2010年12月07日

調査・アメリカのアニメコンベンション参加者は増えたのか減ったのか?(2010年1月〜11月期)

ずっと続けている調査の最新版になります。
今年2010年度も、アメリカでのアニメ・マンガ市場については、厳しい落ち込みの話ばかりが届いています。
コミック・ゲーム・アニメなどの、アメリカにおけるポップカルチャー業界情報を伝えるICv2による10月の発表によると、北米でのマンガ売り上げは、2010年度前半で前年比9%、年度全体では20%の落ち込みになるだろうと推測されていました。この3年間で半減という下降線が続いています。
またアニメ市場についても、「2005年から2010年の市場の縮小幅は6割超」という、厳しい情報が伝えられている現状です(アニメ!アニメ!ビズ 2010年10月7日付け記事)。


ということは、売り上げが落ちているのだから、北米でのアニメ・マンガファンの数自体も、やはり減っているんでしょうか? 
そう思って、当ブログでは2008年頃から、北米のアニメコンベンションの参加者数のデータを見守ってきました。

2009年1月5日付け記事
「2008年、アメリカのアニメ・マンガファンは増えたのか減ったのか?」

2009年8月22日付け記事
「調査・アメリカのアニメコンベンション参加者は増えたのか減ったのか?
 (2009年1〜7月期)」


2010年1月2日付け記事
「調査・アメリカのアニメコンベンション参加者は増えたのか減ったのか?
 (2009年7月〜11月期)」


これらの調査でわかったのは、北米のアニメ・マンガ市場がどんどんと縮小を続けているこの数年間でも、ほとんどのアニメコンベンションで、参加者の数は増え続けているという状況でした。
アニメコンペンションに参加している人達を「アニメ・マンガファン」と定義してよいのなら、市場の落ち込みとは逆に、北米でのアニメ・マンガファンは増え続けている、という判断になります。

その状況は、今年2010年度でも続いているんでしょうか。
例によって、2010年1月から11月の間にアメリカで開催されたアニメコンベンションから、参加者数データが公表されているもののリストを並べてみたいと思います。ソースは主に、アニメコンベンション情報専門サイトのAnimeCons.comです。一部不明のものは、Wikipediaからも引用しました。
わかりやすいように、黒字が前年度から参加者数が増加しているもの、赤字が減っているものにしておきますね。では、いきます。


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・Ikkicon
 (テキサス州ダラス 1月1〜3日)
 2009年・4000人 → 2010年4200人に増加(推定有料参加者数)

・Animé Los Angeles
 (カリフォルニア州ロサンゼルス 1月8〜10日)
 2009年・2851人 → 2010年3207人に増加

・Ohayocon
 (オハイオ州コロンバス 1月29〜31日)
 2009年・7357人 → 2010年・10120人に増加

・Naka-Kon
 (ミズーリ州カンザスシティ 2月19〜21日)
 2009年・2915人 → 2010年・3862人に増加(有料参加者数)

・Anime Milwaukee
 (ウィスコンシン州ミルウォーキー 3月12〜14日)
 2009年・約800人 → 2010年約2100人に増加

・Anime Boston
 (マサチューセッツ州ボストン 4月2〜4日)
 2009年・15438人 → 2010年・17236人に増加

・Anime Punch!
 (オハイオ州コロンバス 4月2〜4日)
 2009年・1109人 → 2010年・1206人に増加(有料入場者数)

・Sakura-Con
 (ワシントン州シアトル 4月2〜4日)
 2009年・16586人 → 2010年・18002人に増加

・Tekkoshocon
 (ペンシルバニア州ピッツバーグ 4月8〜11日)
 2009年・3239人 → 2010年・3522人(有料入場者数)に増加

・Kawaii Kon
 (ハワイ州ホノルル 4月10〜12日)
 2009年・4743人(4479人が有料) → 2010年・4877人に増加

・Anime St. Louis
 (イリノイ州コリンズビル 4月23〜25日)
 2009年・1750人 → 2010年・1660人に減少(有料入場者数)


