2007年03月21日

英語版「鋼の錬金術師」エド役の声優Vic Mignognaさんインタビュー・その3――エドとの出会いと、成功の影響について


今日で最後になりますが、オンライン・アニメ
ストアRight Stuf Internationalによる配信
のポッドキャストAnime Today第36回(3月
16日更新)で聞ける、Vic Mignognaさんへ
のインタビューの第3部です(47分48秒〜
57分27秒)。
この最終パートでは、いよいよ「鋼の錬金術
師」(英語題「Fullmetal Alchemist」)のエド
ワード・エルリック役について語ってくれます。
Vicさんによるエドを含む英語版キャストの声
をチェックしたい方は、放送局Adult Swimの
「鋼」コーナー内にある、「Clips」のページ
一番手っ取り早いでしょうか。
画像の下の「WINDOWS MEDIA」をクリック
すると、メディア・プレイヤーでの再生が始ま
ります。


Vic Mignognaさん公式サイト
「Vic'sWorld.net」
Vic Mignognaさん公式ファンクラブ
「Risembool Rangers」
Anime News Network
英語版Wikipedia


short_g.gif


Q.「エドワード・エルリックを演じることになっ
た経緯は? それまでに、エドのことをなにか
知ってた?」

Vic
「その答えは一番短いものになるね――『な
んにも』だよ(笑)。エドワード・エルリックとい
うキャラクターについては、本当に何も知らな
かったんだ。
(『鋼の錬金術師』の英語版を制作した)FUN
imationとは、Justin CookがADRディレクタ
ーを務めていた『幽遊白書』に始まって、それ
までにもいくつか仕事をしたことがあった。Ju
stinは、当初『鋼』でもディレクターを務める予
定だったんだよね。
ある日、そのJustinから電話がかかってきて、
『いま手がけている作品のオーディションを
やるんだけど、受けてほしいんだ』と誘われ
たんだ。なので僕は住んでいるヒューストン
から、スタジオのあるダラスに向かうことに
なった。
到着して控え室に入ると、そこには『鋼』の
キャラクター達のプロフィールを説明する資
料がバインダーに用意されていたので、ま
ず座って、それに目を通すことにした。
その時までに作品のことは全然知らなくて、
耳にしたこともなかった。思いついた一番似
ている作品は、以前に出演したことのある
『フルメタル・パニック』くらいかな。内容は
全く異なる種類の作品だけど。それくらい、
『鋼』についての知識はなかったんだ。


資料を読みながら、『どのキャラクターが自
分に合うだろう』『どういう風に演じるべきだ
ろう』ということを考えていたら、スタジオから
Justinが現れた。
『どうだい、そろそろその内の誰かを演じて
みるかい?』と彼が訊いてきたので、『そう
だね、1人いい感じのキャラがいるんだけど
――』と言いつつ僕が示したのは、エドのイ
ラストだった!
僕はエドのことなんて、その時までに何も知
らなかったし、とりあえず10個くらいの台詞
が用意されているだけで、どんな風に演じて
いいのかも想像がつかなかったけど、書かれ
てあるプロフィールは興味深いものだったし、
面白そうな感じの少年だった。それに僕自身
も、過去に少年キャラを何度も演じたことで知
られていたからね。
『このキャラを演じてもいい?』と訊いてみると、
『君がそう言ってくれて嬉しいよ。実は我々も、
君こそエドにふさわしいんじゃないかと考えて
いたんだ』というのが、Justinの答えだった。


日本側の権利者であるアニプレックスは、そ
の秋に予定されているコンベンションOtakon
で公開するためのデモ・エピソードの制作を、
FUNimation側に要請していた。なので僕達
はまず、そのデモを作ることになったんだ。
Justinが言うには、『この作品のキャストを
決定するにあたっては、いつもとは違う手順
を踏むことになる。とりあえずデモを制作し、
それを日本側に提出して、君を含む、我々の
選んだキャストが彼らに承認されなくてはな
らないんだ。なので君にはまず、デモ版の第
1話全てを通して、エドワード・エルリックを演
じてもらう』ということだったから、僕はそのデ
モ・エピソード版の第1話でエドを演じること
になった。
結局デモを見た日本側は、『この男を変えろ。
この女性もダメだ』という風に、アメリカ側が
選んだデモ版のオリジナル・キャストを何人か
は交代させていった。
でも幸いに、僕のエドとしての声は気に入っ
てくれたみたいだった。
こうやってなんとか、僕はエドの役を手に入
れることが出来たんだよ。
この作品に関われたことは素晴らしい体験だ
ったし、これから先もずっと誇りに思えるだろ
うね。American Anime Awardで『鋼』が
Best Cast賞を受賞したのも、僕にはそんな
に驚きじゃなかった。僕の個人的な意見だけ
ど、英語版『鋼』のキャストは、それぞれが様
々な演技の経歴をもつ人々による、最高の組
み合わせになったからね。
ADRディレクターとして、Mike McFarlandと
Colleen Clinkenbeardは素晴らしい仕事を
してくれたし、Jared Hedgesによる台本も
良かった。全ての要素が、作品のためにうま
く機能してくれたんだ。


