2011年02月13日

イギリス・ロンドン在住の日本人マンガ家轡田千重 Kutsuwada Chieさんの注目作「Hagakure」「The Story of Lee」

昨年後半から今年にかけて、海外のグラフィックノベル書評界で注目を集めているのが、イギリス・ロンドン在住の日本人アーティスト/マンガ家である、轡田千重 Kutsuwada Chieさん(公式ブログ「Secret Garden」 )がマンガ制作を手がけられた2本の作品、「『葉隠』 Hagakure The Code of the Samurai (The Manga Edition)」(講談社インターナショナル)と、「The Story of Lee」第1巻(NBM Publishing)です。
脚色(「Hagakure」)とストーリー(「The Story of Lee」)は共に、英国出身で現在は日本・熊本在住という、轡田さんとは逆転した立場なのが面白い、Sean Michael Wilson ショーン・マイケル・ウィルソンさん(公式ブログ)が担当されています。
ショーンさんは、日本では青林工藝舎が出版しているマンガ雑誌「アックス(AX)」の英語版(Top Shelf Productions社サイト)の編集者でもありますね。

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日本の埼玉県出身の轡田千重さんは、2003年にロンドン芸術大学内カレッジのセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業された後、さらに世界最高峰の美術大学院であるロンドン王立芸術学院(Royal College of Art)で学び、2005年の卒業後は、イギリスの現代美術シーンでの活躍を続ける一方、2006年春にはロンドンに拠点を置く日本人マンガ家/アーティスト・グループのUmisen-Yamasen(公式ブログ)での活動も開始されました。
轡田さんのお名前が広くイギリスのマンガシーンで注目されたのは、在英日本大使館が2007年から開催開始したマンガコンテスト「Manga Jiman(漫画自慢)」においてです。その2007年度の第1回大会において、轡田さんは「Moon Light」という作品で6位に入賞します(大使館公式ページの結果発表)。
また同年10月には、Constable & Robinson社(公式サイト)が出版しているマンガ・アンソロジーの「The Mammoth Book of Best New Manga」第2号において、同人誌作品を完結編として描き足した「King of a Miniature Garden」という作品を"Chi-Tan"名義で掲載し、商業デビューを飾ります。
その翌2008年11月には、ウィリアム・シェイクスピアの有名戯曲をマンガ化するシリーズ"Manga Shakespeare"の中の一編、「As You Like It(お気に召すまま)」(出版社 SelfMadeHero公式サイト)を手がけます。轡田さんご自身もお気に入りというこの作品によって、その名前を知った方も日本では多いように思いますね。
そして2010年になり、轡田さんがマンガ制作を担当された作品が、2作相次いで出版されることになりました。

「『葉隠』 Hagakure The Code of the Samurai (The Manga Edition)」
   出版社/講談社インターナショナル−公式サイト


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「Hagakure」は、山本常朝による、武士の心得を説いた江戸時代の著書「葉隠」のマンガ形式によるアダプテーションですね。「武士道」の解説という役割になるでしょうか。
時に凄惨な内容を、時代背景の解説を丁寧にふまえて、ビビッドかつ繊細に描いていると評価がとても高いようです。
出版社は日本の講談社インターナショナルで、現在は英語版のみが出版されているのですが、世界各地のオンラインストアで流通していますね。アメリカのブックフェアの講談社インターナショナルのブースでも、大きくフィーチャーされていました。
ショーンさんのインタビューによると売り上げは好調であり、発売後3ヵ月で増刷が決定したそうです。


「The Story of Lee」第1巻
  出版社/NBM Publishing−公式サイト


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(画像掲載は両作品共に轡田さんのご許可をいただきました)

もう1冊の「The Story of Lee」は、現代の香港に住む中国人女性Leeとイギリス人男性Mattとの出会いと、それによって変化を始めるLeeの家族関係の変化を描くのが、第1巻の主な展開で、物語は舞台を移してさらに続いていくようです。
出版社はアメリカ・ニューヨークに拠点を置くNBM Publishing。公式ホームページ内に、作者お2人の共同ブログも用意されていて、最新情報を直接伝えてくれています。
その2010年12月25日付け記事では、ロンドンで行われた「The Story of Lee」(を含む)の展示会の模様も、写真入りで掲載されていますね。盛況だった模様です。

これら轡田さんの3作品「As You Like It」「Hagakure」「The Story of Lee」第1巻、および「The Mammoth Book of Best New Manga」シリーズは、どれも日本国内でも日本Amazon経由で購入可能になっています。その他紀伊國屋書店など、洋書の扱いがある書店でも、取り寄せが可能な場合があるようですね。

・日本Amazonへのリンク
As You Like it (Manga Shakespeare)
(英文版) 漫画 『葉隠』 - Hagakure: The Code of the Samurai (The Manga Edition)
The Story of Lee 1
The Mammoth Book of Best New Manga Vol.2
The Mammoth Book of Best New Manga Vol.3

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轡田さんの英国での活動で特筆すべきなのは、作品制作だけではなく、多くの一般の方が参加出来る、マンガに関連したワークショップも広く行っていることです。マンガの描き方を子供達に教えたり、マンガを応用した楽しい芸術への関わり方を伝えようとされているんですね。
その中のひとつ、2009年11月14日にロンドンのウィグモアホールで開催された、「若者の日『音楽とマンガ(MUSIC 'N' MANGA)』」については、幸いなことに日本語での記事が紹介されているので、ぜひ目を通してみてください。轡田さんの真摯な活動の一端が理解出来ると思います。

社団法人全日本ピアノ指導者協会サイト内
「ロンドンレポート〜街と人と音楽と」
ウィグモアホールの教育プログラム 第4回 音楽とマンガ

今月もこれから轡田さんは、Umisen-Yamasenのお仲間であるInkoさんとロンドンのクロイドン区の図書館で、19・22・26日の三回、10〜17歳を対象にしたマンガ・ワークショップを開催されるそうです(公式ブログ告知記事)。このワークショップから、新たなイギリス人マンガ家が生まれるかもしれませんね。
また日本語記事では、そのInkoさんへのインタビュー記事もありました。「ロンドン地下鉄の駅を擬人化」という轡田さんとの新しい共同プログラムについても言及があって、とても興味深いですね。

Japan Update Weekly-イギリスに暮らす「マンガ家Inkoさん」

轡田さんは今後もたくさんの作品・活動を予定されているそうで、イギリスの地でのご活躍は、当ブログでもまたレポートしていきたいと思っています。よろしくお願いします!!
posted by mikikazu at 11:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報(イギリス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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