というわけで、いつもお世話になっているます
べ委員長様が、春期新番の中では高評価さ
れていたので、CSのアニメ専門局AT-Xでも
昨日から放送の始まった、「sola」(公式サイ
ト)の第1話「ソライロノカサ」を見てみました。
そうですね、この「sola」の第1話を見てまず
思ったのは、当たり前のことですけど、アニメ
作品の場合、キャラクターのデザイン・ライン
の性質が、語り口の方向性や範囲を決定す
る、とても大きな要因だということです。
絵という部分での、アニメ・キャラクターの演
技は、あくまで記号表現に過ぎませんから、
そのデザインの柔軟性が、語り口の幅と呼応
するといっていいと思います。
そのデザイン・ラインは、キャラクターに全身
での演技を許すのか、それともバスト・アップ
までなのか、顔だけなのか……。
そういった規定に基づき、作品の文体が決まっ
ていくわけですね。顔でしか演技のさせられな
いキャラクターに、全身での演技を要求するド
ラマを与えても、上手くいかないわけですし、
また逆にバストアップの演技だけで成立する
種類のドラマもあるわけですから、要は正しい
組み合わせの問題になるのです。
この「sola」の場合、第1話だけで判断するの
は少し難しいですけれど、とても限定性のある、
幅の狭い種類のデザイン・ラインだとは思いま
した。キャラクターが映像物語の中で「絵」にな
るアングルがとても限られている、とでも表現
出来るでしょうか。演出に対応して、どんな演
技でもさせられる、というタイプのデザインでは
ないと思います。
そういった限定性のために、作品世界の背景や
空気みたいなものも、ある程度妥協していると
いうか、描き込みを遠慮している、とは感じます。
もう少し雰囲気を緻密かつ濃密に描こうとする
と、肉感の薄いこのキャラクターでは、間違いな
く浮いてしまいますから、正しい判断ではある
のですけど。
だからダメだと言ってるのでは全然無くて、結
果として映し出されている、映像の種類にふさ
わしい物語が展開されていけばいいわけです。
最近見た作品だと、同じようなキャラクター・
デザインの雰囲気だった「乙女はお姉さまに恋
してる」(公式サイト)の場合、その限定性をちゃ
んと理解して、ワンクールで描く物語も、原作
からかなりの要素をそぎ落とし、とても絞った構
成にすることで、成功をおさめました。
なにしろ、主人公自身の恋愛感情物語も、きれ
いに排除してしまったくらいです。
そういう戦術が可能だったのも、ゲームという
原作物語があって、いくらでもそちらで補完出
来るという事情があったからですが、完全オリ
ジナル作品で、このアニメのみで物語を完結さ
せなくてはならない「sola」の場合はどうなるで
しょうか。
どこまで語れるかという語り口の幅と、ここまで
は語りたいというキャラクター自身からの、物語
への要求が、見事に一致すれば理想的なんで
すけど……。