2005年12月25日

「舞-HiME」第26話


お誕生日おめでとうございます♪
贈れるものがあるわけじゃないので、今日の感想は
少し気合いを入れて書きますね。ホントはSSくらい
用意出来ればよかったんですけれど。
ところで僕はよい子じゃないので、サンタさんは来
ませんでした(笑)。


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思いがけず長い付き合いとなった「舞-HiME」も、
ようやくにラスト・エピソードである第26話「shining
☆days」
にまでたどり着けました。
ちなみにサブタイトルにもなった主題歌は、OP映像と
の相性もよくて、僕はとても好きな曲でした。


本放送当時は、おそらく賛否両論だったろうまとめ方だ
と思うのですが、こういう大団円を迎えることは、これ
まで描かれてきた物語からの論理的帰結とは関係なく、
あり得るだろうとは想像していました。
というのも現在、同じキャラクターを使用した姉妹作(?)
である「舞-乙HiME」という作品が製作中である以上は、
全滅バッドエンドのような、キャラクター達が決定的に
再利用不可能になり、商品価値を失ってしまうような結
末を迎えることはないだろうという、いささか冷めた視
点があったからです。続編の存在など知らない、本放
送をリアルタイムで見ている立場なら、また違う反応に
はなったでしょうけれど。
その、キャラクターの再利用作品である「舞-乙HiME」
を今後見るかどうかは、またぞろ相談したいところです
が(←こらこらたまには相手の都合も考えなさい)、
単なる再利用にとどまらず、「舞-HiME」とは関係ない
物語と思わせつつ実は……!、みたいな流れになって
いたらスゴイかも、とは思ってます。
ただ、時間軸を受け継いだ続編ではなく、世界の全く
異なる物語らしいので、「舞-HiME」世界での経験をふ
まえた、各キャラの人格的成長という部分は継承出来
ませんから(見る側が自己補完する分には自由ですが)、
難しい扱いになるかもしれませんし、その辺はどうな
んでしょう。


エピソードとしての評価は……、正直言いますと、ご
多分に漏れず初見では、かなりズッコケたのは事実
です。今まで描いてきたものはなんだったの、という
感じで。
でも、気を取り直して再見してみた時には、それぞれ
のキャラクター達のそれなりに幸せそうなエピローグ
の姿を見て、不幸よりは幸せな方がいいに決まってい
るよねと、ある程度納得して受けとめられもしました。
個人的には特に、ディレクターズ・カット版で追加さ
れた、命ちゃんと奈緒さんのアイスを食べている姿が、
本来あるべき日常を取り戻した象徴に思えて、こうい
う2人の関係に戻れたのならば、それは静かに祝福
してあげたいな、と。ルームメイトのお姉ちゃんには
申し訳ないですけれど(笑)。
納得出来るものであれば、ハッピーエンドorアンハッ
ピーエンドというのは、単なる結果に過ぎないという
のが、どんな作品に対しても共通させたい僕のスタン
スですが、「舞-HiME」においては、色々な意味で築か
れてしまった、魅力的なキャラクター達に対する愛着
が、評価というものを微妙にしていますし、今は野暮
を言わずに微妙なままでいいのかも、と考えています。


それは確かに、あれだけ本音を剥き出してぶつかり合
った彼女達が、今後表面上だけでも、穏やかな関係を
保てるんだろうかとか、最初からHiME達が団結してれ
ばそれで済んだ話じゃないかとか(これは凪クンの情
報操作の勝利ですね)、奈緒さんのお母さんは復活し
てもあんな形で放り出されて大丈夫だったのかとか、
色々思うとこはあります。
一番の不満として、ホントは作品としてもっと高いと
ころに辿り着けたのではないだろうか、という気持ち
があるんですが、その場合は名作「ギルガメッシュ」
のように、キャラクターをそれぞれ魅力的に描きつつ
も、物語の駒として扱う冷徹な語り口を、最後まで貫
き通す覚悟が必要となり、それが「舞-HiME」という
作品にとってふさわしいものかどうかは、半分半分で
わかりません。
同じキャラを使ってはいるけれどメディアが異なるコ
ミック版やゲーム版だと、また異なるアプローチが許
される可能性があるとは思いますが……。


僕自身の期待ということからすれば、違う着地点だっ
たのは認めますけれど、だからといって捨てきれない、
自分自身でも気づいていなかった、キャラクターの生
き様への愛着の強さが、失望を緩和してくれているの
は、やはりアニメーションにおけるキャラクターの強
さなんだろうと思いますし、そういうレベルに達せられ
たのも、作り手の実力と才能ですよね。
終わって、彼女達についてもう語れないのが寂しい、
という自分の気持ちに嘘をつきたくはありません。
そういう意味で総論としては、頑張った作品だと思い
ます。色々な形で思い入れられるという点では間違い
ないし、クオリティについてもハイレベルであり続けた
作品なので、自分を試す意味でも、見てみる価値は
あるでしょう。
というわけで、1年と3ヵ月お疲れさまでした。

2005年12月23日

「舞-HiME」第25話


あ、この3日間ほどは、クリスマス前には届けたか
ったので、DAS(Delaware Anime Society)さんから
の質問に対する答えをまとめたレポートの仕上げ
に専念してました。こちらの体調不良などで、想定
していたのよりも、ずいぶんと時間がかかってしま
いましたし。
かなりのダイジェスト、という感じでとりあえず出来
上がった文章は、代表のMattieさんのところに送
っておきましたが、向こうの会報のスペースの都合
もあるので、また色々と編集していくと思います。
具体的な日時はまだ未定ですが、年明けしばらく
は時間がかかりそうですね。
先日行われたDASのパーティでは、こちら宛ての
ホリデイ・カードに、メンバーの皆さんがメッセー
ジを寄せ書きしてくれたりもしたそうですから、
こちらからも何かお返ししようかとは考えています。
やっぱりポッキーかな?(笑)


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さて引き続き「舞-HiME」は、ラス前エピソードにな
第25話「運命の刻へ」を見てみました。
前回の感想で、大切な人=楯クンを失ってしまった
舞衣さんの、HiMEとしての能力再獲得はどんな手段
によるものだろうか、という想像をしました。
で、今回述べられた「大切な人が故人でも、その人へ
の想いがあれば、HiMEとして活躍可能」という解説は、
アンフェアなルール違反だと思います。
「大切な人はHiMEとしての力の源」という、物理的な
HiMEシステム自体に対する矛盾もありますが、それ以
上に、現状の舞衣さんの大切な人が故人であるからに
は、人間は2度死ねないので、その命はもはや賭けら
れない。つまり、負けても失うものがない舞衣さんは、
これまでのHiME達が背負わなくてはならなかったリス
クとは無縁でいられる、というアンフェアな立場にい
ることが、問題だと思います。ルールは参加者全員に
対して、平等に行使されるべきですから。


作劇論という観点からすると、これは実にもったいな
い処置だと思います。
というのも、物語の終盤で、力を失った主人公が再び
その力を取り戻し決戦に挑むというシチュエーション
は、当然盛り上がって然るべきです。
その時に、「ああこの手があったのか!」「実はそう
だったのか!」と見る側が納得出来る解説を用意する
のではなく、客観根拠の無い、これまでの設定を無視
した、単なる思い入れだけでHiMEとしての力を得てし
まうという作劇の流れは、なんとも説得力の欠けた、
盛り上がりの無いものになってしまいました。


どうして、舞衣さんのみにこうした特権が与えられた
のかに対する、一番つまらない答えは、「彼女が主人
公だから」というものですし、多分それが正解にも
思えます。
それでも理屈で考えてみると……。
「実は楯クンあるいは巧海クンは生きていた」という
のは、想い人の柱がある以上無理ですし、なにより
そんなことをすれば、彼らを想っていた詩帆ちゃんや
晶クンのドラマをスポイルするだけで、失礼です。
もうひとつ考えられるのは、再三述べてきているよ
うに、「HiMEの力のためには大切な人の命を賭ける
必要があり、負ければその人の命は失われる」とい
う前提自体が嘘であるという可能性ですね。この説
明も、これまで語られてきたドラマ全てを茶番にし
ちゃいますけれど……。


僕が考えていた、ドラマとしてはあり得ないけれど
論理的には可能な解決は、「大切な人は、実は自分
自身である」というものでした。
「自分が一番大切」という考えは、現実的には決し
て奇異なものではないし、負ければ自分が消えると
いうリスクは、十分過ぎる自己責任の形です。
なので、舞衣さんは無理ですが、奈緒さんとかはわ
ざわざ母親を持ち出してキャラを弱くしたりせず、
最後まで「大切なのは自分だけ。それで文句ある?」
で貫き通して欲しかったとも思ってました。


こう考えてくると、やはり僕的な、物語としての決
着点は、「どうしてHiMEになるために、自分ではな
く他人の命を賭けなくてはならないのか? そして
どうしてそこに、相互了承を必要としないのか?」
に対する解答ですね。
他人を想う力が自分を強くする、といっても、相手
側の受諾も了承も必要としない限り、それはエゴと
同じことですし、静留さんの暴走がその不幸な結果
を端的に示しています。
唯一HiMEとその「大切な人」としての宿命を受け入
れ合った、晶クンと巧海クンのカップルの物語が、
より昇華されたドラマとして成立していた事実もふ
まえて、どうして一方的な想いだけでいいのかとい
うことに対して、作品内設定としてのシステムと、
テーマという部分それぞれで、納得のいく答えを示
すラストになることを願っています。

2005年12月18日

「舞-HiME」第24話


さて、前回からとんでもなく間隔が空いてしまいま
したが(9月16日だって)、「舞-HiME」はようやくに、
DVD最終第9巻収録の第24話「コイ・ハ・タタカイ」
を見ることが出来ました。

「舞-HiME」公式サイト
http://www.sunrise-inc.co.jp/my-hime/

2004年9月30日(関東地方)に放送された第1話の
オンエアは、リアルタイムで見ているので、2クール
作品にもかかわらず、もう1年以上の付き合いが続
いているんですね。
その合間にゲーム版「運命の系統樹」があったりも
しているわけで、とにかくもいまだに僕にとっては
現在進行形の作品と物語が、いよいよ終局を迎え
つつあることは、とても寂しくあります。
後悔のないように、残されたお話をしっかりと見て
いきたいですね。
そうそう、DVDにはオンエア版と合わせて、第26話
のディレクターズ・カット版なるものも収録されてい
るんですが、実際どちらを先に見るべきかと、ちょ
っと悩むところです。


