先にポッドキャスト絡みで余談を。
今日はいつもの公共図書館に出かけていた
んですが、アメリカ・アイオワ州に拠点を置く
オンラインストアRight Stufが隔週で配信し
ているポッドキャストAnime Today最新回
(2月18日配信)のゲスト、Patrick W. Galbraith
さんの著書「The Otaku Encyclopedia」が
ちょうど納本されていたので、借りてみることに
しました。
うちの図書館は一応日本国内にあるんですが、
「Manga! Manga!: The World of Japanese Comics」
―― Frederik Schodt
「Anime From Akira To Howl's Moving Castle
:Experiencing Contemporary Japanese Animation」
―― Susan J. Napier
「The Anime Encyclopedia: A Guide to
Japanese Animation Since 1917」
―― Jonathan Clements & Helen McCarthy
「Watching Anime, Reading Manga: 25 Years
of Essays and Reviews」
―― Fred Patten
「Manga: 60 Years of Japanese Comics」
―― Paul Gravett
「Japanamerica: How Japanese Pop Culture
Has Invaded the U.S.」
―― Roland Kelts
「The Anime Companion 2: More What's
Japanese In Japanese Animation?」
―― Gilles Poitras
「Stray Dog of Anime: The Films of Mamoru Oshii」
―― Brian Ruh
「Millennial Monsters: Japanese Toys And
the Global Imagination」
―― Anne Allison
といった、海外での日本のマンガ、アニメ、
ポップカルチャー研究書の基本的な書物が
揃っているので、これから色々調べ始めて
みようと思う人には、便利だと思います。
まあ僕でも勿論、借り出し期間中に読み終
えられるかという大きな問題はありましたけ
れど(笑)。
では本題。
いま北米のアニメ業界で注目を集めているのが、
ゲーム会社日本一ソフトウェアの、アメリカの現
地子会社であるNISアメリカが、アニメDVDの
発売を新たに手がける、という話題ですね。
・参考
アニメ!アニメ! 2010年2月12日付け記事
「北米の日本アニメDVD事業に NISアメリカ進出」
プレスリリース(英文)によって明らかにされた発
売作品は、
「とらドラ!」
「ペルソナ 〜トリニティ・ソウル〜」
「PandoraHearts」
「我が家のお稲荷様」
の4作品だったんですが、具体的なリリース方
法やパッケージ仕様、北米のアニメDVD市場が
縮小の傾向にあるこの時期に、何故あえて市場
参入を決めたのか、などの詳細については、明ら
かにされていませんでした。
そこで、北米の情報サイトAnime News Network
が配信しているポッドキャスト番組ANNCastに、
NISアメリカのPRマネージャーであるNao Zook
氏と、副社長のMitsu Hiraoka氏が出演するこ
とになったんですね。
その出演は、ANNCastのホストの1人であるZac
Bertschy氏によって事前にTwitterを通して告
知され、北米のアニメファンからの、NISアメリカへ
の質問が、広く募られました。
現地時間18日に、さっそく配信されたポッドキ
ャストの内容から、明らかにされたNISアメリカ
のアニメDVDリリース計画の、主なところを箇条
書きまとめてみます。
・NISアメリカの目的は、日本の優れたポップカ
ルチャーをアメリカに持ち込むことなので、
ゲームに限らず、アニメも勿論その対象になる。
・ここ最近の、相次ぐアメリカでのアニメDVD企
業撤退・縮小により、アニメDVDの供給が減っ
てきており、NISアメリカが入り込む余地が出
来た。チャンスである。
・NISアメリカには、ゲームを北米市場に向け
ローカライズしてきた実績とノウハウがあり、
それはアニメDVDビジネスにも活用出来る。
翻訳しなければならないテキスト量は、ゲー
ムよりアニメの方がずっと少ないので、翻訳
のクオリティも落ちることはない。
・現時点では、コストがかかり過ぎることもあっ
て、英語吹替トラックを収録することは考えて
いない。
ただしビジネスが成功して予算に余裕が生ま
れれば、将来的な可能性はある。
・作品の選択においては、15人の社員に、20〜
50タイトルほどの作品を見てもらって、投票を
した。
・撤退した企業もあるが、4〜5年ほど通ってい
るロスのアニメエキスポの参加者はずっと増
え続けているので、(潜在的な)市場自体も拡
大を続けている筈だ。
・流通は4〜5箇所のオンラインストアのみ。
・リリースは半シーズン・1クール(13話)のBOX
セット発売。
SRP(推奨小売価格)は59.99ドルだが、実際
の小売価格がいくらになるのかはわからない。
・ブルーレイ・ディスクやストリーミングについては、
現時点では考えていないが、将来的な可能性
はある。
・かつてジェネオンUSAがリリースしていた、ゲ
ーム版がNISアメリカの代表作になっている
「ディスガイア」のアニメ版を再リリースする
予定はない。アニメ版の新作が作られれば、
当然NISアメリカから出るだろう。
・18禁作品をリリースする可能性はまずない。
(冗談で)会社が破産寸前になったら、最後の
手段として手を出すかも。
・現時点では北米市場に集中し、ヨーロッパに
まで展開する予定はない。するとしたら、
それはヨーロッパ支社の方の動きになる。
という辺りですね。
Zacさんは、「意見を寄せてきたファンの三分の
一くらいが、『英語吹替がないなら買わない』と
即座に反応していたんだけど、予算を惜しんで吹
替を収録しなくて大丈夫なんですか?」みたいな
ことも言ってましたが、実際のところ、英語吹替
があるなら確実に買うという北米のファンがどれ
だけいるのか、費やした予算に見合うだけいるの
かどうか、僕にはわからないところです。
最近は、テレビでのアニメ作品放送もめっきり減
ってしまって、英語吹替自体のニーズが無くなっ
てきているのは事実です。
そういう意味で、英語吹替がないからといって、
NISアメリカからのリリースが確実に失敗するか
というと、もうそんなこともない気がします。
あ、NISアメリカのローカライズにおける苦労に
ついては、3月にリリース予定のゲーム「サクラ
大戦V 〜さらば愛しき人よ〜」英語版制作につ
いての記事が出ていますので、ご参考に。
GameZone 2010年1月21日付け記事
"GameZone Chats with the Localization Team
behind Sakura Wars: So Long, My Love"