2008年02月15日

北米オンラインストアでの、マンガ売り上げランキング(2月上旬編)


お馴染みですが、Dark Horse Comicsのマンガ
部門担当編集者であるCarl Horn カール・ホーン
さんへのインタビュー
の一部が、イギリスの年刊
コミック情報誌TRIPWIREのサイトに掲載されて
いました(via JournalistaMangaBlog
Bibliophile Stalker)。
インタビューの全体は、同誌を購入すれば読め
るようです。


紹介されているパートで、ホーンさんが語って
いるのは、日本のマンガとアメリカのコミックの
違いですね。
いわく日本のマンガにおいては――

・出版社内で共通する世界観がない。よってマン
ガ家個人の設定によって、世界観を完結出来る。
・作者としての、マンガ家の尊重。例えば高橋留
美子は、1978年から1987年にかけて、1人で
「うる星やつら」を描き上げたが、これがアメリカだ
ったら12人の作家によって描き分けられて、今で
も続いているだろう。
・アメリカのスーパーヒーロー・コミックは、永遠に物
語が続けられていく宿命にあるが、日本のマンガ
作品はそれぞれで物語の完結を迎えられ、作者も
次の作品・キャラクターへと進んでいくことが出来る。

というような特徴が挙げられているのですが、ホー
ンさんが最大の利点として強調していたのが、マン
ガ雑誌の存在です。
とても安価で、かつ定期的に刊行されるマンガ雑誌
のおかげで、スーパーヒーロー・コミックのような限ら
れた特定のファンだけではない、一般層への広い露
出と認知が得られ、連載による「引き」と読み続けて
いく習慣性によって、作品への関心がずっと維持さ
れていくという効能ですね。
ホーンさんは、各マンガ家個人の才能以上に、そう
いった日本マンガのビジネス構造を高く評価してい
ました。


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では本題。
北米オンラインストアにおけるマンガ作品の売り
上げランキング2月上旬分ですね。
以下、各ストアのトップセラー・リストになります。


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・アメリカAmazon

1.「The Manga Bible: From Genesis to Revelation」
2.「DARK HUNGER」
3.「DEATH NOTE How to Read 13」
4.「DEATH NOTE: Another Note」(小説)
5.「LOVE MODE」第8巻
6.「LOVE PISTOLS」(日本題「SEX PISTOLS」) 第4巻
7.「Warriors: Warrior's Refuge」
8.「Gothic & Lolita Bible Volume 1」
9.「Bleach」第22巻
10.「Making Comics: Storytelling Secrets
 of Comics, Manga and Graphic Novels」


・Barnes & Noble

1.「DARK HUNGER」(Christine Feehan)
2.「DEATH NOTE How to Read 13」
3.「NARUTO」第27巻
4.「NARUTO」第26巻
5.「NARUTO」第25巻
6.「The Lost Warrior (Warriors)」
7.「フルーツバスケット」第18巻
8.「NARUTO」第24巻
9.「ヴァンパイア騎士」第3巻
10.「フルーツバスケット」第17巻


・Books-A-Million

1.「NARUTO」第1巻
2.「NARUTO」第18巻
3.「フルーツバスケット」第17巻
4.「NARUTO」第13巻
5.「DEATH NOTE」第1巻
6.「NARUTO」第17巻
7.「NARUTO」第15巻
8.「NARUTO」第16巻
9.「NARUTO」第2巻
10.「NARUTO」第14巻


・Chapters Indigo
(カナダ)

1.「桜蘭高校ホスト部」第10巻
2.「絶対彼氏。」第5巻
3.「ゴッド チャイルド」第8巻
4.「ふしぎ遊戯 玄武開伝」第6巻
5.「ツバサ」第16巻
6.「月のしっぽ」第9巻
7.「DEATH NOTE」第2巻
8.「D.Gray-Man」第8巻
9.「S.A」第2巻
10.「DEATH NOTE」第6巻


・AnimeNation

1.メガミマガジン2008年2月号
2.ニュータイプ2008年2月号
3.「Bleach」第22巻
4.「よつばと!」第5巻
5.「新世紀エヴァンゲリオン」第9巻


・Right Stuf

1.「よつばと!」第6巻
2.「xxxHilic」第11巻
3.「エイケン」第8巻
4.「桜蘭高校ホスト部」第10巻
5.「花ざかりの君たちへ」第22巻
6.「エマ」第6巻
7.「これが私の御主人様」第3巻
8.「クレイモア」第9巻
9.「NARUTO」第27巻
10.「ああっ女神さまっ」第8巻(2ndエディション)


・Anime Castle

1.「Bleach」第22巻
2.「NARUTO The Movie Ani-Manga 01 Ninja
  Clash in Land of Snow」
3.「ブルードラゴン ラルΩグラド」第1巻
4.「恋はいつも嵐のように」第3巻
5.「きみはペット」第14巻


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という感じです。
今回は各ストアで色々売れ筋が分かれていて、
バラエティ豊かなチャートになっていると思い
ます。
アマゾンUSAでトップになっている「The Manga
Bible」は、各メディアでも大きく取り上げられ
ている話題作ですね。日本だと、宗教書や宗
教家の生涯をマンガ化した作品は特に珍しいも
のではありませんが、マンガ表現の多様性のひ
とつとして受けとめて欲しいです。
「DEATH NOTE」はガイドブックの「HOW TO
READ」と合わせて、西尾維新さんの小説「ア
ナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」
も好評のようです。しばらくは日本人小説家さ
んも、こういうミックスメディア展開に乗るのが、
英語圏進出には得策だったりするでしょうか。


posted by mikikazu at 12:50 | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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