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今回のお話では、舞衣さんと楯クンの関係にひとつ
の決着がつけられたわけですが、それで何か盛り上
がったかというと、残念ながら特にそうではありませ
んでした。
これはひとえに僕の中で、楯クンというキャラクター
が全く評価されていないからですが。
舞衣さんと詩帆ちゃんの間を優柔不断にフラフラ、
というのならまだしも、詩帆ちゃんを一番大切にす
るという意志を表明したその後で、自分だけを信じ
続けてくれる詩帆ちゃんをあっさり捨てさり、あまつ
さえ今回「本当に一番大事なのは、責任とか、そんな
んじゃなくて、自分がどうしたいかなんだ」といけし
ゃあしゃあと自己正当化論をのたまう楯クンは、本気
でその後頭部をぶん殴りたくなりましたよ。ぷんぷん。
それはまあ恋心なんてのは契約じゃないんだから、
気持ちの切れ目が縁の切れ目ではありますが、そ
れにしたってあんまりにあんまりというのが、僕の気
持ちなんですけれど。


で、そういう最低男の楯クンを好きだと認めることは、
詩帆ちゃんの気持ちを踏み台にすることも含めて、
本編主人公の舞衣さんの人間としての格も、ずいぶん
と下げてしまったと思います。「嘘つき」という詩帆ちゃ
んの楯クンへの批判が全くもって正当なだけに……。
楯クンへの詩帆ちゃんの気持ちは舞衣さんも知ってい
てなお、恋心が理屈で抑えられないのは仕方ないに
しても、楯クンの立ち回りの拙さゆえに、舞衣さんも
割を食ってしまったというか……。


でも、閉じた「個」同士の無益な激突と消耗戦が繰り
返されるこの「舞-HiME」のバトル・プロットにおいて
は、楯クンがろくでもない男であるがゆえに、舞衣さ
んと詩帆ちゃんの戦いの空しさと痛々しさが強調さ
れていると考えれば、構造としては納得がいきます。
もし楯クンがとてもまっすぐかつ高潔な男で、一度
選んだ女性には心底尽くし続ける、たとえ自分の気
持ちが揺らいでも、自分を信じてくれる相手との約
束は貫くべきだと考えるような人だったら、最初か
らバトルが発生しないので、そういう意味では正し
い配置なんでしょうね。
そもHiMEとしての力を得るのに、大切な人の存在は
必要でも、その人との関係性は必要ない、大切だと
勝手に思い込む自分のエゴだけで十分だという設定
の皮肉が如実に示されたバトルではありました。


今回のバトルで、舞衣さんは「大切な人」を物理的に
失ってしまいました。
「大切な人」に対する信頼を失ってしまったなつきさ
んのように、心理的な盲視なら、今回のような復活
も可能なんでしょうけれど、経緯はどうあれHiMEと
しての力の契約要因であった「大切な人」の消失は、
舞衣さんのバトルからの離脱も同時に意味します。
もし彼女がHiMEとしてまた再起するとしたら、それは
ルール自体の否定につながるわけなので、絶対にあ
りえない……と言いたいところですが、主役の舞衣
さんに今後のエピソードで活躍の出番がないとも
思えませんので、なんらかの逃げ道、あるいはどん
でん返しはあるのでしょうね。
個人的には、このままなつきさん主役でも構わない
んですが(笑)、どうあっても退場するだろう静留さ
んの敗退は、彼女の「大切な人」であるなつきさん
の消失に直結するので、その辺、どんなタイミング
になるのか、とても不安です。

2005年09月16日

「舞-HiME」第23話


うぐぅっゲーム版「極上生徒会」、Amazonで一応予
約しといたんですが、今日になってもまだ届いて
ませんっ。
頬染めまゆらさん見たい見たい見たい(←うるさい)。
はっ!これはもしやレビューであんましいいこと書
いてなかったことに対する、某コナミの妨害工作か
も!(←妄想幻魔大戦)


ともかくもそちらでは、導入部の感触はまずまずみ
たいですね? 結局明日以降の到着になるようなの
で、おとなしく待ちます。
個人的な期待は、実を言うと、れいんさんに色々と楽
しく振り回されたい……だったり。そういう意味では
一番さっぱりとお付き合いできそうだし。みなもちゃ
んは、楽しくなく振り回されそうなのでパス(笑)。


えっとそれから引き続きの「あやかし忍伝」は、楓さ
んと月葉さんが危機を乗り越えて成長する11月のイ
ベントを終えた辺り。
ずっと月葉さんに会えない日が続いた時は、問答無
用で卒業まで続くバッドエンド・ルートに突入してしまっ
たのかと、とっても焦っちゃいました。
あと、相合傘イベントでの、月葉さんと霞さんのバト
ルも結構怖かったです(笑)。
現時点での印象は……、月葉さん側からは、ラブ光
線直射って感じになってきましたけど、楓さんの方は、
もうひとつ恋心を自覚という段階でもないような。
スルーしちゃってるイベントとか、あるかもしれませ
んけども。
これから季節的には、またぞろイベントも多くなって
くるでしょうし、もう少しパヤパヤ(笑)を期待です。


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そしてさらに引き続きテレビアニメ「舞-HiME」は、
第23話「愛情と友情、非情」でした。


あくまでひとつの解釈ですけれど、例えば「2人の
愛が地球を救う」というコンセプトが成立するのは、
相手=他者に対する愛情が、そのまま相互的に、自
分以外の世界にまで敷衍出来るからですよね。
自分の愛する他者を守ることは、自分以外の世界を
守ることに繋がるわけです。
でも、HiMEになるための条件付けが、「大切な人」に
される相手側の承認を必要としない「舞-HiME」の場合、
愛情は自分の中で一方的な自己完結が許され、世界
全体に対する目的意識にまで直結しません。


今回のエピソードでは、主人公・鴇羽舞衣さんの「本当
の気持ち」に対する問いかけが繰り返されるわけですが、
「本当」がなんであろうと、その想いが相手側からの結
論を求められることはないので、「媛星から世界を救う」
という事態の本質性に対して、主人公の立場から物語を
引っ張るほどの力は発生しませんでした。
端的に言えば、踏ん切りが悪いということですね。


静留さんと遥さんの対決にしても、静留さんをHiMEたら
しめているなつきさんへの想いと、雪之さんの遥さんへ
の想いは、それぞれ彼女達の中だけのものなので、衝
突する理由になりません。
どういう風に相手を好きになろうと、大事に思おうと、
それは個人の勝手ですし、HiMEの条件としても許され
ているのですから、形にこだわった単なるイデオロギー
論争になってしまっています。
静留さんがなつきさんをどう愛しようと、それは2人の
問題であって、第三者の遥さんがどうこう評する問題
ではありませんし、その逆も然りです。vice versa.


このことは、前回の感想でも「HiMEという強大な力は、
逆に彼女達がどこまでいっても、自分という枠の中の
『個』に過ぎないことを強調するために用意された設定
かもしれない」と述べてみました。
だから、自覚しなくても「一番大切な人」は勝手に決め
られてしまうようですから、「本当は誰が好きだとか、
どうでもいいの!世界がなくなっちゃったら、そもそも
好きな人とデートも結婚も出来なくなるじゃない!」と
いうような正論を語るHiMEが一人くらいいても、面白か
ったかもしれませんね。


そういった、「閉じた個」同士の衝突が続く物語が、
どういう結末を導くかというと、結局のところ当人の
問題に対しては全く役に立たない(奈緒さんが代表的
です)HiMEの力を得るために、どうして「大切な人の
命」が必要だったのかという筋の通った説明が、どう
やって作劇の形で成されるか、という点に集約される
べきだと思います。
物語が進めば必然的に「大切な人」が失われる悲劇
が続くというプロット・システム上の必要性以外に、
どこまで物語自体が、その作品世界内の理として、
納得のいく答えを用意出来るか、見ものです。


最後に一言だけ。
静留さんの、なつきさんへの愛の告白は、その後ど
うなるにせよ、シーンとして絵的に綺麗なものにして
ほしいとずっと願っていましたので、とても切なく受
けとめました……。

2005年09月14日

「舞-HiME」第22話


さらに引き続きテレビアニメ「舞-HiME」第22話
「くずれゆく......」
を観ました。
まず、公式サイトのストーリー解説文章から引用し
ますが、

「自分に関われば、そんな悲劇が待ちうけている。
だから二度と近づかないで欲しいと冷たい態度で
祐一を突き放す舞衣」

「舞衣の決断、それは黒曜の君の思惑に乗り、最
後までHiMEとして戦う運命に従うことだった」

という2つの舞衣さんの決意は、HiMEバトルのル
ールを考えると、両立させることは原理的に困難
だと思います。
自分の「大切な人」の命を賭けなければ、チャイル
ドを召喚してHiMEバトルに参加することは出来ない
のですし、巧海クンでも楯クンでもない第三候補
が、さらに繰り上げられて舞衣さんの「大切な人」
の座に置かれたわけでもありません。


ルールが機能していることは、「大切な人」であっ
た筈の母親への思いが揺らいでしまったなつきさ
んが、自分のチャイルドであるデュランを召喚出来
なくなってしまったという、静留さんへの告白によっ
て示されていますし、舞衣さんが引き続き彼女のチ
ャイルドであるカグヅチを召喚出来るということは、
彼女が誰か「大切な人」の命を賭けてしまっている
こともまた示しています。
なので、「祐一への想いが自分のなかにあること
に気づいてしまった舞衣」という、現状の彼女が
HiMEとして戦うことは、楯クンの命を賭けることに
なります。


「あたしの想いが祐一を殺すから」と、楯クンから
離れつつも、巧海クンや、死んだと思っている命ち
ゃんを取り戻すために、楯クンの命を利用してHiM
Eバトルに参加しようとしている舞衣さんの姿は、ダ
ブルスタンダードというよりも、ただ混乱しているよ
うにしか映りません。
今の舞衣さんに、理性的な判断を求めるのは酷とい
うものですけれど、実は今回の舞衣さんの言動には
さらにしたたかな裏があって、HiMEバトルに参加す
ると思わせつつも、本命は黒曜の君である……とい
う可能性はないでしょうか。


