された、提出ガイドライン文書なんですが、
目を通しても、提出する企画の扱いについての
取り決めや提出者の資格などが述べられてい
るだけで、プログラムに参加したいと思う人達が
一番知りたがっている、作品はどのような形で
いつ発表・出版されるのか、どのような作品が
求められているのか、ということについては言
及がありません。
そこで、Manga:about.comのDeb Aokiさん、
Anime ViceのGia Manryさんがそれぞれ、
VIZ Mediaのシニア・エディターであるEric
Searlemanさんにインタビューを行い(Aokiさん
はメール経由)、その辺の詳細を訊ねています。


Manga:about.com 2009年10月9日付け記事
"Q&A: VIZ Media Talks About Relaunch
of Original Comics / Manga"

Anime Vice 2009年10月9日付け記事
"VIZ Talks Original Submissions"


当然、答えは両者で重なるんですが、まず応募
された作品の発表形態については、
・「あらゆる形を検討している」
発表時期については、
・「企画を立ち上げたばかりなので、まだ答えら
る段階ではない」
求めている作品のジャンル・種類については、
・「マンガに限らない、多様なクリエイター達に
よる広い範囲のコミック」「優れたコミック」
ということで、まあ正直、なにも具体的になって
はいない、という感じですね。
逆に言えば、優れたコミックであるなら、なにを
描いてもいい、とも受け取れます。


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興味深いのは、VIZ Mediaは日本製マンガ・ア
ニメの出版・流通会社なのに、この募集企画が、
「マンガ」ではなく、「コミック」を謳っている点で
すね。
「マンガ、あるいはマンガのように見えるだけの
ものを求めているのではないのです。誰にも、
どのような形でも、制限を設けたくはありません。
私達はただ、良いコミック作品を探しているので
す。それだけなんです」
というのが、その点についての、Searlemanさん
の説明ですね。


これは、講談社が開催している「モーニング国際
新人漫画賞」(公式サイト)の英語名称が、第1〜
3回の
「Morning International Manga Competition」
から、
「Morning International Comic Competition」
へと、今年の第4回から変更された理由(の想像)
と同じではないかと思います。
つまり、企画に「マンガ Manga」と冠してしまうと、
一生懸命にマンガ・スタイルを模倣しただけの
作品ばかりが集まってしまう危惧があるのでは
ないか、ということですね。
なにが「マンガ」で、なにが「コミック」かというと、
線引きは曖昧になるでしょうけれど、「Mangaを
募集しているのだから、マンガ・スタイルで描か
なくてはならない」という制約を与えず、もっと
自由な創造性の展開を期待しているのでしょう。


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もうひとつのポイントは、この募集は完成作品を
求めているのではなく、あくまで粗筋と、完成さ
せた原稿を3ページ、それにキャラクター・デザイ
ン集といった、「企画」を求めていることですね。
日本のマンガ・コンテストや原稿持ち込みの場
合だと、とりあえず最初は全ページを最後まで
仕上げた、完成原稿を提出するのが普通だと
思います。
ところが、このVIZのオリジナル・コミック・プログ
ラムは、そういった企画だけで採用を検討し、
あとは実制作の初期段階から、編集者による綿
密な指導・打ち合わせを重ねていく方針になって
います。
日本のマンガを、世界のマンガ・コミックと比較し
た時の最大の違いは、編集者が深く関わった、
その制作システムにあるとは、よく指摘されるこ
とですけれど、その「日本的システム」(と断言出
来るほどには、実は僕個人も世界のコミック制作
現場全てに詳しいわけではありませんが)を取り
入れてみようということですか。


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この件に関しては、例によってアダルトマンガ
専門出版社であるIcarus PublishingのSimon
Jonesさんがコメントを寄せていて(10月8日
付け記事
 10月10日付け記事)、描けるテー
マは限られてくるだろうけれど、「バットマン」の
倍の読者数の目に触れる、英語版SHONEN
JUMP誌(公式サイト)を活用すべきだと語って
います。
確かに、SHONEN JUMP誌は日本版「少年
ジャンプ」より、ずっと対象年齢層は低いので、
いわゆる「濃い」「とんがった」作品は載せづら
いかもしれませんが、それでも大きな利用価
値がある、ということです。


個人的には、SHONEN JUMP誌来年5月号へ
の掲載が予定されている(単行本は8月から)、
英語版「バクマン。」と合わせて展開したら、
このオリジナル・コミック企画も面白くなるかも、
と思ったりしています。
マンガ家2人組が主人公であり、ジャンプ編
集部が大きな舞台となっているこの作品によ
って、ジャンプのマンガ・コンテストにも、若い
人による応募が増えたと聞きますが、同じこ
とはアメリカでも起きるかもしれません。
そういう人達が目指せる夢というか、具体的
な目標を、他でもないSHONEN JUMPが提
示出来たら、色々盛り上がりそうですものね。
今後の展開に注目です。


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2009年10月04日

アメリカで初代「ゴジラ」(1954年)ブルーレイの売り上げが好調(初登場第19位)


アニメ・マンガ関連のというわけではありま
せんけど、日本発のポップカルチャーの代
表作・アイコンであるのは間違いないので。


9月22日に、Classic Media社(公式サイト
ゴジラ特集サイト)からリリースされた、 1954
年製作の第1作「ゴジラ」(監督・本多猪四郎)
の、ブルーレイの売り上げが好調のようです。
Home Media Magazineが掲載している、
アメリカでのブルーレイ売り上げ週間ランキ
ングの、9月第4週(〜27日)分をみると、
第19位に同週発売の「Gojira」のタイトルが
あるのがわかります。
日本の発売が9月18日でしたから、ほぼ日米
同時発売だったんですね。


やはりというかアメリカでも、初代のゴジラに思
い入れがある人が、今でも相当にいるのかと
――? 「ウルトラマン」のDVDも売れていまし
たしね。チャイヨー版だったので、あまり意味は
ありませんけど。
でも、日本版ブルーレイの価格は、参考価格
5985円、売価4218円(日本アマゾン)、アメリカ
(Amazon)だと定価29.95ドル(約2690円)、
売価17.99ドル(約1615円)です。
アメリカ版なら半額以下ですので、リージョン・
コードがない日米のブルーレイなら、アメリカ版
で買った日本のファンも相当にいるのでは、
とも想像したりで?


