2007年05月21日

「RED GARDEN」、見終えました。


というわけでこちらでも「RED GARDEN」
公式サイト)の、第21話「最後の朝」と、
ラストエピソードになる第22話「光」につい
て、野暮にならない範囲で少しだけ述べて
おきますね。


既に地上波放送は終了しているこの「RED
GARDEN」ですけど、ちょうど今週の土曜日、
5月26日から、CSのアニメ専門局AT-X
2話ずつのリピート放送が、6月1日からは
インターネット放送局のミランカでもリピート
が始まるようなので、未見の方は、ぜひそ
ちらでチェックなのです。
DVDの方は、豪華BOXセットのみリリース
中ですが、レンタルにも入るかもしれない
通常版の予定はどうでしょう。6話入って
売価1万5千円くらいなら、アニメのDVDと
しては普通の値段になるのかもしれません
けど、誰でも買えるわけじゃないですし。
ともあれ、以下クライマックスまでのネタバ
レあるかもなので、お気をつけください。


short_g.gif


僕が、アニメなり実写映画なりを見ていて一
番戸惑うのは、物語の文脈に沿った、必要と
される描写がなされない時です。
全てをわかるように説明しろ、といっている
のではないのですが、エンターテインメント
作品の物語構築においては、「こうなったが
故にこうなった」という論理性が、ある程度
まで必要だと思います。
その論理の流れを決定するのが、物語の文
脈であり、ドラマの性質であり、世界観であっ
たりするわけですが、その流れが明確でない
と、「なんでこのキャラはこんなことするの?
/言うの?」という戸惑いの方が先に生まれ
て、感情移入の妨げになります。
もちろん、そういった戸惑いが発生するレベル
は個々人によって違っていて、その人の嗜好
を優先し、語られぬ行間を色々と補完していく
のも、作品の楽しみ方のひとつとして面白いで
しょうね。


で、ご存知のように僕は心がとても狭いので
(←あ、自分で言っちゃってる)、作品を見な
がら、前向きに補完していくほどの余裕がな
かなかに持てなかったりするのですが、この
「RED GARDEN」の場合、そういう風に「足り
ないもの」をほとんど感じることなく、最後まで
与えられた情報に満足して、視聴を終えられた
と思います。世界の雰囲気にしても、キャラク
ターの心情にしても、なにも不足がなかったと
評価したいです。
すっごく端的に言ってしまうと、「きちんとドラマ
が語られていた」という満足感ですね。


ある映画監督さんが、「若い人は『ドラマをや
りたい』と言って映画の現場に来るんだけど、
ドラマをやるんだったら、時間の限られた映画
じゃなくて、いくらでも掘り下げる余裕のある
テレビの方だよね」というようなコメントをされ
ていたことがあります。
僕は、作家性の一発勝負的な映画の世界も
好きですが、それとは違うテレビ――実写のテ
レビドラマは全く見ないので、テレビアニメの
ドラマという括りになっていまいますけど――
の、長い時間をかけて構築していく物語の流れ、
みたいなものも大好きです。
2時間の映画では味わえない、一つずつのエピ
ソードを積み重ねて描かれていく、それぞれの
キャラクターの人生の波乱と決断の重みは、テ
レビアニメだからこそ描ける種類の楽しみだと
思います。


アニメの場合、大きな魅力である映像様式と、
ドラマの中の、リアリズムのバランスというもの
がとても難しかったりするのですが、「RED
GARDEN」は、後者に重きを置いた成功作で
しょう。
少女達のグループが、人間離れした能力を得
て、敵との戦いを余儀なくされていく、という説
明だと、同じような設定と言ってしまえる「Yes!
プリキュア5」を見るのが楽だと語ったことがあ
りますが、それは「プリキュア5」が、「RED
GARDEN」とは逆に、集団変身ヒロインバトル
物という、ひとつの様式・フォーマットに大きく
沿った作風だからですね。
別にそれで優劣があるというわけではなく、
ただどちらも違う作品だ、というだけのことで
すけど……。


1話完結エピソードのラストに用意される敵と
のバトル、というフォーマットが固定されてい
ることで、語り口が必然的に集約され、論理性
を与えられる構造の「プリキュア5」に対して、
「RED GARDEN」はずっとリアリズムに寄りなが
ら、見る側に戸惑いを与えない、感情移入出来
るだけのドラマの完成度を備えられていたと思
います。
先日視聴した「おにいさまへ…」も、そういう意
味でのドラマの完成度を備えていて、続けて
高評価出来る作品と出会えたのは、とても嬉
しいです。
いつもですけれど、見る機会を与えてくれて、
ありがとうございました。


short_g.gif


以上の文章は、あくまで僕個人の「RED GAR
DEN」評価の理由に過ぎないので、物語批評と
いうものではありませんが、よりちゃんとした、
(そして僕の不得意な)作品のモチーフ的な読
み取りについては、りょうさんの文章の方が、
ずっと興味深く読めると思います。
第21話の、本編の雰囲気に優しくそえられた
ような、おそらく最後の感想寸劇も合わせて、
余韻を共に味わいたいですね……。


short_g.gif

むむっ。夜の路アンテノラ8Fで美鶴先輩の
私服(冬服)を入手出来ましたが、別にグラ
フィックが変わるわけではないのですね。
本編新版では、私服も含めてコスチューム変
化があるという話でしたので、こちらでも少し
期待してたのですけど。
寸劇にならって、ゆかりさんに逆に着せてみ
ようかとか不埒に思ってたのですけど。
ショックなので今日はここまで(笑)。
でもはやく、はやく第四の扉を突破しなくちゃ、
新作ファン小説「アンファン・テリブル」を
読めないわけですし、引き続き頑張りますっ。

posted by mikikazu at 09:04 | Comment(0) | アニメ感想・「RED GARDEN」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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