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この「舞-HiME」という作品を読み解く上での、僕的
なキー・ポイントは、HiME達がHiMEとしての真の力
を得るためには、他人の力=命を必要としつつも、
その他者との関係性までは求められていない、とい
う設定になります。
自分の命を賭けさせるのですから、HiMEからの「大
切な人」としての指名を受け入れる覚悟に至るドラマ
は、当然それなりの深みを備えます。
描写の絶対量は不足していましたが、巧海クンと晶
クンの関係は、その域に達していましたよね。結末
は悲し過ぎるものでしたけれど……。


でも、表向きの設定では、HiME達は「大切な人」の
指名に際して、相手側からの承認を必要としません。
極端な話、関係性すら構築していない、片想いの相手
でも構わないのです。
今回のシスター紫子との会話で語られましたが、碧さ
んの「大切な人」は、彼女の想いにも気づいていない
そうですけれど、それでも碧さんはHiMEとしてチャイ
ルド・愕天王を召喚出来るし、また愕天王が敗れれば、
その「大切な人」の命も奪われてしまうわけです。
碧さんには悪いですけれど、それって、知らない内に
一方的に指名されて、殺されてしまう「彼」にとっては、
とんでもなく迷惑な話だと思います。


相手からの「愛された」という相互承認も、結婚パー
トナー・シップのような社会的な承認も関係なく、想
いはただ自分という「個」の中にとどまったまま、
激突を繰り返す……。
HiMEという強大な力は、逆に彼女達がどこまでいっ
ても、自分という枠の中の「個」に過ぎないことを強
調するために用意された設定かもしれないと、今は
考えています。
そしてそのことが最も端的に象徴されたのが、今回
の静留さんだったと思います。


そういう意味で考えていくとこの「舞-HiME」は、設定
こそファンタジックですけれど、やはり正面から、個と
しての人間のドラマを描こうとしている作品なのかも
しれませんね。その終着点が「限界」なのか「可能性」
なのかは、まだわかりませんけれど。
運命という、残酷な全体状況の中で、他でもない自分
が何を出来るのか、そのために賭けてしまっている他
人の命への、贖罪の方法などはあるのか。
それぞれのHiMEの答えを、見守りたいと思います。

2005年09月13日

「舞-HiME」第21話


昨日はちょっと余裕がありませんでした。
それはともかく、引き続きテレビアニメ「舞-HiME」
は、第21話「黒き君、目覚めるとき」です。


前回の感想で、

「巧海クンを大切な人と設定してある舞衣さんが、
HiMEとしての能力を失わなかった描写により、
『HiMEとして戦うためには、自分の大切な人の命
を賭けなくてはならない』というルールが、はっき
り嘘であると示された」

と述べたのですが、その可能性も残しつつ、神崎
黎人氏の誘導的な言葉によって、違う解釈も可能
だと思いました。
それはつまり単純な、「大切な人」第一候補が、
何らかの理由で命を失った場合は、「大切な人」
の第二候補がその立場を埋める、というシステム
があるということですね。


少なくとも、舞衣さんがHiMEとしての運命を受け
入れた第3話の時点で、彼女の「一番大切な人」が
弟の巧海クンだったというのは間違いないですし、
その後紆余曲折のドラマはありつつも、「一番」の
座は揺るがなかったように、視聴者としての僕に
は思えました。
その巧海クンを失ってなお、舞衣さんはHiMEでい
られたのですから、語られたルール自体が嘘か、
第二候補が繰り上がるような、補完システムが存
在する、というのが僕の物語解釈になります。
申し訳ないですが、いつの間にか第一候補に繰り
上がっているほどの価値を、楯クンにはまったく
感じませんので。
とはいえ舞衣さんは主役ですから、今後の彼女が、
第二候補でしかなかった人物を媒介として活躍す
るというのも、なんだか気が抜けるというもので
すし、やはりルール自体が嘘であった方が、ドラ
マとしては牽引力が生まれます。


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また、今エピソードでは、なつきさんの母親の、
死の真相という情報が(真情報かどうかは別にし
て)示されたわけですが、なつきさんがその情報
にショックを受ける以前の問題として、母親の他
に「大切な人」の当てが全く存在しないなつきさ
んが、HiMEとして活躍出来ているのだから、理屈
上母親は存命していなくてはならない、という考え
は、これまで作中で語られたことがあったかな、
とふと思ってしまいました。


「HiMEの力を得るためには大切な人の命を賭け
なくてはならない」というルールを知っているなつ
きさん自身が、自分のHiMEとしての力の源につ
いて、「では大切な人のいない自分は何故HiMEで
いられるのだろうか」と考える場面はあったでしょ
うか……。彼女の主観的には、そのルールが全く
の嘘にも思えないように、目撃経験が配置されて
いましたし。
あるいは、「自分は大切な人がいなくても戦える、
例外のHiMEだ」とする根拠が示されたことはあっ
たでしょうか。思い込みでもいいですけど。


母親の死の真相に驚くなつきさんの姿は、つまり
彼女が母親の死を信じていることを示しているわ
けですが、そんな彼女の存在は、母親の死を事実
だと仮定すると、HiMEバトルのルール自体の嘘の
証明にもなります。
逆に、舞衣さんの考察において考えたように、
「大切な人の命を賭けなくてはならない」という
ルール自体が嘘であったら、なつきさんの母親の
生存も必然ではなくなってしまうわけです。


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まとめると今話は、「HiMEは大切な人の命を賭け
ている」というドラマを成立させる前提を、曖昧に
してしまう2つの情報が並列して語られたという点
で、非常に混乱したエピソードだったと思います。
混乱しているから駄目、ということでは全然ありま
せんけど。
舞衣さんの心情を理解するには、「大切な人」の第
二候補への差し替えという、ルールの適応範囲を新
たに想像しなくてはなりませんし、なつきさんのショ
ックの前提(母親の死)は、ルールに従うと、なつき
さんのHiMEとしての能力を否定してしまうのですから。


それぞれのキャラクターは魅力的なのに、僕の作
品を見つめる視点がどうしても1歩退いてしまうの
は、述べてきたように、根本設定に対してのミスリ
ードを狙っている(かもしれない)描写が多過ぎる
ので、「騙されてはいけない」と、つい構えてしまう
からでしょうね。
素直じゃなくて、すみません。

2005年08月20日

「舞-HiME」第20話


引き続きテレビアニメ「舞-HiME」は、第20話「炎の
舞/涙の運命」
を観ました。
僕の作品理解が正しければ、今回のポイントは、晶ク
ンのチャイルド「ゲンナイ」の敗北により、彼女の大
切な人である巧海クンが消失したのにもかかわらず、
同じく巧海クンを大切な人と設定してある舞衣さんが、
HiMEとしての能力を失わなかった描写により、「HiME
として戦うためには、自分の大切な人の命を賭けなく
てはならない」というルールが、はっきり嘘であると示
されたことですね。


確かに前話から、舞衣さんと巧海クンの間には、感情
的な行き違いがありましたけれど、だからといって、
巧海クンが舞衣さんにとっての「一番大切な人」でな
くなったわけではないでしょうし、なつきさんに活を入
れられた舞衣さんの、巧海クンを想う気持ちの再構築
は、戦いの場に足を踏み入れた舞衣さんが、巧海クン
に力強く頷き返すショットで説明されていると思います。
なにより、舞衣さんの中にそういう確信があったからこ
そ、巧海クンを失った時、命ちゃんへの怒りがあれほど
凄まじかったのです。これが楯クンとかだったら、そう
はならなかったと思えます。


けれど、大切な人である巧海クンを失ってなお、舞衣
さんは彼女のチャイルド「カグヅチ」を操り、HiMEとし
ての戦いを続けられています。
これは、「HiMEは大切な人を媒介として、戦う力を得る」
という凪クンの解説とは、明らかに矛盾しています。
どういうことでしょうか。


ひとつ考えられる説明は、「巧海クンは実は、舞衣さん
の一番大切な人ではなかった」というものですが、これ
は上述したように、他ならぬ舞衣さん自身の反応で、否
定されています。
もし無理からにその解釈で物語が続けられるとしたら、
「自分はやっぱり、巧海のことを本当に大切とは思って
いなかったんだ……」という残酷過ぎる自虐の苦しみが、
舞衣さんには用意されてしまうのですが、それは牽強付
会が過ぎるというものです。


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なので、舞衣さんがHiMEであり続けている、整合性のある
説明は、「HiMEの力と、彼女にとって大切な人の存在は、
実は何の関係もない」というものになると思います。
あるいは、あかねさんやアリッサちゃん、晶クンとは違う
事情が舞衣さんには用意されているのかもしれませんが、
それでは不平等ですし、バトルのルールになりません。
舞衣さんと晶クンが、巧海クンという1人の人間を、同時
に「一番大切な人間」としてエントリー出来てしまう時点
で、「最後の1人になるまで戦う」というHiME同士の生き
残り戦が意味を成していないことは、前回の感想でも指
摘しましたが、それと同様に、HiMEという設定の根幹にあ
る筈だった、「大切な人」の意義も、その絶対性がここで
消失したといっていいと思います。


これは別に作品の矛盾とか破綻ではなくて、意図的なもの
だろうとは思います。
もちろん、作り手の意図でなくても、作品からそう読み解れ
るのなら、全然かまわないわけですけれど。
バトルのルールも、彼女達をHiMEたらしめている設定も、
実はまるで正体のないものとして示された、全てが茶番と
化しつつある物語の中で、唯一真実なのは、その因果のシ
ステムを信じて、傷ついていく、HiME達の心だけです。
悲しい道化として、憎しみの連鎖に翻弄されていく彼女達
の姿を描いていくことこそが、作品としての存在意義なら、
それはそれでそういうことでしょう。


でも、今後例えば、なつきさんや碧さんの大切な人をめぐ
るエピソードが描かれていくとしても、「大切な人」という
存在自体が、舞衣さんのように、HiMEとしての戦いで直接
意味のあるものではない可能性があるとしたら、彼女達の
物語を、どこまで本質的に受けとめられるでしょうか。
必死になって、自分達の大切な人のために戦う彼女達に、
「そんな戦いには意味がない」と教えられない歯がゆさを
ただ我慢するのが、正しい見方になるのでしょうか。


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と、ここまでは理屈の話なんですが、僕自身の個人的な心
情を述べるのなら、物語の終着点は、HiME達を道化として
翻弄し傷つけている、黒幕へのリベンジであって欲しいと
心底願っています。世界の運命なんてどうでもいいです。
今現在の悲痛な展開は、その時のための「溜め」であると
考えることでしか、僕は視聴には耐えられません。

