2007年05月28日

「RED GARDEN」ドラマCD、聞きました。


というわけで、優しいりょうさんの心遣いによ
り、こちらでも「RED GARDEN」のドラマCD
「Red Garden 岩 Mix」を聞く機会をいた
だけました。
えっと、公式サイトでも紹介されているのに
もかかわらず、僕はこのドラマCDの存在自
体を、今までまったく知らなかったのですね。
そもそもが、積極的にドラマCDの類を聞く方
ではなくて、最近耳にして、今でも時折楽しく
聞き返す機会のあるドラマCDというと、
「ARIA」「貧乏姉妹物語」「アカイイト」「舞-
乙HiME」「処女はお姉さまに恋してる」くらい
ですね。
って並べると、作品の傾向というか偏向が丸
わかりですが(笑)。


今回の「RED GARDEN」ドラマCDの場合、
本編の内容自体が、ギチギチの逃げ場のない
シビア路線ですので、りょうさんの感想記事内
で紹介されていた各章のタイトル、

01.『岩!岩!ザ・レッドガーデン』
02.『私を岩盤浴に連れてって』
03.『ドキドキ魔女っ子ケイトちゃん!』


を目にした時も、
「…………。……えっと、これはやっぱりネタ記
事かなあ? ちょっと遅めのエイプリルフール
ということで? いやいや、僕じゃあるまいし、
りょうさんはそんな事する方じゃないし?」
みたいな感じで、瞬間すっごく戸惑いました。


で、そういう戸惑いを察したりょうさん側から
提供を受けまして、実際に聞いてみたドラマ
CDの中身はといいますと、まあ、なんていう
か、「これ、オフィシャルだよね?」と30秒に
1回くらいはCDを止めて笑いをこらえなくちゃ
いけないくらい、はっちゃけにはっちゃけた内
容でした、はい。
世間一般で売られているアニメ作品のドラマ
CDの内容傾向というと僕にはわかりませんけ
ど、「RED GARDEN」の場合は本編が本編だ
けに、逆に鬱憤晴らし(笑)として、ここまでや
るのも僕は爽快な気持ちですね。
本編のイメージが崩れる危険性、ということ
については、エミリオ氏が代表して、一手に引
き受けてくれているというか、そのショック(笑)
で、他の人なんてどうでもよくなる感じ? 本編
では、一番まともな部類の人だったのになあ。


そうですね、全体を通して聞くと、真の主役は
ジャケットでもメインを張ってる風のルーラさ
んですか? 
台詞が多かっただけでなく、4人やJCとの絡
みの中で、人間らしい本音の言葉がたくさん
聞けたのは美味しかったかなと。
また4人の、そういう年頃の女の子らしい普通
の会話(ルーラさんへの悪口含む)をたっぷり
聞けたのもよかったですよね。文字通りの、
裸の付き合いの会話っていうか。
個人的に一番受けたギャグは……、第1話で
エアギターの練習に燃えるポーラさんとジェシ
カさんを目撃してしまったケイトさん(16分30
秒辺りから)の、「いやだ……いやだ……。あ
そこには加わりたくない! ポーラさん、ジェシ
カ……、はいいや」という突き放しっぷり?(笑)
ジェシカさんも結構壊れてましたが、ライバル
のケイトさんよりずっと多く、ポーラさんと一緒
にいられたみたいだから、それはそれでよか
ったのかなと。


今聞くと、ケイトさんがエルヴェの役に立とうと
健気に頑張ったり、エルヴェの妹アンナちゃん
がまだ元気だったりとか、胸に痛い部分もあっ
たりするのですが、いい意味でのサービス編と
して、僕個人は聞けて嬉しかったです。
いつもですけど、多謝なのです。


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★「ペルソナ3 フェス」の方も、いただいた
アドバイスのおかげで、無事に夜の路アンテノ
ラB20の門番を撃破し、続く哀の路トロメイアの
B8の門番も勢いで撃破した辺り、ですね。買い
物はやっぱり重要なのです。
次は美鶴さんの回想イベントが見られるという
ことで、楽しみだったり心配だったり。
ゆかりッチさんと同じく、そういう過去の傷みた
いなものはさらけ出したくない人ですし。
あ、真田先輩回想の、中学生の時の「りりしい
女子生徒」姿みたいなのがまた見られるという
なら嬉しいかもですが(笑)。


posted by mikikazu at 11:17 | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月21日

「RED GARDEN」、見終えました。


というわけでこちらでも「RED GARDEN」
公式サイト)の、第21話「最後の朝」と、
ラストエピソードになる第22話「光」につい
て、野暮にならない範囲で少しだけ述べて
おきますね。


既に地上波放送は終了しているこの「RED
GARDEN」ですけど、ちょうど今週の土曜日、
5月26日から、CSのアニメ専門局AT-X
2話ずつのリピート放送が、6月1日からは
インターネット放送局のミランカでもリピート
が始まるようなので、未見の方は、ぜひそ
ちらでチェックなのです。
DVDの方は、豪華BOXセットのみリリース
中ですが、レンタルにも入るかもしれない
通常版の予定はどうでしょう。6話入って
売価1万5千円くらいなら、アニメのDVDと
しては普通の値段になるのかもしれません
けど、誰でも買えるわけじゃないですし。
ともあれ、以下クライマックスまでのネタバ
レあるかもなので、お気をつけください。


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僕が、アニメなり実写映画なりを見ていて一
番戸惑うのは、物語の文脈に沿った、必要と
される描写がなされない時です。
全てをわかるように説明しろ、といっている
のではないのですが、エンターテインメント
作品の物語構築においては、「こうなったが
故にこうなった」という論理性が、ある程度
まで必要だと思います。
その論理の流れを決定するのが、物語の文
脈であり、ドラマの性質であり、世界観であっ
たりするわけですが、その流れが明確でない
と、「なんでこのキャラはこんなことするの?
/言うの?」という戸惑いの方が先に生まれ
て、感情移入の妨げになります。
もちろん、そういった戸惑いが発生するレベル
は個々人によって違っていて、その人の嗜好
を優先し、語られぬ行間を色々と補完していく
のも、作品の楽しみ方のひとつとして面白いで
しょうね。


で、ご存知のように僕は心がとても狭いので
(←あ、自分で言っちゃってる)、作品を見な
がら、前向きに補完していくほどの余裕がな
かなかに持てなかったりするのですが、この
「RED GARDEN」の場合、そういう風に「足り
ないもの」をほとんど感じることなく、最後まで
与えられた情報に満足して、視聴を終えられた
と思います。世界の雰囲気にしても、キャラク
ターの心情にしても、なにも不足がなかったと
評価したいです。
すっごく端的に言ってしまうと、「きちんとドラマ
が語られていた」という満足感ですね。


