2007年04月07日

「魔法少女リリカルなのはStrikerS」第1話における、アニメ演出の魅力


えっと、かなり遅ればせながらで恐縮です
が(汗)、「魔法少女リリカルなのはStri
kerS」
公式サイト)の第1話「空への翼」
を見て思ったことを、少しだけ述べておきま
すね。


short_g.gif


「魔法少女リリカルなのは」第3シーズン
「StrikerS」からの新キャラクターであり、
この第1話での中心人物であったスバル・
ナカジマは、公式サイトの解説を引用する
と、「魔力で駆動させるローラーブーツとナ
ックルを駆使した格闘技法『シューティング・
アーツ』で戦う」魔導師です。
彼女の装備、ローラーブーツとリボルバー
ナックルに共通する特徴は、共に使用時に、
「音を発生させる」ということですね。
デバイスの作動音については、第2期「A's」
から登場したベルカ式のデバイスがカートリ
ッジシステムを採用しており、そのカートリッ
ジの装填・排出時における「ガシャン!」と
いう音が、描かれるドラマとアクションの中
で、とても効果的なアクセントになっていま
したよね。
今回の「StrikerS」でスバルに与えられた装
備は、ベルカ式デバイスで確認された演出
効果を、さらに発展させる意味合いも含んで
いると思います。


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よく、「アニメ的演出」なるものを導入して、
失敗に終わる実写作品があります。
それは多くの場合、そういった演出手法と、
映像の中にいる俳優さんの肉体性とのバラ
ンスが、うまく取れていないからです。
実写作品の場合、俳優さんの肉体は、「そ
こに彼女/彼が存在し、感じられる世界が
ある」という、観客自身の肉体認識とつなが
るリアリティ認知を促します。
クンフー映画にあれだけ興奮出来るのも、
中国武術を基にしたアクションが、すべて、
基本的には観客と同じ構造である、俳優さ
んの生身の肉体を通して表現されているか
らですよね。そしてクンフー映画には、「あら
ゆる問題は、クンフーでの対決で解決・終
結される」というお約束があります。
「アニメ的演出」を導入し失敗する実写作
品は、俳優の身体が伝えてしまうリアリティ
と、そもキャラクターの生身としての肉体性
を前提にしていないアニメ演出の「お約束」
に、齟齬が発生しているのですね。


実写作品の場合、画面内で発生している音
は、劇伴音楽や演出効果音の類を除き、画
面の中の俳優さんの耳と身体にも届いてい
るはずの音だという、リアリティの了解があり
ます。
もちろん、リアリティ演出の度合いは、個々の
作品世界によるので、何もかも現実のままで
なくてはいけない、というわけでもありません
が、それでも常に、俳優さんの肉体が受けと
められる範囲、という指標はあります。
一方アニメ作品だと、そういうリアリティ規定
は、もう少しゆるやかです。
ちょうど良い例になりますが、この「StrikerS」
の前半でも、飛んでいるヘリのドアを開いた
ままで、フェイトとはやてが普通のレベルの
声で会話するシーンがありました。
「飛んでいる最中のヘリの騒音」というリア
リティを考えれば、実写作品の中でこういう
描写をしてしまうと、かなり嘘っぽく白けてし
まうのですが、アニメ作品――この「なのは」
という作品世界描写では、それは許されて
いいものになっています。
間違いということではなくて、画面内の音情
報を扱う際に、リアリティよりも、演出意図を
優先して操作出来るということですね。


short_g.gif


そういうアニメ演出の利点をふまえて、スバル
・ナカジマのアクション・シーンで特に効果的
に用いられている、ローラーブーツとリボルバ
ーナックルが発生する音、魔方陣それ自体の
効果音(?)、劇伴音楽、そしてなにより、スバ
ルを演じる声優・斎藤千和さんによる声の演
技をすべて合わせた、音響演出の妙こそが、
僕個人が感じた、この第1話最大の魅力でした。


まず、魔方陣の発する音や劇伴音楽の的確さ
については、シリーズを通して、もう言わずもが
なですよね。あの音楽が流れただけで、気分
が高まる人は多いと思います。
また要所要所で、スバルの心を伝えるかのよ
うに唸りを上げるローラーブーツとリボルバーナ
ックルは、アニメファンにわかりやすい例えをす
れば、「装甲騎兵ボトムズ」のATによるローラ
ーダッシュと、「機動武闘伝Gガンダム」におけ
るシャイニング・フィンガー、そして「GEAR戦士
電童」の両腕タービンの回転ギミックが備えた
すべての演出効果を、生身の身体ひとつで表
現出来る特権がある、という感じですね。
しかも、スバルにはロボットという機械を媒介に
せず、表情を加えた、自分自身の身体による
アクションで、より直接的に彼女の気持ちを伝
えられる優位もあります。もちろん、敵の攻撃
による痛みも、生身の身体で受けとめなくては
いけないわけですが、それは演出としてプラス
に作用するでしょう。


そしてなにより、そういった演出装置の中、
「キャラクターとしての立ちよう」というものに、
決定的に命を吹き込んでいるのが、斎藤千和
さんによる声の演技です。
彼女の声によって、画面内のすべての情報が
スバルの肉体性を通過していると感じさせる
重要な役割に、見事に成功していると思います。
クライマックス、なのはとの出会い時に生まれ
た自分自身への誓いと、負傷しながらも自分
を信じサポートしてくれるティアナへの思いを
抱えた、一歩も引けない立場のスバルは、自
分の身体と唸るデバイスにすべての力を注ぎ
込み、あらんばかりの叫びと共に、最強ターゲ
ットへ渾身の一撃を叩きつける――!
映像の中のあらゆる要素が、スバルの心に沿
って一体化した結果による、この瞬間の高揚
とカタルシスこそは、アニメという物語表現が
達することが出来る高みの、最良の例だと思
います。


とはいえ、このシーンのアクションに与えられ
た設定的文脈は、魔導師ランク昇格試験に合
格するという、まだあくまでエピソード単位の
ものでしかありません。
やがて現れる今回の相手に対して、過去のシ
リーズの倍の分量ある物語の積み重ねの結果、
与えられた任務として、あるいはそれを越えた
目的を求めて、スバルがどんな思いをその拳に
託し、迸らせていくのか、期待して見ていきたい
と思います。


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他の新番はまだまだこれからです。
今夜はやっとこお休みなので、出来るだけ
消化出来れば、とも思いますが……。
出来る範囲で頑張りますです。


posted by mikikazu at 13:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ感想-いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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