おそらく今のアメリカで最も人気があるANIME
声優の1人で、先日発表された第1回American
Anime Awardsでもベスト男性声優賞に輝いた、
Vic Mignognaさんへのインタビューが、オンライ
ン・アニメストアRight Stuf Internationalによる
配信のポッドキャストAnime Today第36回(3月
16日更新)で聞けます。
Vic Mignognaさん公式サイト
「Vic'sWorld.net」
Vic Mignognaさん公式ファンクラブ
「Risembool Rangers」
Anime News Network
英語版Wikipedia
今日のところは、3部に分けられたインタビュ
ーの最初のパート(8分00秒〜18分30秒)に
おけるVicさんの発言を、かいつまんで紹介して
みますね。
聞き取り訳なので、完璧じゃないですし意訳
・省略バリバリですが、ご容赦ください。
Q「よく訊かれると思うけど、アニメの仕事を
始めることになったきっかけは?」
Vic
「確かにいつも訊かれる質問だよね。僕の場合
も、他のみんなと同じようなものだと思うよ。
僕は舞台俳優の仕事をずっと続けていて、それ
はミュージカルだったり、普通のシリアスなお芝
居だったりした。
8年くらい前かな、(テキサス州)ヒューストンの
友人と、あるビデオ製作の仕事をする機会があ
ったんだ。その時に彼が、『君の演技の経歴は、
なかなかにすごいみたいだね』って言うから、
『まあね』と答えておいた。
そうしたら、ヒューストンに来て、オーディショ
ンを受けてみないか、と誘われたんだ。なん
でも、『ジャパニメーション』とかいうものの仕
事があるとかで。
『ヒューストンにそんなことやってる会社があ
るの?』って訊いたら、『うん、ADV Filmsと
いってね、僕もちょっとそこに関わってる。君
のことは伝えておくから、オーディションを受
けてみるべきだよ』と教えてくれた。
その頃ADVはまだまだ小さな会社だったんだ
けど、ともあれ僕はオーディションを受けに行
って、見事に採用された。
一番最初の役は……『ストリートファイターU』
のベガだったよ。そして次々に色んな作品に
出るようになっていって、そこから全てが始
まったんだ」
Q「アニメ声優の仕事で好きな部分は?」
Vic
「色んな役を演じられること、それも実写の作
品では、絶対に無理なキャラまで演じられるこ
とかな。
例えば『鋼の錬金術師』のエドの場合、回想シ
ーンでは9〜10歳、普段は15歳、そして映画
では18歳くらいという風に、幅広い年齢を演じ
なくちゃいけない。現実の僕は、その頃の年齢
からは、ずっと遠ざかってしまっているわけだ
けど、そんな風に全く自分自身と異なるキャラ
クターを演じるのは、とても面白いことなんだ。
もう一つ、同じくらいに大切なのはファンの存
在だね。昨日Monica Rial(女性声優)と昼食
を共にしてたんだけど、僕らは2人で、アメリカ
でアニメがこんなにも成功するなんて驚きだよ、
みたいな話をしてたんだ。
僕らは2人とも同じ頃、8年前にこの仕事を始
めたんだけど、当時は本当にマイナーな仕事
でしかなく、その価値について、大して考えも
していなかった。
それが今、生み出されているアニメファンの
数といったら、ものすごいよね!
