えっと、あれこれしている間に、こちらの方が
遅れてしまっていたので、いささか急ぎ足で
申し訳ないですけれど、「RED GARDEN」
(公式サイト)は第18話「わずかな、望み」
まで見てみました。
心情的なことでいうと……、ここ最近アニメ
作品で感じることは稀だったんですが、バッ
ド・エンドじゃなくて、なんとか主役の4人及び
関係者のみんなが救われて欲しいと思う一方
で、4人は死ぬか記憶を失うしかないという
真実が現時点で明確にされた以上、最後まで
その筋を通して終わるべきだという気持ちも
あって、正直難しいです。
4人の心を描く語り口が、ここまで崩れずにき
たことはとても評価していますし、最後まで
それを貫くなら、18話ラストでの4人の決意
に従って、見る側としても覚悟をしなくては、
とも思っています。
よくありますけれど、「この戦いで力を使い切
った主人公はまず助からない」のような設定
でラストバトルを盛り上げておいて、最後の
最後に「奇跡」が起きてハッピーエンド、みた
いなご都合主義は、この作品にはそぐいませ
んものね。
奇跡なんかじゃなくて、運命に抗う個人の意
志と行動により、「引かれたレールから飛び出
して第三の道を選ぶ」という展開になるのなら、
僕も嬉しいですが。
1人の人間に出来ることの限界が明確なこの
作品だからこそ、その力により「奇跡」を成し
遂げられるとすると、結末として素敵だとは想
像します。甘過ぎでしょうけど……。

個人という目線からの、「人との距離」を描く
のが、この作品の、作り手の意図とは関係ない、
出来上がった物語から浮き上がって見える、
僕にとってのテーマのひとつなんですけれど、
それはやはり、舞台をニューヨークに設定して、
日本的なウェットさを排除したからこそ描けて
いるものだと、あらためて思います。
僕はニューヨークで暮らしたことはないですか
ら、あくまでイメージで考えているだけなんで
すけれど、多人種国家アメリカでも、特にニュ
ーヨークは、アメリカ国内からだけじゃなくて、
世界の色んな国から集まってきた、「他人」の
集まった街だ、という印象があるんですよね。
もちろんニューヨークの中でも、色んな地域
があると思いますが。
実際にニューヨークで暮らしている人が「RED
GARDEN」を見て、リアルだと感じるかどうか
は別の問題ですけれど(正規にリリースが始
まれば訊いてみたいです)、少なくとも個人
という目線からの、「人との距離」というテー
マを、こういうキャラクターで描くという目的
のためには、正解の選択だったと、僕の中で
は受けとめています。
これが同じアメリカでも、「カレイドスター」が
舞台にした西海岸のサンフランシスコ(辺り?)
だと、また違った感じになるでしょうし。
「RED GARDEN」と「カレイドスター」の比較論
って、誰かなさってないでしょうか。
「語らなくてもわかりあえるものがある」という
日本的ウェットさとは違う、「語らなくては何も
伝わらないし、わかってももらえない」という他
人同士の距離と関係性がはっきりしている空
気が、この物語には必要だと明確ですし、キャ
ラの演技も然りです。
そういう意味で、色んなパーツの配置が正解な
この作品であるからこそ、幕の閉じように期待
するものも大きくなります。どうなるでしょう。

★あ、まりやさんのお茶でも、もちろん僕は
よろこんでいただきます。それくらいの覚悟
はありますし。
↑「なんで『覚悟』、だ――っ!」byテーブルを
ひっくり返すまりやさん
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