2007年04月26日

宮小路瑞穂さんが「お姉さま」である理由


昨日の今日でなんですが、「アイドルマスタ
ー XENOGLOSSIA」の第4話以降の視聴
は、こちらでも、DVDが発売開始される7月
下旬以降、ということになります。
第4話は第2巻の収録でしょうから、9月くら
いになってからでしょうか……。
でも、DVD購入を決意されるくらい気に入って
くれたのなら、視聴を薦めた立場としては嬉
しいです。春香さんとインベルとも、しばらくお
別れですね。寂しいですけど。
それと、まさか見ているとは思っていませんで
したので「Yes!プリキュア5」は全然ノーチェ
ックでしたが(「プリキュア」シリーズ自体まっ
たく触れたことないです)、ではこちらも機会
があれば。
見たことがないままに、ねこめしさんの感想だ
けを読んで、勝手にそういう「黒い」作品なん
だーと冗談半分に思ってたりもしましたが(笑)。


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今日は「RED GARDEN」第15話のお話にし
ようかと思っていましたが、そういうことなら、
「もし、少年漫画の中のいわゆるハーレム物
のお話が、主人公の男の子に読み手が一体
化して女の子達との触れ合いを楽しむジャン
ルなのだとしたら」「『かしまし』や『乙女はお
姉さまに恋してる』は、どんな風に受容され
てるのかなあ」という問いかけについて、求
めている種類の答えにはならないかもしれま
せんが(汗)、僕なりの考えを少しだけ述べ
ておきますね。


とりあえず「かしまし」は、原作マンガもアニメ
版も見ていないので、コメントは出来ません。
試すのなら、「此花」や「ゆめりあ」のコミック
の印象がとてもよかった、桂遊生丸さんが作
画を担当されている、原作の方かな?
アニメの方は、感想も第8話までで中断されて
いますし、評価としては微妙なのかなと……。


一方の、「乙女はお姉さまに恋してる」におけ
る、主人公としての、宮小路瑞穂さんの立ち
位置についての、見る側からの受容の仕方な
んですが、感想でも述べてきたことの繰り返し
になりますけども、他の方の考えはわかりませ
んが僕個人としては、瑞穂さんが女装して「お
姉さま」を演じることは、男の子でも女の子でも
ない、ひとつの理想人格をまず構築するための
ギミックであったと思いました。
ゲーム版の最初の方の感想で、紫苑さんが語
っていたような、「恋愛感情のようなエゴに基
づかない、広い意味での普遍的な、慈愛の精
神というものは、実は誰でもが、心に備えていた
いと密かに思っていることではないでしょうか?」
という言葉を体現出来るような人としての、理想
の姿ですね。


この「乙女はお姉さまに恋してる」という作品に
限定しての印象なのですけれど、女子校に転校
してすぐの、かなり早い段階で、エルダー・シス
ターとしての立場に祭り上げられ、その立場にふ
さわしい物腰と言動を求められてしまう瑞穂さん
は、見ていて「大変だなあ」という感想の方が、
「たくさんの女の子に囲まれて羨ましい」という
ものより、ずっと強かったです。状況を楽しむど
ころじゃないんだろうな、という感じで、瑞穂さん
と視点を一体化したいとは、あまり思えませんで
した。


でも、物語はそんな瑞穂さんの、立場にふさわし
い人間へ育っていく過程を描く方向で進んでいき、
むしろまっとうな成長ストーリーという印象です。
そこでは、彼が男性であることや、エルダー・シ
スターが女性の立場であることには、あまり意味
を感じませんでした。
上述の紫苑さんの台詞にもある、瑞穂さんが少
しずつ備えていく優しさと強さは、彼が男性であ
るからこそという背景とは無関係のものですし、
「お姉さま」という立場も、舞台が女子校であり、
そも男性側からの女性性に対する視点が存在
しないことを考えれば、「女性であること」それ
自体に意味が発生しません。
そんな中、瑞穂さんは男性であることにも女性
であることにも根拠を持たない、理想人格への
成長を果たしてきました。
そういう描写が可能だったのも、キャラクターに
おける肉体性が希薄な、アニメというメディアで
描かれたからこそ、でしょうね。