ついでに言うと、Classic Media版DVD「ゴジラ」
は、オリジナル版だけでなく、レイモンド・バー
出演シーンを加えて再編集した、英語版「怪獣
王ゴジラ」(56年)も合わせて収録された二枚組
バージョンで、Amazonでは定価21.98ドル(約
1973円、売価11.99ドル(約1076円)の、かなり
お買い得なパッケージになっています。
日本だと、オリジナル版だけのDVDが、売価
3825円(アマゾン)ですね。


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以下はトリビア的なことです。
このClassic Media版初代「ゴジラ」なんですが、
DVDとブルーレイ合わせて、英語での綴りは
「Gojira」になっているんですね。
ご存知のように、そして他ならぬ公式ページ
のURLがそうであるように、これまでの海外
でのゴジラの綴りは、ずっと「Godzilla」でした。
「名前の中に"god"が入っている怪獣が弱い
わけがない」なんて、よく言われていたと思い
ます。
それが今回「Gojira」にされているのは、より
日本語の発音に正確な表記にしたい、という
ことなんでしょうか。少なくとも、東宝の許可は
得ているだろうと想像します。


それはともかく、この変更で困る人達がいる
かもしれません。
知っている人も多いでしょうけど、フランス
のデス・メタルバンドに、同じ「Gojira」という
グループがいるんですね(公式サイト)。
Wikipediaによると、この人達はそもそも、
オリジナルそのままの「Godzilla」というバ
ンド名で活動していたんですが、やはり権利
問題が発生して、ローマ字綴りの「Gojira」に
バンド名を変更したそうなんです。
でも、今度は本家の映画の方も「Gojira」にさ
れてしまったら、また権利問題で揉めてしまっ
たりとか、ちょっと心配になったり?


posted by mikikazu at 12:28 | TrackBack(1) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月01日

30年近い歴史を誇るアニメクラブ「フィラデルフィア・アニメーション・ソサエティ」メンバー・インタビュー


同じ、アメリカのアニメクラブ絡みで、先に
小ネタを。
アメリカ・ミネソタ州立大学が発行している
大学新聞Minnesota State University
Reporter
の電子版が、9月29日付けで掲載
していた記事、

"Japanese animation fan group turns
campus into your parent's basement"


は、同大学のアニメクラブThe Society for
the Appreciation of Japanese Animation
and Culture ―― SAJAC(公式ブログ)の
活動を伝えるものでした。


記事自体はよくあるものですけど、その中で
気づいたのが、

「全員の用意が出来たら、クラブは現在視聴
している作品から、まず2エピソードを見て、
小休止とディスカッションをはさんだ後に、
また次の2エピソードを見ることになっている。
上映許可を得るのが難しいとされる劇場作品
については、見るのはまれだ」

という記述ですね。
ということは逆に、テレビシリーズ、あるいは
OVA作品については、アメリカで権利を保有
している会社さんから、ちゃんと上映許可を
もらって、上映してるんだなって。
日本でも同じですけど、アメリカでも公共の場
所で、正規の作品を上映するには、その作品
の権利を保有している会社から、上映の許可
を得る必要があります。
ところが、アメリカの大学のアニメクラブなど
では、メンバーが百人超えの大きな規模のと
ころでも、正規にリリースされていないファン
サブを、クラブ活動の中で、平気で上映してい
るところが、けっこう多いんです。


もし例えば日本の大学の映画研究会で、大
学の敷地内の設備でクラブの活動の一環とし
て、日本でまだ公開・放送されていないアメリ
カの作品に、勝手に日本語字幕を付けたもの
の上映会を行ったりしたら、きっと大問題にな
りますよね。
ところがアメリカだと、アニメ作品に関しては、
そういうことが普通に行われている。
おそらく、大学・高校のクラブが行うような、
非営利の小規模上映会ならば、アメリカのア
ニメ会社だって、普通に許可してくれる筈だと
聞いています。少し前ですが、Anime News
Network
の質問コーナーである"Hey, Answerman!"
で、アニメクラブでの上映についての質問を
読んだ記憶があります。先代Answermanの、
Zacさんの頃でしたけど。


映画作品についての上映許可を得るのが難
しい理由については、それぞれの会社で違う
かもしれないので、よくわかりませんが、
きちんとそういった上映ルールを守っているク
ラブは、応援したいと思います。
現在SAJACが上映している作品は、「Black
Cat」「灼眼のシャナ」 (共にFUNimation)
になりますね。


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というわけで、やっと本題。
フロリダ発のポッドキャストAnime World
Order
が9月30日付けで配信していたのが、

"Bonus - Interview With the 'Old Timers
of Anime,' Otakon 2009"


というエピソード。
これは、アメリカ・フィラデルフィア州で、
1982年9月に設立、といいますから、実に
30年近い活動歴史を誇る、たぶんアメリカ
でも最古のひとつであるアニメクラブ
Philadelphia Animation Societyの古参
メンバーのお三方に、今年のOtakonでイン
タビューしたものですね。
去年のOtakonでも、同じ方々にインタビュー
はしていて、その好評を受けての第2弾とい
うことになります(参考・当ブログ2008年10月
1日付け記事
)。


80年代初頭の、アメリカでのアニメファンダ
ム黎明期のお話は、いつ聞いても興味深い
です。
民用のビデオデッキ(もちろんベータ)が、やっ
と出回り始めたというだけではなく、「鉄腕ア
トム」「鉄人28号」の、16ミリ上映用プリント
フィルムがあったとか、なかったとかいう頃の
話ですから。
クラブの一番最初の上映会で見た日本の作
品は、「キャプテン・フューチャー」「サイボーグ
009」「流星人間ゾーン」などだったそうです
から、時代がわかります。



インタビューの中で、そういったネットも独自
のコンベンションもなかった当時と、今のア
ニメファンダムを比較した、印象的なコメン
トがあったんですね。
いわく――、


「パネルで、僕達がクラブを始めた頃と、
今のファンダムでは、どこが違うのかって
いう質問をされたんだけど、一番違うのは、
『アクセス』だね。
今は、誰とも直接話す必要なんてないよね。
すぐにネットに接続するだけでいい。ただタ
イプするだけで、誰とも顔を合わせる必要
もない。欲しいものを手に入れるのに、友達
を作る必要さえないんだ。今のファンダムから
は、何かが失われてしまっているように思え
るよ。
まあこういうコンベンションでなら、お互いに
話も出来るけど」
「今のファンダムで奇妙なことは、インター
ネットのおかげで、あらゆる趣味のクラブが
潰れかかっているってことだね。もう、直接
クラブのミーティングに足を運んだりしなくて
も、ネットで何でも手に入るんだから」


というコメントです。
かつてのアニメファンダムで一番大切だった
のは、自分あるいは自分達が持っていない
ような作品・資料を保有している、他のファ
ン達とのコネクションであり、そういった関
係を築くためのコミュニケーション能力だっ
たわけですが、ネットがある今では、そういっ
た人間関係がなくても、一人でいくらでもア
ニメを楽しめるようになってしまった。
アニメに関わるものが入手困難だった時代に
苦楽を共にした友人達と、今でもクラブで友
人としての関係を保っている方達にとっては、
便利な一方で、自分達のような親密な人間
関係を築けない、今のファンダムには、寂し
さを感じたりもするようです。
30年近くも、Philadelphia Animation
Societyが続いてる理由を訊かれて、力強く
答えたのが、「Friendship!」でした。
ただもちろん、ネットでの色々なコミュニティ
やアニメコンベンションのようなイベントで、
関係を築ける手段が増えたのも確かですか
ら、人間関係の種類の違い、とはいえるかも
しれません。