ある映画監督さんが、「若い人は『ドラマをや
りたい』と言って映画の現場に来るんだけど、
ドラマをやるんだったら、時間の限られた映画
じゃなくて、いくらでも掘り下げる余裕のある
テレビの方だよね」というようなコメントをされ
ていたことがあります。
僕は、作家性の一発勝負的な映画の世界も
好きですが、それとは違うテレビ――実写のテ
レビドラマは全く見ないので、テレビアニメの
ドラマという括りになっていまいますけど――
の、長い時間をかけて構築していく物語の流れ、
みたいなものも大好きです。
2時間の映画では味わえない、一つずつのエピ
ソードを積み重ねて描かれていく、それぞれの
キャラクターの人生の波乱と決断の重みは、テ
レビアニメだからこそ描ける種類の楽しみだと
思います。


アニメの場合、大きな魅力である映像様式と、
ドラマの中の、リアリズムのバランスというもの
がとても難しかったりするのですが、「RED
GARDEN」は、後者に重きを置いた成功作で
しょう。
少女達のグループが、人間離れした能力を得
て、敵との戦いを余儀なくされていく、という説
明だと、同じような設定と言ってしまえる「Yes!
プリキュア5」を見るのが楽だと語ったことがあ
りますが、それは「プリキュア5」が、「RED
GARDEN」とは逆に、集団変身ヒロインバトル
物という、ひとつの様式・フォーマットに大きく
沿った作風だからですね。
別にそれで優劣があるというわけではなく、
ただどちらも違う作品だ、というだけのことで
すけど……。


1話完結エピソードのラストに用意される敵と
のバトル、というフォーマットが固定されてい
ることで、語り口が必然的に集約され、論理性
を与えられる構造の「プリキュア5」に対して、
「RED GARDEN」はずっとリアリズムに寄りなが
ら、見る側に戸惑いを与えない、感情移入出来
るだけのドラマの完成度を備えられていたと思
います。
先日視聴した「おにいさまへ…」も、そういう意
味でのドラマの完成度を備えていて、続けて
高評価出来る作品と出会えたのは、とても嬉
しいです。
いつもですけれど、見る機会を与えてくれて、
ありがとうございました。


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以上の文章は、あくまで僕個人の「RED GAR
DEN」評価の理由に過ぎないので、物語批評と
いうものではありませんが、よりちゃんとした、
(そして僕の不得意な)作品のモチーフ的な読
み取りについては、りょうさんの文章の方が、
ずっと興味深く読めると思います。
第21話の、本編の雰囲気に優しくそえられた
ような、おそらく最後の感想寸劇も合わせて、
余韻を共に味わいたいですね……。


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むむっ。夜の路アンテノラ8Fで美鶴先輩の
私服(冬服)を入手出来ましたが、別にグラ
フィックが変わるわけではないのですね。
本編新版では、私服も含めてコスチューム変
化があるという話でしたので、こちらでも少し
期待してたのですけど。
寸劇にならって、ゆかりさんに逆に着せてみ
ようかとか不埒に思ってたのですけど。
ショックなので今日はここまで(笑)。
でもはやく、はやく第四の扉を突破しなくちゃ、
新作ファン小説「アンファン・テリブル」を
読めないわけですし、引き続き頑張りますっ。

posted by mikikazu at 09:04 | Comment(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月18日

「RED GARDEN」第20話、見ました。


というわけで、こちらでも引き続き、「RED
GARDEN」
公式サイト)の第20話「残さ
れた部屋」
を見てみました。
例のDVDのCMは、ローズにレイチェルまで
歌い始めましたが、これって結局売り上げ
に貢献したのかな? 
エルヴェお兄ちゃん役の子安武人さんが、
違う意味で悩ましく歌い上げれば、その違う
層にアピールしたかも。
あ、子安さんは、視聴中の新番「地球へ…」
でも、先週放送の第6話から登場した、もう
1人の主人公的な立場らしいキャラクターの、
キース・アニアンを演じておられるのですが、
嫌味のない美形天才という、こちらもとても
よい役なので、番組的にも視聴意欲をそそ
ります。エルヴェお兄ちゃんと同じく、今後
はいろいろと苦労しそうですが……。


そうですね、通常の2クール構成作品よりは
少し短めの、全22話であるこの作品、残すと
ころ、このお話も含めて3エピソードですか。
両陣営がついに最終決戦を覚悟し、物語全
体的には行き着くところまで着た、という感じ
ですね。
国家間戦争でもないにもかかわらず、それぞ
れ引けない事情を背負った2つの勢力が殲滅
戦に突入するというクライマックスで、最近に
見た作品で思い返すのは、「ギルガメッシュ」
(03〜04年 公式サイト)になります。  って
社長が ←懐かしいかも
能力に目覚めた主人公が戦いに巻き込まれ
ていく展開、アニメートしづらいだろうキャラク
ター・デザイン、魅力的なお姉さんキャラなど、
共通点も多いです。「ギルガメッシュ」にミュー
ジカル・シーンはありませんでしたが、みんな
で「ぶーらぶら♪」を歌ったりはしましたし(笑)。


二つの陣営に対立を余儀なくさせる要因とし
て、「ギルガメッシュ」の方は目に見えるシェ
ルタリング・スカイに象徴される、物理的な世
界の閉塞が、「RED GARDEN」の方は呪い
という、目に見えない「血」の中に原因が用意
されていて、対照的です。
どちらの作品も、そういった大きな設定的縛り、
俗に言えば「運命」に翻弄される個人のドラマ
を、一方でそれぞれきちんと構築し、終焉を迎
えられていると思います。
故・大藪春彦氏の名言を借りれば、

「運命に従うのも運命 運命に逆らうのも運命」

という境地に、作品が達しているというか……。
「ギルガメッシュ」の結末は、知っている人は
知っているわけですが、「RED GARDEN」のキ
ャラクター達は、運命に対して、どこまで従い、
あるいは抗っていくでしょうか。そこで常に個
人の選択が描かれていく限り、作品としての成
功は間違いないと思います。


次回は、いよいよ待ちに待ったケイトとポーラ
さんのデート
もとい、決戦前夜(前日?)の、
各キャラクターの覚悟を描いていくという、僕
個人としても、作品的には雰囲気として一番
のクライマックスにあたるエピソードになりそ
うですから、心して見届けますね。
それまでは、りょうさんの書かれた「ケイトさん
の『両手に花エンド』」話で、ちょっとだけ心を
休めておいたり……。