逆に言うと、瑞穂さんが祭り上げられた、「お姉
さま」という立場にあったからこそ、そういった
成長が果たせたのだ、とも言えますね。
瑞穂さん自身には、自分を鍛えていこうというよ
うな自発的意志はそもそもなかったのにもかか
わらず、立場を演じるために努力を重ねる中、お
のずと成長も伴っていったわけです。
そういう祭り上げがされない中、女装する、ある
いは「かしまし」のように女の子になってしまった
自分を肯定し受け入れていくのには、また全然
別のドラマが必要ですし、もっと生っぽいお話に
ならざるをえないかもしれません。


男性視点・女性視点という、ある意味規制的な
見方を一度忘れさせてくれて、「お姉さま」なる
理想人格を味わえるという意味では、「乙女は
お姉さまに恋してる」は、見ていて、とても「楽」
な作品でした。
もっと女性としての姿・肉体性が意味を持つ、あ
るいは持つという認識を押し付けられてしまうか
もしれない他の作品だと、どう感じるかはわかり
ませんけれど……。


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★なんだかあんまり上手くまとまってませんが、
こんな感じでどうでしょうか……。
拙文失礼しました。


2007年04月13日

「乙女はお姉さまに恋してる」第12話、見ました。


というわけでいよいよ、「乙女はお姉さまに
恋してる」
公式サイト)は、ラスト・エピソー
ドとなる、第12話「ラストダンスは永遠に」
を見てみました。
ちなみに僕が視聴してきたのは、サンテレビ
での地上波放送バージョンです。
DVDだと、たくさん特典のついた限定版のリ
リースは今月終了していますが、通常版の
方はまだ来月9日からということで、レンタル
ショップとかに並ぶのも、それからになるでし
ょうか……。


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シリーズを見終えての感想は、美鶴先輩の
言葉を借りるなら、「ブリリアント!」という
感じですね。
ちょっとラインが変わったキャラクター・デザ
インや、原作ゲームからの声優さん変更とい
った不安要素も事前にはあったのですが、
概ね上手くまとまったと思います。


成功の最大の理由は、「ロマンティックラブ
コメディアドベンチャー」であるゲーム作品
PS2版ゲーム公式サイト)を原作とし、タイト
ルにも「恋してる」とうたいながらも、このア
ニメ版では、少なくとも主人公・宮小路瑞穂
さん主観からの恋愛物語に、「しなかった」
点になるのでしょうね。
恋心の発露については、終盤まりやさんと貴
子さんが自覚する描写はありましたけれど、
肝心の瑞穂さんの側からは、特定の誰かに
対して具体的に心が反応するような場面は、
ついぞ描かれませんでした。


にもかかわらず、作品が物語としてまとまっ
たのは、恋愛物語以上に重きが置かれたテ
ーマである、瑞穂さんの成長・自己確立のお
話が存在し、その部分については、アニメ版
はきちんと語り終えられたからですね。
もちろん、その成長を語るのが、「祖父の遺
言により女装して女学院に通い、全校生徒憧
れの的であるエルダー・シスターに選出され、
『お姉さま』として慕われる」という物語である
ことは、それこそ「12人の妹がいる」設定を受
け入れるのと同じくらい、突飛でハードルが高
いことも認めますけれど(汗)。


各ヒロインで分岐する、複数のエンディングを
もつ恋愛ゲームを原作として、一本道のアニメ
に再構成する場合、一番難しいのは、では誰の
お話をメインにするのか、そして、他のヒロイン
の扱いはどうするのか、ということですよね。
どんな作品でも、とりあえずのメイン・ヒロイン
的な立場の女の子はいるにしても、人気やシナ
リオの出来も、同じく一番になるとは限らないわ
けですし。
僕は、恋愛ゲーム原作のアニメをそんなに見て
いるわけではないのであまり語れませんが、例
えば「ゆめりあ」なんかも、原作ゲームは各ヒロ
インごとのエンディングが用意されていましたけ
れど、それ以上の枠で語られる、「世界の運命」
についての問題がありましたから、アニメ版は
そちらに語り口を大きくシフトして、それなりに
まとまったような記憶があります。


