北米での公開3週目をむかえた、今敏監督の「パ
プリカ」(北米公式サイト)は、順調に興行成績と
公開館を増やし続けており、先週末で全米第34
位、興行収入は21万5395ドル(22館)という数
字になっています。
これは既に、今敏監督の過去作「パーフェクトブル
ー」(11万2536ドル)、「千年女優」(3万7641ド
ル)、「東京ゴッドファーザーズ」(12万9560ドル)
を上回る好調ぶりですね(各データソース・Box
Office Mojo)。
関連記事
アニメ!アニメ!さん6月4日付け記事
「米国公開中『パプリカ』好調な出足」
この好調の理由のひとつとして、メディアのレビュ
ーにおける高評価があると思うのですが、では、
これまでアメリカで劇場公開された日本のアニメ
映画は、いわゆる映画批評という場で、どのよう
に評価されてきたのでしょうか。
色々なリサーチの方法があるとは思いますが、今
回は映画批評情報サイトROTTEN TOMATOES
におけるデータを参考にしてみたいと思います。
ROTTEN TOMATOESでは、メディアで発表されて
いる映画レビューの数をまとめて、肯定的なものは
「Flesh(新鮮な)」、否定的なものは「Rotten(腐っ
ている)」と分類し、その割合で全体的な批評の傾向
を判断しているのですね。
例えば、先週末第1位の「オーシャンズ13」だと、
レビュー数135の内、Fleshが92、Rottenが43で、
68%という評価になります。オープニング興行成績
的には、シリーズで最低だったようですが。
以下その手法を借りて、調べられる範囲で、アメリ
カ映画批評界における、89年の「AKIRA」以降の日
本アニメ映画の評価を並べていきます。
肯定か否定かだけ、という批評の分類はいささか乱
暴だとも思いますので、あくまでひとつの目安という
感じでよろしくお願いしますね。
また、レビューの数それ自体からも、公開当時のメ
ディアによる注目度がうかがえるとも思います。
アメリカで公開された映画の全体リストについては、
当ブログ2006年8月29日付け記事を、その興行成
績については、Box Office Mojoの「Animation -
Anime Movies」のデータが参考になるでしょう。
「AKIRA」(89年12月25日)
レビュー数27(肯定・24/否定・3)
「ルパン3世・カリオストロの城」(91年4月3日)
レビュー数6(肯定・5/否定・1)
「はだしのゲン」(92年7月3日)
レビュー数5(肯定・3/否定・2)
「吸血鬼ハンターD」(93年3月26日)
レビュー数5(肯定・4/否定・1)
「となりのトトロ」(93年5月7日)
レビュー数16(肯定・15/否定・1)
「攻殻機動隊」(96年3月29日)
レビュー数30(肯定・28/否定・2)
「パーフェクトブルー」(99年10月8日)
レビュー数19(肯定・11/否定・8)
「もののけ姫」(99年10月29日)
レビュー数61(肯定・57/否定・4)
「ポケットモンスター/ミュウツーの逆襲」
(99年11月12日)
レビュー数72(肯定・10/否定・62)
「ポケットモンスター/幻のポケモン・ルギア爆誕」
(2000年7月21日)
レビュー数59(肯定・8/否定・51)
「Digimon:The Movie」(劇場版「デジモンアドベン
チャー」第一作、第二作「ぼくらのウォーゲーム!」、
第三作「デジモンハリケーン上陸!!」&「超絶進化!!
黄金のデジメンタル」を一本・85分に再編集)
(2000年10月6日)
レビュー数40(肯定・9/否定・31)
「ポケットモンスター/結晶塔の帝王ENTEI」
(2001年4月6日)
レビュー数45(肯定・12/否定・33)
「人狼」(2001年8月3日)
レビュー数22(肯定・12/否定・10)
「Blood:The Last Vampire」(2001年8月8日)
レビュー数15(肯定・9/否定・6)
「バンパイアハンターD」(2001年10月5日)
レビュー数30(肯定・21/否定・9)
「スプリガン」(2001年10月12日)
レビュー数13(肯定・7/否定・6)
「メトロポリス」(2002年1月25日)
レビュー数53(肯定・48/否定・5)
「Escaflowne」(2002年1月25日)
レビュー数14(肯定・6/否定・8)
「千と千尋の神隠し」(2002年9月20日)
レビュー数145(肯定・141/否定・4)
「ポケットモンスター/セレビィ時を越えた遭遇」
(2002年10月11日)
レビュー数35(肯定・5/否定・30)
「WXIII 機動警察パトレイバー」(2003年1月10日)
レビュー数12(肯定・6/否定・6)
「カウボーイビバップ/天国の扉」(2003年4月4日)
レビュー数64(肯定・45/否定・19)
「ポケットモンスター/水の都の護神ラティアスと
ラティオス」(2003年5月16日)
レビュー数36(肯定・6/否定・30)
「千年女優」(2003年9月2日)
レビュー数47(肯定・44/否定・3)
「東京ゴッドファーザーズ」(2003年12月5日)
レビュー数56(肯定・50/否定・6)
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ劇場版『光
のピラミッド』」2004年8月13日
レビュー数56(肯定・3/否定・53)
「イノセンス」(2004年9月17日)
レビュー数87(肯定・54/否定・33)
「Appleseed」(2005年1月14日)
レビュー数30(肯定・5/否定・25)
「スチームボーイ」(2005年3月18日)
レビュー数85(肯定・50/否定・35)
「ハウルの動く城」(2005年6月10日)
レビュー数132(肯定・112/否定・20)
「パプリカ」(2007年5月25日)
レビュー数48(肯定・43/否定・5)
という感じです。
「ポケモン」シリーズは稼ぎ頭にもかかわらず、
レビューでは全く相手にされていない感じですが、
対象層が映画批評欄を気にする年齢ではないの
で、別にかまわないんでしょう。それでも、シリー
ズが進むにつれ、レビューの数も減っていくのは
寂しいかもです。
その「ポケモン」シリーズや宮崎駿作品を除けば、
ほとんどの日本アニメ映画は、十数館規模の、小
さなアートシアターで公開されるだけなのですが、
それでも数十以上のレビューが寄せられる、アメ
リカの映画批評界の広さ、あるいはニーズを感じ
たりもしました。肯定であれ否定であれ、どこの
国の人であれ、様々な意見が伝えられることは、
そも健全なことですから。
★「ペルソナ3 フェス」は、アイギスさんのコミュ
を目的に、本編の方もぼちぼちプレイしていくこと
になりました。実は、エリザベスさんのイベントも
気にはなってたりするんですが(笑)。
今回はゆったりまったり、学園生活主体で楽しんで
いければ、と思っています。