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インタビューの中では、僕程度の人間ではつ
いていけない濃い話も多くて、そういう意味で
は驚きと楽しさもいっぱいです。
例えば、お気に入りのアニメソングを訊かれて、
次々に挙げられたのが――、


「スペースコブラ」OP/ED(1982〜1983)
「超時空世紀オーガス」OP/ED(1983〜1984)
「超時空騎団サザンクロス」OP/ED(1984)
「サイボーグ009」OP/ED(1968年)
「サイボーグ009」OP/ED(1979年)
「死ね死ね団のテーマ」
 (愛の戦士レインボーマン挿入歌 1972〜73年)
「超電磁ロボ コン・バトラーV」OP(1976〜77年)
「孤独の旅路」
(サイコアーマー ゴーバリアンOP 1983年)
「重戦機エルガイム」OP (1984〜85年)
「宇宙戦艦ヤマト」OP(1974年)
「戦国魔神ゴーショーグン」OP(1981年)
「FIGHTING ON」
(亜空大作戦スラングル2ndOP 1983〜84年)
「行け! 行け! メガロマン」
(炎の超人メガロマンOP 1979年)
「エリア88」OP(1985年)
「戦闘メカザブングル」OP(1982〜1983年)
「銀河漂流バイファム」OP(1983〜84年)
「ゴールドライタン」OP(1982〜1983年)


などでした。
皆さんが、アニメにはまった時期というのが
特定出来ると思います。
あ、ネットもファンサブもない時代に、どうして
こんなにたくさんの日本アニメを見られたかと
いう理由ですが、当時フィラデルフィアには、
ある日本人留学生がずっと滞在されていて、
大変なアニメファンである彼のために、日本
にいる家族の方が、アニメを録画したビデオ
テープを、定期的にずっとフィラデルフィアに
送り続けてくれていたそうなんですね。
有名人だったというその人と一緒に、たくさん
のアニメ作品を経験出来たというのが、当時
のフィラデルフィアのアニメファンにとっての
幸運だったそうです。今は何をされているん
でしょうね……。


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2009年09月30日

ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― 北米のアニメ・マンガ業界人によるディスカッション編


集中してお伝えしてきた、ニューヨーク・ア
ニメ・フェスティバル(公式サイト)の話題も、
とりあえず今日で一区切りにしたいと思い
ます。だいたい、主なニュースは伝えられ
たと思いますし。
あ、日本からの大物ゲストである、アイドル・
グループAKB48さんについては、実は今ま
でに1曲も、その歌を耳にしたことがないく
らいに知識がないので、申し訳ないけどスル
ーですね。訪米を待ち望んでいた人は、もち
ろんみんな大喜びだったみたいですけど。


NYAF運営側からのリアルタイム告知も含め
て、イベントの雰囲気がよくわかったソース
のひとつがTwitterで、例えばThe Anime
Almanac
のScott VonSchillingさんが、
有名ジャーナリスト・業界人・ブロガーさんに
よる呟きを、開催前日から、それぞれの日で
時系列順にまとめてくれているので、読んで
楽しかったです。
エリカ・フリードマンさんがDeb Aokiさんと
たまたま会って、アニメ/マンガ・ジャーナリ
ズムについての楽しい会話が弾んだ、なんて
いう報告は、ぜひその内容を知りたいですね。
ああ、あとScottさんも、AKB48のパフォーマ
ンスが見られて、「もうこれで死んでもいい」
くらいに感動されたそうです。日本に住んじゃ
いましょう、Scottさん。


残念ながら、という声が多かったのは、他でも
ない現地ニューヨークの会社である、Yen Press
(公式サイト)が、パネルでもブースでも参加
していなかったことみたいです。
出版人であるKurt Hasslerさんは、会場に
顔を見せていたようですけど。
ADVからYen Pressに移って出版が再開され、
セールス的にも絶好調な「よつばと!」のお話
なんかを、聞きたかった人はたくさんいたでしょ
うね。


そうして結局、今年のNYAFの入場者者数は、
2万1388人ということで、昨年の1万8399人
から、さらに16%の増加率ということですね。

MediumAtLarge.net 9月27日付け記事
"21,388 – NYAF By The Numbers"

昨年の前年比24%増加に続いて、不況をもの
ともせず、二ケタ成長が続いているのはスゴい
ことだろうと思います。
アニメコンベンションに参加する人を、アニメ・
マンガのファンと称していいのなら、アメリカ
でアニメ・マンガのファンは増え続けている、
人気は高まり続けているということの、証明の
ひとつとしていいでしょうね。


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で、今日の本題というわけで、そうやってコン
ベンションの参加者数は増え続けている、アニ
メ・マンガのファン層はアメリカで着実に構築
されつつある――のに、アニメDVDは売れない、
という溜息と困惑が伝えられていたのが、NYAF
2日目・9月26日土曜日の午後1時半から行わ
れたパネル、"State of the Anime & Manga
Industries"です。
これはタイトルそのままに、北米のアニメ・マン
ガ・ビジネスの当事者さん達が集って、市場の
現状を語り合うものですね。
参加者は――、

Adam Sheehan
(FUNimation シニア・イベント・マネージャー)

Keven Mckeever
(Harmony Gold マーケティング・コーディネーター)

Robert Napton
(BANDAI ENTERTAINMENT
 マーケティング・ディレクター兼マンガ部門
 エディター)

Ali Kokmen
(DEL REY マーケティング・マネージャー)

Ed Chavez
(Vertical マーケティング・ディレクター)

司会進行・Chris Mcdonald
(Anime News Network編集長)


といった方々でした。
アニメとマンガ業界からそれぞれ2人ずつと、
両方関わっている方がお1人、という構成で
すね。コンベンションでの業界パネルなんか
でも、お馴染みの方が多いと思います。
約1時間にわたって行われたこのディスカッ
ションの詳細については、Mania.comフォー
ラム
経由で知った、こちらで報告されていた
ので、ざっと目を通してみました。
直訳は無理ですが、北米のアニメ・マンガ業
界の現状がわかるような、目立つ意見の要
旨を、いくつか抜き出してみたいと思います。


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「アニメに限らない、DVD市場全体を見てみ
ると、不況や、他のメディアの登場と浸透に
より、ここ数年の下降傾向があり、アニメに
限定しても、DVDによるセールスが苦戦して
いるのは明らかだ。ずっと広く続いてしまっ
ている違法ダウンロードが大きな問題だと語
る最初の人間に、私がならなくてはいけない
ようだね」(Napton)


「アニメ・マンガのファン層は安定して育ちつ
つある。ただ、それがアニメDVDのセールス
には反映されていないんだ。マンガの方は、
当社(BANDAI)の商品については少なくとも、
好調ではあるけれど」(Napton)


「うち(Vertical)は、マンガ以外の書籍の方
を多く出版しているし、アニメについては全く。
けれど昨年度の業績は35%の伸びで、これ
は経済状況を考えるとスゴいことだった」
「だから全体的な、アジアン・カルチャーへの
関心は高まり続けていると思う」(Chavez)