2005年08月09日

「舞-HiME」第19話

カート・ラッセル主演でそーぜつに微妙そうなのは、
先々週公開された、スーパー・ヒーロー・ファミリ
ー物の「Sky High」かも……。



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えっとでは、「舞-HiME」第19話「こころの迷宮」
について少しだけ。


舞衣さんが、晶クンもまたHiMEであること、そして彼
女の「大切な人」が、自分の弟の巧海クンかもしれな
いと知ったことにより、舞衣さん自身が、HiME同士の
生き残りバトルロイヤル戦に参加する理由がなくなっ
たと思います。
勝ち残る予定のHiMEが1人だけなら、複数のHiME
(舞衣さんと晶クン)に想われている巧海クンが生
き残る可能性も、逆にゼロになるからです。
舞衣さんが勝ち残ろうと、晶クンが勝ち残ろうと、
それはどちらかの敗退を通過するので、最終結果
に関係なく、巧海クンはどうあれ消されることが
確定してしまうのですね。
明確に非戦派だった雪之さんまで戦わせてしまう
ほどに、「負ければ大切な人の命を失う」という
ルールには強制力があったわけですが、自分が
勝っても負けても、システム上、巧海クンを失っ
てしまうことを理解した(あるいは、理解出来る
筈の)舞衣さんが、他のHiMEと戦うことには、
とりあえずの自己防衛以上の意味が生じません。


よって、巧海クンの命を救うためには、「負けれ
ば大切な人の命を失う」という、HiMEを存在させ
ているシステム自体を無効化するしかないことも、
明白になったと思います。
そしてそれは、主人公である舞衣さんが、物語を
辿り着かせなくてはならない終着点でもあります。
「HiME」とは一体なんなのか、という……。
あ、楯クンについては……、肉親の弟を大切に想
う気持ちと、異性の他人を想う気持ちは、そもそ
もどちらが「一番」かなんて、順列をつけられるも
のかどうかという、さらに厄介な問題になってくる
ので、僕の中ではあんまり存在していない人です。


ちなみに変化球として有効な方策は、晶クンに
巧海クンを諦めさせて、彼女の「大切な人」候
補から外す、ということですね。
そのために、晶クンの好みそうな男性をなんとか
用意して、惚れさせようとドタバタ大喜劇……
みたいな話は、この期に及んでやりませんか、
やっぱり(笑)。


あ、もう一つ有効なのは、いっそのことHiME全
員にとっての「大切な人」を、1人だけにしちゃ
うことですね。
そうすれば、誰も戦えなくなって、バトル自体
が成立しません。ヒロイン数が同じ12人の「シ
スタープリンセス」の妹達全員が、HiMEになっ
た状態です。
妹達に共通した「大切な人」は、間違いなく
「お兄ちゃん」ただ1人なので、お互いに戦う
わけもなく、それどころか1人の敗北も許され
ないので、戦いにおける結束は、とんでもなく
強力になりそう?


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それはともかく。
だから結局、繰り返しですけれど、HiME達を存在
させているルールのひとつ、「大切な人の命を賭
けている」設定が恣意的過ぎる、という問題が再
び浮上してくるのですね。
HiMEと「大切な人」の関係が、例えば「ファイブ
スター物語」のマスターとファティマの関係のよ
うに、客観的にも明確なものならば、戦いにも、
それなりの目的なり覚悟なりといった、筋道が
設けられます。
「舞-HiME」がそうでないのは、一方で、HiME達
それぞれにとっての、「大切な人」の存在を考え
る個人的なドラマをやりたいから、という理由
はわかりますが、それゆえに、HiME達を精神的
に追いつめるべき、バトルの枠組みが粗略にも
なってしまっています。
結果、HiME同士の戦いは、まったく本質的な
ものに見えないし、それに翻弄されるHiME達の
心情もまた、哀しい道化以上のものには伝えら
れない、という悪循環が生まれていますね。
そういう痛々しさこそが、作劇の狙いだとして
も、やはり観客からは丸見えの、舞台立ての
ぞんぞいさが、感情移入を阻んでしまいます。


ひょっとしたら、「世界の運命」というお題目
が怪しいように、「大切な人の命が賭けられて
いる」という設定自体も、そもそもがHiME達を
追い込むための、嘘なのかもしれません。
そこまで徹底してHiME達を道化扱いするという
のなら、ここまでの筋立ても理解出来ますけど、
心情的にはぞっとしませんね……。



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あ、ではこちらもそろそろゲーム版の準備しておきますねー。
実はまだ買ってなかったりするんですが。
シビアなのはいいですけれど、そういう雰囲気になりつつ
ある本編との兼ね合いが微妙かも?

2005年08月04日

「舞-HiME」第18話

今回はちょっと先行してごめんなさいですけれど、引き続き
「舞-HiME」は第18話「――はじまり。」でした。
ゲーム版は……そろそろかな?


孤高な彼女なりの意地を保つことを期待していた結城奈緒
さんが、状況を混乱かつ進展させる、不幸なヒールとしての
役回りを与えられてしまったのは、理解は出来るものの、や
はり残念ではあります。
自分以外の誰も信頼しないというポリシーを貫いてきた彼女
は、ゆえに自分を利用しようとする他人の意図にも敏感な筈
だと思います。自分が他人を利用するのは、「騙される隙が
ある方が悪い」と正当化出来ても、その逆は絶対に許すこと
が出来ないでしょう。
「最後の1人になるまで戦え」という、奈緒さんを含むHiME達
の現状は、彼女達の自由意志を無視した、一方的かつ強制
的なものです。いみじくも、凪クンが「人形と同じ」と語ったよ
うに。
それはHiME達にも自明だからこそ、奈緒さんなどは最初か
ら「バッカじゃないの」と冷笑的な態度を示していました。


にもかかわらず、結果としてHiME同士の戦いを始める発端
役を担わされる、つまり黒幕の思惑に自分を利用させてしま
うほど、奈緒さんは頭のよくない人でしょうか。作劇は、そう
彼女を規定したようです。
もちろんこの経緯は、ずっと自分のエゴのために、散々他人
を利用してきた奈緒さんが、逆にいいように黒幕に利用され
ている、皮肉な演出と受けとめていいわけですが、例え先に
破滅が待っていようとも、もう少しエゴイストだからこその、
立ち回りの利巧さを見せて欲しいというのは、14歳の少女
には求め過ぎでしょうか……。


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ともあれそういうことで、本格的なHiME達の生き残りバトル
ロイヤル戦が開始されるようです。
あらためて、バトルの必要性とルールを並べると、
「バトルに勝ち残った最後のHiMEだけが、世界を救える」
「チャイルドを失ったHiMEは、一番大切な人の命も失う」
ですね。


今後のドラマの核となっていくのは、それぞれのHiMEの「一
番大切な人」との関係になっていくと思うのですが、この状況
下で、その「大切な人の命」を守る方法は、とりあえず2つ考
えられます。
ルールに従って、他のHiME全員を倒すか(その後、世界も救
わなくちゃいけませんが)、バトル自体を無効化するか、です。
あかねさんの例が示しているように、実際に機能している、
負ければ大切な人の命を奪う、システムあるいは組織それ自
体を破壊してしまえばいいのです。
舞衣さんの主張するような、「HiME同士では戦わないように
する」という、受け身の消極策では、おそらくなにも解決しない
と思います。
矛先をシステム自体に向けられては困るし、それだけの力を
HiMEが――あるいはチャイルドが――秘めているからこそ、
黒幕は先手を打って罠を張り、HiME同士のバトルを強引に
開始させたのでしょう。
そういう意味では、唯一事態の本質に迫りつつある碧さんの
行動が頼りになるわけですが、その辺は次回へ続く、二三さ
んとの対決の結果次第ですね。


ここであらためて思い出すのが、賭けられてしまった「大切な
人」本人は、自分がそういう立場になることを、全く承認してい
ないし、知りもしない、ということです。
例えば、命を賭けられた側と、HiMEとの間で、それなりの覚
悟をふまえた了解が得られていたなら、「世界を救う戦いの
ためにあなたの命を賭けなくてはならないの」と言われても、
対応のしようがあります。僕だって実はHiMEだった妹に、「お
兄様の命、賭けちゃった」とか言われても、「仕方ないなあ、
こいつぅ」とか言って済ますでしょうしね?


そういった手順を踏んでないし、「世界を救う」という目的も実
に胡散臭い状態では、HiME達もどうしようもない。
そんな、四方塞がりの状況に彼女達を追い込むための流れ
として、ここまでの物語はそれなりに成功していると思います。


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ちなみに、巧海クンにドナーが見つかったというのも、黒幕の
「仕掛け」ですよね?
舞衣さんにとっての「大切な人」第1候補である巧海クンに生
の希望を与えることによって、彼の失えない価値を高め、負け
られない立場に、さらに舞衣さんを追いつめていくための。
まあ、それ以前に、同じく巧海クンを第1候補にしているだろ
う晶クンが負けたらダメですし、舞衣さんと晶クンが戦うことも
無理になるわけですが。
楯クンなんかは実は、そういった状況を回避し、巧海クンとは
別の、舞衣さんの新たな「大切な人」になるべく送り込まれた
工作員――というのはさすがに無理でも、本人は知らぬまま
にそうなるよう、状況操作されている可能性はあるかも。


それと、凪クンがHiME同士の戦いの理由として挙げた、「世界
の運命」ですが、現時点では70%の可能性で、嘘だと思います。
最初に言い出したのが凪クンだから――というのも、実は大き
いですけれど(笑)、真面目に言うと、第15話ラストにおける、
シアーズ幹部の態度が理由ですね。
HiMEを狙ったシアーズの作戦は失敗に終り、幹部達は「次は
300年後か」とか言って眠りにつくわけですが、世界が滅びる
かどうかの大変な事態がすぐに迫っているのなら、そんな呑
気に寝てられはしないと思います。
天体運動なんて、1日2日で急に変わるものではないし、HiM
Eをめぐる事態に関わってきたシアーズが、そんな状況を知ら
ないわけはない。
300年後に目が覚めて、人類が滅びてたら、当然HiMEもいな
いわけですし、困りますよ(笑)。
残りの30%は、HiMEならこの程度の危機くらい、さっさと解決し
てくれるさと、シアーズが楽観している可能性ですね。
それでも、万一のことを考えたら、見届けるくらいはしてもいい
と思いますが。300年くらい短い時間なら、それぐらいは待てる
筈ですけど?