ともかく、当初は戸惑いこそあったものの、エル
ダーとしての自分の立場を受け入れ、その立場
に見合った人間であろうと自分を高める努力を
前向きに続けた瑞穂さんは、女装をけしかけた
幼馴染のまりやさんが複雑な心境に陥るくらい
の人間的成長を遂げます。
原作ゲームとはエピソードの順番を少し変え、
正体が男であることを知った貴子さんが、生徒
会長という公人として、そして瑞穂さんを好きに
なってしまった私人として、それぞれ瑞穂さんを
認め、受け入れることでまとめてみせたこのア
ニメ版のラストは、考えられる中で、ベストの構
成だったと思います。


瑞穂さんが男性であることを知っているまりや
さんと紫苑さんを主役に物語をまとめようとす
ると、彼女達個人の恋愛ルートにまで踏み込
まなくてはならなくなるし、奏ちゃん・由佳里ち
ゃんの下級生組だと、申し訳ないですけれど、
メインにするには役者不足ですよね。一子ちゃ
んは、一子ちゃんですし。
だから消去法でいうと貴子さんになる、という
言い方も出来るのですけれど、エルダー・シス
ターとしての功績を認める公人の立場から、そ
して彼に恋する女の子という私人の立場から、
バランスよく瑞穂さんを見つめられる貴子さん
なら、とりあえずの物語をまとめる場所に立つ
のに、一番ふさわしい人なのも確かです。


最終話は、前話のラストから継続して貴子さん
の心情をメインとして語られており、彼女による
決断が大団円を招くという、ある意味「貴子さ
んエンド」と言えなくもなく、貴子さん贔屓の僕
としても、すごくとっても大満足でした。EDでは、
瑞穂さんとのラーメン屋デートのグラフィックも
また楽しめましたし。
結論として言うなら、全12話を幸せに見つめら
れた、良い体験になったと思います。お疲れさ
までした♪


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素敵で微笑ましい感想寸劇をずっとありがと
うございました。こちらこそ、そちらの寸劇が
楽しみで、視聴を続けていた面もありますし。
僕は見られませんが、DVD特典エピソード「ツン
デレラ」の方の感想もよろしくして――いいのかな?
来週くらいからは、「ペルソナ3フェス」で忙しく
なるだろうと思いますので、ぼちぼちマイペース
で、ゆったりまったりと……。

2007年04月11日

「乙女はお姉さまに恋してる」第11話、見ました。


というわけで引き続き、「乙女はお姉さまに
恋してる」
公式サイト)は、第11話「戸惑い
の練習曲(エチュード)」
を見てみました。


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次回はいよいよ最終話という、クライマックスで
すね。そういう意味では、なんだかんだですごく
寂しくはあります。
ゲーム版では無理だった、瑞穂さんへの恋心が
同時にMAXという、まりやさんと貴子さんの描写
は、それぞれ照れくさいくらいに微笑ましかった
ですね。2人がかち合って、瑞穂さんをめぐる泥
沼の修羅場になったらどうしようと心配もしまし
たけど(笑)。


言っていいのかどうかわかりませんが、アニメ版
では最も大きな改変といっていい、ゲーム版だ
と各ヒロイン・ルート分岐後のイベントを、ダンス
パーティー前にそれぞれ繰り上げてきたことで、
まりやさんと貴子さんの気持ちの結論みたいな
ものへの道筋も、ある程度見えてきたような気
がします。
まりやさんの方のデート・イベントが今回ラス前
に配置され、一方の貴子さんのイベント、という
か事件の結果が次回の最終話に持ち越しにな
るなら、このまま貴子さんエンドでいっちゃえ!
とすっごく思ったりもするんですが(笑)。
いえ、この誘拐騒ぎの後での、瑞穂さんの部屋
での貴子さんの涙のシーンが、僕個人としては、
たぶんゲーム版で一番好きなところなので。
同じくらい好きなのが、貴子さんがヤキモチ焼い
て瑞穂さんの袖を引っ張り、「む〜」と可愛く拗
ねるとこですっ。オール貴子さんルートなら、
OVAでも買うのになあ。


少なくとも、まりやさんの方は、瑞穂さんに告白
することなく、自分の中で幼馴染同士としての距
離を納得して済んだとしても、外的要因によって
瑞穂さんの正体に気づいたと、他ならぬ瑞穂さん
本人にも知られてしまった立場の貴子さんは、そ
れを受けての自分の判断というか心持ちを、瑞穂
さんには直接伝えなくてはいけませんよね。
その時になにが起きるか、貴子さんの気持ちを
知って、瑞穂さんの側に初めて自発的な、恋心
の立ち上げみたいなものが描かれるのかどうか
というと……、うーん、どうでしょう。


