2007年03月06日

日米での、「yaoi(やおい)」「shonen ai(少年愛)」の定義の違いについて


二ケタ成長の順調な拡大を続ける、北米のマ
ンガ市場で、昨年一番成長の目立ったジャン
ルが、「yaoi(やおい)」になるそうです。
先日開催されたニューヨーク・コミコンでの、
書店チェーンなどの小売側の人々が集まった
バイヤーズ・パネルでのディスカッションでも、
かなり話題に上がっていたようですね。


そういった状況も受けて、フロリダ発のご贔屓
ポッドキャストAnime World Orderの最新更
新エピソードである第49回(3月2日)では、あ
るリスナーから、メンバーのClarissa クラリッサ
さんに、「yaoiとshonen aiって違うものなの、
同じものなの? 違うとしたらどう違うの?」とい
う質問が届いていました(20分00秒〜28分5秒)。
クラリッサさんは、AWOのメンバーの中では、特
に少女マンガ・やおいマンガといったジャンルの
担当になっています。


short_g.gif


この質問に対してクラリッサさんはまず、「それ
には2つの答えがあります。言葉の生まれた日
本でのオリジナルの意味と、現在のアメリカの
ファンによる使われ方ですね」と答えます。
クラリッサさんによると、アメリカのファンの間
でも、まだまだ「yaoi」や「shonen ai」といった
専門用語についての、決定的な統一見解とい
うものは、完全には構築されていないそうです。
例えば、「hentai」という用語は、日本語のオリ
ジナルの意味である「変態」を離れて、「日本
製の成人向きマンガ・アニメ・ゲームの総称」
であるという見解が、どんな世代のアメリカ人
ファンに聞いても、既に定着しています。
けれど「yaoi」や「shonen ai」の場合、ファン
が触れた作品やその時代によって、そこまで
の統一はまだされていないとか。
(僕は向こうのyaoiコミュニティを探索したりは、
ほとんどしたことがないので、アメリカ人ファン
間で、そういった点での議論・対立があるのか
どうかはわかりません。ありそうですけど)


でもとりあえずということで、クラリッサさんは
最も一般的だろうという、アメリカ人ファン間の
見解における、「yaoi」と「shonen ai」の違い
について説明します。
双方ともに男性同士の関係を描くものを指す
のですが、「shonen ai」は、いわゆる直接的
な描写を含まないもの(「グラビテーション」
「ラブレス」など)。基本的にロマンティックな
文脈で描かれ、接触があるにしてもキスかハ
グまでで、それ以上の行為に及んでも、決して
画面内に映し出されることはない。
対して「yaoi」は、そういった行為までも、直接
的に描写した段階のものを指す、ということです。
ソフトコアとハードコアの違い、ともいえます。
その関係は、少女同士のロマンスを描いた作
品を示す「百合」の、英語における「shoujo ai」
と「yuri」の関係でも、等しいと思われます。


short_g.gif


続いてクラリッサさんは、日本での用語の意味
を説明します。
ただしこの部分については、「あくまでわたし個
人の理解に過ぎないし、完全じゃないってことも
わかってるの。もし間違いがあったらごめんなさ
い。だから、もし日本で聞いている誰かが訂正し
てくれるなら、どうかお願いします」ということです。


日本語の、特にマンガ・コミック文化における
「少年愛」は、まず少女マンガの一ジャンルで、
70年代にいわゆる「24年組」と呼ばれた、池田
理代子・萩尾望都・竹宮惠子といった作家達に
よって描かれた、少年同士のロマンティック物
語を指します。
ただし、同趣向の少女マンガのジャンルとしては、
現在もうほとんど存在しません。
AWOメンバーのジェラルドさんは、70年代という
特定された時期のみにしか描けなかったという
点で、40〜50年代のフィルム・ノワール映画と
同じようなものかも、と指摘します。
いま現在、「少年愛」という言葉が用いられてい
るのは、「ショタコン」と呼ばれるジャンルにおい
てで、クラリッサさんはその言葉が冠せられた
複数のショタ系出版物も確認しています。
あるいは、もっと一般的だと、「チャイルド・ポル
ノ」だと思われる可能性もありそうです。
日本語の「少女愛」も、そのまま「ロリコン」的な
意味になりますよね。


そして「やおい」は、基本的に男性キャラ同士の
関係を描く、二次創作同人誌に対して用いるの
が本来の日本語の用法です。
オリジナル同人だと「ジュネ」であり、商業出版
作品だと、「ボーイズラブ」になる――。


short_g.gif


というのが、大まかなクラリッサさんの解説です。
だから、アメリカ人オタクさんが、純愛ものの百
合物語を読みたくて、「shoujo aiが好きなんで
す」と、英語での意味を知らない日本人オタクさ
んに言ってしまうと、「そうなのかロリなのか」
みたいに誤解されてしまう危険もあるということ
ですね。気をつけてください。
言葉や文化が国境を越えていく段階で変質して
いくのは面白いけれど面倒で、ともあれ刺激的
ではあります。


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アメリカのマンガ出版におけるyaoiの急激な成
長については、ちょうど3月4日付けで、ペンシル
ヴァニア州のThe Patriot-Newsが、Christo
pher Mautner記者による、

「BROKEBACK MANGA
'Boys' Love' stories attract female readers」


という記事も掲載していました。
長い記事なので解説は別の機会(人かな)に
ゆずりますけれど、こちらも大きく、北米での
yaoi文化の成長や問題について紹介してくれ
ていますので、参考になると思います。
posted by しくへっど at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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