2006年05月17日

北米市場での、日本製ビジュアル・ノベルの可能性


2003年頃から、アメリカ市場で、日本製の一般向け
ビジュアルノベル・ゲームを普及させようと孤軍奮闘
している、Hirameki Internationalの今年の夏の新作
は、「Yo-Jin-Bo -用心棒-」(日本公式サイト)という
作品になるようです。
先月末には、Hiramekiからのプレスリリースがメデ
ィアに流されていて(Anime Web Turnpike・4月28日
付記事
)、業界ニュースサイトICv2なんかも、それを
もとに記事にしていたのですが(ICv2・5月1日付記
)、不思議にHirameki公式サイト上での発表はあ
りませんでした。
それが、昨日くらいになって掲載された、Hiramekiが
参加するコンベンションで配布する予定のJapanese-
style fans、ようするに「うちわ」の絵柄に、「Yo-Jin-Bo
-用心棒-」も混じっていることで、初めて伝えられたこ
とになります(該当ページ。Hiramekiの製品を5ドル安
く買えるクーポン券なんかも)。


僕自身はプレイしたことはないのですが、この「Yo-
Jin-Bo -用心棒-」は一応、女性主観で、男性キャラ
との恋愛を楽しむ、いわゆる「乙女ゲーム」に属する
作品のようですね?
昨年から今年にかけてHiramekiは、

・人気マンガ・アニメを原作とする「藍より青し」
・ミステリー仕立ての恋愛アドベンチャー「EVER17」
(以上発売中)
・ゴシックホラーBLストーリーの「アニマムンディ 
終わり無き闇の舞踏」
(今月発売)
・同人ゲーム、でも声優さんは豪華な「ピースオブワ
ンダー」
(夏発売予定)

そして、乙女ゲーの「Yo-Jin-Bo -用心棒-」と、あえて
色々なジャンルの作品を市場に出して、どれが一番北
米で受ける傾向なのか、探っているようでもあります。
順番だと、次は「百合ゲー」辺り?


short_g.gif


では、昨年発売されたHiramekiの近作、「藍より青し」
と「Ever17」の、アメリカでの売り上げは結局どうだっ
たのでしょうか。
少し前ですけれど、ゲーム関連の総合ニュースサイト
Advanced Media NetworkのAnimeコーナーが、4月3
日付で、Hiramekiの東京オフィス・チームリーダーとい
う肩書きの、Shinichi Shimura氏へのインタビューを掲
載していて、その中で、両作のセールスについても触
れていました。
具体的な数字は挙げていないものの、「正直に言って、
うまくいってるとは言えない」というのが、Shimura氏か
らの答えです。
「EVER17」はともかく、アメリカでもコミック・アニメが
リリースされていて知名度のある「藍より青し」の方は、
もう少し良い反応があるかと思ってましたが。
先日、「EVER17」と同じくKIDが開発・販売した「メモリ
ーズオフ」シリーズのアメリカでのリリースの可能性に
ついて、現状予定はないものの、「EVER17」の成績が
良好ならあるいは……という話もあったのですが(当ブ
ログ3月8日付記事
)、少々難しくなったかもしれません。



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現在のアメリカでの、日本製ビジュアルノベル・ゲー
ムの市場規模というと、正確な数字は見つかりません
でしたが、ゲームに限らない、日本のポップカルチャ
ー商品を販売している、JBOX(J-List)のオーナーであ
り、群馬県在住のPeter Payne氏は、AVN Online5月
1日付記事
の中で、「アニメ・スタイルの、PC用恋愛シ
ミュレーションゲームの年間売り上げは、約600万ドル
(6億6千万円)くらい」と発言しています。
アメリカでの、日本マンガ市場の大きさが170億円(20
05年)、アニメ市場が、マーチャンダイジング含めて
3500億円(2004年)といった数字と比較すると、まだ
まだ小さな小さなビジネスでしかないようです。


また、JBOX(J-List)の関連会社として紹介されている、
英語で翻訳された、アダルト作品を含む、というかそれ
をメインに、日本製の美少女ゲームを販売しているオン
ライン・ショップ「JAST USA」についても、

「一日のアクセス数は5000。一日の売り上げ本数は
30〜40本。一本の平均価格を30ドルとして、一日で
約1000ドルの売り上げ」

という数字がありました。
JAST USAだけで年間1万本強の売り上げ本数、全
体で600万ドルという数字を単純に平均価格で割ると、
アメリカ市場全体では、年間20万本くらい、という計算
になるでしょうか。


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HiramekiのShimura氏はインタビューの中で、日本
で人気のある作品をアメリカでもリリースしたいが、
アメリカで、ビジュアルノベルがしっかりとしたジャ
ンルとして成立するだけのファンを得るまでは、日
本で権利を持っている人たちに、リリースすることを
納得させるのは難しい、とも発言しています。
「これだけの本数が売れる」という市場がちゃんと構
築されてからでないと、リリースしても結局意味がな
い、ということですね。


そこには、ライセンス料という問題もあるようです。
アメリカでアダルト向きの日本製美少女ゲームを翻
訳・販売しているPeach Princessのフォーラムで、
ライセンス料のことが話題になっているスレッドがあ
りました。
その中で、質問に答えたPeach PrincessのLamuness
氏は、具体的な数字はもちろん出せないものの、日本
で人気のあるゲームの場合、一般的なタイトルと比較
して、2倍から4倍のライセンス料を日本側から求めら
れてしまう、と述べています。
日本で人気があるからといって、アメリカで同じように
何倍もヒットするという保障はないので、そんなリスク
は背負えない、と。
日本側としても、ヒットしたメジャー作品には、それな
りの制作費を投資しているでしょうから、ライセンス料
が高くなって当然だとは思います。


つまり、
・高いライセンス料に見合った売り上げを得るために
は、それだけの規模の顧客・市場が必要である。
・しかし、市場を拡大するには、大きなヒット作がま
ず必要である。
という、「卵が先か鶏が先か」みたいな、難しい状況
にあるわけですね。
情報に詳しい、コアなアメリカ人マニアは、日本で人
気のある作品をプレイしたがって当然ですが、日本
で人気があるからこそ、アメリカでリリースしづらいと
いうこともあるようです。
じゃあ、何がアメリカで受けるビジュアルノベルかと
いうことについては、しばらくHiramekiの奮戦を期待
するしかないのかもしれません。


posted by mikikazu at 08:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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