黒幕連中の、世界の破滅が迫っているにしては、妙に緊張感
のない言動も気になりますし、世界のためではない、HiME同
士を戦わせるなんらかの理由があるのでは、と推察します。
おそらくそれは、絶対にHiME達が受け入れるようなものでは
ないから、嘘の理由を用意しているのではないかと……。

2005年07月31日

「舞-HiME」第17話

ええっと、では、「舞-HiME」の第17話「うそつきな、唇」
について、少し。なんともペースが遅くてすみません。


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ひとつの比喩として、「大きな物語」と「小さな物語」という
表現を使ってみますね。
「大きな物語」というのは、その物語世界全体に関わる状
況についての物語、ということにします。例えば、それこそ
戦争とか、彗星が地球に向かってきてぶつかりそうだとか、
そんな設定でもいいです。
それに対する「小さな物語」は、その世界の住人、キャラ
クター個人の問題、想い人に振り向いて欲しいとか、病気
だとか、芸能界での成功とか、そんなパーソナルな問題
設定とします。
もちろん、これはあくまで便宜上のもので、物語によって
はその恋がかなうかどうかが、世界が成立するかどうか
に関わる「大きな物語」であっても構いません。


で、その「大きな物語」と「小さな物語」との距離、関係性の
質というものが、作品の世界観ということになります。
それぞれの物語がお互いに、どういう風な影響を与えるの
か、どんな風に繋がって、総体としての作品を転がしていく
のかという指針ですね。
例えば、戦場では1人のパイロットの活躍が、戦局に決定
的な影響を与えることはない、というのもひとつの世界観で
すし、ラブ・ソング1曲で戦争を終わらせてしまえるのも、ま
た別の世界観として、ありです。


この「舞-HiME」の場合、今回のエピソードで、「HiME同士互
いに戦って、最後に残ったHiMEの力が、世界を救える」とい
う「大きな物語」と、「ただし負ければ、自分が一番大切に想
う人の命を失う」という「小さな物語」の関係は、それなりに
示されたと思います。
キャラクターへの、世界の命運という「大きな物語」からの要
求と、大切な人の命という「小さな物語」からの要求の、2つ
の要求に対して、それぞれがどう応えるかという、葛藤と困
惑、そして決意に到るドラマの開始ですね。
12人もHiMEはいるのですから、それぞれの気持ちや踏ん切
りと対応のタイミングも違って当然で、その複雑な絡み合い
が、今後の物語の主軸となっていくのでしょう。
そういう意味ではようやくに、これまでは状況に振り回される
だけであった、タイトル・ロールであるHiME達自身の物語が
始まった、とは評せると思います。


ただ、個人的な感触として、それが「舞-HiME」の、世界観と
いう意味での「解答」、あるいは「テーマ」という部分への到
達感を与えてくれているかというと、あんまりそうは感じてい
なかったりもします。
理由は幾つかあって、まず、残り話数が10話を切った現時
点から、作品として一つの到達点を示すために必要なだけ
の、それぞれのHiMEの、想い人に対する物語をきちんと深
く描けるのかという、単純な枠の長さについての不安という
ものがあります。
特に、前半部で、なつきさんと静留さんの絡みがこんなにも
少なかったことは少々意外でした。まあ、名前は出しません
が、某たちばなりょうさんの、2人への想い入れに影響され
ている部分も大きいですけれど(笑)。
今回のエピソードでも、一応は、「大切な、人……」と独白し
目を閉じるなつきさんのシーンの次に、静留さんの横顔のシ
ョットを挿入するような演出は施されていましたが……。
でも、それは逆に、いささか唐突だった、巧海クンと晶クンの
キス・シーンを、僕自身は「まあ、いいかな」と思えたように、
見る側がそれぞれ補完し思い入れられる、意図的な空白と
して受けとめてもいいかもしれません。


また違う不安は、「大きな物語」の側、世界の危機という設
定に、あまり説得力というか、現実味を感じないことですね。
確かに凪クンはそう語りましたけれど、なにしろ胡散臭さの
塊みたいな彼の言葉を、今さら額面通りに受け取るわけに
はいきませんし、ではどうして最後に残ったHiMEなら、世界
を救えるのか、全員が力を合わせるような方法では何故ダ
メなのかという、当然の疑問は保留されたままです。
これは前半、人類の危機であるオーファンと戦うためには
HiMEの力が必要というお題目に、結局オーファンが風華の
地にしか現われない不自然さが、なんの説得力も与えてい
なかったことも影響していますね。
もちろん、ことさらに凪クンが「運命」という抽象的な言葉を
繰り返しているように、これは物語の終着点のための、必
要な「ぼかし」だろうとは思いますが、HiME達を追いつめる
「大きな物語」からのプレッシャーという点では、あまり上手
く機能していないようにも思えます。
だから僕的には、これからHiME同士のバトルを始める前に
は、もうふた押しくらいは、逃げ場を塞ぐ材料が欲しいところ
ですね。


HiMEという特殊過ぎる「個」としての存在からの、世界への、
そして自分の想い人への関わりようという、2つの「大きく」
「小さな」物語を並列して描くチャレンジは、アニメだからこ
そ描ける種類の物語だと思います。
実写だと、俳優さんの生身がどうしても枠になって、そこま
で語り口を広げるのは難しいですから。でもアニメだと、恋
に悩む繊細な心持ちと、オーファンを倒すダイナミズムは、
そのキャラの身体の中で、上手にやれば容易に同居させ
てしまえますからね。
なので、「舞-HiME」は、個人的にはとても興味深いアプロ
ーチを進めている作品だとも思うので、なんとか成功して欲
しいです。はい。


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そんなこんなで。
こちらこそ、暑中お見舞い申し上げます♪
いやいや全てはりょうさんの、作品とキャラに対する、熱く
萌える妄想力
、もとい真摯な愛情と思い入れの賜物だと思
います。いつものことですが、そこまで愛されて、キャラ達は
幸せだと感じますから。
「あそびにいくヨ!」も、僕の中ではそーゆー作品なんだと
いうことにしときますね(笑)。なるほどそーなんだ!
ではおやすみなさい。

2005年07月29日

「舞-HiME」−結城奈緒さんのこと

「舞-HiME」も引き続き、第17話「うそつきな、唇」を見ま
したが、作品論的なことはちょっとまだにして、思ったことを
とりあえず少しだけ。


「HiME同士は闘う運命にある」と告げる凪クンに、結城奈緒
さんは当然のごとく「それで、ハイそうですか、なんて言うと
思ってるわけ?バッカじゃないの」と反発します。
戦いに敗れた――チャイルドを失ったHiMEは、自分の大切
な人を失うというルールが、ここであらためて明確にされて
いるわけですが、僕個人は、奈緒さんの「一番大切な人」は
奈緒さん自身、つまり自分でいいと思っています。
とりあえずまだ、誰が奈緒さんの「その人」でありそうかは、
示されていませんよね?……たしか。


大切な人の命を賭けるから、HiMEとしての力を得られるとい
う、設定としてのシステムからは外れてしまうかもしれません
し、ゆえにそうなる可能性はほぼないでしょうけど、他のHiM
E達と同じく、その力の源泉を他者に求めてしまうことは、奈
緒さんというキャラクターの魅力を、著しく損なうように、僕に
は思えるのですね。
他人を誰も信じず、孤高を貫く奈緒さんのスタンスは、それが
愚かしい破滅を招くとしても、貫くからこそ価値がある。
僕が彼女を好きとか、その思想を支持するということではな
くて、今後の物語において、「HiMEにとって大切な人」の存
在が、さらにクローズアップされていくだろうからこそ、奈緒さ
んにはそんな展開を、最後まで鼻で笑っていて欲しいし、そ
れが出来なければ、今のスタンスにも意味がありません。


彼女にも実は大切に想う人がいて、その人を失って涙を流
す――――。
彼女も普通の人間だったという解説は、そんなお涙頂戴の
ルーティーン・ワークではなくて、ツッパるなら最後までツッ
パリ抜く愚直な意地によって示されるべきだと、あまりに世
界支配のルール性が強過ぎるこの作品の中だからこそ、
僕は強く願います。
彼女のエゴは、最後まで世界と他者を敵にしていて欲しい。
情に流されて、年相応の弱みをさらけ出す奈緒さんなんて
見たくありません。あ、相手が命ちゃんなら許すかも?(笑)

2005年07月15日

「舞-HiME」第16話

えっと、引き続き「舞-HiME」は、新章前のインターミッ
ションといった感じの、第16話「Parade♪」を見ました。
メイン・イベントにあたるカラオケ大会については、特に
興味なしといいますか……。
前にも言いましたけれど、他の方はともかく、玖我なつき
さんのキャラを崩すことに、僕は面白みを感じないので。
その理由は、今回も含めてなつきさんが、いつものクー
ルで一匹狼な態度とは異なる側面を見せることに、彼女
自身の物語との、本質的関連性がないから、です。
つまり、第4話にしても第9話のラストにしても今回のコス
プレにしても、あくまで商品としての「キャラクター」のため
のサービスにしか過ぎず、彼女自身の、人間としての「キ
ャラクター」のための物語に寄与するものには思えないの
ですね。
シリアス一辺倒でやれ、というのではないのですけれど、
少々あざと過ぎて、押し付けがましいといいますか。
説明過剰なDVD特典映像なんかでも、その傾向は顕著
ですが、あれはまあオマケですし、見たくなければ見ない
で済ませられますしね(事実、僕はもうスキップしてます)。


なにより、なつきさんが隠している地をさらす、彼女の本音
や、触れられたくない、あるいは触れて欲しい心情を示す
シーンは、やはり静留さんとの絡みの中で語られて欲しい
と願うのです。
舞衣さん達との友情物語を軽視するというのではありませ
んけれど、受け入れるのであれ、拒否するのであれ、その
答えは、なつきさんの本当の心を反映したものであってほ
しいから、あんまり今のうちに、なつきさんのキャラを崩して
安売りしてほしくないのです。ワガママかもしれませんが。
この作品の引き出しが多くて、色々なことが出来るというの
はわかりますけれど、ちょっと色々やり過ぎて、かえって損
をしているようにも思えます。
(でも、一言だけこっそりといっておくと、コスプレが一番似
合っていたのは、シスター紫子だと思います)