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★「ペルソナ3 フェス」攻略のアドバイス、
色々とありがとうなのでした♪ 戦術やアイテ
ム購入の参考にしますね。
第3の扉以降は、せっかく美鶴先輩が参戦出来
るようになったのですから、ゆかりさんと一緒
にさせてあげようと思っていたのですが、戦術
的にはあまり美味しくないわけですね。むむ。
今は、力の路カイーナ14階バトルで苦戦中とい
った辺りです(レベル40)。
お話的には……妙に硬いゆかりさんの態度も
ありますけれど、ただただ下降していく地獄巡
りといった雰囲気の展開は、ある意味息がつま
りそうですね。各キャラの過去の傷展示も続き
そうですし……。
息抜きとして、そちらの寸劇を活用させてもら
ってますね(笑)。 相変わらずメティスが可愛
いなあ、と♪
posted by mikikazu at 08:52 | Comment(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月30日

「RED GARDEN」は第18話まで見ました。


えっと、あれこれしている間に、こちらの方が
遅れてしまっていたので、いささか急ぎ足で
申し訳ないですけれど、「RED GARDEN」
公式サイト)は第18話「わずかな、望み」
まで見てみました。


心情的なことでいうと……、ここ最近アニメ
作品で感じることは稀だったんですが、バッ
ド・エンドじゃなくて、なんとか主役の4人及び
関係者のみんなが救われて欲しいと思う一方
で、4人は死ぬか記憶を失うしかないという
真実が現時点で明確にされた以上、最後まで
その筋を通して終わるべきだという気持ちも
あって、正直難しいです。
4人の心を描く語り口が、ここまで崩れずにき
たことはとても評価していますし、最後まで
それを貫くなら、18話ラストでの4人の決意
に従って、見る側としても覚悟をしなくては、
とも思っています。
よくありますけれど、「この戦いで力を使い切
った主人公はまず助からない」のような設定
でラストバトルを盛り上げておいて、最後の
最後に「奇跡」が起きてハッピーエンド、みた
いなご都合主義は、この作品にはそぐいませ
んものね。
奇跡なんかじゃなくて、運命に抗う個人の意
志と行動により、「引かれたレールから飛び出
して第三の道を選ぶ」という展開になるのなら、
僕も嬉しいですが。
1人の人間に出来ることの限界が明確なこの
作品だからこそ、その力により「奇跡」を成し
遂げられるとすると、結末として素敵だとは想
像します。甘過ぎでしょうけど……。


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個人という目線からの、「人との距離」を描く
のが、この作品の、作り手の意図とは関係ない、
出来上がった物語から浮き上がって見える、
僕にとってのテーマのひとつなんですけれど、
それはやはり、舞台をニューヨークに設定して、
日本的なウェットさを排除したからこそ描けて
いるものだと、あらためて思います。
僕はニューヨークで暮らしたことはないですか
ら、あくまでイメージで考えているだけなんで
すけれど、多人種国家アメリカでも、特にニュ
ーヨークは、アメリカ国内からだけじゃなくて、
世界の色んな国から集まってきた、「他人」の
集まった街だ、という印象があるんですよね。
もちろんニューヨークの中でも、色んな地域
があると思いますが。
実際にニューヨークで暮らしている人が「RED
GARDEN」を見て、リアルだと感じるかどうか
は別の問題ですけれど(正規にリリースが始
まれば訊いてみたいです)、少なくとも個人
という目線からの、「人との距離」というテー
マを、こういうキャラクターで描くという目的
のためには、正解の選択だったと、僕の中で
は受けとめています。
これが同じアメリカでも、「カレイドスター」が
舞台にした西海岸のサンフランシスコ(辺り?)
だと、また違った感じになるでしょうし。
「RED GARDEN」と「カレイドスター」の比較論
って、誰かなさってないでしょうか。


「語らなくてもわかりあえるものがある」という
日本的ウェットさとは違う、「語らなくては何も
伝わらないし、わかってももらえない」という他
人同士の距離と関係性がはっきりしている空
気が、この物語には必要だと明確ですし、キャ
ラの演技も然りです。
そういう意味で、色んなパーツの配置が正解な
この作品であるからこそ、幕の閉じように期待
するものも大きくなります。どうなるでしょう。


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★あ、まりやさんのお茶でも、もちろん僕は
よろこんでいただきます。それくらいの覚悟
はありますし。
↑「なんで『覚悟』、だ――っ!」byテーブルを
ひっくり返すまりやさん
posted by mikikazu at 08:47 | Comment(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月02日

「RED GARDEN」第14話、見ました。


引き続き、「RED GARDEN」は、第14話
「戦う理由」
を見てみました。


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明らかになった裏の立場はさておき、ポーラ
さんのケイトに向けた個人的感情が、どうや
ら真実のものであるらしいことに、安堵してい
いと思います。されてますよね? そちらの感
想がすごく楽しみですけど。
一つの危惧として、これまでポーラさんがケイ
トに向けてきた気遣いは、全て任務のための
お芝居に過ぎないのでは、ということがありま
したので、ここで人間としての、ポーラさんの
感情があらわにされたことは、今後の展開を
予想・期待する上でも、とても意味があると思
います。
肝心の想い人の方は色々とそれどころじゃな
くって、「ケイトが自分から心を開いてくれる
のを待っている」のだとしたら、なかなかに報
われなさそうですけど……。さらにポーラさん
を想っている子もいるわけですし。


ケイトに対する気持ちと、組織の一員としての
立場の狭間にあるポーラさんの描かれように代
表されるように、この作品の魅力のひとつ、少な
くとも僕個人に、途中で投げ出さず見続けよう
と思わせている理由が、そういった「情」と「理」
のバランスなんだろうと思います。
例えば本格推理作品だったら、作中キャラの示
すどんな心情も、探偵の絶対知性に基づく謎解
き行為の「理」が超越して構わないわけです。
でもこの「RED GARDEN」は、それよりもずっと
視野の広いドラマで(狭いからダメというわけで
はありません)、それぞれのキャラクターにおけ
る情理の幅が、個人という枠の中で、上手に揺
れ動いていると思います。
そしてその揺れ動きが、無理に人間性を破綻さ
せたりせず、人間として見える範囲・動ける範
囲で、個々の物語を少しずつ構築していく語り
口に、僕としては納得しています。
今回はローズまで大ジャンプ出来るようになっ
ていましたが、それが出来た前提として、「レイ
チェルにもう迷惑をかけたくない」という、ローズ
の目線に合った動機が用意されていましたか
ら、素直に受けとめられました。


狂気でも絶望でも理由は色々あるにしても、
あるキャラを無理に暴走させて、ドラマを進め
ようとすると、展開は派手に出来る一方で、
他のキャラがただその暴走の被害者でしかな
いという、語り口の視点の集中と単一化も生
んでしまいます。
端的に言うと、「みんなの力をオラにくれ!」で
片付けられてしまえるようになってしまう。
特に活劇作品における、盛り上がりのための、
そういった演出を否定はしませんけれど。
「RED GARDEN」の場合は、現時点でも語り
口の視点は、各キャラに公平に分配されていま
すので、わかりやすい「ひとつの解答」がいまだ
に予想出来ず、彼女達の日々の、一歩ずつの
歩みと戸惑いを見つめるしかない、という気持
ちになっていきます。