次回のダンスパーティーで、瑞穂さんが恋心的
な決断を示せるほどの、特定のヒロインに対す
る個人的な心の変化といった描写が積み重ねら
れてきたわけではない現状、作品のひとつの結
論として求められる、「お姉さま」以上の答え方
というと……?
仰るとおりに、ストーリー・ライン上、「お姉さま」
でも「幼馴染」でもない瑞穂さんの立場に一番
近づける可能性があるのは、確かに貴子さんで
すけど……。
自分が男の子であることを知った上での貴子さ
んの反応を、瑞穂さんがどう受け入れるかを想
像するには材料が少な過ぎますし(まりやさん
に対しては、少なくとも顔を赤くする描写があり
ました)、それが、前向きな未来につながるも
のであることを祈りつつ、最終話の視聴を楽し
みにしたいと思います。

2007年03月22日

「乙女はお姉さまに恋してる」第9&10話、見ました。


というわけで引き続き、「乙女はお姉さまに
恋してる」
公式サイト)は、第9話「まりや
の気持ち」
第10話「二人のジュリエット」
を見てみました。
例え前回のエントリーから2ヶ月以上経過し
ていようとも、「引き続き」と言ってしまえば
続いているんです問題ないのですっ。
ところで、一瞬だけ噂が流れたとか流れなか
ったという、アニメ版第二期は結局どうなって
るんでしょう……。それがあるかないかで、
この第一期の見方も色々と変わってくるかも
しれなかったり?


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物語もいよいよ佳境というか、キャラクターの
心情面における本筋については、まりやさんと
貴子さんの2人に絞られましたね。
紫苑さんが完全に第三者モードなのはもったい
ない気もしますが、尺を考えれば仕方がないと
も思いますし、よい対立というか比較構図にな
る2人の選出も、妥当なところでしょう。
幼馴染に対する、自分の本当の気持ちに気づ
き始めた――という王道のストーリー・ラインで
描かれていくまりやさんに対して、同じように
自分の本心に向き合い始めた貴子さんは、ひ
とつひとつの瑞穂さんに対する反応が、描写
として可愛過ぎて、ずいぶんと得をしていると
思います。
まりやさんが基本的に、1人だけのモノローグ
と行動で考え悩んでいるのに対して、貴子さん
のそれは、多くの場合瑞穂さんへの対応を通し
て描かれますから、見ている側としても、楽しみ
つつ感情移入しやすくなります。
自分の中から答えを見つけ出さなくてはならな
いまりやさんと、瑞穂さんによって変えられてい
く自分自身の気持ちこそが答えである貴子さ
んとでは、描きようが異なって当然ですし、そ
の対比に意味があるわけですけど。


2人がそういう感情の渦に揺れている中、その
対比の中軸にある瑞穂さんは、相変わらず無私
というか、鈍感というか(笑)、個人のエゴを突出
させないことで、バランスをとっているようです。
考えてみれば、この時点での瑞穂さんは、引き
続きエルダーとして全校生徒に慕われる「お姉さ
ま」の役を演じつつ、生徒会主催の劇の主役を
任され、奏ちゃんのお芝居の練習にも付き合い、
由佳里ちゃんのランニングにも付き合い、まりや
さんにも気遣いを忘れない、大変な活躍ぶりなん
ですよね。それになにより、いよいよ本番が近づ
きつつある大学受験生だったりもしますし。
ゲーム版では、状況に対する自己ツッコミが出
来ただけ、瑞穂さんの苦労も伝わってきたので
すが、内心説明の少ないアニメ版だと、瑞穂さ
んはより完璧な「お姉さま」に映ります。


