というわけで、たまには「生」を味わうのもいいか
なと思って、大阪市北区のザ・シンフォニーホー
ルで開催された、「Yes!プリキュア5 夢の音楽会」
(公式サイト)を昨日鑑賞してきました。
足を運んだ理由はいくつかあるのですが、やはり
一番大きいのは、音響設備の完璧なクラシックコ
ンサート専用ホールで、「プリキュア」の楽曲が、
オーケストラによる生演奏で聞ける、ということ
ですね。
そういう機会って、他のアニメ作品でも滅多にな
いと思いますし。「プリキュア」シリーズの製作が
ABC朝日放送で、かつザ・シンフォニーホールも
ABCの設立・運営の施設であるという関係が幸
いしているのだと想像します。
僕が会場に着いたのは開演時間ギリギリで、エ
ントランスでのプリキュアによるお出迎え、とい
うのは体験出来ませんでした。他の方の話によ
ると、ルージュが登場していてくれたそうです。
会場の入りは9割近く。ほぼ全てが親子連れで
したね。お子さんは4〜5歳くらいがメインです
か? 本来の番組視聴者層を、あらためて確認
出来ました。
受付では、応援用のライトスティックというかサ
イリュームを、「5」の5人のカラー(ピンク・赤・青・
緑・黄)それぞれで販売していて、かなりのお子
さんが手にしていましたね。無料で配ってくれて
いるのかと思ったくらいです。
僕は客席が見下ろせる位置の二階席だったので、
スティックの色の割合で、子供達の間での、「5」
のキャラそれぞれの人気度がわかるかな、とも
思ったのですが、大体各カラーが満遍なく行き
渡っていたように思います。しいて言うなら、
青(アクア)が多めで、緑(ミント)が少なめだった
かも? 青は闇の中では特に目立つから、とい
うこともありますけど。
そうそう、開演時刻になると、夢原のぞみさん
の声で、「みんな!今日は来てくれて、とっても
ありがとう! 今日は応援よろしくお願いします!」
みたいな開演の挨拶の声が流れたんですが、隣
の隣くらいに座っていた4歳くらいの女の子が、
「でも、のぞみさん、普段はこんなに丁寧な言葉
で喋ったりしないよね」
と冷静にツッコミを入れていたのが、個人的には
大受けでした(笑)。のぞみさん、子供にもそんな
風に思われてますっ。
でもまあ、ちゃんと「さん」付けで呼んでくれてい
る辺り、やっぱり子供達にとっては、プリキュア
のみんなは「素敵な戦うお姉さん達」なんだなと
もわかりました。
あと、危惧していたのが、小さいお子さんばかり
なので、演奏中に我慢出来なくなって騒ぎ始め
たりしたら困るかも、というのもあったんですが、
全く問題なく、最後までみんなきちんと聞いてく
れていたと思います。これは、子供に飽きさせな
いようにする、進行と構成の妙に加えて、屋外の
キャラクター・ショーよりずっと集中出来る、屋内公
演ゆえの雰囲気作りに成功していたからでしょう。
プログラムは、第1部と第2部に分けられていま
した。
まず第1部はオープニングの「プリキュア5、スマ
イル go go!」のオーケストラ・バージョン以降は、
・「カルメン」組曲より前奏曲
(ビゼー)
・「白鳥の湖」より「情景」
(チャイコフスキー)
・「そりすべり」
(アンダーソン)
・ワルツ「春の声」
(ヨハン・シュトラウスU)
・「虹のかなたへ」
(ミュージカル「オズの魔法使い」より)
といったクラシックの名曲とミュージカル曲が、
「プリキュア室内管弦楽団」によって演奏されて
いきます。
もちろんそれだけではなく、「白鳥の湖」では、
ドリームがクラシックバレエ(!)を披露したり、
「そりすべり」では、冬服姿でマフラーがキュー
トなルージュ・レモネード・アクア・ミントが見事
なタップダンスを披露してくれました。
でも、クラシックバレエといえば、それはミュウ
ミントの担当じゃないかと……いえ、なんでもな
いです。
「オズの魔法使い」での配役は、レモネードが
ドロシー、ルージュがライオン、アクアが木こり、
ミントがカカシだったと思います。
あ、うららさん、ここで舞台の主役が実現しちゃ
ったなあ、とか思ったりもしましたが(笑)。
いまの子供達に、「オズの魔法使い」の認知度っ
てどうなんでしょうか。
演奏の合間には、ABCのアナウンサーのお姉さ
ん(だと思います)とドリームとの掛け合いで、クラ
シックで使われる楽器をそれぞれ紹介したり、
色んな音を出してみて、それを観客に当てさせる
「音当てクイズ」などのコーナーも用意され、演奏
だけで子供達を飽きさせない工夫もされていま
した。ちなみにドリームはやっぱりボケ役(笑)。
20分の休憩の後は、「プリキュア大集合!」と
題した、「プリキュア」だけの第2部。
まずは、こまちさんがお祭りのイベント用に用
意した劇の台本が、ブンビーさん達にこっそり
書き変えられて……という短いお芝居。お祭り
ということは、夏ごろに演じられていたショーの
シナリオを利用したのかもしれませんね。
それよりもなによりも凄かったのは、このショ
ート・ストーリーの間中、アニメと同様に流れ
ている全ての劇伴音楽を、プリキュア室内管弦
楽団のみなさんが生演奏してくれていたこと!