凪クンの示した、オーファンではない新たなHiMEの相手が、
互いのチャイルドという新展開は、その大目的が不明なこ
ともあって、判断は保留ですね。
特に主人公の舞衣さんからして、HiMEになった目的は、
オーファンの脅威から人間を(状況的には弟の巧海クンを)
守ることだったのですから、オーファンが消えた今、HiMEで
あり続ける積極的な理由はありませんし、彼女もHiME同士
での戦いを望んだりはしないでしょう。
程度の差はあれ、他のHiMEも同様ですね。HiMEの力を自
分のためにだけ行使したい奈緒さん辺りは微妙ですが、
他の複数のHiMEを敵に回す可能性を考えると慎重になる
くらいの頭のよさはある人ですし。


だから、凪クンは、戦う相手はHiMEではなく、チャイルドと
言ったのでしょうね。
チャイルドは、HiMEとしての力を得た象徴なわけですが、
そのHiMEとしての力はつまり、代償として賭けてしまった
「大切な人の命」とイコールなわけです。
HiMEとしての自分自身の敗北よりも、結果として失ってし
まうものの価値を伝えなければならない理由が、まだ語ら
れていない、HiME同士のバトルの目的にあるのでしょう。
ただ現状では、「大切な人の命を失いたくないから」だけ
では、バトルの理由として消極的過ぎます。
勝利の結果として得られるものにそれなりの価値がなけ
れば、積極的に戦いたくないHiME達は協力して、自分達
を戦わせようとするシステムなり組織なりに抵抗すれば
よいのですから。
今まで語られたお話で、確固たる目的があるなつきさん
以外のHiME達に、戦ってでも得なくてはならないような、
エゴなり過去なりがあるとは見えませんから、どうやって
HiME同士の戦いに必然性を与えていくのか、興味深い
ところです。

2005年07月13日

「舞-HiME」第15話

というわけで、不定期のエントリーで申し訳ありませんが
宿題その5の「舞-HiME」は、第15話「天翔ける ミ☆
女子高生」を見てみました。
ラストのシアーズ財団のシーンで僕が連想したのは、アニ
メ版「パタリロ!」(放送題「ぼくパタリロ!」)のラスト・エピ
ソード2部作である、「霧のロンドンエアポート」編ですね。
原作コミックだと、第12巻ですか。
傀儡とした組織の失敗により、人間社会での覇権を断念
した闇の存在が、再来を予言して再び永い眠りにつくとい
うくだりは、まさにそのままです。あ、それは原作版で、ア
ニメ版では映画の「スターダスト計画」に続くという、原作
とは逆の時系列になってましたね。
ともあれ「パタリロ!」でなくても、他の作品から同様のシ
ーンを連想された方も多いでしょう。「パタリロ!」にも元
ネタありそうですし。


このシーンに限らず、いわゆる「ワンダバ」なHiME出撃シ
ークエンス、先日アニマックスで放送していた「ドラゴンボ
ールZ」でも同じようなシーンがあった、上空からの攻撃を
地上からはじき返す舞衣さんとカグヅチ、デフィさんも既
視感を指摘なさっていたラスト・シーンなど、今エピソード
は「どこかで見たことのある」描写だけでほぼ構成されて
いたような感があります。
別にオマージュもパスティーシュもパロディも、その手法
を否定するつもりは毛頭なくて、考えるべきなのはその手
法が、作品の語り口にとってふさわしいものであるかどう
か、ということですね。
「○○みたいな」という、見る側の得た印象が、作品にとっ
てプラスに作用しているのか、それともマイナスなのか。


シアーズ財団編の最終話とでもいうべき、この第15話で
は、HiME達による、風華学園を占拠したシアーズの部隊
への反撃と、その前線指揮者であると思しきアリッサと
深優との対決が描かれます。
本来なら、追いつめられたヒロイン達の逆襲というその語
り口は、ストレートに見る側の感情移入を刺激してよさそ
うなものですが(端的にいえば、「燃える」という表現です
ね)、そうはならないのは、上述した既視感をまず誘発さ
せる引用描写が、作品に対しての距離を認識させるから
です。この作品世界は、そういった引用を可能にさせる、
あくまで「ある作り手」の手を介した、フィクションなのだよ
と、否応なしに知覚させられてしまうのですね。
ビジュアルのクオリティという点では、1級クラスとしていい
この「舞-HiME」には、当然語り口の手法にも、様々な選
択肢があったと思うのですが、最初から明確にパスティー
シュとして開き直っているわけでもないこの作品のこのエ
ピソードで、あえてそのような露骨な引用手法を用いたの
には、それなりの理由を与えてもいいと思います。作り手
の意図とは関係なく、観客の解釈の自由として。


見る側が「○○みたいな」という「引用」を意識するのは、
過去作品・ジャンルとの関連に気づく、ということですね。
それはつまり、ここでは「舞-HiME」という作品と、他の作
品とを結びつけた、作り手の介入を意識する、ということ
でもあります。
フィクション作品を見る時に、特にその作品世界内の現
実に没入して、キャラクター達の、生の人生を共に感じた
いと思うような時には、その種の認識は、不要なノイズで
しかありません。僕たちが生きている現実には、全てを見
下ろす「クリエイター」なんて存在しませんから。
そんなことは百も承知で、引用描写が繰り返されるのは、
HiMEとしての、ヒロイン達の人生=ストーリーに対して、
見る側が感じるのと同じようなシニカルな視点、
「自分達の力だと思っている『HiME』としての力、そして
『HiME』としての生き方も、しょせんは与えられたものに
しか過ぎない。もっと大枠の、現実=作品=運命の中で
翻弄されるだけのものでしかない」
という認識を与える効果はあると思います。
少なくとも僕個人はそう感じて、HiME達の戦いにも「燃え」
はしませんでした。もちろん「燃えなかった」からダメという
ことではなくて、さらに用意されるストーリーに、その認識
の結果を敷衍しての興味がわきました。素直にHiMEが勝
ってめでたしめでたし、にはしてくれなさそうだと。


最終話でもないこのエピソードで、そういう視点が導入さ
れたのは、以後の展開を予想させると同時に、そんな運
命と向き合う戦いこそが、HiME以前の、それぞれ個人と
しての、舞衣さんたちの戦いの本質になっていくからかも
と、ふと思いました。

2005年06月24日

「舞-HiME」第14話

引き続き「舞-HiME」は、こちらも後半戦開始の第14話
「ねらわれる学園」を見ました。
ひと昔前ならこのタイトルで、原田知世派か薬師丸ひろ子
派か、その人の好みを分別出来た……というのは「ねら
われた」方でした。
そういう意味なら僕がまず思いつくのは、もちろんゆうきま
さみさんの「時をかける学園」(と書いて「ねらわれたしょ
うじょ」と読む?)になりますけども。


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閑話休題。
後半に入ったということで予想というか期待していました
が、作品の雰囲気も少し変わりましたね。
その象徴としてわかりやすかったのが、基本的に独立し
た世界である風華学園への破壊的な闖入者、シアーズ
財団の私設軍隊の登場です。HiMEの力やオーファンと
いったファンタジックな設定に対抗する、リアリスティック
な、その背後に政治なり組織なりを想像させる「力」とも
いえますか。
とはいえ、忍者の晶クンは仕方がないにせよ、遥さんの
アシスト程度で雪之さんを逃がしてしまったりする辺り、
実力行使組織である軍として、まだ徹底的にリアルな存
在にするわけでもなさそうです。
それをやるなら、遥さんが装甲車の前に立ち塞がった
時、射殺――というのは残酷過ぎるとしても、もっと怖い
即物的な行為で彼女を排除した筈です。
見ていて、そういうタイミングだろうとは思いましたので、
装甲車に蹴りを入れまでしたのに(うわー)、とりあえず
無事だった遥さんには、雪之さんと共に安堵しました。


事態が大きく動き出した中で、安心したのは、それなりに
まだ、世界観が継続していることでしょうか。つまり移行
期間として成功している、ということですが。
その代表は、「日常の中での舞衣の笑顔」にこだわる命
の言葉でしたけど、逆に言うとそんな彼女まで、この世界
の現実に屈する時が来るとしたら、切な過ぎる気がします。
ともあれ、事態の解説は次回を待たねばいけないようで
すけれど、誰かが「HiMEの力で軍隊を追い出して、平和な
学園を取り戻そう!」とか発案し、全員が「おおー!」とか
一致団結する展開になったら、「それは嘘だよね」と思っ
てしまうくらいには、前半の物語で、各キャラの「個」は描
かれてきたと思います。
普通の「学園物」なら、独自のルールや世界観を保てる
風華学園という場所が、安定を破壊されたことで、「舞-Hi
ME」の作品としての現実観は、ワンステップ上がってしまっ
たわけですが、その中でキャラクター達がどう描かれてい
くかというと、前回のレビューでも述べたように、いい意味
でも悪い意味でも、さらにエゴが表出していくのだろうと思
いますし、そうでなく「お約束」の様式世界に収まっていく
のであれば、前半を費やした物語の意味がありません。


僕がこの作品に望むのは、結局のところ前半では、状況
対処能力でしかなかったHiMEとしての力を、よりリアルと
いうか、逃げ場を無くされた状況の中で、各ヒロイン達が
どう行使していくかという点がまず第一でしょうか。
その中で、「一番大切に想う人の命」が賭けられているこ
とが、リスクになるのか目的になるのか……という、それ
ぞれの物語の交錯のし様、ですね。
それが悲劇であるかどうかは、あくまで結果でしかない…
…とは言い切れないくらいに、各ヒロイン達に愛着も生ま
れてきてはいるのですが。
物語の本質に対する掴み所のなさは、主役である舞衣さ
んのスタンスが理由だとは思いますし、今話でも、明確な
悟りや決意に到達したとも思いませんが、牽引者としての
彼女に必ずもうすぐ与えられるだろうドラマが、後半の物
語世界のトーンを決定するでしょうね。願わくば、それが
彼女にとって前向きなものでありますように。

2005年06月21日

「舞-HiME」第13話

晶  「ああ? なんで今回のレビュー寸劇は、オレ達の
    番なんだ?」

巧海 「向こうのレビューで、まだ扱われていない組み合
    わせだから、らしいよ。本編で、久々に出番があっ
    たから、ということもあるみたいだけど」

晶  「でも、後発のくせにオレ達を先に使っちゃったら、
    向こうで用意していたかもしれないネタとかも、か
    ぶってしまう可能性もあるんじゃないか? まったく
    こっちの運営人は気遣いのないヤツだぜ」