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エルヴェがケイトに、「世界を敵にしても妹は
守る」という、心情としての真実だけは吐露し
たことで、ケイトにしてもその部分では、エルヴ
ェという個人を受けとめた上で、逃げようのな
いこれからの状況と向き合わなくてはならなく
なりました。
「敵だから」「狂って暴走してるから」と、相対
者を簡単に否定出来れば楽ですが、それで
は済まない局面に、さらに物語は進んでいき
そうです。見守りましょう。



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2007年04月01日

「RED GARDEN」第13話、見ました。


とりあえず今日はそういう日にしても、
凝り過ぎです、葛ちゃん(笑)。
毎年のことながら、労力惜しまないなあ。


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えっと、春新番の方も、ぼちぼち始まりつつ
あるようですね。
うちの方で、とりあえず前向きにチェックして
みるつもりなのは……、

「アイドルマスター XENOGLOSSIA」

くらいですか? 直接の「舞-HiME」シリーズ
ではないにしても、一応その雰囲気を継承し
た作品にしたいそうですし。原作のゲームに
ついては何も知りません。
あ、「NOIR」「MADLAX」に続く百合ガン・アク
ション三部作の完結編(?)であるらしい「エ
ル・カザド」
も見るつもりでしたが、残念ながら
関東・テレビ東京だけの放送だと、いま知りま
した。
慣例に従えば、数ヵ月後くらいにAT-Xでも放
送するかもなので、それを待ちますね。
ちょうどアメリカでも原作本が翻訳出版されて
(竹宮惠子さんの作品は、これが初めてらしい
というのも驚きですが)、各所でレビューが盛
んな「地球へ…」も気にはなりますが、それこ
そ出来次第では、ずっと昔に読んだ筈の原作
を再読した方がいいかも?


「魔法少女リリカルなのはStrikerS」につい
ては……。
なのは達が教官・隊長の立場に退いて、新人
の新主人公達が活躍という設定に、「テッカマ
ンブレードU」の悪夢も思い出したりして、なか
なかにテンションが上がらなかったり……。
そういう設定にしちゃうと、なのは達が活躍
してしまうと、新主人公達の立場は?という
ことになるし、逆に新主人公達ばかりが活躍
してしまうと、前作同様に「タイトルロールで
あるなのはの意義は?」みたいになって、色
々難しいのではないかと……。全員のキャラ
をまとめて立てるにも、もはや数が多過ぎに
なってしまっているし……。むむ。
もちろん実際に見てみないとなんにもわから
ないですし、シリーズ初の2クール枠というこ
とで、余裕をもって語れる時間はあると思い
ますから、あんまり構え過ぎずに、第1話を
見てみたいと思います。


他に「これは見ておいた方が……」という作品
がありましたら、お薦めよろしくです。


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本題の「RED GARDEN」は、こちらでも
13話「休日」
を見てました。
色々と、裏の顔やつながりが発覚してきたキ
ャラもいますけど、某ミステリじゃないですけ
れど、「実は全員が……」みたいな展開もあり
かなーとか思ったり。
ポーラさんもそうですが、ローズの親友サラと
かも、ああ見えて実は……だったりしたら、作
劇としてのショックも大きいでしょうし。
って、キャラの心情を無視したひどいこと言っ
てしまってますが(笑)。


「実は……」系の展開は、その場その場での
インパクトはあるにしても、主役4人の立場を
中心とした物語の流れに対しては、単なる障
害というか通過点にしかならないので、さっさと
それぞれの立場を明確にして、状況に立ち向
かう、人としての決意というか、生き様みたいな
ものをぶつけ合って欲しいとは思います。
生き残ることで精一杯の4人には酷な要求では
あるのですけど……。
頑張ってはいるけど、まだ何も出来ないローズ
に顕著なように、そこで無理な背伸びをさせな
い、というリアリズムもありですが、なんという
か、見る側としては、主役の4人の女の子達に
は、運命に翻弄され続けるだけじゃなくて、最
後には逆襲もして欲しいという、応援の気持ち
もすごくあったりで……。ただ運命に各個撃破さ
れていくだけ、では悲し過ぎます。


そういう意味では、妹と従妹を救うという個
人としての、主体的意志が明確なエルヴェが、
まず展開の中心にくるというのはわかります
し、彼の策謀に対する、ルーラ側の組織のカ
ウンターも早く展開されないと、大きな枠での
物語のうねりが生まれませんよね。
心情的には絶対的な悪人が存在しないという
世界観は、エンターテインメントとしての落とし
どころが難しい一方で、安易な全面ハッピーエ
ンドの回避が許されるとも思うので(ここまで見
てきた人なら、そういう覚悟も出来ているでしょ
うから)、あとは見守るのみ、なのですが。


ケイトの、エルヴェお兄ちゃんとのデートでの、
浮かれ具合についてはノーコメント(笑)。
初めてのデートで、相手に途中で帰られちゃっ
たら、「何かマズいことしたのかも……」と落ち
込むかと思ってたら、そうでもなかった?ですし。
べべべべ別にっ、リアルでそういう実体験があ
ったわけじゃないですからねっ。勘ぐっちゃい
けませんなのでありますっ。

posted by mikikazu at 11:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月28日

「RED GARDEN」第12話、見ました。


ところで、明治大学のアニメ研究会の方は
いらっしゃいますでしょうか?
カナダ・トロントの、ヨーク大学アニメクラブ
YAMA Anime & Manga Association
会長であり、ポッドキャストAnime Round
table
の出演者の1人でもあったClarissa
Jewell クラリッサ・ジュエルさんが、この4月
から1年間、交換留学生として、明治大学
のキャンパスで学ばれる予定だそうです。
なので、もしジュエルさんを見かけたり、彼
女が助力を欲しているようでしたら、アニメ
ファンの縁ということで、よろしくお願いしま
すね。あるいは既にアニメクラブ同士で、交
流などあるのかもしれませんが……。
僕個人がジュエルさんと直接交流があるわ
けではありませんけど、Anime Roundtable
の最終出演回(3月22日放送第18回)では、
「秋葉原に行くのも初めてになるよね」という
問いに、「その通りよ!」と期待いっぱいの
感じで嬉しそうに答えておられました。
他にも日本国内に限らず、アジア地域で色々
と行ってみたい場所はあるご様子です。


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さて本題。
引き続き「RED GARDEN」公式サイト)の、
第12話「エルヴェお兄ちゃん彼の思惑」
見てみました。
最近こちらの視聴ペースを上げちゃってます
が、負担ではないでしょうかと心配も少し。