「スキャンレーションやファンサブの問題が
ある」(Chavez)
「それについてはよく知らない」(Kokmen)


「アニメDVDの売り方は、単巻から13話入りの
BOXセットが主流になり、購買者も小売店もそ
れを望んでいるのだから、我々もそのトレンド
に素早く合わせなければならない」
「そのためには販売スケジュールや価格設定、
ライセンス料についても、これまでとは違うやり
方が必要」
(Sheehan)


「しかし日本では、いまだにDVD1巻に2話
しか収録していないDVDが売れているので、
権利者にBOXセットでの販売を納得させるの
はなかなかに難しい」(Napton)


「マンガのセールスがアニメほど落ち込んで
いないのは、やはりまだ、マンガは実際の印
刷物を手にして読みたい人が多いからではな
いか」
「DVDについては、大手の小売チェーンが多く
撤退してしまったが、マンガについては、まだ
それは起きていない」(Napton)


「北米のマンガ市場は、アニメのそれと比較
するとまだ歴史が浅く、飽和点に達しつつあ
るとしても、まだまだ多くの可能性を秘めて
いるのではないか」(Chavez)


「ネットでの同時配信は、間違いなく今後も
続いていくトレンドであり、全ての会社が、
日本で放送されたのと同時に見たいというフ
ァンの希望をかなえるために努力をしている」
「しかしながら、今のところそれによって十分
な利益を得られているところはない」
「どこも、同時配信から利益を得る方法を模
索している」
「とはいえ、合法的に作品を視聴出来る方法
を用意しておくことは、とても重要」
(Napton)


「制作委員会方式が主流な現在では、権利者
全員の合意を得るにも時間がかかり過ぎるの
で、同時配信を可能にするためには、日本の
側の革新も必要」(Sheehan)


「作者が完成させた原稿を、そのまま印刷所
に運ぶような、ギリギリのスケジュールで作ら
れている連載マンガの場合は、日本と海外で
の同時出版・配信は難しいと思う」
「ネット配信のプロモーション効果も確かにあっ
て、日本ではモーニング2がネットでの無料配
信を始めたら、実際の雑誌の売り上げも伸びた。
まあ、そもそもそんなに売れていなかった雑誌
ではあるけれど」(Chavez)


「マンガの場合は、デジタル配信を読むため
のデバイスの発達・普及がまず必要だろう」
(Kokmen)


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という辺りになるでしょうか。
今は、DVDからブルーレイ、あるいはネット
配信といった、売り方そのものの過渡期の
中で、色々と各社の模索が続いているのが
わかります。


訳しませんでしたが、個人的な注目点として
は、Ed Chavezさんが、Verticalにマーケ
ティング・ディレクターとして雇われた理由と
して、目の前の会場に集まったアニメ・マン
ガファンを示したことがあります。
最新のマンガ作品を扱っているわけでは
ないVerticalは、アニメ・マンガファン間で
の知名度も高くなかったそうで、彼らに声を
届けるスポークスマンとして、MangaCast
代表として活躍していたEdさんが、まさしく
適任だったわけですね。
多くの北米のマンガファンが、「Edさんが言っ
ていることなら」と耳を傾けてくれるのは事実
ですし。
その人気が、これからもVerticalの手塚治虫
作品や、フェリーぺ・スミスさんの作品のため
に貢献してくれることを期待します。


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2009年09月29日

ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― 牧野由依さんとアメリカ・アニメ声優さんのパネル編


他の国からの情報が溜まりつつあるんです
けど(汗)、もう少しだけニューヨーク・アニメ・
フェスティバル(公式サイト)について続けます。
とりあえず現地では22時間ほど前に、大きな
問題はなく終了したようですね。
Kadokawa Pictures USAの閉鎖(公式サイト
参照 Anime News Network記事)の情報が
もう少し早く広まっていたら、パネルなんかで
も、質問が殺到してたでしょうけど。


週末くらいになれば、参加した東海岸のポッ
ドキャストさん達が、レポートを配信し始めて
くれると思います。
知っているブログさんだと、例えばManga Blog
のBrigid Alversonさんなんかは、9月28日
付け記事
によると、イベント自体は楽しんだ
ものの、会場であるJavits Centerには、

・建物の構造の不便さ
・建物の場所の不便さ
・コンセントなどの基本設備の不足
・食べ物の高さと、飲食店の無さ

などのたくさんの不満を感じたようですね。
「誰かの地下室を広げただけ」とまで言って
おられます(笑)。
次回のNYAFは同じ会場で、ニューヨーク・コ
ミコンと併催されるのですが(2010年10月8〜
10日)、それによる規模の拡大が、問題点を解
決してくれることを、Brigidさんは祈っています。


また、お馴染みYuricon代表のエリカ・フリード
マンさんも足を運ばれていて、Yuriconあるい
はその出版部門であるALC Publishingと
して、ブースやパネルを構えたりはしなかった
んですが、楽しい時を過ごされたようです
(個人ブログOkazu9月26日付け記事)。


エリカさんは会場で、複数の業者や業界関係
者さんと会話されたようですが、ここ数ヶ月の
売り上げはやっと上向きになってきたという
答えが多かった、とのことですね。
それは、他ならぬエリカさんの百合作品専門
出版社ALC Publishingでも同じだとのことで、
アメリカの不景気もついに底を打ち、またエン
ターテインメントにも、お金を出してくれるよう
になりつつあるのかもしれません。


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では本題。
NYAFで楽しみにしていたのが、9月14日付け
記事
でも触れましたけど、日本からのゲストで
ある牧野由依さんと、アメリカ側の声優さんと
の意見交換パネルですね。
"Japanese Seiyuu and US Voice Actors"
と題され、9月27日・日曜日の午後1時45分か
ら行われたそのパネルでの、アメリカ側からの
参加者は、

・Veronica Taylorさん
(Ash-日本版の「ポケモン」シリーズ・サトシ)
・Rachael Lilis
(Misty-日本版の同・カスミ)
・Tom Wayland
(ディレクター作品が多数)

といった方々でした。
採録はまだ見つかっていないんですけれど、
Anime News Networkがレポートを掲載し
てくれています。

Anime News Network 9月28日付けレポート
"Japanese Seiyuu & US Voice Actors"


やはりまず話題になったのは、日米での労働
状況の違いで、牧野さんが、典型的な日本の
アニメ吹替収録の場合は、午前10時から午後
9時まで、1時間の休憩を挟んでずっと続くと説
明するのに、アメリカの声優さんは大いに驚か
れたようです。
集団で行う日本と違い、アメリカ側の収録の
場合は、個人個人で行うので、実際に声を出
している時間は異なるでしょうけど。