巧海 「人間としてはどうかと思うよね」

晶  「ま、その辺はまた直接叱ってもらうとして、とりあえ
    ず話進めるか」

巧海 「うん。今回の『舞-HiME』は、ちょうど前半終了に
    なる第13話「〜たまゆらの夜〜」。魂響祭りの中
    での交錯する微妙な人間関係描写を経て、これま
    でとは様相の異なる、シアーズの艦隊接近という大
    掛かりな事態の発生、かな」

晶  「ラストの引きはとりあえずさておいて、今回みたいに
    好きだのなんだの、という恋愛要素の展開を見てい
    ると、昨日のレビューで話題にされていた、『HiMEと
    しての力を最大限に発揮するためには、一番大切に
    想う人の命を賭けなくてはいけない』という条件設定
    も、恋愛感情主体で示されていくようだな」

巧海 「少なくとも、主役のお姉ちゃん周辺は、そうなって
    いくのかな……。僕もお姉ちゃんとは、少し距離を置
    いていく描写があったし」

晶  「けどよ。家族関係とかと違って、恋愛は他人とするも
    ので、終わることもあるんだぜ? その、『大切に想う
    人』と別れちゃったりしたら、どうなるんだ」

巧海 「うーん、どうだろう? HiMEとしての力も同時に失わ
    れる……のかな。でも、どの時点で恋愛関係が『終わ
    った』のかと判断するのは難しいし、別れても、当人に
    とっては『大切な人』であり続ける場合もあるよね」

晶  「別れてかなり経つのに、HiMEの元カノが誰かに負け
    て突然消されちゃったりしたら、元カレとしてはいい迷
    惑だよな。それに、HiMEをやってる時に付き合ってた
    のが複数だったら? 別に『大切な人』は1人までと決
    まっているわけでもないし、付き合っている最中は、
    その相手がその時の『一番大切な人』だろう」

巧海 「その場合は……彼氏全員の交際期間の中で担当
    したパーセンテージに基づいて、それぞれの寿命の
    残り時間から差し引いていく、とか?」

晶  「おいおい残り寿命なんてどうやったらわかるんだよ。
    『死神の目』でも誰か持ってんのか?」

巧海 「あ、晶クンも『DEATH NOTE』読んでるんだね」

晶  「ああ、一応な。第二部に入ってからはまったく……と
    か、そういう話はいいんだよ。えっとつまりは、『大切に
    想う人の命』なんて、当人の主観心理に基づく条件付
    けが曖昧過ぎて、困るっていう話だ」

巧海 「10代後半が主体のヒロイン達の年齢を考えれば、
    恋愛心情が大事だっていうのは理解出来るよ。見る
    側からの感情移入という面でも同様に」

晶  「ま、一応わかるけどな。でも、あかねみたいに当人同
    士が明確に想い合っていたのならまだしも、そういった
    主観に基づくべき条件付けが、本人の意思で設定出
    来ない、『大切に想う人』が確認出来ない以上は、一
    方的なエゴの発露、押付けという、人間感情のイヤな
    部分が、より露骨に示されていく可能性もある。
    自分が『大切に想っている』人に、その『想い』がどこ
    まで受け入れられていればいいのかという問題だな。
    とにかく自分が大切に想っていればHiMEでいられる、
    というのなら、エゴむき出しで暴走するHiMEも登場し
    てくるぜ、きっと」

巧海 「それはそうだけど、逆に言えば、甘い恋愛幻想の膜に
    守られない、よりリアルで正直な、キャラクター達の心情
    物語が見られるかもしれないよ。自分は誰を大切に想っ
    ているのか、本当の自分は、どんな人を大切だと想うよ
    うな人間なのかという、苦いかもしれない現実認知は経
    ていくだろうけど」
    
晶  「それが、人間の幸せとやらに繋がるもんかね? 人の
    『本当』なんて、知らない方がいいかもよ」

巧海 「……少なくとも僕は、『本当』の晶クンがどういう人か知
    っているつもりだよ」
    
晶  「!? ……お前、もしかして、それって……」

巧海 「うん。少しずつ気づいた、というべきかもしれないけど。
    でも、僕はそんなことで晶クンに対する考えを変えたり
    はしなかったし、今もしてない。本当の晶クンらしい姿で
    いられる晶クンをやっと知れたのは、僕も嬉しかったん
    だよ」

晶  「そう、……だったのか。確かに、いつまでも隠せるもの
    ではなかったしな……」

巧海 「驚かなかった、と言えば嘘になっちゃうけど。でも、本
    当の晶クンの姿も、僕は……、その、素敵だと思った」

晶  「あ、……ありがとう、巧海。そう言ってもらえると、楽に
    なる。というか、オレも、嬉しい……な」

巧海 「だから、これからも、僕には応援させてほしいんだ。
    ……晶クンの本当の姿――、学園を守る、正義の忍
    者の晶クンを」

晶  「そそそそそそっちかよ!!!!」

巧海 「ど、どうしたの?晶クン。派手にコケたりして。『そっち』
    って?」

晶  「ああもうなんでもない! お前と付き合っていると、疲
    れるぞ、まったく」

巧海 「ご、ごめん」

晶  「まあ、それも嘘ではないし、現時点では他に知る者もい
    ないのは事実だから、本当の一部では、あるけどよ」

巧海 「うんうん。だから、よろしくね」

晶  「勝ち負けで言うと、こりゃあオレの負けだよな……。は
    いはい。よろしくな、巧海」

2005年06月20日

「舞-HiME」第12話

舞衣 「はい――!? こっちでもこのフォーマットで『舞-Hi
    ME』のレビューやるわけ?」

なつき「やってみたくなったそうだ。まったく、ポリシー皆無
    の運営人だな」

舞衣 「でも、作中キャラの座談会寸劇風感想っていうの
    は……」

なつき「ああ。さる方のパクリだろうな」

静留 「それはあきまへんなあ」

命  「そのパクリとかいうのはなんだ? 美味しいのか?
    舞衣、今度作ってくれ!」

舞衣 「……あんたはいいわねえ、なんか幸せで」

なつき「ともかく、それについては直接叱ってもらうとして、
     話を進めるぞ」

舞衣 「うん。今回の第12話「天使のほほえみ」は、シス
    ター紫子や雪之ちゃんの、新たなHiMEとしての能力
    発現と、シアーズ財団とかいう謎の組織の解説、と
    いった内容かな。具体的なことはなにもわからない
    けど、『来るべき黄金の時代』という、重要らしいキ
    ーワードも、深優さんの口から語られたし」

なつき「ああ。シリーズも中盤にさしかかり、ここまでは、ほ
    のめかされるだけだった、作品世界の根幹設定も、
    ようやくに見え始めた感がある」

静留 「シリアスな場面の割合が増えて、空気が重くなって
    きた、ともいえますなぁ」

なつき「HiME達のアクションはあいかわらず派手に挿入され
    ているものの、以前にも増して、活劇主体の作品にも
    かかわらず爽快さとでもいうべきものが薄れてきた理
    由は解説出来るな」

舞衣 「どういうこと?」

なつき「特に、人が身体を動かすアクションドラマの演出とい
    うものには、そのアクション自体を納得させる、論理的
    な口実が必要だ。ただ激しく飛んだり跳ねたりするの
    みでは、それは単なるスタントでありダンスであるだ
    けで、物語的感動・驚きというものを、見る側に発生
    させない。優れたアクションドラマは、アクションを導く
    キャラクターの心理というものを、スムーズかつわかり
    やすく示してみせるものだ」

静留 「キャラクターの中の、動機ということやな。それがきち
    んと筋道立てて整理されてないと、お客はんの側も感
    情移入出来まへんし」

舞衣 「うーんと、要するに、『あいつを助けたい!』とか『絶対
    に許せない』とかいうこと?」

なつき「単純なものではそうだ。その理由によって、結果とし
    て見せるアクションの『質』も変わってくる。映像的に
    は『トーン』と呼ぶべきかな」

静留 「実写の場合やと、俳優のイメージにも左右されるや
    ろうし、アニメでも、デザインのラインが、物語の色合
    いをストーリー以前にほとんど決めてしまうなぁ」

舞衣 「で、『舞-HiME』の場合はどうなの?」

なつき「これは、まだ解説されていない設定も絡んでくるの
    で、断言は出来ないんだが……。我々HiMEは、チャ
    イルドを受け入れ、HiMEとしての力を得る代わりに、
    ある代償を支払うことになっている」

舞衣 「一番大切に想う人の命……」

なつき「そうだ。そしてその結果として、画面ではHiMEの様
    々な力をみんな発揮しているわけだが、実はその代
    償とHiMEとしての力の間には、心理的な面での、論
    理的結合性が存在しない。ゆえに、先に述べた演出
    の方程式が成立せず、画面で示されるアクションか
    らは、爽快さが排除されている」

舞衣 「あのー……。日本語で、説明してほしい、な。はは」

静留 「つまりやなあ、なつきの言いたいんは、『負けたら
    一番大切に想う人の命が失われる』ということは、Hi
    MEとしての戦いにおいて勝とうとする理由にはなる
    のに、肝心のその『大切に想う人』を、自分の意思で
    は選択出来へん……。それでは、アクションをしてい
    るHiMEの体の中に、見る側が感情移入出来る気持
    ちの主体も発生しない、そういうことやろ?」

なつき「そうだ。第8話でのあかねのショックでもわかるよう
    に、HiME自身は、賭けてしまった『誰か』を選択出来
    ないようだ。つまり、戦いそれ自体に、失えない代償
    という目的を設定出来なくなる」

舞衣 「でもそこで、自分にとって大切な人は誰なのか――
    という別のドラマも語れるようになるわけでしょ?」

なつき「あくまで結果としてな。わかるのはその 『誰か』が消
    えてからになる以上、建設的なドラマは望めない。
    それぞれのHiMEが、自分がある特定の誰かの命を
    賭けて戦っている、と思い込むのは自由だが、それに
    素直に応えるほど、性格のいい作品ではないと思うぞ」

