2006年07月11日

アメリカのアニメDVDビジネスの低迷理由――高騰するライセンス料


先週の6日木曜日に更新されたポッドキャスト「Anime
World Order」
の第26回放送では、前半の40分ほどを
費やして、最近不況の状態が続いているという、アメリ
カの日本アニメDVD市場についての考察が、至極真面
目に語られていました。
ゲストはウェブコミック・アーティスト(サイト「Fabricari」
であり、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの大ファンでもあると
いう、Steve Harrison氏。本業はソフトウェア開発者との
ことですけど。


先に断りが述べられますが、Anime World Orderのメン
バーは、誰もアニメ業界内部の人間ではないし、企業ト
ップの人間と、特に親しいというわけでもありません。
会話の中で紹介される情報は、この話題を担当するGe
rald Rathkolbさんが、アニメ販売会社に勤めている人た
ちに取材したものと、自身で得てきたものです。
なので、企業側が公式に発表しているデータを基にして
いるわけではないので、あくまでファンの立場からの、
「こういう風に想像出来るかも……」という、ひとつの「推
論」に過ぎない、ということを、僕からもお断りしておきま
すね。         (1ドル=114円換算)


short_g.gif


北米市場でのアニメDVDビジネスが難しくなってきている
理由のひとつとしてよく挙げられるのが、英語版DVDを製
作販売するためにまず必要な、ライセンス料の高騰です。
そのライセンス料を含めた経費増大のために、昨年最も成
功を収めた作品の筈の「鋼の錬金術師」でさえ、アメリカで
の配給会社FUNimationは、まだ期待通りの利益を得られ
ていないらしい……という話も出てきました。本当に事実
かどうかは、未確認ですが。


Geraldさんは、自身が得た情報として、「トップレベル」の
作品の、30分エピソード1話に対して日本側が前払いで求
めてくるライセンス料が、「7万ドル(約798万円)」にまで達
しているらしい、という数字を出します。
以下、Geraldさんが進めていく計算を引用しますと、

・2クール全26話の作品とすると、シリーズ全体でのライセ
 ンス料は、7万ドル×26話で182万ドル(約2億750万円)。

・数年前にAnime News Networkのフォーラムに投稿され
 ていた情報によると、普通の作品の、英語吹替トラック1
 話分の制作費は、約1万2000ドル。
 ここでは1万5000ドル(約171万円)で計算すると、ライセ
 ンス料と合わせて、全体の制作費合計額は、221万ドル
 (約2億5000万円)。

・さらにそれに、DVDのプレス代、パッケージ代、ブックレッ
 ト代、宣伝広告費などを合わせると、最終的な経費は、ざ
 っと300万ドル(3億4200万円)。

・DVD1枚の販売価格を30ドルとして、小売側への卸値を10
 ドルと仮定すると(←この数字は全くの想像です)、損益分
 岐点に達して利益を生み出すためには、シリーズ全体で
 30万枚以上のDVDが売れなくてはならない。
 1枚につき4話収録で全六巻とすると、それぞれの巻が5
 万枚以上売れる必要がある。

・結果、投資資金の回収がそも見込めなくなり、昨年くらい
 からは、アメリカの販売会社によるライセンス取得数が激
 減していて(日本側とのコネクションが強いアメリカGeneon
 は除く)、将来的にはリリースも減っていく。
 そうすると、結局ファンも、アメリカと日本の会社も困って
 いくのでは……。

という感じです。
もちろん、実際のビジネスはこんなに単純じゃないとは思い
ますが、とりあえずこの、「1巻で5万枚以上のセールスが、
利益を出す条件」という仮定について。
日本貿易振興機構(JETRO)が作成した調査報告書「米国
アニメ市場の実態と展望 2006年3月」
によりますと、アメリ
カ市場での日本アニメDVDの販売本数は、2004年が1210
万枚、2005年が1206万枚、タイトル数で割った、1タイトルの
平均売り上げ枚数は、2004年が1万6090枚、2005年が1万
4357枚になります。
また2005年だと、発売されていた総タイトル数4080の中で、
売り上げが10万枚を超えたのはわずかに10タイトル、10万
枚から5万枚の間が20タイトルとのことですから、「利益を
出すには5万枚以上」という条件設定は、かなり厳しいもの
に思えます。


繰り返しですけれど、Geraldさんの話は、業界外のファンに
よる考察ですから、どこまで現実に即しているかは全く保障
出来ませんけど(僕も素人ですから)、そういうライセンス料
の高騰がアニメ・ビジネスを停滞させているのではという強
い懸念が、アメリカのファン――少なくともAnime World Or
der内にはあるわけですね。
高騰の理由としては、日本側のアメリカ市場の現状認識不
足が挙げられていますけど、日本側としてもリサーチをしな
いわけはありませんし、「そんなに高いなら要りません」と返
されれば終わってしまいますよね。
日本でも、最近はアニメDVDのセールスが落ちてきている
そうですから、その補填という意味合いもあるかもしれませ
んし……。
ともあれ、それ以外の情報・考察も、色々と興味深いものが
多い(Harrison氏によると、アメリカのDVD小売業界それ自
体が、もうアニメDVDを売る気がないとか……)、今回の内
容でした。


short_g.gif


……でしたが、真面目過ぎた前半の反動か、後半はトンデモ
怪作OVA「MDガイスト」の爆笑レビューで、メンバーみんなが
死ぬほどひたすら笑い転げるという、雰囲気の変わりようが
なんとも微笑ましい、エピソード・ナンバー26でした。
特にClarissaさん、そこまで笑うと死んじゃいますよっ(笑)。
「MDガイスト」は、ずっとずっと昔に1作目だけは見た記憶
があるのですが、また見返したくなりましたね。もう無理かな?
posted by mikikazu at 10:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
eXTReMe Tracker
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。