ともあれ僕はずっと地上波放送版で視聴して
いるのですけど、今話放送で初めて挿入され
た?、「普通」のDVDのCMを見てしまうと、逆
に落ち着かないのが自分でも変ですね(笑)。
まあ、普通のもないと、歌ってるのだけでは知
らない人には「???」って感じでしょうし。
いっそのこと「シェルブールの雨傘」(64年 ジ
ャック・ドゥミ監督)みたいに、全編の台詞が歌、
みたいなエピソードも見てみたかったり(笑)。
作画と収録は死ぬほど大変でしょうけどね。


本編内容での、僕的なヒットは、ユアンに対す
るクレアの、背後からの見事な蹴りでしょうか。
不器用にもほどがあります(笑)。
なんだかユアンって、ボーイフレンド的な立場
が全然羨ましくないです。
それでもまあ、なんとか関係は修復出来たよ
うですし、レイチェルはルークと、ケイトはポー
ラお姉さま&エルヴェお兄ちゃん(後者はサブ
タイトル通りに思惑込みですが)との恋愛的な
関わりのお話が進んでる一方で、ひとり蚊帳
の外なのが、ローズですか。
これは前回の感想で述べた、学園内の階層
構造にもつながることですが、学内でローズの
相手を探そうとすると、必然的に彼女と同じ階
層の男の子にしかならない。
それが悪いというわけではなくて、全体のお話
の中では、そういう使い勝手のない男の子だと
居場所がないでしょうし、弟妹の面倒をみなく
てはならないローズにも、恋愛している現実的
な余裕はないでしょうしね。
入院しているお母さんに、髪の毛を触ってもら
う描写なんかは、僕自身に経験がないだけに、
微笑ましくも羨ましい、同性同士の血縁の、理
解出来る無言のやり取りという感じがしました。
屋上での恋愛をめぐる4人の会話は、ホントに
青春ドラマの女の子同士の会話そのまま、とい
う雰囲気でしたし、そういう意味では、やはり
アメリカの学園内生活についての描き方は、
的を射ていると思います。


あと思ったのは、やっぱりケイトでも、男性と
デートする時はあんな感じになってしまうんだ
なあ、ということ? 「はい♪」とか弾んだ声で
言ってましたし。いや、いいんですけどね。妬い
たりしてるわけじゃないですよ、まさかもちろん。
これで、妹キャラに弱いという設定の(←いつ
決まったんですかっ)エルヴェが、本気で篭絡
されたり、それを目撃したポーラお姉さまが恋
慕の念を燃やして暴走を始めたりしたら面白い
ですよね。というか、それはもう違う作品になっ
ちゃいます(笑)。


……ああ、今回は真面目な作品考察をする
余裕がなくなっちゃいましたが、それもまたよ
しですっ。


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コミカルとシリアスそれぞれの、ケイトと
ポーラさんの寸劇、面白く素敵に拝読しま
した。雰囲気作りの上手さは、いつもさす
がだと思います。
出番は少ないですけれどポーラさんとの
ドラマも、今後さらに展開がシビアになっ
ていく中で、どういう方向に転がっていく
のか、不安だったり楽しみだったり……。
あ、「月姫」は老後に楽しむには内容的に
怖過ぎかもです(笑)。
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2007年03月25日

「RED GAREDN」第11話、見ました。


というわけで引き続き「RED GARDEN」
公式サイト)は、第11話「それぞれの想
い」
を見てみました。
うかうかしているうちに、地上波放送は終了
するは、OVAは告知されるはで色々ですが、
とにかくネタバレには気をつけたい今日この
頃です。
またGyaOでは現在、その最終話までを含む
全22話を今月いっぱい配信中だそうですか
ら、興味のある方はチェック〜なの〜♪←作
中ミュージカル風でよろしくっ
あ、それに、第10話感想での、りょうさん
よる心理学的見地からのテーマ的読み解き
も、とても参考になるのです。


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この「RED GARDEN」の日常パートは、アメ
リカ・ニューヨークの、ある学園を舞台にして
います。
お勉強というわけでもないのですが、アメリ
カの学園映画の歴史について解説した「ハ
イスクールU.S.A.―アメリカ学園映画の
すべて」
(長谷川町蔵・山崎まどか 国書
刊行会)という本に、目を通す機会がありま
した。
アメリカの学園映画というと、僕はジョン・
ヒューズ止まり(つまり80年代まで)の認識
しかないのですけれど、アメリカの学校には、
それぞれのグループによる明確な階層差が
あり、その違いがドラマを生む素地になると
いうことが、この本における映画を見る視点
の、ひとつの立脚点ですね。
対談形式の文章は特に面白みがあるわけ
ではありませんが、とりあえず数をこなした、
という点では価値がある本だと思います。


本来なら交わらない学園内階層に属するキ
ャラクター、
・ケイト(良家出身でエリート・グループ「グレ
ース」に所属)
・ローズ(片親家庭で裕福とはいえず、大人し
く地味な性格)
・レイチェル(パーティ好きな遊び人グループ
所属)
・クレア(グループに属さない一匹狼)
の4人が、事情により運命を共にすることにな
っていくという展開は、状況の差こそあれアメ
リカの学園映画にもよくあるフォーマットで、
「RED GAREDN」においても、モンスター達と
の戦いと平行して、それぞれの学園・家庭ドラ
マは、続いて描かれていますよね。
アメリカの学校といっても様々ですが、あくま
でイメージとして、「RED GARDEN」の学園生
活における階層差の雰囲気というものは、リア
リティということではなく、物語に必要な世界
観の構築という意味で、とてもうまく描かれて
いると思います。


それはつまり、これまでの感想でも再三述べて
きた、キャラクター同士の距離感の表現につな
がっているわけですが、例えば、生死を共にせ
ざるを得なくなった関係の4人であっても、学
内で接触があるのはケイトとローズくらいという、
明確な日常世界の規律というか階層ルールの
継続は、彼女達の日常から乖離し過ぎてしまっ
た運命の過酷さを伝えるためにも、有効に機能
していると思います。
しかも、最初からローン・ウルフだったクレア、
階層の同じ友達が学内に1人しかいないローズ
はともかく、それぞれ属するグループがあるケイ
トとレイチェルにおいては、その立場の揺らぎ
と喪失が着実に進行しつつもあって、その急ぎ
過ぎない語り口は、「RED GARDEN」という物
語世界の、そこで生きているキャラクター達に
とっての確かさ、そして全てが現実であるがゆ
えの残酷さを構築していってると思います。