静留 「誰が決めるん?いう問題もありますし、なにより、命
    賭けられてしもうた本人たちの承諾を得ているわけで
    もないですしなぁ」

舞衣 「……」

なつき「ルールとバトルに全面的な因果が見られない現状
    では、だからHiMEのアクションを解説する最もふさわ
    しい言葉は、『エゴ』だ。自分は誰かのために戦って
    いると思っていても、それを作品世界はきちんとバッ
    クアップしてくれない。ゆえに空回りするエゴだけが、
    アクションの『言葉』として表出する。これが、『舞-Hi
    ME』という作品の、今存在する物語構造的な壁のひ
    とつだ。もちろん、必然があって構築されているもの
    だとは思うが」

静留 「力と心と関係性と……。全てがいまはバラバラなん
    やな。そういう意味では混沌し拡散した物語やけど、
    逆にそれをどう収束させていくかという点で、期待も
    出来るんとちゃうやろか?」

舞衣 「それはそうかも……。一番足元が不明なのは、主
    役のあたしだし。やりたいこと、しなくちゃいけないこ
    と、まだまだ一杯悩まされそう」

静留 「悩めるのは、選択肢が多い証拠どすえ。切羽詰っ
    て、うちはもうこうするしかないんや! というような
    とこにまで自分を追いつめてしまう前に、色々考え
    ればいいんよ、きっと」

なつき「ま、なんとかの考え休むに……とも言うがな」

舞衣 「もう!あんたはすぐにそうやって憎まれ口叩くんだ
    から。べー!」


short_g.gif


命   「舞衣……。私は舞衣のごはんが……」

静留 「あらあら。命ちゃん、鴇羽さんの膝の上でぐっすり
    寝てしまいはったな」

舞衣 「まあ、命がこんな話楽しんで聞くわけはないし。あ
    たし、今日はもう帰るね。晩御飯の支度もしなくちゃ
    いけないから」

静留 「『お母さん』は大変どすな」

舞衣 「……言われると思った。ほら起きて、命。帰るよ」

命   「うん……」

静留 「行ってしもた」

なつき「普段はともかく、ああやって寝てるだけなら、可愛
    げのある子だとも思うが」

静留 「うちは、もっと寝顔の可愛い子を知ってますえ?」

なつき「意味ありげにこちらを見るな。私は静留に寝顔を見
    せた覚えなどないぞ」

静留 「つれないなあ。このSSのこと忘れたん?」

なつき「そ、それは反則だ! 二次創作を持ち出すなんて」

静留 「顔を赤うしたなつきも可愛いなあ。もっと色々スゴイ
    の、世間には出回ってるみたいやけど?」

なつき「……し、仕方ない。これくらいなら我慢してやる」

静留 「まあ嬉しいわぁ。そしたらなつきはいつでも、うちに
    膝枕で甘えてくれるわけやね?」

なつき「誰もそんなことは……。引っ張るんじゃない!」

静留 「ほんまになつきがイヤやったら、うちは無理は言い
    ませんけど」

なつき「ずるいぞ。そういう言い方は」

静留 「おおきに。さ、力抜いて」

なつき「……今だけだからな」

静留 「今はいつでも、一番大事な時間やさかい」

なつき「そうだ、な。きっと……。なあ、静留。さっき舞衣に
    言った、『自分を追いつめてしまう前に』……という
    のは、ひょっとして私への嫌味か?」

静留 「さて。でもうちは、なつきのことを頭のいい子やと、
    ちゃんと知っておりますえ?」

なつき「やっぱり、静留はずるいな……」

静留 「おおきに」

2005年05月26日

「舞-HiME」第11話

引き続きDVD版を視聴中の「舞-HiME」は、第11話
「光と闇の輪舞」を見てみました。
地上波での本放送終了(2005年3月31日)から2ヶ月
近くが経過しているにもかかわらず、今でもうちのサ
イトを、「舞-HiME SS」や、特に「なつき×静留 SS」
といった検索キーワードで見つけて訪れてくださる方
が、1日に1人はおられるのですけれど、うちにはそう
いうコンテンツは、(まだ?)置いてないんです、すみ
ません。本編視聴自体もまだ前半ですし。


そういった雰囲気の文章をお求めの方には、たちばな
さんのサイト「HEAVENLY BLUE」をお薦めします。
なつきさんと静留さんとの、優しくも切ない心情の触れ
合いが堪能できるファン小説や、寸劇タッチの感想な
どが楽しめる、素敵良質サイト様です。
(こうやってきちんと紹介しておけば、大丈夫ですよね?)


short_g.gif



公式サイトの各話解説では、その存在を完全に無視
されている(笑)晶クンと巧海クンのカップルですが、
前回ラストの締め方に反して、「自分は晶ではなく、
学園を守る秘密の忍者」という晶クンのとっさの嘘に
巧海クンが付き合い続けなかったのは、やはり今回
の吸血鬼事件が、他でもない風華学園の敷地内で
発生している緊急性ゆえ、になるでしょうか。
そういう意味では、巧海クンの朴訥で真面目な性格
が優先された、とも受けとめられますね。
ただでさえもっと重大な秘密が秘められている2人の
関係ですから、メインではなく、あくまでサブ・プロット
でしかないロマンス(……になってほしいけど)である
以上、あまり複雑なものにすべきではないのかもしれ
ません。


本筋に関して言えば、命ちゃんとの楽しいはずのピク
ニックの最中、木陰に入ると同時に陰る舞衣さんの表
情が示すように、本格的にシリアスな語り口に移行し
ていく、ひとつの転換期にあたるエピソードになるでし
ょうか。
いささか唐突ですが、僕個人は性善説も性悪説も支
持していません。人の本性に普遍的性質など存在せ
ず、環境と自己選択によって導かれる個々の行動の
結果が「善」とか「悪」とか判断されるに過ぎない、と
いうスタンスです。
この「舞-HiME」という作品において、「HiME」と呼ばれ
る存在になることを受け入れた女の子達は、オーファ
ンというモンスターと戦うための特別な力を得られる
わけですが、舞衣さんが悩むように、現時点では、そ
の力の行使と理由には、絶対的な普遍が存在してい
ません。
奈緒さんがよい例で、HiMEとしての力を、自分のため
に行使しても、それを咎める権威というものは、機能
していないようですし、また碧さんのような「HiMEは正
義の味方」という主張が、あくまで個人的スタンス以
上のものとしては受けとめられない、語り口のクール
さからも明らかです。


国家間戦争とでもいった、個人の思惑だけではどうに
も出来ない全体状況でもあれば別ですが、「自分の一
番大切なもの」を賭けるという条件でHiMEになってい
る女の子達のドラマには、もっと個人の事情やエゴが
関与していい余地があります。
自分自身の行動の、あくまで主観的な価値付けを、
自分で出来るわけですね。ただし行動の結果は、そ
の思惑通りになるわけではない、という現実の厳しさ
もまた、一方では当然用意されているようですが。
そんなHiME達のエゴと理想のドラマと、「オーファンや
HiMEの力とはなんなのか」という全体状況のドラマが
どんな風に有機的に結合していくのか、楽しみです。

2005年05月25日

「舞-HiME」第9&10話

というわけで、こっちでもDVD版を視聴中の「舞-HiM
E」
は、第9話「海とオトメとなつきのヒミツ♪」と第
10話「ケーキ大戦!!!」を見てみました。


それぞれ用意されたカップリングの中で、第10話では
明確に女の子として作画してもらえていた晶クンと、
巧海クンのそれとに僕が注目した理由は、実は綺麗
なオデコ……ではなくて(いやまあそれもあるのかも
しれませんけどっ(笑))、2人の間で恋が描かれると
したら、必然的に現われる障害の存在ですね。
それはもちろん、巧海クンのお姉さんである、舞衣さ
んのことです。


巧海クンは自覚のあるお姉さんっ子で、またそうなっ
た原因にも、彼の病気という、自分ではコントロール
出来ない要素が強かったりしているようです。第10話
で述懐していたように、甘えというよりは、負い目とい
う部分での、舞衣さんとの関係への責任ですね。
巧海クンのそんな心情に対する、晶クンの側からの、
今現在の表面上の言葉は、とりあえず「姉思い」とい
う表現で済んでいますが、これで晶クンが自分の恋
心をはっきり自覚した時にも、同じような態度を保て
るでしょうか。
生身の人間なら当然の、好きな人を独占したいとい
うエゴと、巧海クンの舞衣さんへの依存も理解出来る
し尊重したいという優しさの狭間で、晶クンはきっと苦
しむのではないでしょうか。
巧海クンの側が、晶クンを女の子だと知る瞬間はず
っと先になるでしょうから、恋心ゆえのその切なさと
苦しみは、どこにも出せない、晶クンの中だけのもの
になると思います。
ただでさえ、女の子としての正体を隠さなくてはなら
ない一方で、抱えてしまった恋心の複雑さにも悩まな
くてはならないというドラマが描かれるのだとしたら、
それはとても興味深いものになっていくだろうと想像
出来るのですね。


short_g.gif


批評的なことを少し述べると、物語視点にキャラクター
の感情の文脈が付与されているという意味で、正しく
「キャラクター・アニメ」としての作品進行が続いている
と思います。
そういった文体の色合いを視聴者としての僕がどう受
けとめているというと、まだ微妙だったりします。
作品としてのキャッチである、キャラクターの造形と配
置のバランスは絶妙で、とりあえず主役の舞衣さん周
りの描写がやや多くはあるものの、例えばなつきさん
と静留さんの関係のように、視聴者それぞれの好みや
思い入れによって、色々な読み取りが許されるという
ことでは、成功の域に達している作品だと思います。
その成功という部分に異議を唱えるつもりは(現時点
では)毛頭ないのですが、そういったキャッチを印象づ
けるための、あざとさみたいなものをもう少し抑えてくれ
たなら、もっと好きになれるとも感じています。


典型的なのが、なつきさんの扱いですね。
彼女のように一見クールで一匹狼なキャラクターが、実
は意外な趣味をもっていたりとか、「らしくない」行動をと
らせたりしたら面白くなるのはわかります。
わかるのですが、特に彼女はいささか面白く扱われ過ぎ
かな、とも思います。
第4話は、僕の中では不要なお話ですし、第9話ラストの
セクシー・ポーズ(←死語)にしても、僕は「なつきさんな
らやらないな」と思った方ですね。二次創作ギャグならま
だしも、本編でやるのはちょっと逸脱が過ぎます。
この種の、キャラクターをあえて崩すギミックが、ファンに
受けるだろうという意図は理解出来ますが……。
同じ意味で、DVDの特典映像も、もうスキップすることに
しています。命ちゃんの扱いなどは、ちょっと可哀想過ぎ
ると思えましたので。
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