Q.「作品が終了してしばらく過ぎても、
コスプレイヤーはたくさん見かけますし、
あなたのところにもこの作品についての
ファン・メールが届いてますよね。
これだけ成功してしまった作品に関わって
しまうと、特定の役のイメージで固定され
た見方をされてしまう、という不安は生じ
ませんでしたか?」

Vic
「正直に言うと、確かにそういう不安はあ
ったし、実は今でもあるよ。信じられない
かもしれないけれど、声優でもそんなこと
が起きたりするんだ。僕は実際に、とても
成功した作品で人気のある役を演じた後、
主役に限らず違う役を得るのがとても難
しい立場に追い込まれた声優さんを、何人
も知っている。
スタジオの方で、その声優の声を聞いたフ
ァンは、かつて演じていた有名キャラのこ
としか連想しなくなるのでは、という危惧
があるんだよね。


こういう風に説明出来るかな――、声優の
仕事というのは、ただ声を変えることでは
ないんだ。大切なのは『役を演じる』こと、
それ自体なんだよ。
例えば、ロバート・デ・ニーロはとても素晴
らしい映画俳優だよね。とんでもない数の
作品に出演している。彼は自分の声を変え
たりはしない。いつでも、デ・ニーロの声に
聞こえるよね。それでも、それぞれ違う役を、
ちゃんと演じ分けられている。
声優も同じことなんだ。もし、僕がまた10
代の少年の役を演じたら、きっとその声は
エドと似て聞こえるだろう。でも、作中で
描かれるのは、そのキャラクター固有の決
断であり、人間関係であり、物語の展開だ
よね。そうするとおのずと、彼の台詞や話
し方も、きっとエドとは違ったものになって
いく筈だ。


君の指摘も正しいんだ。僕も『鋼』が終わ
った後、もう役が得られないんじゃないか
という不安はものすごくあった。あまりに
も『鋼』が成功してしまったから、スタジオ
の方では、『ああ、もうエドみたいに聞こ
える声はいらないから』『ファンが君の声
を聞いて、新しい作品のキャラのことじゃ
なく、エドのことばかり考えてしまうのは
困るからね』と言われてしまうんじゃない
かって……。
だからそれも、僕が今回『Bleach』で得ら
れた役(斑目一角)を喜んでいる理由のひ
とつになるんだ。このキャラは、エドとは全
然違うからね!」


Q.「最後に、ファンに伝えておきたいメッ
セージがあればお願いします」

Vic
「壊れたレコードみたいにずっと同じで申
し訳ないけれど(笑)、いつでも僕がファン
に伝えたいのは、心の底からの、深い深い
感謝だよ。神様にも、こんな仕事をさせて
もらっていることに感謝したい。
仕事を始めた8年前には、ちょっとした楽
しみというか、副業程度にしか考えていな
かったアメリカでのアニメが、どんどんと
育って、こんなにもスゴいものになるとは
想像もしていなかった。
だから、ファン達が捧げ続けてくれた助け、
励ましの言葉、優しさ、そして情熱に応え
るためにも、これからも良い仕事を続けて
いきたい。僕もお返しに、彼ら自身の人生
や夢にとって刺激になったり、励ましにな
ったりするようにね。
僕からの、ファンに対するメッセージはた
だ1つだけさ。――その優しさと応援に、
『ありがとう』」



short_g.gif


という感じです。
合計すると30分くらいのインタビューで、
その発言全てを写し訳せたわけではありま
せんが、Vic Mignognaさんのお人柄を知る
一助になれば幸いです。


あ、「鋼」の様々な海外展開については、
有名ですけれどチワサキタカエさんの
「かわ屋 別館 ちわさき亭」が一番役に
立つと思います。
英語圏のみならず、世界各国の「鋼」情
報・グッズをチェックなさっているその熱心
さには、いつも頭が下がる思いなのであ
ります。

posted by mikikazu at 09:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 「鋼の錬金術師」情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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