またアメリカ側だと、「cold read」と称され
ているように、スタジオに来た収録当日に、
初めて台本とアニメの絵を見せられる場合が
ままあるのに対して、日本だと通常数日前には、
リハーサル・ビデオと台本が届くので、事前に
練習を重ねられる、と牧野さんが説明したのも、
大きな違いですね。
それに声優さんが個別で収録していくアメリカ
だと、日本のようには、声優同士でずっと時間
を共に過ごす機会がないし、結局顔を合わせる
こともないことがある、という話を聞いて、「寂し
くなりません?」と、つい牧野さんが質問したり
もしたようです。
あ、Lilisさんの答えは、「お互いに嫌い合って
るから、別に」というものでした。もちろん冗談で(笑)。


その他にも色々な意見交換が行われたようで、
楽しい時間を共に過ごされたようです。
完全版をいつか期待したいですね。


posted by mikikazu at 08:10 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月28日

ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― VIZ Media編


さらに引き続いて、ニューヨーク・アニメ・
フェスティバル(公式サイト)から、今度は
VIZ Media(公式サイト)の情報です。
VIZのパネルは、27日・日曜日の、午後0時
15分からでした。イベントも最終日の午後に
入って、そろそろ寂しい雰囲気になってたり
するでしょうか。


一番大きい話題としては、既にアジア地域の
展開は伝えられていた、「犬夜叉 完結編」が、
北米地域でも、ネット
(http://shonensunday.com/)
で英語字幕版が同時配信されると確認された
ことですね。

参考
・アニメ!アニメ! 2009年9月15日付け記事
「『犬夜叉 完結編』アジア各国で日本と同時
 展開決定」


細かい時間はわかりませんが(数時間後、との
ことです)、北米での配信開始は、日本テレビ
での放送と同じ10月3日からで、僕が住んで
いる大阪・読売テレビでの10月5日よりも早か
ったりします。
もちろん、日本での「少年サンデー」誌の連載
と同時に北米でネット配信されている、高橋留
美子さんの「境界のRINNE」と同様に、日本
からはアクセス出来ない筈です。
今回の放送は深夜枠ということで、日本国内
の放送範囲も、ずっと少なそうですけど、どう
でしょうか。


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新規にライセンスされたマンガ作品は、


「GENTE〜リストランテの人々〜」
 (オノ・ナツメ)
「図書館戦争 LOVE&WAR」
 (原作・有川浩/画・弓きいろ)
―― 2010年6月
「人形宮廷楽団」(由貴香織里)
―― 2010年10月
「神様はじめました」(鈴木ジュリエッタ)
「境界のRINNE」(高橋留美子)
―― 2009年10月に、日本と同時に単行本出版
「トリコ」(島袋光年)
―― 2010年6月
「ボブとゆかいな仲間たち」(パンチョ近藤)
「答えは3つ」(とんだばやし)


となっています。
現在SHONEN JUMPでも連載されている、
スタン・リー原作/武井宏之作画の「機巧童子
ULTIMO」の単行本は、2010年2月の予定とか。
「DEATH NOTE」コンビの作・大場つぐみ/作画
・小畑健による「バクマン。」の単行本は、
ず――っと先の、2010年8月からということ
ですけど、それまで日本での連載が続いてる
かというと?みたいな気もします。


あと、質疑応答で出た興味深い話は、

・「SHOJO BEAT」の休刊は不況のため。雑
 誌か単行本の新刊かの、どちらかを選ばな
 くてはならなかった。
・「NARUTO-疾風伝」のテレビ放送については、
 ディズニーに訊いて。
・ブルーレイへの移行はもちろん考えている。
・「NARUTO-疾風伝」のテレビ放送でカット・
 修正があるかどうかについては、ディズニー
 に訊いて。
・「NARUTO」のゲームについては、ナムコ・
 バンダイに訊いて。
・小説「灼眼のシャナ」についてはノー・コメント
 (噂が出回っているらしい?)
・「Bleach」のゲームについてはセガに訊いて。
・中断された「ヒカルの碁」DVDリリースの再開
 はない。
・Haikasoru(小説部門)の反応は良好。

辺りですね。
VIZなら、「NARUTO」絡みのことは何でも知っ
ている筈だと思われているようで、ちょっと気の
毒かもです(笑)。

posted by mikikazu at 09:00 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― マンガ出版社TOKYOPOP編


今日も引き続き、開催中のニューヨーク・
アニメ・フェスティバル(公式サイト)からの
話題ですね。
まずはマンガ出版社TOKYOPOP(公式サ
イト
)の、スケジュール表には掲載されてい
ませんが、9月25日に行われた筈のパネ
ルから。


新規にライセンスされたマンガ作品は、


「.hack//Link 黄昏の騎士団」
 (画・喜久屋めがね)
「僕が唄うと君は笑うから」(高屋奈月)
―― 2010年5月
「Ratman」(犬威赤彦)
―― 2010年5月
「聖痕のクェイサー」
 (作・吉野弘幸/画・佐藤健悦)
―― 2010年8月

・Blu boys-loveインプリントから
「CROQUIS クロッキー」(高永ひなこ)
―― 2010年
「Blood Honey」(夜桜左京)
―― 2010年
「LOVE KNOT」(一城れもん)
―― 2010年
「かわいい悪魔」(斑目ヒロ)
―― 2010年
「鎖国恋愛」(DUO BRAND)
―― 2010年


というラインナップになっています。
やおい/BLはまだまだ強いでしょうか。


2008年12月に、第4巻が出版されて以降、
続刊がずっと途絶えていた「ARIA」(天野
こずえ)なんですが、約1年ぶりの今年11月
3日に、やっと第5巻が出る予定ではある
ようです。
ただ、「Tactics」「V.B. ローズ」「エレメンタ
ル・ジェレイド」などと同じく、続刊が出るに
はサポートが必要、つまり売れ行き次第で、
シリーズの出版中断もあり得るという話で
すね。
NOZOMI ENTERTAINMENTからリリース
されているアニメ版(公式サイト)については、
第一期「The Animation」と、第二期「The
NATURAL」前・後のBOXセットが、売価37.49
ドル(約3350円)という、徹底した安値戦略も
あって、そこそこ売れているとは思うんです
けど、原作マンガについては、厳しい状況が
(アメリカだけでなく)続いてるみたいで、ファ
ンとしては残念です。


あと、ライトノベルについてなんですが、当然
翻訳量が違うので、出版のコストがマンガの
5倍かかる、という話も出ていました。
マンガと比較して、決して飛び抜けている作
品があるわけでもない、アメリカでの翻訳ラ
イトノベルのセールスを考えると、それがビ
ジネスを難しくしている要因のひとつではあ
るようですね。


posted by mikikazu at 07:57 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月27日

ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― アニプレックス・BANDAI ENTERTAINMENT編


さらにさらにさらに続いて、アニプレックス
(日本公式サイト)とBANDAI ENTERTAINMENT
(公式サイト)編ですね。


9月25日午後5時半からのアニプレックス
のパネルでは、特に新しい発表というものは
なく、
「鋼の錬金術師FMA」
「グイン・サーガ」
劇場版「天元突破グレンラガン 螺巌篇」
「かんなぎ」
「黒執事」
「センコロール」
「空の境界」
などの、既発表作品の予告編上映がメインだ
ったみたいですね。


