「舞-HiME」は第18話「――はじまり。」でした。
ゲーム版は……そろそろかな?
孤高な彼女なりの意地を保つことを期待していた結城奈緒
さんが、状況を混乱かつ進展させる、不幸なヒールとしての
役回りを与えられてしまったのは、理解は出来るものの、や
はり残念ではあります。
自分以外の誰も信頼しないというポリシーを貫いてきた彼女
は、ゆえに自分を利用しようとする他人の意図にも敏感な筈
だと思います。自分が他人を利用するのは、「騙される隙が
ある方が悪い」と正当化出来ても、その逆は絶対に許すこと
が出来ないでしょう。
「最後の1人になるまで戦え」という、奈緒さんを含むHiME達
の現状は、彼女達の自由意志を無視した、一方的かつ強制
的なものです。いみじくも、凪クンが「人形と同じ」と語ったよ
うに。
それはHiME達にも自明だからこそ、奈緒さんなどは最初か
ら「バッカじゃないの」と冷笑的な態度を示していました。
にもかかわらず、結果としてHiME同士の戦いを始める発端
役を担わされる、つまり黒幕の思惑に自分を利用させてしま
うほど、奈緒さんは頭のよくない人でしょうか。作劇は、そう
彼女を規定したようです。
もちろんこの経緯は、ずっと自分のエゴのために、散々他人
を利用してきた奈緒さんが、逆にいいように黒幕に利用され
ている、皮肉な演出と受けとめていいわけですが、例え先に
破滅が待っていようとも、もう少しエゴイストだからこその、
立ち回りの利巧さを見せて欲しいというのは、14歳の少女
には求め過ぎでしょうか……。
ともあれそういうことで、本格的なHiME達の生き残りバトル
ロイヤル戦が開始されるようです。
あらためて、バトルの必要性とルールを並べると、
「バトルに勝ち残った最後のHiMEだけが、世界を救える」
「チャイルドを失ったHiMEは、一番大切な人の命も失う」
ですね。
今後のドラマの核となっていくのは、それぞれのHiMEの「一
番大切な人」との関係になっていくと思うのですが、この状況
下で、その「大切な人の命」を守る方法は、とりあえず2つ考
えられます。
ルールに従って、他のHiME全員を倒すか(その後、世界も救
わなくちゃいけませんが)、バトル自体を無効化するか、です。
あかねさんの例が示しているように、実際に機能している、
負ければ大切な人の命を奪う、システムあるいは組織それ自
体を破壊してしまえばいいのです。
舞衣さんの主張するような、「HiME同士では戦わないように
する」という、受け身の消極策では、おそらくなにも解決しない
と思います。
矛先をシステム自体に向けられては困るし、それだけの力を
HiMEが――あるいはチャイルドが――秘めているからこそ、
黒幕は先手を打って罠を張り、HiME同士のバトルを強引に
開始させたのでしょう。
そういう意味では、唯一事態の本質に迫りつつある碧さんの
行動が頼りになるわけですが、その辺は次回へ続く、二三さ
んとの対決の結果次第ですね。
ここであらためて思い出すのが、賭けられてしまった「大切な
人」本人は、自分がそういう立場になることを、全く承認してい
ないし、知りもしない、ということです。
例えば、命を賭けられた側と、HiMEとの間で、それなりの覚
悟をふまえた了解が得られていたなら、「世界を救う戦いの
ためにあなたの命を賭けなくてはならないの」と言われても、
対応のしようがあります。僕だって実はHiMEだった妹に、「お
兄様の命、賭けちゃった」とか言われても、「仕方ないなあ、
こいつぅ」とか言って済ますでしょうしね?
そういった手順を踏んでないし、「世界を救う」という目的も実
に胡散臭い状態では、HiME達もどうしようもない。
そんな、四方塞がりの状況に彼女達を追い込むための流れ
として、ここまでの物語はそれなりに成功していると思います。
ちなみに、巧海クンにドナーが見つかったというのも、黒幕の
「仕掛け」ですよね?
舞衣さんにとっての「大切な人」第1候補である巧海クンに生
の希望を与えることによって、彼の失えない価値を高め、負け
られない立場に、さらに舞衣さんを追いつめていくための。
まあ、それ以前に、同じく巧海クンを第1候補にしているだろ
う晶クンが負けたらダメですし、舞衣さんと晶クンが戦うことも
無理になるわけですが。
楯クンなんかは実は、そういった状況を回避し、巧海クンとは
別の、舞衣さんの新たな「大切な人」になるべく送り込まれた
工作員――というのはさすがに無理でも、本人は知らぬまま
にそうなるよう、状況操作されている可能性はあるかも。
それと、凪クンがHiME同士の戦いの理由として挙げた、「世界
の運命」ですが、現時点では70%の可能性で、嘘だと思います。
最初に言い出したのが凪クンだから――というのも、実は大き
いですけれど(笑)、真面目に言うと、第15話ラストにおける、
シアーズ幹部の態度が理由ですね。
HiMEを狙ったシアーズの作戦は失敗に終り、幹部達は「次は
300年後か」とか言って眠りにつくわけですが、世界が滅びる
かどうかの大変な事態がすぐに迫っているのなら、そんな呑
気に寝てられはしないと思います。
天体運動なんて、1日2日で急に変わるものではないし、HiM
Eをめぐる事態に関わってきたシアーズが、そんな状況を知ら
ないわけはない。
300年後に目が覚めて、人類が滅びてたら、当然HiMEもいな
いわけですし、困りますよ(笑)。
残りの30%は、HiMEならこの程度の危機くらい、さっさと解決し
てくれるさと、シアーズが楽観している可能性ですね。
それでも、万一のことを考えたら、見届けるくらいはしてもいい
と思いますが。300年くらい短い時間なら、それぐらいは待てる
筈ですけど?
黒幕連中の、世界の破滅が迫っているにしては、妙に緊張感
のない言動も気になりますし、世界のためではない、HiME同
士を戦わせるなんらかの理由があるのでは、と推察します。
おそらくそれは、絶対にHiME達が受け入れるようなものでは
ないから、嘘の理由を用意しているのではないかと……。
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