2006年06月25日

「キミキス」、星乃結美さんについて。


というわけで、恋愛シミュレーションゲーム「キミキス」
公式サイト)のメイン・ヒロインである、星乃結美さんル
ートについてのお話を少しだけ。
以下、他のヒロイン・ルート含むゲーム内容ネタバレあり
ます。お気をつけください。


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スタッフが重なり、システム的にも継承している部分の
多い、恋愛シミュレーションゲームの名作「トゥルー・ラ
ブストーリー」シリーズ(以下「TLS」。公式サイト)と、プ
レイヤーのみなさんがどこまで関連性を意識している
かはよくわかりませんが、僕個人としては、この星乃結
美さんルートに関していうと、「TLS」シリーズ、それも1作
目と2作目に対する補完の機能を、強く感じてプレイを進
めました。


「TLS」の1作目と2作目は、転校を1ヶ月後に控えた主
人公が、それまでになんとか彼女を作ろうという、いま
考えてみれば結構身勝手な(笑)設定のお話だったわ
けですが、この「キミキス」の星乃さんルートはそれを
逆転して、ヒロインの側が1ヶ月後に転校を予定してい
るという、入れ替えられた視点のお話になっています。
「TLS」をプレイする際に生じる、いずれ離れ離れになる
ことが確定しているのに、それでも恋を進めようとする
主人公の自分勝手さは、心の広いヒロイン側の理解に
より、強く批判されることはないのですが、この星乃さ
んルートにおいては、置いていかれる、「TLS」でのヒロ
インの側の立場に主人公をおくことにより、初めて、「T
LS」シリーズのヒロイン達の心の苦しさが実体験として
理解出来る、という構造になっています。
もちろん、それが作り手の意図かどうかは別の問題で
すし、「TLS」シリーズを知らずにプレイした人は、違う感
じ方をしてよいわけですが、少なくとも僕個人の解釈は、
そうなりました。


short_g.gif


また、「転校をひかえている」という星乃さんの設定は、
「キミキス」という作品世界に整合性を付与する効用も
備えていると思います。
以前にも述べましたが、作品世界を破綻させないため
に必要な、「キスはするけれども、恋人同士ではない」
という関係設定に対して、「いずれ転校して離れ離れに
なるので、本当の恋人関係にまで発展するわけにはい
かない」という、星乃さんの側の葛藤のドラマが用意出
来るのですね。
ずっと好きだった主人公に対して、近づいた別れを前に
し、なんとか関係を変えたい。でもそれは、自分の側の
都合を理由にした、勝手な気持ちだという、星乃さんの
心の中の葛藤が、物語を深めていくわけです。
大人しく内向的な性格の筈の星乃さんが、キスという大
胆な行為を許してしまう「焦り」と、そういう自分への戸
惑いが、設定に対してのエクスキューズ、ドラマの昇華
の双方に機能しているのですね。


そういう意味ではとても役に立つので、全てのヒロイン
が、「1ヶ月後に転校する」という設定でもよかったので
は、とも思ってしまいましたが、さすがにそれも不自然
過ぎるでしょうか。
キスという行為と、関係性の間に葛藤のない、既にクリ
ア済の水澤摩央お姉さんや里仲なるみちゃんのルート
の場合は、星乃さんと比較すると、キャラクター個人の
魅力は別にして、お話としては「軽い」印象しか残りませ
んでした。
葛藤だけがドラマのスパイスとして正しいわけではあり
ませんので、彼女たちのように、最初から最後まで主人
公に対する好感度を出し惜しみしないルートが、作品の
方針としてダメだとも言い切りませんが。


他のヒロイン達で、「キスはするけれども恋人同士にな
れない。あるいはそう公言出来ない」という理由を想像
してみると……。
妹の菜々ちゃんは、「兄妹」だから、という理由付けが
簡単でしょうし、川田先生は「教師と生徒」、お嬢様の祇
条深月さんも、「由緒ある家柄の令嬢と平民(笑)」とい
う関係性が理由に出来ますよね。
スポーツ大好き少女の咲野明日香さんは……、「サッ
カー部は恋愛禁止」とか?
天才少女さんとか風紀委員さんは、よくわかりません。


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ともあれ、そういう理由付けが求められることで気づく
のですが、せっかく日本の高校内でキスをするのだか
ら、背徳とまではいいませんが、その行為が一般的で
ないがゆえの、秘密性というか、出来るだけバレないよ
うにキスをするスリルみたいなものが欠けているのが、
「キミキス」という作品において惜しい点だと、個人的
には思います。
これがアメリカの高校なら、休み時間の廊下で、カップ
ルが抱き合ってキスしていても、全然おかしいことでは
ありませんが、日本の高校では無理ですよね。
そういうリアリティをふまえて、「みんなに気づかれては
困る。でも、いまキスしたいんだ!」という、男の子の側、
女の子の側それぞれの、青春の勢い(笑)みたいなもの
を爽やかに加味出来れば、もっとキスにも、嬉しさと気持
ちよさを感じられたし、やっと公言出来るカップルとしての
関係にたどりつくラストの感動もあったかも、と思います
けど……。
posted by mikikazu at 11:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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