2006年11月04日

外国人が日本のアニメ制作会社で働くには


昨日の記事で紹介したレベッカ・シアーズさんは、アニメ
ファンとして培った技術や感受性を生かして、アメリカ国
内でグラフィック・アーティストとしての職を得ていこうとし
ているわけですが、ではそんな外国の方が、実際に本場
日本のアニメ制作現場で職を得ようと思ったら、どうすれ
ばいいのでしょうか。
それで思い出したのが、少し前の情報になりますけれど、
向こうのアニメ雑誌Anime Insider(公式サイト)の今年7
月号に掲載されていた「Mission Impossible――How
to get a job in Japan」
(P54〜P58)という記事ですね。
これは、日本のアニメ制作会社に籍を得た、3人のアメリ
カ人を紹介するものです。


記事に登場するのは、2002年から2004年にかけて、Prod
uction I.G
にディレクトリアル・インターン(正式な訳語って
なんでしょうか)として在籍していた、Dwight Hwangさん、
同じくI.Gで、正式なCGクリエイターとして働いていたJustin
Leachさん、そして2002年にこれは完全な学生インターン
として、京都アニメーションに滞在していた、Diana Keika
Leeさんです。

参考・Anime News Network 2003年7月2日掲載の
Justin Leachさんへのインタビュー。「イノセンス」を制作
していた頃ですね。
http://www.animenewsnetwork.com/feature.php?id=148


あくまで学生研修という立場であり、ビザの制約もあって、
実際のアニメ制作に関われなかったLeeさんは別にします
けれど(その代わり、京アニの機材を使って、個人作品を自
主制作してたそうです)、他のお2人には、日本に来るにあ
たって、それなりの実績がありました。
Hwangさんは学生時代からアニメーション作品制作を専攻し
ていて、2000年に制作した4分の短編「Goo」は、翌年のカン
ヌ映画祭の短編部門コンペに選出されています(カンヌ映画
祭公式サイト作品紹介ページ
)。
またLeachさんの方も、4年間アメリカのBlue Sky Studios
で働いた経験があり、そこでアニメーターとして参加した作
品「Bunny」は、99年度のアカデミー賞短編アニメーション
賞を見事に勝ち取っています。


お2人の経歴から言えることは、日本でアニメ制作の仕事を
見つけようと思ったら、まずカンヌかアカデミー賞でさくっと
評価を得てくるのが、手っ取り早い近道ということですか。
……すみません、それって全然手っ取り早くないですね(笑)。
というか逆に言うと、日本で外国人の方が職を得るのはそれ
だけハードルが高いということですし、また少なくともI.Gには、
それだけのレベルの方が集まってくるんですね。


記事では、お三方のアドバイスをふまえて、日本でアニメの
仕事を得るまでのステップを順番に紹介しています。
それらは、

1.日本語を学ぼう 
 ANNのインタビューでも、Leachさんによると三年間くらいは
 日本語の勉強が必要だと語っています。特に微妙なニュアン
 スの伝えようや文化理解が大事なクリエイティブの現場だと、
 大変でしょうし。

2.まず仕事を見つけよう 
 これは、アニメーションでもCGでもいいから、履歴書に書け
 る実績をアメリカでまずつんでおこう、ということですね。
 Hwangさんのように、カンヌで評価されるくらいなら別でしょ
 うけれど、仕事の経験のない素人をいきなり雇ったりは出来
 ませんから。

3.貯金を始めよう 
 日本の物価がアメリカよりもずっと高いこともあり、それなり
 の蓄えを用意していないと辛くなります。Leachさんによれば
 最低でも一万ドルは準備した方がいいとか。

4.関係者とコネをつくろう
 いきなり宮崎駿監督の自宅に押しかけるのではなく(笑)、そう
 いう業界の関係者と接触して、情報を得ておきたいです。

5.きちんと自分を売り込もう 
 自分に興味を持ちそうな会社が見つかったなら、出来れば日
 本語の出来る人にチェックしてもらって、自分を売り込んで
 みよう。日本のたいていの会社は4月が新就職の時期なので、
 秋くらいから動き出すのがベター。

6.住む所を見つけよう 
 面接のために日本を訪れたら、その際に住む所をチェックして
 おこう。特に外国人の場合は、住むのを嫌がるマンションの大
 家さんも多いので、そういった場合会社側からの保証が得られ
 るかどうかも大切。

7.ビザ(査証)を手に入れよう
 仕事を得られるとなったら、会社も協力してくれる筈だが、労
 働ビザを得るまでには、とんでもなく大変な手続きが待ち構え
 ている。しっかりと調べて準備するように。
 

という感じですね。
日本人がハリウッドで仕事を得るのが大変なのと同じように、
外国の現場で働くのは、単に技術的なこと以上に大変だとは
思いますが、そういう夢がある方には、頑張ってもらいたい
ものです。


short_g.gif


ところで、これは本題とは関係ありませんが、記事中で可笑しか
った一文が。Hwangさんが面接のためにI.Gを訪れた時の話な
んですけど、以下文章を翻訳転載してみますね(P55中段)。


「I.Gの社長が私を案内してくれたのは、山となった銃弾と、発
射出来ないように改造されたベルギー製のアサルト・ライフル
が積まれた、大きなテーブルのある部屋でした。そこには押井
守監督が座っていて、2人のCGアーティストが忙しそうに銃弾
を磨いている一方で、彼のライフルをうっとり愛でていたんです
ね。彼らは顔を上げると、テーブルの上の銃弾を押し寄せて、
私が座れる場所をつくり、面接を始めさせました」



お、押井監督、I.Gの応接室と社員を私物化しちゃ駄目ですっ。
まあ、ホントのとこはわかりませんけれど(笑)。
多少なりとも押井監督の人となりを知っている人が実際にI.G
にやってきた時、ホントに監督がアサルト・ライフルを社内で
撫で撫でしていたら、「やっぱりそういう人だ!」と嬉しくなった
りするかもですが。 
でも面接の間中Hwangさんは、「I.Gに入社したら、たとえC
Gアーティストといえども、最初は押井監督の弾磨きから始め
ないといけないのかなあ……」と不安がってたりして。←どん
なアニメ会社ですかそれっ
posted by しくへっど at 14:12| Comment(0) | TrackBack(2) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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