・Middle Tennessee Anime Convention
 (テネシー州ナッシュビル 4月30日〜5月2日)
 2009年・約4200人 → 2010年・参加者数約4200人

・Anime Central
 (イリノイ州ロズモント 5月14〜16日)
 2009年・15463人 → 2010年・19511人に増加

・Animazement
 (ノースカロライナ州ローリー 5月28〜30日)
 2009年・5964人 → 2010年・7070人に増加

・A-Kon
 (テキサス州ダラス 6月4〜6日)
 2009年・16037人 → 2010年・17596人に増加

・AnimeNEXT
 (ニュージャージー州サマーセット 6月18〜20日)
 2008年・7950人 → 2010年・8159人に増加

・PortConMaine
 (メイン州サウスポートランド 6月24〜27日)
 2009年・1804人 → 2010年・2072人に増加

・Anime Expo
 (カリフォルニア州ロサンゼルス 7月1〜4日)
 2009年・10万9000人 → 2010年・10万5000人に減少
 (4日間での延べ参加者数)


・San Japan
 (テキサス州サンアントニオ 7月9〜11日)
 2009年・4003人 → 2010年・5049人に増加

・GarasuNoShiCon
 (オハイオ州ペリーズバーグ 7月17〜18日)
 2009年・約500人 → 2010年・1100人(有料入場者数)に増加


・Fieldcon
 (オハイオ州モーガン・カウンティ 7月25〜27日)
 2009年・60人 → 2010年・50人(有料入場者数)に減少


・AnimeIowa
 (アイオワ州コーラルビル 7月30日〜8月1日)
 2009年・2700+人 → 2010年・2800人に増加

・Otakon
 (メリーランド州ボルチモア 7月30日〜8月1日)
 2009年・26350人 → 2010年・29274人に増加(有料入場者数)

・Anime Overload
 (テキサス州オースティン 8月6〜8日)
 2009年・420人 → 2010年・約1000人増加

・Kumoricon
 (オレゴン州ポートランド 9月4〜6日)
 2009年・4558人 → 2010年・4055人に減少


・Tsubasacon
 (ウェストバージニア州ハンティントン 10月1〜3日)
 2009年・約900人 → 2010年・1105人に増加(有料入場者数)

・Anime Banzai
 (ユタ州レイトン 10月8〜10日)
 2009年・3000人 → 2010年 3200人に増加

・Bakuretsu Con
 (バーモント州コルチェスター 10月21〜24日)
 2009年・473人 → 2010年・468人に減少(有料入場者数)


・Youmacon
 (ミシガン州デトロイト 10月28〜31日)
 2009年・6200人 → 2010年・9000+人に増加

・MangaNEXT
 (ニュージャージー州イーストブランズウィック 10月29〜31日)
 2009年・1085人 → 2010年・1195人に増加

・Nekocon
 (ヴァージニア州ハンプトン 11月5〜7日)
 2009年・3429人 → 2010年・3788人に増加


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という結果でした。
いわゆる「主催者発表」であることは念頭に置いておく必要はありますけれど、これらの数字を信じるなら、引き続き全米各地で開催されているアニメコンベンションの多く(31中25)で、参加者増加の傾向が続いてるのがわかります。
「アニメコンベンションの参加者=アニメ・マンガファン」と定義していいのなら、やはり2010年度中も、世代の入れ替わりはあるかもですが、アメリカでアニメ・マンガファンの総数は増え続けている、と判断してよさそうですね。
にもかかわらず、アメリカを含む北米地域で、アニメ・マンガ市場がずっと縮小傾向にあるという矛盾した状況は、北米でのアニメ・マンガビジネスに関わっている方達にとって、とても歯がゆいものであることは想像に難くありません。
posted by mikikazu at 16:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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