そのことは、作品のバランスを取る意味で必要
でしたし、結果として成功していると思います。
問題は、残されたエピソードで、どうしようもな
く進んでしまった、そして気づいてしまった自
分の本心を抱えたまりやさんと貴子さんの2人
に、瑞穂さんが1人の個人――男の子として、
どういう答えを返せるかになるというのが、論
理的帰結ではあります。
残された話数からして、原作ゲームでいう年明
け後の、個人ルートにまで進めるとは思いませ
んし、そういう意味での結論に達することはな
いでしょうけれど(第二期の噂があるということ
は、つまりそういうことですよね)、ここまで高め
られたまりやさんと貴子さんの気持ちが、ただ
ペンディングにされるだけ、というのは忍びな
いので、どういう形にせよ、瑞穂さん自身の私
心というか、本当の感情の行き先が、可能性と
してもいいので、示されてほしいとは思います。

2007年01月05日

「乙女はお姉さまに恋してる」第5〜7話、見ました。


レビューが続いちゃってますけど、とりあえず「乙女はお
姉さまに恋してる」
は、第5話「真夜中の教会(チャペ
ル)」
第6話「夏の日の狂想曲(カプリッツィオ)」、そ
して第7話「小っちゃな妹(かな)と大きなリボン 」まで
見てみました。
ここまでのお話も夏から秋にかけての、ゲーム版のいわ
ゆる共通ルート内の進行をベースにしていますので、誰
かのルートを一つでも最後までプレイしておられるなら、
ネタバレ的な心配はないと思います。


20〜30ページほどの原作コミック1エピソードを、30分の
長さのアニメに引き伸ばす作業の試行錯誤を続けて久し
い(無理な場合は、15分2話構成にしていましたが)、「A
RIA」のアニメ版に対して、会話テキストだけでも相当な
分量のあるゲームの物語を、いかに1クール全13話構成
の中に刈り込むかという逆の作業が、この「乙女はお姉さ
まに恋してる」では行われているわけですが、以前にも述
べたように、原作のポイントを的確に押さえた、良質なア
ニメライズが引き続いて示されていると思います。
もちろん比較して駆け足なのは確かですし、ゲーム既プ
レイ者は、アニメ版で語られなかった時間を、いくらでも脳
内補完出来るわけですが、それでも「これは語っておかな
いと」という場面は、ちゃんと引き継がれています。


そのために役立っている最大の変更点は、主人公である
宮小路瑞穂さん(「君」づけするべきか、いまだに迷います)
が、語り口において、男性主人公としての主張と視点を、
控え目にしているところでしょうか。
ゲーム版の神村ひなさんよりも、さらに押しの弱そうな(笑)
堀江由衣さんの演技・声質もあるでしょうけれど、作品世
界のキャラの1人という、ある意味平等な立ち位置が、上
手く機能していると思います。
彼の主人公としての特権は2つあって、1つは、女性ばか
りの生活空間の中で、唯一の男性であるということ、そし
てもう1つは、にもかかわらず学園内の女生徒から「お姉
さま」と慕われてしまうくらいの、美少女として通用する容
姿と物腰を持ち備えていることですよね。


その2つの特権は、ゲームのプレイヤーにも、世界の中で
の、少々くすぐったいようなオンリーワンの視点を提供す
る一方で、扱いを間違えば、一個人としての瑞穂さんの立
場を崩してしまうものです。
神視点から、女性キャラをただ隷属させるような、成人向
けゲームの世界なら、それも許されるのかもしれませんが、
あいにくとこの「乙女はお姉さまに恋してる」の世界は、少な
くともPS2版とテレビアニメ版に限れば、もっとずっと健全な
場所です。
主人公主観で語られるゲーム版は、終始瑞穂さんが自分
の立場を自覚し自分ツッコミを入れることで、与えられた特
権性を緩和していたわけですが、第三者視点で語られるア
ニメ版では、その手法をとらず、瑞穂さんのキャラ立てから
男性性の要素を薄めることで、作品を整理しています。
他人に聞かれることのない内心の声でも、「〜なのよね」
と言わせてしまうくらいです。
結果、そもそもの設定から喚起される倒錯性のようなもの
が薄れ、作品として淡白になったとも評せますが、僕個人
としては爽快さが優先された、正解の方向性だと思ってい
ます。
おかげで、「下級生の唇を奪う○○お姉さま」みたいな濃い
倒錯系のギャグが挿入される余地がなくなってしまったわ
けで、それが残念だという意見も理解出来ますけれど。