いわゆる日常場面の曲から、変身やバトルの盛
り上がる場面の曲まで、すべて聞かせてくれた
のは、贅沢の極みじゃないかと思います。キャ
ラクターショーでは、用意した音源から流すだ
けなわけですし、バックで生演奏を流しつつ、
華麗なバトルを繰り広げるプリキュアのみんな
という絵面は最高でした。
ショート・ストーリーがつつがなく終了した後
は、さらに「フォーエバー プリキュアメモリー
ズ」と題して、歴代の「プリキュア」シリーズの
主題歌が、もちろんこれも生演奏で披露され
ていきます。それぞれの曲は、
・「DANZEN!ふたりはプリキュア」
(「ふたりはプリキュア」OPより――ということに
プログラムではなっていますけど、実際はより
派手なアレンジの「Max Heart」バージョン)
・「ムリムリ?!ありあり!!INじゃな〜い」
(「ふたりはプリキュア Max Heart」ED)
・「まかせて★スプラッシュ☆スター★」
(「ふたりはプリキュア Splash☆Star」OP)
・「ガンバランスdeダンス〜夢見る奇跡たち〜」
(「Yes!プリキュア5」ED)
になります。
「ムリムリ?!〜」では初代プリキュアのブラック
とホワイト、そして「Max Heart」からのシャイニー
ルミナスが、「まかせて★〜」ではブルームとイー
グレットがそれぞれ登場し、ダンスを披露してくれ
ました。
「ガンバランスdeダンス」では、もちろん「5」の5
人による、EDそのままのダンスが見られて、かな
りの子供達が一緒に歌っていましたね。やはり名
曲です。
その後、「5」のコスチュームから、「GO!GO!」の
コスチュームの5人への早変わりがあって、ここ
だけは生演奏でない音源の「GO!GO!」主題歌で、
踊ってくれました。
これで第2部は終了ということで、宣伝文句にあ
る、「歴代プリキュアが夢の競演」というのとは少し
違ったかなー、と思っていたら、ドリームとABCの
お姉さんの呼びかけでアンコールが実現し、「ラデ
ツキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス1世)の演奏
が始まると、赤白の旗を手にしたプリキュア達が
舞台に次々に現れ、ドリーム、ルージュ、レモネー
ド、アクア、ミント、ブラック、ホワイト、シャイニール
ミナス、ブルーム、イーグレットの総勢10人のプリ
キュアによる、豪華絢爛なダンスになりました。
もう、舞台の端から端までプリキュアが並んで踊る
という、夢のような状況ですね。アニメの中でも起
こり得ない場面ですし。
当然ながら観客のお子さん達も大盛り上がりのフィ
ナーレとなりました。いや、すごかったです。
まあ、あんまり裏の事情を考えるのもあれですけ
れど、プリキュアの数だけじゃなくって、お色直し
も多かったですし、楽屋はものすごく大変だった
ろうとは思います。
タイミングなど、段取り上のミスが全然なかった
わけではないですが(レモネード絡みで多かった
ような)、僕が見たのは最初の公演でしたし、以
降は修正されていくでしょう。
1時間半の公演時間で、途中の休憩が20分です
から、正味で1時間強の、メインの観客であるお
子さんが楽しめる、ちょうどくらいの時間配分だ
ったとも思います。
クラシックの魅力の入り口をちょっと覗いてもら
うという目的と、「プリキュア」としての楽しみが
見事にブレンドされた、良質の公演で、個人的
にも満足出来ました。これでこのチケット価格は
安過ぎるくらい。
キャラクターショーに抵抗のない「プリキュア」ファ
ンの方なら、間違いなく必見だと思います。
プリキュアのみんなとプリキュア室内管弦楽団の
みなさん、素敵な公演をありがとうございました。
あ、最後はドリームとルージュに両腕を引かれつ
つ、スキップしながら(……)お帰りになられた指
揮者の加納誠さんもお疲れさまでした。