これが例えば、一足飛びに非日常の世界に移
行して、モンスター達とのバトルが、そのエピソ
ードの文脈を完結させてくれるような、敵を倒
せばとりあえず、そのエピソードでの問題は解
決するような、少年バトル物みたいな構造であ
れば、もう少し楽なんでしょうけれど、日常の問
題は日常の問題、非日常の問題は非日常の
問題という線引きが明確な「RED GARDEN」に
おいては、そういう毎回ごとの安易な爽快感は
得られない代わりに、総体としての物語世界が、
より深く、与えられた物語の文脈に対してより
リアルに刻まれつつあると思います。
だからこそ、物語がやっと半ばに達した現状で、
日常と非日常の不幸な交差と侵食が少しずつ
生まれつつあることに、見る側は戦慄と、感情
移入の度合いを深めていけるわけです。


そういう冷然とした語り口の中で、やっと職を
見つけた、というか元のハンバーガー屋に出戻
るまでのクレアの、一連の職探しの描写が個人
的にとても微笑ましかったりもしました。
学内での立場がなく、他の3人とも積極的に関
わらない彼女にとって、日常とのつながりが、
何とかまた生まれたのは、安心すべきことなの
で……。


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あ、「ツンデレラ」は真面目なドラマではなく
て、そういうのですか……。曲は好きですけど、
EDの絵柄自体はちょっと苦手なので、どうしよ
うかな、ですね。
ともあれ、PS2ゲーム版の各ルートも慌てず楽
しんでくださいね。アニメ版は、たぶんネタバレ
的には大丈夫みたいですし。
「月姫」は、相当なプレイ時間を覚悟しないと
いけないかも……。僕でも2ヶ月くらいは費や
したような。りょうさんだと1年くらいはかかって
しまうかも……いやなんでもないですですっ。
posted by mikikazu at 10:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月24日

「RED GARDEN」第9&10話、見ました。


あ、そろそろニューヨーク・コミコン(公式サイト)が
始まっている頃なんですね。
ポッドキャスターの現地組では、ニューヨーク市か
ら北に1時間の距離にあるビーコン在住の、Geek
Nights
のRymさんとScottさんが、行ってみる予定
だと言ってました。金曜日だけで、雰囲気を覗くらい
になるみたいですけど。来週の放送でレポートして
くれるそうですから、楽しみです。
他にニューヨーク在住の方だと、Ninja Consultant
のErinさんとNoahさんも、このコンベンションには
行かれるそうですから、レポートを期待したいです。
お二人は昨年末から日本に滞在されていたそう
で、現地で収録したコミケの模様なんかも、少し
だけ公開されてますけど、日本滞在記のフル・レ
ポートも、いつか聞かせて欲しいですね。


そのニューヨーク・コミコンでは、アメリカン・アニメ・
アワード(公式サイト)の第1回受賞者も発表され
るのですが、その模様の一部は、IGN.com提供
によるこちらのページで、

http://tv.ign.com/animeawards2007/

現地時間24日午後9時(日本時間25日午前11時)
からストリーミング中継されるそうです。
完全な番組としての放送は、3月23日に、Anime
Network
でもあるようですが。
僕自身は、ちょっとリアルタイムで見られそうにない
ので、チェック出来る方は、よろしくお願いしますね。


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で、今日の本題はニューヨーク繋がりということで、
そこを舞台にした作品「RED GARDEN」公式サ
イト
)の、第9話「めざめ」第10話「戸惑い」を見
てみました。


語り口のクオリティは引き続き好調で、不満はま
ったくありません。2バージョンあるDVDのCMは、
やっぱり苦笑しますけど(笑)。
作品としての一番の魅力は、呪いを巡り対立する
2つの組織の戦いという外枠のお話と、そこに巻
き込まれた4人の女の子達からの視点という内枠
のお話の距離になるんでしょうね。端的に言えば、
世界と個人の距離ということですけど。


人間は誰しも、自分の主観を通して世界を把握し
ているわけですけれど、物語という装置は、その
世界を伝えるにあたって、色々な視点を提供する
ことが出来ます。
提供される視点の数とバランスによって、作品の
性格というものは規定されていくわけですが、こ
の「RED GARDEN」の場合は、僕個人からは物
語に対して理想形に近い、語られ方をしていると
思えます。
こういうお話をやるなら、こういう語り方、カメラ
とキャラクターの距離が最適なんだろうなという。


僕はアニメ作品を見ていて、「もう少しカメラが
キャラに寄ってくれたらいいのに」あるいは「引
いてくれたらいいのに」という気持ちを、物理的
にも比喩的にも感じることがあります。
最近の作品でいうと「ARIA」なんかは、「もっと
引いた視点から伝えるべき」と、もどかしい気持
ちにさせられることが多かったですし、「せんせ
いのお時間」なんかは、「時にはもっとキャラに
近づいてもいいのでは」と感じたりもしました(そ
の辺の気持ちを救ってくれたのが、りょうさん
書かれたSSだったわけですが)。


「RED GARDEN」だと、キャラクター・デザイン自
体が、可能なカメラ視点を規定してしまっている
面も大きいですが、現時点でずっと正解の語り
口が続いているという認識は、見ていてとても
安心出来ます。
外枠のパーツと内枠のパーツが、徐々に重なっ
ていくエピソード構成も順当で、設定の道具とし
て明確であり、また個人としても関係性を複数備
えたリーズというキャラが、2つのパーツをつなぐ
装置になっていく展開は、よい仕事をしていると
納得出来ますね。


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キャラクターとして、感情移入とか好き嫌という
のとは少し違うのですけれど、抱えたもどかしさ
みたいなものが「わかる」キャラは、僕の場合ク
レアになるでしょうか。
いえ、彼女と同じように電気・電話を止められた
経験があるから、というだけじゃないです(笑)。
不器用以前の強がりと、無力ゆえの現実との衝
突の狭間で、コースから外れて先行きが全然見
えず、自分で自分の笑顔を殺してしまっている
彼女の立ち位置は、4人の中でも特に目立つも
のです。
若いから、というだけではなくて、色々な現実の
歯車がかみ合わないもどかしさと苛立ちは、ある
意味リアルなキャラ立てでしょうし……。


人にもよるでしょうけれど、彼女が視聴者視点か
ら見ていて「腹が立つ」キャラには決してならず、
そういった心のじれったさ、どちらを向けばいい
のかわからない歯がゆさがまず伝わってくるのは、
この作品が成功している証拠のひとつになると思
います。

posted by mikikazu at 12:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月14日

「RED GARDEN」第6〜8話、見ました。


というわけでつい勢いで、「RED GARDEN」
式サイト
)は、第6話「小さな光」第7話「もうひ
とつの、運命」
、そして第8話「行きて愛せ」まで
見てみました。
特に今回言述するのは、第8話についてです。


