について、少し。なんともペースが遅くてすみません。
ひとつの比喩として、「大きな物語」と「小さな物語」という
表現を使ってみますね。
「大きな物語」というのは、その物語世界全体に関わる状
況についての物語、ということにします。例えば、それこそ
戦争とか、彗星が地球に向かってきてぶつかりそうだとか、
そんな設定でもいいです。
それに対する「小さな物語」は、その世界の住人、キャラ
クター個人の問題、想い人に振り向いて欲しいとか、病気
だとか、芸能界での成功とか、そんなパーソナルな問題
設定とします。
もちろん、これはあくまで便宜上のもので、物語によって
はその恋がかなうかどうかが、世界が成立するかどうか
に関わる「大きな物語」であっても構いません。
で、その「大きな物語」と「小さな物語」との距離、関係性の
質というものが、作品の世界観ということになります。
それぞれの物語がお互いに、どういう風な影響を与えるの
か、どんな風に繋がって、総体としての作品を転がしていく
のかという指針ですね。
例えば、戦場では1人のパイロットの活躍が、戦局に決定
的な影響を与えることはない、というのもひとつの世界観で
すし、ラブ・ソング1曲で戦争を終わらせてしまえるのも、ま
た別の世界観として、ありです。
この「舞-HiME」の場合、今回のエピソードで、「HiME同士互
いに戦って、最後に残ったHiMEの力が、世界を救える」とい
う「大きな物語」と、「ただし負ければ、自分が一番大切に想
う人の命を失う」という「小さな物語」の関係は、それなりに
示されたと思います。
キャラクターへの、世界の命運という「大きな物語」からの要
求と、大切な人の命という「小さな物語」からの要求の、2つ
の要求に対して、それぞれがどう応えるかという、葛藤と困
惑、そして決意に到るドラマの開始ですね。
12人もHiMEはいるのですから、それぞれの気持ちや踏ん切
りと対応のタイミングも違って当然で、その複雑な絡み合い
が、今後の物語の主軸となっていくのでしょう。
そういう意味ではようやくに、これまでは状況に振り回される
だけであった、タイトル・ロールであるHiME達自身の物語が
始まった、とは評せると思います。
ただ、個人的な感触として、それが「舞-HiME」の、世界観と
いう意味での「解答」、あるいは「テーマ」という部分への到
達感を与えてくれているかというと、あんまりそうは感じてい
なかったりもします。
理由は幾つかあって、まず、残り話数が10話を切った現時
点から、作品として一つの到達点を示すために必要なだけ
の、それぞれのHiMEの、想い人に対する物語をきちんと深
く描けるのかという、単純な枠の長さについての不安という
ものがあります。
特に、前半部で、なつきさんと静留さんの絡みがこんなにも
少なかったことは少々意外でした。まあ、名前は出しません
が、某たちばなりょうさんの、2人への想い入れに影響され
ている部分も大きいですけれど(笑)。
今回のエピソードでも、一応は、「大切な、人……」と独白し
目を閉じるなつきさんのシーンの次に、静留さんの横顔のシ
ョットを挿入するような演出は施されていましたが……。
でも、それは逆に、いささか唐突だった、巧海クンと晶クンの
キス・シーンを、僕自身は「まあ、いいかな」と思えたように、
見る側がそれぞれ補完し思い入れられる、意図的な空白と
して受けとめてもいいかもしれません。
また違う不安は、「大きな物語」の側、世界の危機という設
定に、あまり説得力というか、現実味を感じないことですね。
確かに凪クンはそう語りましたけれど、なにしろ胡散臭さの
塊みたいな彼の言葉を、今さら額面通りに受け取るわけに
はいきませんし、ではどうして最後に残ったHiMEなら、世界
を救えるのか、全員が力を合わせるような方法では何故ダ
メなのかという、当然の疑問は保留されたままです。
これは前半、人類の危機であるオーファンと戦うためには
HiMEの力が必要というお題目に、結局オーファンが風華の
地にしか現われない不自然さが、なんの説得力も与えてい
なかったことも影響していますね。
もちろん、ことさらに凪クンが「運命」という抽象的な言葉を
繰り返しているように、これは物語の終着点のための、必
要な「ぼかし」だろうとは思いますが、HiME達を追いつめる
「大きな物語」からのプレッシャーという点では、あまり上手
く機能していないようにも思えます。
だから僕的には、これからHiME同士のバトルを始める前に
は、もうふた押しくらいは、逃げ場を塞ぐ材料が欲しいところ
ですね。
HiMEという特殊過ぎる「個」としての存在からの、世界への、
そして自分の想い人への関わりようという、2つの「大きく」
「小さな」物語を並列して描くチャレンジは、アニメだからこ
そ描ける種類の物語だと思います。
実写だと、俳優さんの生身がどうしても枠になって、そこま
で語り口を広げるのは難しいですから。でもアニメだと、恋
に悩む繊細な心持ちと、オーファンを倒すダイナミズムは、
そのキャラの身体の中で、上手にやれば容易に同居させ
てしまえますからね。
なので、「舞-HiME」は、個人的にはとても興味深いアプロ
ーチを進めている作品だとも思うので、なんとか成功して欲
しいです。はい。
そんなこんなで。
★こちらこそ、暑中お見舞い申し上げます♪
いやいや全てはりょうさんの、作品とキャラに対する、
萌える妄想力
います。いつものことですが、そこまで愛されて、キャラ達は
幸せだと感じますから。
「あそびにいくヨ!」も、僕の中ではそーゆー作品なんだと
いうことにしときますね(笑)。なるほどそーなんだ!
ではおやすみなさい。
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