ただ、それで作品が上品になったと言い切れないのは、何
故か時々、見せてはいけないもの(察してください)が見え
るシーンが発生するからですね。
エピソードによっては全く挿入されない一方で、見せる必
然性がないようなショットでも、見えてしまったりするエピソ
ードがあったりする不統一は、作品全体を評価する上で、
とても困ってしまいます。
こういうことって、「見せる」「見せない」という作品カラーは、
あらかじめ規定されていそうなものですが。むむ。


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「ペルソナ3」は、いよいよタルタロス最後の番人シャドウ
を撃破し、最終決戦を迎えるまであと一週間、という辺り
です。たぶん最後の戦いは、相当に大変だと思うので、
お休みの日を待ってから、時間をかけて集中して挑みた
いです。
現在のレベルは65ですけど、大丈夫でしょうか……。

2006年11月27日

「乙女はお姉さまに恋してる」は、第4話まで見ました。


というわけでこちらでも、「乙女はお姉さまに恋してる」
第4話「開かずの扉の眠り姫」まで見てみました。
そういえば、原作ゲーム(PS2版)発売が昨年末でしたか
ら、そろそろ1年経っちゃうんですね。はやいものです。
それ以降、「当たり」のゲームと出逢えていないような気
もします。


ともあれ、原作ゲームを楽しんだ者の目から見て、このテ
レビアニメ版でのストーリー再構成は、それなりに上手く
やっている方だと思います。「原作の大切なアレをスルー
した!」ということは特に無かったような。
今回初登場の一子ちゃんも、ゲーム版に負けないくらいに
頑張ってマシンガン喋りしてましたし。
しいて言うなら、エルダー選挙の前に、瑞穂さんが奏ちゃん
を励ますくだりは、選挙戦において有効な材料として機能
した筈だから、話の筋の説得力という意味で、アニメ版でも
あった方がよかったかも、くらいですね。
逆に余計に付け加えられたものというと、第4話の一子ちゃ
ん登場シーン前後で、見えてはいけないものがいくつか見
えていた点になるでしょうか。
ここまでのお話では描かれなかったので、「そういうことは
やらない作品」だと思っていましたから、少々ショックでした。
今後、過激に繰り返されるようでしたら、視聴は停止という
ことになると思います。


ゲームと違い、より客観視点から描かれるようになったこと
で目立ってしまったのは、二度ほどあった、世界史の授業で
の、瑞穂さんと貴子さんの私語ですね。
ゲーム版では瑞穂さん主観でしたから、貴子さんの台詞にだ
け集中していればそれで良かったのですけれど、私語をする
2人に客観視点からカメラが向けられ、先生の声も大きく流れ
るアニメ版の描写では、話の内容より、「生徒の模範たるエル
ダーと生徒会長が、そんなに延々授業中私語してたらダメで
すっ」ということに気づいてしまいました(笑)。


個人的な希望を言うと、全12話というこのテレビアニメ版で
は、特定のヒロイン・ルートまで描かずに、12月の降誕祭辺
りまでのいい雰囲気で、なんとなくまとめてくれるのでもいい
かなと思ってます。各ヒロイン・ルートはOVAとかで。
広告ビジュアル的なメイン・ヒロインは紫苑さんかもしれない
ですけれど、シナリオの重みというか深さは、ヒロインみん
な同じくらいだと思うので、誰かを選ぶ決定的な基準がない
といいますか。
あるいは、アニメ版は完全オリジナルの展開、というのもあ
りかもしれませんけど。


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別に返句というわけではないんでしょうけれど、引き続き
りょうさんが書いてくれていた、「ペルソナ3」の主人公とゆ
かりッチさんの会話というか寸劇が、いい雰囲気なので嬉
しいです。というか、こういうのを読めるのなら、プレイした
価値があったと思うわけです。うんうん。
確かに運動部に入部していれば、同じ運動部のゆかりさん
に「(一緒に)がんばろ!」って言ってもらえたんですよね。
部活の帰りに一緒になったりとか。惜しいことしたなあ(笑)。
でも僕が生徒会を選択したのも、合理的な理由と同じくらい
に、「美鶴先輩に頼まれたら断れないよね」ということがあっ
たんですけれど。ああ、その辺が、主人公に自分(プレイヤ
ー)が入っちゃってる、ということかも。
もう一つは、美鶴先輩が主人公のことを「適応能力がある」
と評価していたことで、他人との関わりによって進化する
「コミュ」を増やすことが重要なこの作品では、部内の狭い
輪以上の、多くの校内関係者との会話や折衝が求められる
生徒会の方が、より役立つかもという想像もありました。
ともあれ僕も、頑張ってプレイするのです。