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ここ最近はアニメ視聴をしていても、色々な事情
で、実は落ち込むことの方が多かったりしたので
すけれど、この「RED GARDEN」については、こ
こまで見てきてよかったいう、ドラマ的到達感み
たいなものを久々に感じることが出来て、とても
嬉しかったというか、安心しました。
前回の感想でこの作品を評した時に、僕は「キャ
ラ同士の距離」というキーワードを用いたわけで
すけれど、そのことが作劇的必然性に沿って描か
れ、クレアのアパートの部屋で、4人の物理的・
精神的距離がついに重なる第8話の瞬間は、ひ
とつのクライマックスと称してもいい、物語として
の高みに達していました。


世界設定における外枠の、「戦う理由は」「敵の
正体は」「自分達が死んだとはどういうこと」と
いった部分の解説はかなり抑え目にして、内枠と
いうべき、4人の少女達の生身視線からのドラマ
構築を優先させてきたこれまでの作劇方針は、
ここにまず到るためだったとすれば、納得は出来
ます。
ここまで見ていて、「どうしてもっと、教育係のル
ーラを問い詰め、無理やりにでも事情の説明を求
めないのか」というような苛立ちを感じたりもしま
したが、むしろそれこそが「頭で見ている」のかな
あ、とも思ったり……。


雰囲気としては「ダーク」や「鬱」……というより
は、正直「辛気臭い」と評した方が正しいような
この作品なんですけれど(笑)、その方向性は間
違っていないし、やっと他の人に薦めてもいい作
品なのだろうと言えます。


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また、その辛気臭い(←くどいかな)世界観の
中で、異彩を放っているのが、毎話というわけ
ではないですけれど挿入される、ミュージカル
・シーンですよね。
これまでは、どちらかといえば唐突で、作り手
も自虐的に、DVDのCMに利用したりしていた
わけですが、この第8話で、「どうして歌でな
くてはならないのか」という理由のひとつも、
説明出来たと思います。
これまでは独唱だったり、4人で歌っても場所
はバラバラだったりしていたと思うのですが、
今回は1つの部屋で、4人が顔を見合わせて
歌いました。
つまり、話す言葉は、それぞれがそれぞれの気
持ちとして、口にするだけで終わるものですけ
れど、歌であれば、4人がそれぞれの気持ちを
重ねようと思えば、歌の言葉としてほんとうに
一緒に重ねることが出来る、というわけですね。
ミュージカルという手法が、その場面で伝えた
いテーマに即している、手法は伝えることのた
めにあることを如実に証明してみせた、素敵な
シーンだったと思います。


こういう温かなエピソードを描いておいて、「4
人で最後の1人になるまで戦って、元の人間に
戻れるのはその1人だけ」みたいな鬱展開にな
ったらイヤですけど(笑)、そこまで安易にはし
ないと思います。というか、して欲しくないです。
次回からはいよいよ外枠の、本筋というべきお
話が始まるようですから、また色々と期待した
いですね。

posted by mikikazu at 12:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月04日

「RED GARDEN」第3〜5話&「フルメタル・パニック」第1話、見ました。


今日はお休みだったので、溜まってしまってい
たアニメ作品から、「RED GARDEN」公式サ
イト
)の、第3話「ほんとうの私」第4話「私た
ちは、どこへ?」
、そして第5話「それぞれの
窓」
までを見てみました。
なにが一番衝撃だったというと、やはりあのDVD
BOXセット第1巻のCM
でしょうか(笑)。しばらく、
何が起きているのかわからなかったくらいです。
これ、毎回やって欲しいですけど、第3話以降は
ミュージカル・シーンは挿入されていないから、
ネタがないでしょうか?
まあ、どんどん深まる本編内容のシビアさからす
れば、無理に歌わせなくて正解だとも思いますが。


お話自体も、主人公の女の子達4人の、それぞれ
の生身視点を無理に超えずに、ぎちぎちと締め付
けられていく状況の構築がタイトで、好調だと思い
ます。
出来ること出来ないこと、そこで感じ取れること感
じ取れないことの線引きが明確なので、語り口の
軸がぶれない、という感じなんですね。用意され
た作品世界の中でのリアリティ規定が、厳守され
ているとも言えます。


それを支えているひとつの要因が、女の子達の、
「個」としての立ち位置、そしてその間の距離の
描きようになるでしょうか。
こういうキャラ造形・頭身だと必然なのかもしれ
ませんが、それぞれが相手に向ける視線の間隔、
身体に触れる際でも、その場所や力の入れよう
がちゃんと、今の彼女達の関係の「距離」を表して
いるというか……。
例を挙げるなら、第4話での、狭い地下鉄の中で
のケイトとローズの会話では、二人の身長の違い
によるお互いへの視線の角度と、掴み棒(ってい
うのかな?)をはさんだ距離、第5話での、今度は
広い屋敷の空間内での、ケイトとクレアの距離な
んかが、とてもよい構図になっていたと思います。


こういった、生身の人間ゆえの距離感は、第2話
のラストでレイチェルが見せた大跳躍のような超
現実的能力の違和感を際立たせるひとつの仕込
みとしても、とても有効だと思います。
今はまだまだ全ての謎が、理解不能な、感覚部分
だけでも爽快であってはいけない段階なので(第4
話ラストでの撲殺シーンの不快感)、むしろ全ての
パーツの不整合が、物語を先に進めさせる魅力に
なっていると感じます。


僕個人としては、さらに彼女達の物語の行く末を
見届けたい気持ちではあるのですが、人によって
は女の子達の精神的な追いつめられようが見てい
て辛過ぎる、という気持ちになるのもわかるので、
11月半ば以来感想が止まっている向こうはどうな
んでしょう、という感じです。


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もうひとつ見てみたのが、シリーズ第二作「ふもっ
ふ」を見終えてからさかのぼることになった、シリ
ーズ第一作目「フルメタル・パニック!」第1話
「気になるあいつは軍曹(サージェント) 」
です。
こちらについては、幸い第1話のみバンダイ・チャ
ンネル
で無料配信していたので、そちらでの視聴
となりました。
もう少し早ければ、CSのAT-Xでも見られたので
すが(現在第21話)。


ずっと聞いているポッドキャストGeekNightsの06年
5月17日放送エピソード「Worst Week - Anime」
でも、この作品が「2つの異なり過ぎる要素を無理に
組み合わせた失敗の代表例」として挙げられていま
した。
Scottさんいわく、「ミリタリー部分はシリアス過ぎる
し、コメディ部分は馬鹿馬鹿し過ぎる。この作品は
本来、2つの異なった物語として語られるべきだっ
た」との評だったんですが、この第一作の後に、コ
メディだけに徹した第二作「ふもっふ」、軍を舞台に
した第三作「The Second Raid」が制作された事
実を考えれば、正しい見方なのかもしれません。


