2007年03月15日

ANIMEやMANGAと違い、どうしてJ-POPはアメリカで成功しないか


アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ在住
である、PATAさんのブログ「Irresponsible
Pictures」の3月10日付け記事「Has this
Tofu gone bad?」
で、北米でのJ-POPビジ
ネスの不振について、マンガやアニメと比較
する、面白い論考が語られていました。


確かに、北米のアニメ・マンガファンのコミュ
ニティでは、J-POPを好きだという人も、たく
さん目にします。コンベンションにやって来
てくれたアーティストのライブは盛況ですし、
コスプレイヤーだって存在します。
でも、それは「アニメ・マンガ」という狭いコミ
ュニティの中だけの人気であって、例えば
Cartoon Networkでの視聴率、アニメ専
門局の放送エリアの拡大、書店での売り上
げといった、世間一般にも通じる数字として
の、マンガやアニメのビジネスの成功といっ
た域には、まるで届いていないわけです。


その証拠として示されたのが、ソニー・ミュ
ージック・エンターテインメントの、アメリカで
のレーベルであり、J-POPアーティストを
専門的に紹介してきたTofu Recordsの、
組織改編とそれに伴う営業休止というニュ
ースですね。

Anime News Network3月9日付け記事
「Tofu Records to Re-Organize」

すぐに倒産するとか、撤退するとかいう話で
はないようですが、楽曲のダウンロード販売
がシェアを急速に広げつつあるアメリカの音
楽業界で、Tofu Recordsも、あらためてその
ビジネス方針を再検討する必要がある、との
ことで、1月から公式サイトでのニュースの
更新は停止され、フォーラムも一時閉鎖され
ています。


アニメやマンガと同じく、日本のポップカルチ
ャーを代表する商品であり、またTofu Records
では、日本からの輸入CDの半額ほどの値段で
アルバムを販売しているのに、どうしてJ-POP
は大きな成功を収められないのでしょうか。
PATAさんによる理由の解説をまとめてみます。


short_g.gif


・アニメにおけるDVDの登場や、マンガにおけ
る1冊10ドルで反転無しのグラフィック・ノベ
ル形式での出版といった、商品パッケージとし
ての利点が、J-POPの売り出しにおいてはな
かった。

・J-POPには、アニメやマンガほどの、「こん
なものはアメリカには存在しなかった」という
オリジナリティがその音楽スタイルにない。

・アニメとマンガには、手塚治虫という、世界
的に影響を残した天才が存在した。
つまり、エルビス・プレスリーやビートルズ級
のインパクトを与えるアーティストがJ-POPに
いれば違っていた。

・北米のアニメ・ファンダムは、日本アニメに
関する情報が何もない時代から、必死に活
動を続け、濃いコミュニティを構築してきた。
けれどJ-POPが知られ始めた時代は、誰も
が簡単にネット経由で情報を入手出来るよう
になっていて、ファンのオタク度、献身度も低い。
なにより、ネットからファイルをタダでダウンロ
ードして聞くのが最初から普通だという意識の、
その世代に対して、お金を払ってCDを購入し
てもらう市場を成立させるのは難しい。
これは、ファンサブのダウンロードに慣れた
若い世代のアニメファンにも共通すること。

・J-POPには、アニメにおけるJohn Ledford
(アニメ販売会社ADVの創設者)やCarl Horn
(日本アニメ・マンガのライター・編集者)の
ような、献身的にアニメ・マンガを紹介し市場
を構築しようとする者がいなかった。


short_g.gif


という辺りが大きなところでしょうか。
コメント欄には、「J-POPアーティストが北米
でその名前を知られるのは、主にアニメソング
を担当したからなのに、その事実がTofu Reco
rdsでは全然宣伝に利用されていなかった」と
いう意見も投稿されていたのですけれど、まっ
たくの憶測ですが、これはアーティストないし
事務所側の意向もあったのでは、と思います。
つまり、日本では、「普通」のアーティストと、
「アニソン」のアーティストには、明確な区分
がされていますよね。ヒエラルキーとまでは
言いませんけど。
アニメ作品に楽曲を提供することは構わなく
ても、「○○というアニメのアーティスト」みた
いにばかり伝えられるのは、あんまり嬉しく
ない人もいるんじゃないかなと……。


ともあれ、アメリカの音楽業界それ自体の障壁
もあるでしょうし、Tofu Recordsからアルバム
を販売しているアーティストさんが、どれだけ
の成功を期待しているのかよくわかりませんが、
きっかけはどんなことでもいいと思いますので、
アニメ作品を通して日本の音楽にも興味を抱く
ようになった人が、ビジネスが成立するくらい
に増えて(意識改革も求められるのでしょうけ
れど)、いい意味での文化交流につながってい
けばいいですね。
posted by しくへっど at 09:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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