僕たちの声優としての仕事を評価してくれて、
ずっと追いかけてくれるファン達の熱心さに
は、本当に感謝しているんだ。信じられない
くらいだよ」
Q「あなたが猛烈な『スターウォーズ』ファン
であることは有名ですが、そのことが、コンベ
ンションなどでファンと接し理解する際に役立
っていると思う?」
Vic
「もちろんだよ! 子供の頃は僕もカーク船
長のコスプレをして『スタートレック』のコン
ベンションに出かけたものだし、悲しい事実
として、僕は今でもジェダイの格好をして、
『スターウォーズ』のコンベンションに行った
りしてるんだ(笑)。
だからきっとファン達には、僕も彼らと同じ種
類の人間だって、わかってしまうんじゃない
かな?」
Q「『鋼』のエドワード・エルリック役で、あ
なたは一番有名だと思うんですけど、その
役でしかあなたを知らないファンが知った
ら驚きそうな、他の役は?」
Vic
「もう8年間もこの仕事を続けてて、先日あ
る人に指摘されて僕もビックリしたんだけど、
僕がこれまで出演した作品の数は、85本に
もなるんだ。
もちろん、それは85人のキャラを演じたとい
うことではなくて、一つの作品で複数のキャ
ラを吹き替えることも多いから、実際には数
百くらいになっちゃうのかな?
だからよく、『ええ! あなたが『幽遊白書』
でプーを演じてたなんて信じられない! 全
然あなたらしくないし』みたいなメールをもら
って僕も驚くんだ。
『どんなデジタル技術を使ったの? まるで
あなたの声には聞こえない』とか言われて、
僕の声だとわからないファンも多くいる。
それだけ多くの作品と関わってきたわけさ。
有名どころのメインキャラだと、『D.N.Angel』
のダーク・マウジー、『幻想魔伝 最遊記』
の紅孩児、『フルメタル・パニック!』のクルツ・
ウェーバー、『PEACE MAKER鐵』の市村
辰之助、『超時空要塞マクロス』の一条輝、
『ドラゴンボールZ』のブロリー、とかになるの
かな。
最新の人気作でいうと、『BLEACH』だね。
この土曜日放送のエピソードが初登場にな
るんだけど、そのキャラ(斑目一角)も、かな
り違って聞こえると思うよ。
アメリカよりも数週進んで放送しているカナ
ダからは、もう『一角のキャラはすごく気に
入ったんだけど、それがあなただったなん
て!』というメールが届いてた。
そういうファンの声は楽しいけどね。いつも
僕の声は同じに聞こえるわけじゃないから」
Q「『フルメタル・パニック! The Second
Raid』では、またクルツ・ウェーバーを演じ
たそうだけど、同じ役を何度も演じるのは、
どんな気持ち?」
Vic
「それについては興味深い話があるんだ。
僕らはまずADVが手がけた『フルメタル・
パニック』(1作目&「ふもっふ」)シリーズ
で演じて、それは関わった誰もが納得する
良い出来で、大成功だった。
そしてシリーズ第3作目の『The Second
Raid』がやってきたわけなんだけど、日本
側の権利を持っている人たちは、『よし、
この作品はアメリカでも人気がある筈だか
ら、今回はアニメ販売会社同士でライセン
ス権の取得を競わせて、もっと稼げないか
試してみよう。より高いライセンス料を払う
会社が出てくるかもしれないし』と考えたみ
たいなんだ。
でもその一方で、アメリカでの成功の大部
分は、英語吹替の演出やキャストがよかっ
たからということも、彼らはちゃんと理解し
ていた。なので、どこの会社が権利を得よ
うと、『The Second Raid』でもオリジナル
のキャストが起用されるよう、契約内容に
はこだわっていたんだ。
結局のところFUNimationが権利を獲得し
たんだけれど、彼らも過去のシリーズの成
功の理由を理解していたので、自分達で英
語トラックを制作したりは最初からせず、そ
のままADVに制作を発注したんだ。
そういうわけで、ファンはオリジナルのディ
レクター、キャストがまた集まって収録され
たことに喜べたし、僕たちキャストみんなも
ね。そうやって『The Second Raid』は制
作されたんだよ」
第2部では、「マクロス」で共演した、日本
版のオリジナル・キャストである飯島真理さ
んとのこと、「また演じてみたい作品は」と
いう問いに、大のお気に入りとして「プリン
セスナイン」「ジェネレイターガウル」を挙
げたり、敬虔なクリスチャンとしての立場か
ら断った仕事のことなど、また色々と語って
くれています。