僕個人としても、先にお気楽ギャグだけで構成され
た「ふもっふ」を見た後、「実はこんな風にリアルに
人が殺し殺されるのが、本来の『フルメタル・パニ
ック』なんだ」と示されるのは、結構ショックでした。
「人の死」と、かなめさんがツッコミに使う「ハリセン」
は、どうしたって同居出来ないだろうと。
まだ第1話の段階では、後者は使用されていません
けれど……。


あ、「ふもっふ」では既に「宗介」とファースト・ネーム
で呼び捨てるようになっていたかなめさんが、第2
話の予告では、まだ気を使って「相良君」と呼んでい
たのは、なんだかよかったです。
彼女が宗介君のことを、ファースト・ネームで呼べ
るようになるまでのお話として、この第一作は見ら
れるのかもしれませんね。
けれど、もう一人のヒロイン・テッサさんは、宗介君
がかなめさんと出会う以前から、彼のことを想って
いた(らしい)という説明は、彼女の気持ちを考えれ
ば、かなめさんと宗介君が接近していく展開も、なか
なかに辛いものに感じてしまうかもですけど。
あとさきの順番で決まるものではありませんが、そ
れだけ長く、テッサさんは宗介君のことを想い続け
ていたのだとしたら、報われて欲しいというこちらの
気持ちも、やはり強くなりますので……。
posted by mikikazu at 11:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月02日

「RED GARDEN」第1話&2話、見ました。


というわけで、あけましておめでとうございますっ。
今年最初の更新です。
本年度も、どうかよろしくお付き合いのほどをお願い
しますね。


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最初なので、やると言ったことはやらなきゃならない
と思い(笑)、いつものように大変遅ればせながらで
すが、秋新番の「RED GARDEN」公式サイト)か
ら、第1話「さよなら少女たち」第2話「残酷な
夜」
を見てみました。
ホントは第1話だけにするつもりでしたけど、絶体絶
命なラストの引きを見せられたら、やっぱり続きが気
になって。遅れて見ている者の特権ではありますね。
ちなみに第1話はCSのアニメ専門局AT-X放送版、
第2話は地上波サンテレビ放送版で見てみましたが、
画面サイズに違いは無いものの、サンテレビはUHF
局ということもあってか、画質的には、AT-X版の方
が良好でした。
今後は出来る時点から、AT-X版にしたいです。CMも
ないので、雰囲気が途切れませんし。


ホラー・アクション(?)らしいという事は聞いていたん
ですけれど、等身が高く、ファッショナブルなキャラク
ター・デザインや、洒落た雰囲気のOPなどを見て、わ
りにポップな作風なのかなーと想像していたら、とんで
もなくヘヴィ&ダーク直球の語り口だったので驚きまし
た。見ていてまったく気を抜けない感じですね。
デザイン的にとっつきにくいかも、と懸念していたメイ
ン・キャラクターの女の子達は、4人それぞれのキャラ
立てが明快で、すんなりと感情移入出来ました。
物語の導入部としての、謎の提示も、そういう彼女達
の経験と感情をまず通過させているので、わかりやす
く見る側に伝わってくると思います。


本人の意志とは関係なく力を与えられた若者達が、深
夜十二時を刻限に、闇の相手との戦いを始めるという
設定は、奇しくも現在プレイ中のPS2ゲーム「ペルソナ
3」
と同趣向なのですが、「ペルソナ3」のペルソナ使い
達が、自分達の運命をやがて前向きに受け入れていっ
た、人類の命運がかかっている以上そうせざるを得な
かった展開と比較して、「RED GARDEN」の女の子達
の運命は、どう転がっていくでしょうか。
「ペルソナ3」よりは、ずっとリアリティの縛りが厳しそう
ですから、現に示されているように、はるかに女の子
達の内面心情に踏み込んだ語り口になっていくみたい
ですが……。


自称「教育係」によれば、彼女達は一度死んでいるそ
うですが、死んだ人間をスーパー・ソルジャーとして
再利用するという設定は、米映画「ユニバーサル・ソル
ジャー」シリーズ(92年&99年)が重なるでしょうか。
そちらは科学考証や人間ドラマがどうこうという作品で
はぜんぜんまったくありませんでしたけれど(笑)。
あ、いまの褒めてます。←どこが


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この作品の舞台はアメリカ東海岸のニューヨーク。
そこで思い出すのが、同じ制作会社の作品で、同じ
アメリカの、西海岸(たぶんサンフランシスコ辺り?)を
舞台にした、「カレイドスター」(公式サイト)ですね。
街並みなどの背景美術は、相当リアルに描き込んで
いたものの、「カレイドスター」は、アメリカを舞台にした
作品としては、その作劇メンタリティにおいて、違和感
を大きく感じたのも、今だから言える事実です。


何度も失敗、時には逃走を繰り返してもチャンスが与
えられてしまう、主人公苗木野そらへの視点が代表す
るように、「アメリカならもっとドライじゃないかな」という
風な、特に人間関係における日本的ウェットさ、くだけ
ていえば「人情的」な語り口が、アメリカという舞台設
定にそぐわなかったエピソードは多いと思います。
まあ、これはあくまで僕の私見ですし、なにかを「アメ
リカ的」だと決めつけるには、アメリカという国は広くて
多様過ぎるというのも忘れてはいけない事実なので、
気をつけなくてはいけません。
また、そらとレイラさんの関係や、ロゼッタのキャラ立
てなどは、日本アニメ的な文法があったからこそ魅力
的に描けたのも間違いないですし、評価の仕方は難し
いと認めます。


ともあれ「RED GARDEN」では、非日常部が間違いな
く主軸で、日常部は破壊され侵食される側でしかない
と想像出来ますから、アメリカ社会的メンタリティみた
いなものは、ステージ以外の描写は、一応リアル寄り
だった「カレイドスター」ほど気にしなくても大丈夫かも
しれません。もちろん、日本の観客が理解出来る範囲
で取り入れてくれれば、理想ですけど。
とりあえず、続きがもちろん気になりますので、以降の
エピソードも必ずチェックしてみますね。


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あ、放送局がかなり限定されているこの「RED GARD
EN」ですが(地上波2局とCS1局)、今なら無料で視聴
出来る動画配信サービスGyaOで、第1〜12話まで
配信中ですので、そちらでもどうぞなのです。
10日までの期間限定ですが、今見ておけば、今年の
地上波初回放送である第13話に追いつけるということ
で、嬉しい企画ですね。
また、「カレイドスター」の方も、ちょうど明日の3日か
ら、全国のUHF8局で、「カレイドスター スペシャルセ
レクション」と題し、前半から全13話の傑作選を放送
するとのことです。
次回予告は苗木野そら役の広橋涼さんによる新録音
だそうですから、ファンの方は要チェックかも、です。
posted by mikikazu at 09:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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