2005年08月20日

「舞-HiME」第20話


引き続きテレビアニメ「舞-HiME」は、第20話「炎の
舞/涙の運命」
を観ました。
僕の作品理解が正しければ、今回のポイントは、晶ク
ンのチャイルド「ゲンナイ」の敗北により、彼女の大
切な人である巧海クンが消失したのにもかかわらず、
同じく巧海クンを大切な人と設定してある舞衣さんが、
HiMEとしての能力を失わなかった描写により、「HiME
として戦うためには、自分の大切な人の命を賭けなく
てはならない」というルールが、はっきり嘘であると示
されたことですね。


確かに前話から、舞衣さんと巧海クンの間には、感情
的な行き違いがありましたけれど、だからといって、
巧海クンが舞衣さんにとっての「一番大切な人」でな
くなったわけではないでしょうし、なつきさんに活を入
れられた舞衣さんの、巧海クンを想う気持ちの再構築
は、戦いの場に足を踏み入れた舞衣さんが、巧海クン
に力強く頷き返すショットで説明されていると思います。
なにより、舞衣さんの中にそういう確信があったからこ
そ、巧海クンを失った時、命ちゃんへの怒りがあれほど
凄まじかったのです。これが楯クンとかだったら、そう
はならなかったと思えます。


けれど、大切な人である巧海クンを失ってなお、舞衣
さんは彼女のチャイルド「カグヅチ」を操り、HiMEとし
ての戦いを続けられています。
これは、「HiMEは大切な人を媒介として、戦う力を得る」
という凪クンの解説とは、明らかに矛盾しています。
どういうことでしょうか。


ひとつ考えられる説明は、「巧海クンは実は、舞衣さん
の一番大切な人ではなかった」というものですが、これ
は上述したように、他ならぬ舞衣さん自身の反応で、否
定されています。
もし無理からにその解釈で物語が続けられるとしたら、
「自分はやっぱり、巧海のことを本当に大切とは思って
いなかったんだ……」という残酷過ぎる自虐の苦しみが、
舞衣さんには用意されてしまうのですが、それは牽強付
会が過ぎるというものです。


short_g.gif


なので、舞衣さんがHiMEであり続けている、整合性のある
説明は、「HiMEの力と、彼女にとって大切な人の存在は、
実は何の関係もない」というものになると思います。
あるいは、あかねさんやアリッサちゃん、晶クンとは違う
事情が舞衣さんには用意されているのかもしれませんが、
それでは不平等ですし、バトルのルールになりません。
舞衣さんと晶クンが、巧海クンという1人の人間を、同時
に「一番大切な人間」としてエントリー出来てしまう時点
で、「最後の1人になるまで戦う」というHiME同士の生き
残り戦が意味を成していないことは、前回の感想でも指
摘しましたが、それと同様に、HiMEという設定の根幹にあ
る筈だった、「大切な人」の意義も、その絶対性がここで
消失したといっていいと思います。


これは別に作品の矛盾とか破綻ではなくて、意図的なもの
だろうとは思います。
もちろん、作り手の意図でなくても、作品からそう読み解れ
るのなら、全然かまわないわけですけれど。
バトルのルールも、彼女達をHiMEたらしめている設定も、
実はまるで正体のないものとして示された、全てが茶番と
化しつつある物語の中で、唯一真実なのは、その因果のシ
ステムを信じて、傷ついていく、HiME達の心だけです。
悲しい道化として、憎しみの連鎖に翻弄されていく彼女達
の姿を描いていくことこそが、作品としての存在意義なら、
それはそれでそういうことでしょう。


でも、今後例えば、なつきさんや碧さんの大切な人をめぐ
るエピソードが描かれていくとしても、「大切な人」という
存在自体が、舞衣さんのように、HiMEとしての戦いで直接
意味のあるものではない可能性があるとしたら、彼女達の
物語を、どこまで本質的に受けとめられるでしょうか。
必死になって、自分達の大切な人のために戦う彼女達に、
「そんな戦いには意味がない」と教えられない歯がゆさを
ただ我慢するのが、正しい見方になるのでしょうか。


short_g.gif


と、ここまでは理屈の話なんですが、僕自身の個人的な心
情を述べるのなら、物語の終着点は、HiME達を道化として
翻弄し傷つけている、黒幕へのリベンジであって欲しいと
心底願っています。世界の運命なんてどうでもいいです。
今現在の悲痛な展開は、その時のための「溜め」であると
考えることでしか、僕は視聴には耐えられません。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
eXTReMe Tracker
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。