ToonZone経由で知りましたが、映画をメインとするエン
ターテインメント情報サイトのVariety.comが5月28日付
で、アニメーション歴史研究家のジェリー・ベック氏選出
による、「アニメーションの歴史で最も影響を与えた
作品ベスト10」を紹介する記事を掲載していました。
Variety.com5月28日付記事
「Animation's 10 sharpest turns
Important pix that developed the art, changed
public perception」
ジェリー・ベック氏の公式サイト「CARTOON RESEARCH」
http://www.cartoonresearch.com/
アニメだけではない、アニメーション全体の歴史という
ことになると、僕なんかよりもずっと語るにふさわしい方
々がたくさんおられるとは思いますが、とりあえずここ
で、ベック氏の選んだその10作を紹介しておきますね。
補足・訂正などありましたらよろしくお願いします。
あ、並びは製作年度順です。
「GERTIE THE DINOSAUR(恐竜ガーティ)」
(1914年)
・アメリカの人気マンガ家ウィンザー・マッケイによる、
初めて世界的にヒットしたアニメーション映画。世界
初の恐竜映画という意味でも意義が。
「STEAMBOAT WILLIE(蒸気船ウィリー)」
(1928年)
・ウォルト・ディズニー製作の、世界で最も有名な
アニメーション・キャラクター、ミッキーマウスとミ
ニーマウスのデビュー作。
「SNOW WHITE AND THE SEVEN DWARFS
(白雪姫)」
(1937年)
・ディズニー初の劇場用長編アニメーション。
「GERALD McBOING BOING」 (1950年)
・ロバート・キャノン監督による、1950年度(第23回)
アカデミー賞受賞作品(短編アニメーション部門)。
ディズニーを離れたスタッフにより設立されたUPA
(United Productions of America)社の製作。
「THE FLINTSTONES(原始家族フリントスト
ーン)」 (1960年)
・アメリカのネットワーク局ABCが初めてゴールデン
タイムに放送したカートゥーン。実写リメイクも製
作されましたね。
「FRITZ THE CAT(フリッツ・ザ・キャット)」
(1972年)
・ラルフ・バクシによる、米国のアニメ史上初の成人
指定(X-Rated)を受けた作品。
「AKIRA」 (1988年)
・言わずとしれた、大友克洋氏の人気マンガを、大
友氏自らがアニメ映画化した作品。
「THE SIMPSONS (ザ・シンプソンズ)」(1989年)
・日本でも人気を博し、現在でも好評放送中のテレビ
シリーズ。
「THE REN & STIMPY SHOW(レンとスティン
ピー)」 (1991年)
・ニコロデオン(NICKELDEON)放送のテレビシリーズ。
スカポン太さんの解説によると(引用すみません)、
「脳髄破壊下品狂気アニメ」とのことです。
「TOY STORY(トイ・ストーリー)」(1995年)
・世界初の完全フル3CD長編アニメーション映画。
有名過ぎて解説不要ですよね。
という風な豪華なリストの中に、日本アニメを代表し
て「AKIRA」も選ばれています。
ベック氏の選出の評は、
「日本のアニメーションの歴史は1910年代にまでさか
のぼる。しかしその世界的な人気と認知は、大友克洋
によるサイバーパンクの傑作「AKIRA」の公開によって、
頂点に達した。
「AKIRA」は、「マッハGO!GO!GO!」や「鉄人28号」とい
った作品に代表される、アメリカ人が日本のアニメ
に対して抱いていたステレオタイプの認識を、それま
でに築き上げられてきた、力強い芸術様式を示すこと
によって、見事に打ち砕いた。
手塚治虫や宮崎駿もまた、そういった様式の達人であ
る。しかし大友の作品は、洗練されたスタイルと、大人
も楽しめる物語構成、そして顎を落として驚かんばか
りの映像によって、映画としての魅力を誇っている。
その影響は、以後製作された、全ての「アドベンチャー」
を冠するテレビアニメのみならず、ウォシャウスキー
兄弟(「マトリックス」)やリュック・ベンソン(「フィフス・
エレメント」)、J・J・エイブラムズ(TVシリーズ「エイリ
アス」)といった監督による、実写作品にまで感じられ
ている」
といった感じでしょうか。拙い訳ですみません。
アニメ版の「AKIRA」が、日本のアニメの歴史を代表す
る最高の作品かといえば、各人の立場で色々と意見は
あるでしょうけれど、ベック氏としては、そのスタイルの
国際的な影響力、日本のアニメに対する認知それ自体
を変革した功績を評価したようですね。
そういう意味では、同じく国際的に評価されている宮崎
作品は、他作品に影響を与えるという、引用しやすい
スタイルの「ポップさ」では異なるのかもしれません。
・追記
本文でもご意見を引用させていただいた、海外のアニメ
ーションの歴史に関する造詣が深いスカポン太さんのサ
イト「ReadMe!Girls!」の「日記・雑記」コーナーで、当記
事の、とても詳しく丁寧な補足をしてくださっています。
うちの記述よりも、ずっと正確ですから、ぜひそちらも参
照なさってください。スカポン太さん、ありがとうござい
ました!