ただし質疑応答で、後にネットで注目を集め
たのが、今回の「鋼の錬金術師FMA」は全63
話になる、という話ですね。
日本でどう情報が伝わっているのかはよく
知りませんけれど、前作同様に4クールの全
50話くらいと想像していた人は、結構驚いて
いるようです。
また、日本で「FMA」の視聴率が芳しくない理
由については、今の世代の視聴者は、テレビ
放送を生で見なくなっているから……とも答え
ています。テレビを見るスタイルの変化が影
響しているのだろう、ということですね。


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翌26日の午後0時15分からは、BANDAI
ENTERTAINMENTのパネルでした。
開口いきなりで、「不況の影響で、新規作品
の発表はありません」と宣言したようです。
人気作の筈の「コードギアスR2」や「ガンダム
00」セカンド・シーズンでも、もう利益が見込
めないので、BOX付きの豪華版でのリリース
は考えていないとか。
ただしFUNimationと同じ判断として、2010
年は、よりブルーレイでのリリースが増えてい
くとのことですね。当然DVDよりは高くなる価
格の設定とか、難しくなりそうですけど。


リリースの時期が明確にされたのは、劇場版
「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっ
ぱい」で、DVD・ブルーレイ共に、2010年1月
28日発売。価格はDVDが定価24.98ドル、ブ
ルーレイが34.98ドルです。
日本版だと、DVDは5040円、リージョン無しの
ブルーレイは6057円ですね。まだブルーレイ
は日米で倍の価格差です。


Q&Aセッションは、ほとんど具体的な答えが
出来ないようなものばかりでしたね。
っていうか、自社作品じゃない、FUNimation
の「ケロロ軍曹」のこととか訊かれても、
BANDAIの人も困るだけです(笑)。
あ、「涼宮ハルヒの憂鬱」第2期については、
「機密事項」だそうです。


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ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― 出版社Vertical編


さらにさらに続いて、今度は出版社Vertical
(公式サイト)からの情報です。
マンガに限らず、小説や料理・クラフト実用
本など、様々なジャンルでの、日本からの翻
訳書を出版している、ニューヨークの出版社
ですね。
Verticalのパネルは、25日午後5時からでした。


そのパネルで発表されたマンガの新規ライセ
ンス作品は、

「ピポチュー」(フェリーぺ・スミス)
―― 2010年7月13日
「ふたつのスピカ」(柳沼行)
「70億の針」(多田乃伸明)
「チーズスイートホーム」(こなみかなた)
―― 2010年6月1日

の4作品ですね。
「ふたつのスピカ」「70億の針」の日本での
出版社はメディアファクトリー、「ピポチュー」
「チーズスイートホーム」は講談社ですけど、
結局講談社のアメリカ直接進出みたいな話は
どうなったんでしょうね。


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それはともかく、やはり注目を集めているの
が、アメリカ人マンガ家フェリーぺ・スミスさ
んの「ピポチュー」が、早くもアメリカに逆輸
入されることですね。
ハリウッドで主役を張ったショー・コスギの
映画が、日本でも公開されるみたいなもの
でしょうか。
関わっている人達も含めて、Verticalなら
安心出来る出版社だと思います。
2010年夏には出版に合わせて、アメリカで
サイン会(サンディエゴ・コミコンで?)も行う
予定だそうです。
それまでに、日本でもベストセラーとかドラ
マ・映画化とかになってたらいいんですけど
……。
あ、それだけ人気だと忙し過ぎて、逆に訪米
なんて無理かもですね。


「ピポチュー」で興味深かったのは、台詞の英
語の翻訳が、フェリーぺさん自身で行われる、
あるいはフェリーぺさんはそもそも英語で台詞
を書いていて、編集者さんが日本語に直す前の、
オリジナルの英語台詞が使われる、という話で
すね。
僕個人は、フェリーぺさんはとても日本語が堪
能だと聞いているので、台詞も最初から日本語
で書いているのかと思っていたんですけど、違
うんでしょうか。
ともあれ、フェリーぺさん自身が、英語版の台詞
を手がけるのなら、間違いはなさそうです。


それとVerticalとしては、「ピポチュー」が連載
されている雑誌「モーニング・ツー」(モーニング
公式サイト
)からは、まだまだ翻訳出版したい
作品があるそうです。
勝手なことを言えば、やはり「聖☆おにいさん」
なんかは、物議をかもすことは承知で、出版し
たら面白いのに、とは思います。


あと、手塚治虫さんの「ブラック・ジャック」の売
り上げは引き続き好調で、全17巻を最後まで
出版出来そうなだけではなく、売り上げが落ち
なければ、さらになんらかの関連出版が追加
出来そう、というのも嬉しいニュースです。
とりあえずは、「ブラック・ジャック」を完結させる
ことが最重要だそうですが、いずれは、さらなる
手塚作品の英訳出版も、続いていくでしょうね。
とても楽しみです。


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ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― アニメ流通会社FUNimation編


さらに続いて、アニメ流通会社の最大手
FUNimationについて。
公式サイトに日本から繋げないのは、な
んとかして欲しいですけど……。

親会社Navarre Corporationのサイト
http://www.navarre.com/nf/


FUNimationのパネルは、25日金曜日の
午後2時半から。企業パネルでは、一番
早いものでしたね。
まず、英語版「鋼の錬金術師FMA」のキャ
スト変更の件については、昨日付けの記事
を参考にしてください。
とりあえず、新作の発表はなかったんです
けど、かつて初期シリーズをTOKYOPOPが
リリースしていた、アニメ版「頭文字D」全5
シリーズと、かつてGeneonが保有していた、
CLAMPさん原作「X」の、劇場版&TVシリー
ズの獲得を発表しています。


「X」(2010年予定)の英語吹替トラックは、
Geneon版そのままですが、「頭文字D」
(2010年予定)の方は、新たに吹替トラック
を制作し、音楽も、オリジナルのものをその
まま使用する、と報じられています。
僕は直接確認したことはないんですけど、
TOKYOPOP版「頭文字D」には、マンガ・アニ
メ共に、色々な改変が施されていて、不評だ
ったとは伝え聞いていますので、それを受け
ての再リリース方針なんでしょうね(英語
Wikipedia
)。


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このFUNimationのパネルでは、2009年の
5月から9月にかけて調べられた、2000人
を対象にした意識調査の結果も伝えられて
いました。
例えば、「英語吹替VS英語字幕」というお題
だと、

主に吹替 ―― 53%
半分くらい ―― 27%
まれに ―― 18%

主に字幕 ―― 28%
半分くらい ―― 36%
まれに ―― 35%

という結果になっていて、調査対象の詳細
は不明ですが、英語吹替でアニメを見る層
の多さがわかります。
この結果も受けてFUNimationでは、他社
で行っているような、英語吹替無しの字幕だ
けのバージョンで、アニメDVDを売ることは
ないと断言(no way in hell)しています。


