北米では引き続き順調に、マンガ市場の拡
大が続いているわけですが、かといって出
版される全てのマンガが成功しているわけ
でもないんです。
カリフォルニア在住のEdさん（naniwaさん）
運営のブログMangaCastでは、10日付けの
「A List Your Manga Should not Be On」
と題した記事で、アメリカでの出版が中断さ
れてしまったマンガのリストを公開していま
した。ご苦労様です！
ここではそのリストから日本マンガだけを
取り出し、そのオリジナル日本題と作者・
出版社名、日本での単行本刊行数と、向こ
うで中断された巻数について、それぞれ記
載していきます。
完結・継続中、最新刊の出版状況について
はわかる範囲で調べましたが、間違いなど
あればお願いします。
なおこのリストからは、Gustoon Entertai
nment、Studio Ironcat、ComicsOneと
いった、既に存在していないマンガ出版社
からの作品は含まれていないそうです。
それらの出版社からの作品については、
↑のAnime News Networkへのリンクで
ご確認ください。
明確にしておきたいのは、このリストにある
作品の多くの状況は、あくまで「hiatus（中
断された）」であって、全てが完全に「cance
lled（打ち切られた）」わけではない、というこ
とですね。
もちろん、中断の状況が、翻訳出版権が失
効する時まで続けば、結果的に打ち切りと
同じわけですが……。
記事の題にあるように、自分がファンである
作品が見つからないといいですね……。
ADV MANGA
「BANZAI」（鈴木ダイ 秋田書店）
全２巻中１巻まで
「ブルー・インフェリア」（紫堂恭子 角川書店）
全４巻中１巻
「妖 -YO U-」（真東砂波 秋田書店）
全３巻中２巻
「悪魔狩り 〜寂滅の聖頌歌篇〜」（戸土野正内朗
マッグガーデン）
既刊７巻中１冊
「魔界都市ハンター」（菊地秀行・作 細馬信一・画
秋田書店）
全17巻中２巻
「デザート・コーラル」（村山渉 マッグガーデン）
全５巻中３巻
「ドリムゴード」（中西達郎 マッグガーデン）
全５巻中１巻
「悠久黙示録エイドロンシャドー」（うるし原智志・
よしもときんじ メディアワークス）
全２巻中１巻
「恋愛出世絵巻えんXむす」（瀬口たかひろ 秋田書店）
全６巻中１巻
「賢者の長き不在」（藤野もやむ マッグガーデン）
全８巻中２巻
「がじぇっと」（衛藤ヒロユキ マッグガーデン）
既刊３巻中１巻
「ゲーマーズヘブン!」（村上真紀 マッグガーデン）
既刊４巻中１巻
「GATEシリーズ」（如月弘鷹 ビブロス）
全３巻中１巻
「ガンスリンガー・ガール」（相田裕 メディアワークス）
既刊７巻中３巻
「Happy Lesson」（森真之介 メディアワークス）
全２巻中１巻
「伊賀ずきん」（たなかのか マッグガーデン）
全５巻中１巻（？）
「ジンキ・エクステンド」（綱島志朗 マッグガーデン）
全９巻中３巻
「陽炎ノスタルジア〜新章」（久保聡美 マッグガーデン）
全３巻中１巻
「Ki・me・ra」（こだか和麻 ビブロス）
全２巻中１巻
「キッズ・ジョーカー」（藤田麻貴 秋田書店）
全６巻中１巻
「キリエ〜吸血聖女〜」（杉村麦太 秋田書店）
全２巻中１巻
「魔法戦士リウイ」（水野良・細雪純 角川書店）
全６巻中４巻
「リスティス」（うたたねひろゆき メディアワークス）
全２巻中１巻
「もっと心に星の輝きを」（松葉博 マッグガーデン）
全８巻中２巻
「それじゃあ吉田くん! 」（よしむらなつき マッグ
ガーデン）
全２巻中１巻
「魔探偵ロキRAGNAROK」（木下さくら マッグガーデン）
全５巻中２巻
「無敵看板娘」（佐渡川準 秋田書店）
全17巻中１巻
「魔殺ノート退魔針」（菊地秀行・斎藤岬 幻冬舎）
全６巻中１巻
「PEACE MAKER 鐵」 （黒乃奈々絵 マッグガーデン）
全５巻中３巻
「R²」（箱田真紀 マッグガーデン）
全２巻中１巻
「RAY」 （吉富昭仁 秋田書店）
全７巻中３巻
「鋼鉄天使くるみ 」（介錯 角川書店）
全11巻中９巻
「Tactics」（木下さくら・東山和子 マッグガーデン）
既刊８巻中２巻
「天外レトロジカル」（浅野りん マッグガーデン）
既刊６巻中１巻
「エルフを狩るモノたち」（矢上裕 メディアワークス）
全21巻中８巻
「護宝遣聖VAIZARD」（吉田典弘 マッグガーデン）
全３巻中１巻
「よつばと！」（あずまきよひこ メディアワークス）
既刊６巻中３巻
「僕と彼女の×××」（森永あい マッグガーデン）
既刊３巻中１巻
MEDIABLASTERS
「覚悟のススメ」（山口貴由 秋田書店）
全11巻中６巻
「バロン・ゴング・バトル」（田口雅之 秋田書店）
全９巻中６巻
「カムナガラ」（やまむらはじめ 少年画報社）
全10巻中６巻
「ピルグリム・イェーガー」（冲方丁・伊藤真美
少年画報社）
既刊６巻中３巻
「Twin Signal」（大清水さち エニックス）
全８巻中１巻
BROCCOLI BOOKS
「でじこ★あどべんちゃー」（霧賀ユキ 角川書店）
全３巻中１巻
「デ・ジ・キャラット劇場ぴよこにおまかせっ！」