2006年10月10日

「乙女はお姉さまに恋してる」第1話、見ました。


昨日から引き続きの話題になりますが、秋の新作アニメ
「乙女はお姉さまに恋してる」公式サイト)の、第1話
「口紅(ルージュ)をひいた王子様」
を見てみました。
神戸サンテレビでは昨日からでしたが、今夜はCSのキッ
ズステーション
でも放送が始まるので、全国的に見られる
人が一気に増えると思います。
実は秋新番でちゃんと見るのは、これが最初なのですけ
れど、先週からずっと他の作品も、第1話を録れるだけ録
画はしてあり、OPだけはざっと見ています。


一番感触がよかったのは、実は原作を(ジャンプ買ってる
のに)全然読んでいない、「鋼の」……もとい「D.Gray-man」
だったりしましたが。内容まで見るかどうかはわかりません
けど、ヒロインさんはいい感じでした。
前作をよく知らない「ギャラクシーエンジェる〜ん」は、あん
まり画面をゴチャゴチャさせずに、せっかくなんだから、
もっと可愛くダンスさせてあげればよかったのに……です。
あと、「ガンダムSEED3」とか(←それ違うからっ)「コードギ
アス 反逆のルルーシュ」
とかもありましたけれど、特にピ
ンとは来ず……。主役メカがフィーチャーされていないか
らかな?
二週目の放送までに、本編を見る機会がなければ、それっ
きりになると思います。
あ、某委員長様が絶賛されていましたので、こちらでは明
後日からの放送になる「くじびきアンバランス」はチェックし
てみますね。ちなみに僕も「げんしけん」は未読です。


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さて本題の続き。
「おとボク」アニメ化において一番懸念されていたのが、
原作ゲーム版から総入れ替えとなったキャストなんです
けれど、僕の場合もそんなに違和感はなくて、無難にこ
なしているなあ、というのが第一印象です。「これは違う」
みたいな拒否感はなかったですね。メイン・キャラで声
が聞けていないのは、あと一子ちゃんだけですか。
演技的な見せ場はこれからでしょうけれど、とりあえず
は大丈夫そうですね。


ファースト・エピソードとしての構成は……。
僕自身が、先にゲーム版で物語も世界観も把握している
ために、想像は難しいのですけれど、この「おとボク」に
初めて接する人が越えなくてはならない壁は、たぶん「女
装した男の子が女学院に入学する」という、物語の大前提
ですよね。これを受け入れられなければ、それ以上先に
は進めませんから。
そういう観客の視点を牽引する役目の、主人公である瑞
穂さんの心理における、第1話で示された行動の理由付
けは、外的には「祖父の遺言」、そして内面的には、世話
をする姉が出来たと喜ぶ奏ちゃんの姿によって、「こんな
自分でも必要としてくれる人がいる」という関係性の始ま
り、でした。
キャラクター・アニメとして見た時に、後者がエピソード
のまとめとして配置されたのは、とりあえず理にかなって
いると思います。紫苑さんとの出会いは……、理由付けと
してはまだ弱いですけど、シーンの「絵」の魅力としてはあ
りかな?
男性が女性を演じてバレない、というお約束をクリア出来
るのなら(まあ、その辺の説得力は皆無ですけど)、導入
部としてはまずまずでしょうか。
今後アニメ版がどのヒロイン・ルートを描いていくのか、あ
るいは全く違う形で再構成していくのかはわかりませんけ
れど、仰るような少女達の内面の機敏を描けるくらいに、
世界が高まっていくといいですね。


というわけで僕の方も、録画は続けますが、視聴について
は先送りしておきますね。ゲームの方をゆっくりと堪能し
てください。


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ちなみに原作小説版の「マリア様がみてる」(今野緒雪)
は、先日第1巻に目を通す機会がありましたので、いずれ
コメントするかもしれません。

Happy is the way to meet your burdens.
No matter how heavy or dark the day.
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