また、テレビのバージョンはHDとノーマル
がまだ半分ずつである一方で、アメリカ一
般でのブルーレイ普及率が16%なのに対
して、FUNimationの購買層では、PS3も含
めて、既に33%がブルーレイ・プレイヤー
を保有していることも明らかにしています。
つまり、アニメファンに対しては、よりブル
ーレイ・ソフトが売れる可能性があるわけ
で、FUNimationも今後ブルーレイのリリー
スを増やしていく方針だそうです。
アニメのダウンロード販売の売り上げも、
DVDのそれに迫りつつあるとかで、特に好
調な作品としては、「ガラスの艦隊」「一騎
当千」が挙げられています。


あと、質疑応答セッションで出た話題としては、

・今後もオンライン配信される作品が増えて
 いくかどうかは、デジタル権を含む契約内
 容次第。
・「ストライク・ウィッチーズ」のリリース時期は
 未定だが準備中。内容に改変無し。
・実写映画「DRAGONBALL EVOLUTION」
 は見ていないのでノーコメント。←ホントです?
・「クレヨンしんちゃん」作者の事故死は悲しい
 ことだが、アメリカでの配給には影響はない。
 少なくとも、日本側からはまだなんの公式発
 表はない。
・「ONE PIECE」のテレビ放送再開については、
 東映とCartoon Network間の話なので、
 FUNimationにはわからない。
・ディズニーがFUNimationを買収する可能
 性は――? 現在FUNimationは、親会社
 のNavarreにとって優良企業となっている
 ので、有り得なさそう。

くらいが主なところだと思います。

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ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― マンガ出版社Del Rey編


続いてNYAF内イベントから、英語版マンガ
出版社のDel Rey(公式サイト)について。


あ、その前にひとつ動画ですけど、Del Rey
Booksのインプリントとして、2004年の3月
に出版を開始した、Del Reyのマンガ部門は、
とりあえず今年で5周年ということで、25日
の木曜日の、NYAFのプリ・パーティの会場
でも、ケーキ・カットのお祝いイベントが催さ
れたんですね。
「魔法先生ネギま!」などの、Del Reyから
出版されているマンガ単行本をモチーフに
した大きなケーキが作られ、共同発行人の
Dallas Middaughさんが、いざカットしよう
としたら、用意されたナイフでは、あまりに
小さ過ぎる、という感じになったわけです。
そうしたら、「こんなこともあろうかと」(笑)、
マーケティング・マネージャーのAli Kokmen
さんが差し出したものは――!





関連記事
Suvudu9月25日付け記事
"Now THIS is how you cut a cake"


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まず、9月26日午前11時から行われたDel
Reyのパネルで発表された、新規ライセンス
作品は、

・「ココにいるよ!」(遠山えま)
―― 2010年秋 英語題「Here I am」
・「RAVE」(真島ヒロ)
―― 2010年9月 「RAVE MASTER」
・「ARISA」(安藤なつみ)
―― 2010年11月
・「妖界ナビ・ルナ」(作・池田美代子/画・
 菊田みちよ)
―― 2010年5月

の四作品になりますね。
「RAVE MASTER」の英語題になっている
「RAVE」は、これまでTOKYOPOPから出
版されていましたが、講談社との契約解消
により、既に真島ヒロさんの次作「FAIRY
TAIL」を保有している、Del Reyへの移籍
ということになります。
TOKYOPOPでの既刊は第32巻までですけど、
Del Reyからは、全35巻の残り3巻を、一冊
にまとめたバージョンで出版することになりそ
うです。
「Samurai Deeper Kyo」と同じパターンで、
「Kyo」と同じく、既刊分の巻についての扱い
はまだ未定。


また、予期していなかった大ヒット作品にな
ったと、Del Reyも驚いていた「キッチンのお
姫さま」作者の、安藤なつみさんの最新作
「ARISA」への期待も大きいようです。
多くの作品は、第1巻の売り上げは良くても、
それ以降は落ちていくものですが、「キッチン
のお姫さま」については、売り上げは落ちず
に売れ続けたとか。


その他、注目すべきコメントを並べてみると、

・「X-Men: Misfits」「NINJA GIRLS」のセー
 ルスは好調で、共にNYタイムズのベストセラ
 ー・リストに。
・アメリカでのCLAMPの人気を伝える「Clamp in
 America」の出版は予定より遅れて、2010年3
 月に。ただし、理由は内容が予定の倍の、300
 ページを超えるものになったため。
・とりあえす。他社のように値上げの予定はなし。
・話題を呼んだ英語版「もやしもん」のカバー
 (英語で!アニメ・マンガ2009年8月30日付け
 記事
)は、続刊でも英語版オリジナルのアート
 を続ける。
・「ファウスト」第3号については未定。
・Del Reyの単行本で最も売れたのは、おそらく
 「魔法先生ネギま!」の第1巻だろうが。それは
 一番古い作品(2004年3月の、最初の出版作
 品のひとつ)だから、ということもある。


辺りでしょうか。


posted by mikikazu at 06:39 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ニューヨーク・アニメ・フェスティバル情報 ―― アメリカ公共ラジオ局での紹介番組


今日はお休みなので頑張って、現在開催
中のNYAF ニューヨーク・アニメ・フェスティ
バル(公式サイト)からの情報を、各会社ご
とに記事を分けてお伝えしてみたいと思い
ます。
ソースはお馴染みの、

Anime News Network
Mania.com Anime/Manga
Toon Zone
Active Anime
Anime Vice

などのニュース・サイトさん及び、その中の
フォーラムなどでのレポートからですね。
パネルでの発言の採録をあげてくれている
人が複数いるのは助かります。


そうそう、コンベンションのレポートそのもの
ではないのですが、アメリカの公共ラジオ
放送局NPR(National Public Radio)
が久々のアニメ・マンガネタとして、この
NYAFを紹介していました。
3分間の短い番組ですけど、NYAFのスタッ
フの1人であるLance Festermanさんが、
イベントについて簡単に説明してくれてい
ます。

NPR 2009年9月26日放送
"Anime Festival Not Just For Otakus"




posted by mikikazu at 06:31 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月24日

「アニメの殿堂」予算で、古いアニメのフィルム作品のデジタル保存を ―― 石黒昇さんの提言(Otakon記者会見・米メリーランド州ボルチモア)


話題的には少し前のことなんですが、紹介す
るには、今がちょうどいいと思います。
選挙前から公言していたように、民主党政権
は「アニメの殿堂」と一般メディアでは呼称さ
れている、国立メディア芸術総合センター(仮
称)の建設計画を撤回するようですね。

参考・
アニメ!アニメ! 2009年9月23日付け記事
「メディア芸術総合センター白紙撤回 
 大臣代替案を要請」


代わってアニメ・マンガ分野に、どんな振興
策が講じられるかは、まだわかりませんけれ
ど、それに関わる、実際にアニメを作っている
現場の方からの声を、ひとつ紹介しておきた
いと思います。