（ひな。メディアワークス）
全２巻中１巻
「ギャラクシーエンジェル パロディ」（アンソロジー
角川書店）
全３巻中２巻
Central Park Media PRESS
「こみっくパーティー」（アンソロジー 宙出版）
全９巻中３巻
「あひるの王子さま」（森永あい 角川書店）
全６巻中３巻
「ジオブリーダーズ」（伊藤明弘 少年画報社）
既刊12巻中２巻
「ハートを打ちのめせ！」（ジョージ朝倉 祥伝社）
全２巻中０巻
「超爆魔道伝スレイヤーズ 」（原作・神坂一 画・
義仲翔子 角川書店）
全８巻中６巻
「しびとの剣」（作・菊地秀行 画・加倉井ミサイル
幻冬舎）
全８巻中２巻
「肥前屋十兵衛」（富沢ひとし 秋田書店）
全３巻中２巻
「お天気お姉さん」（安達哲 講談社）
全８巻中１巻
「成恵の世界」（丸川トモヒロ 角川書店）
既刊９巻中４巻
DARK HORSE
「3×3EYES」（高田裕三 講談社）
全40巻中８巻
「砲神エグザクソン」（園田健一 講談社）
全７巻中５巻
「電夢時空」シリーズ（高山和雅 講談社）
全２巻中１巻？
「伊藤潤二恐怖博物館」（伊藤潤二 朝日ソノラマ）
全10巻中３巻
「戦慄タコ少女」（山咲トオル リイド社）
全４巻中３巻
「セラフィック・フェザー」（うたたねひろゆき・
武田俊也 講談社）
既刊９巻中６巻
「なるたる」（鬼頭莫宏 講談社）
全12巻中７巻
「へば!Helloちゃん」（小林まこと 講談社）
全５巻中４巻
「逮捕しちゃうぞ」（藤島康介 講談社）
全７巻中２巻
「沙流羅」（ながやす巧・大友克洋 講談社）
全７巻中１巻
Digital Manga Publishing
「バンビ」（カネコアツシ エンターブレイン）
全６巻中２巻
「グルームパーティー」（川島よしお 秋田書店）
全５巻中１巻
「ダーリンは外国人」（小栗左多里 エンターブ
レイン）
全３巻中０巻？
「WORST」（高橋ヒロシ 秋田書店）
既刊16巻中３巻
DrMaster Publications
「888 スリーエイト」（桑田乃梨子 幻冬舎）
既刊２巻中１巻
「クレヨンしんちゃん」（臼井儀人 双葉社）
既刊45巻中10巻
「DARK EDGE」（相川有 メディアワークス）
全15巻中６巻
「こはるびより」（みつきたけひと メディアワークス）
既刊２巻中１巻
Infinity Studios
「ふらせら」（小池倫太郎・なかねかつを メディア
ワークス）
全２巻中１巻
「なななな」（原田将太郎 メディアワークス）
全４巻中１巻
「ポポ缶」（いわさきまさかず メディアワークス）
既刊３巻中１巻
VIZ Media
「エリア88」（新谷かおる 小学館）
全23巻中３巻
「強殖装甲ガイバー」（高屋良樹 角川書店）
既刊24巻中７冊
「ブラックジャック」（手塚治虫 秋田書店）
全20巻中２巻
「EAT-MAN」（吉富昭仁 メディアワークス）
全19巻中２巻
「カムイ伝」（白土三平 小学館）
全21巻中２巻
「機動警察パトレイバー」（ゆうきまさみ 小学館）
全22巻中２巻
「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」（安彦良和
角川書店）
既刊14巻中12巻
「おろち」（楳図かずお 小学館）
全４巻中１巻
「鬼切丸」（楠桂 小学館）
全20巻中２巻
「パイナップルARMY」（工藤かずや・浦沢直樹 小学館）
全８巻中１巻
「高校鉄拳伝タフ」（猿渡哲也 集英社）
全42巻中６巻
「うる星やつら」（高橋留美子 小学館）
全34巻中９巻
という感じです。
出版が中断される理由は、もちろん売れ行き
不振が最大だろうとは思いますけど、そうな
ってしまうのには、作品の出来・傾向だけで
はなく、タイミングやマーケティングにも原因
がありそうで、難しいですね。
日本で連載中の作品なら、読者の反応をみて、
軌道修正・路線変更といった処置も施せます
が、既に完成された作品の翻訳出版では、そ
ういうわけにもいきません。
アニメだと、英語吹替の改善という手段もなく
はないですが……（確かADVの「最遊記」では、
ファンからの不評により、ADRディレクター氏
が途中で更迭された筈です）。
ADVでの、マッグガーデン作品の大量中断
なんかは、作品個々の問題というよりは、あ
まりに多くの作品を一度に市場に出してしま
った、ADVの戦略ミス、というのがもっぱらの
見方ですし、そういう意味では、なによりも
作品が可哀相ですね。
このリストには含まれていませんが、「ARIA」
のように、３巻だけで出版が中断された後、
数年を経て、別の出版社TOKYOPOPから再
スタートされる（予定）の作品などは、とても幸
運なわけです。「ARIA」の場合は、いずれアメ
リカでもリリースされるだろうアニメ版との兼ね
合いもあるかもしれませんが。
Edさんは、中断された作品の傾向として、「青
年・大人向け」「ファンタジー系」といったジャン
ルを指摘していますが、実際どうでしょう。
ともあれ個人的には、「売れないから仕方がな
い」という考えは正しいビジネスの判断として
尊重するとしても、「ブラックジャック」「パトレ
イバー」のような名作が打ち切られたまま、と
いう状況は、とても悲しく感じます。