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7月17〜19日にかけて、アメリカ・メリーラン
ド州ボルチモアで開催された、東海岸最大規
模のアニメコンベンションOtakon(公式サイ
)には、たくさんの日本人ゲストも招待されて
いました。
そのゲストさん達による、プレス向けの記者
会見のひとつが、

・石黒昇(アートランド代表)
・丸山正雄(マッドハウス共同設立者)
・菊川幸夫(OVA「銀河英雄伝説」プロデューサー)
・松原秀典(「岩窟王」キャラクターデザイン)

といった方々によるもので、その内容を、ゲー
ム・マンガ・アニメの情報サイトAni-Gamersが、
ポッドキャストとして、8月30日に配信していた
んですね。


Ani-Gamers 2009年8月30日配信ポッドキャスト
"Ani-Gamers Podcast #019 - Otakon
Guests Press Conference"



記者会見では、色々と興味深い質問がされた
んですけど、その質問の流れとは関係なく、
時間の最後に、石黒昇さんが、メディア芸術総
合センター計画のことを、話題にしたんです。
55分00秒〜1時間00分20秒辺りなので、ペー
ジ上のプレイヤーで再生するなり、MP3ファイ
ルをダウンロードするなりで、直接石黒さんの
発言を聞いていただくのがベストですが、とりあ
えずここでも、石黒さんの発言の採録を掲載
しておきますね。


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・石黒昇氏の発言(Otakon記者会見より)

それでひとつ実はあの、ちょっと今も思い出し
たんですけど、最近、皆さんご存知ですか? 
日本の政府が、国営のマンガ喫茶を作ろうと
いう話があったというのはご存知でしたか?
いや国営のマンガ喫茶というのはちょっと――。
じゃあ、マンガ資料館ですね。アニメ・マンガ資
料館というのを、百億円出して作ろうという。


その作ろう、というのはいいんですけど、とりあ
えずそういう建物を作ろうという意図でして、そ
れだけで何をするかっていったら、何も考えて
いないんですね。
現場でも実は賛否両論。かなり反対意見も結
構あるんですが、実際にじゃあ百億円あったら、
何に使うかということに、色々な意見があるん
です。


実は、我々仲間で話していたもののひとつとして、
気がついたんですけど、日本のアニメーション、
実はもう始まって、45〜46年経つんです。今では
全部デジタルですが、初期のものは当然フィルム
で作られていて、いま、そのネガの保存状態って、
ものすごく悪いんですよ。


その点、アメリカはホントに羨ましいと思うんです
が、昔のフィルムが、いい状態で保存されている
んですよね?
ディズニーなんかは、初期のフィルムを、巻いて
おくと、要するに、お互いにくっついてしまうんで、
長い洞穴を掘って、そこに巻かずに、一本置いて
保存しているんだっていう話を聞いたことがあり
ます。


まあ、それは無理にしても、我々も初期のフィル
ムのネガを、今のうちになんとかデジタル化出来
ないだろうかということを考えている。
実は、そういったものをやった者がいて、それは
一本につき、約3000ドルかかるんですね。(日本
円で)30万円くらい。


100億円あったら、かなりのタイトルの、初期の
フィルムがデジタルとして残しておけるんじゃな
いかと思うんですよ。
もちろんそれは、SFもあり、名作もあり、愚作も
あり、とんでもないものもあるけど、でも、それは
ひとつの歴史的価値として残しておくと、必ずあ
とで役に立つと思うんですよ。


我々の仲間としては、そういったものを提言して
おこうかなと思っているんですけど、まあ、どうな
るかわかりませんけども。
もし皆さん、折がありましたら、そんな意見もある
んだということをね、日本の政府に言ってください。
日本の政府は、アメリカの意見に弱いですから(笑)。


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100億円を単純に30万円で割ると、3万3333。
フィルム一本というのが、25分エピソード1話
分として、4クールのアニメ作品が、640タイト
ルほどデジタル化出来る計算にはなりますね。
石黒さんは、それこそ日本初の本格テレビア
ニメ「鉄腕アトム」の頃からのアニメ制作者で
すから、他でもない自分も関わった、そういっ
た初期からのアニメを、きちんとした形で保存
したいという気持ちは、当然強いでしょうね。
アニメ制作現場からの、ひとつの真摯な提言と
して、民主党政権に届いて欲しいとは思います。
あ、最後のコメントは削っておかないとマズいか
もですけど(笑)。


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1時間ほどの長さに編集されたこのポッドキャス
ト番組は、ゲストの方々の日本語による答えは
そのまま残されていますけど、例によって質問
の日本語訳は割愛されています。英語リスナー
さんには必要ないですものね。
とはいえ、日本の方にも興味深い質問がされて
いますので、それぞれの質問の大意を、以下に
タイムコードと共に記載しておきますので、お役
に立てれば幸いです。


3分45秒〜
・石黒さんに
「『超時空世紀オーガス』には、アトランタという
名前の街が登場するが、それはアメリカに実在
する地名『アトランタ』(ジョージア州)と、何か関
係があるのか?」

5分15秒〜
・丸山さんに
「マンガをアニメ化するのを決定するのは誰?
アニメ制作会社? 出版社?」

7分16秒〜
・丸山さんに
「とても早い段階でアニメ化が決まったり、アニ
メの放送と同時進行で展開するマンガがあった
りするが、そういったケースについての説明を」

9分55秒〜
・全員に
「実現させたい、夢の企画は?」

18分50秒〜
・石黒さんと丸山さんに
「自分のアニメスタジオを運営する上での
苦労は?」

20分47秒〜
・全員に
「ハードロック・バンドのモトリー・クルーの
曲で、好きなものはある? あるいは他に
好きなミュージシャンは?」

24分20秒〜
・全員に
「アメリカで、日本のアニメが人気だと初めて
知ったのはいつ?」

29分40秒〜
・菊川さんに
「OVAシリーズ『銀河英雄伝説』が実現した経
緯について説明してください」

36分20秒〜
・松原さんに
「『岩窟王』で用いられていた、特異なアート
スタイルは、どうやって作り出していった?」

42分45秒〜
・石黒さんに
「故・長浜忠夫さんの思い出を語ってください」

50分20秒〜
・全員に
「アメリカで知られている、あなた方の作品は
SF物が多いが、それは好みなのか?」



という感じですね。
モトリー・クルーの質問は唐突ですが、日本か
ら来るゲストの方は、何故かモトリーのファンが
多いので、質問者の方は必ず聞いてみるんだ
そうです。ちなみに僕だと……「Too Young
to Fall in Love」「Same Ol' Situation」
「Afraid」辺り?
あと、長浜忠夫さんの作品は、ヨーロッパやア
ジアでは人気がありますけど、北米ではほとん
ど知られておらず、情報も入ってこないので、
ベテランの石黒さんに、ぜひ色々教えて欲しい、
とのリクエストでした。


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