2006年03月22日

ドキュメンタリー映画「Otaku Unite!」について その3・コンベンション編


さらに引き続き、ドキュメンタリー映画「Otaku Unite!」
内容について述べていきますね。
今日は後半の、コンベンション編。

「Otaku Unite!」公式サイト
http://www.otakuunite.com/otakuunite.html
日本語字幕を担当したceenaさんのサイト
「英語で読むアニメ・マンガ」
http://www.geocities.jp/anmecomics4u/


コンベンションというのは、規模にもよりますけど、
日本から招いたゲストや声優さんのトーク、上映会や
音楽ライブ、ファンによるコスプレ、企業が出展する
ブースでの宣伝・情報公開などを行うイベントですね。
参加者の規模も、数百人から数万人まで様々です。
「Otaku Unite!」の後半では、そのコンベンションにテ
ーマを絞って、映像をつづっていきます。
その具体的な内容は、

short_g.gif

・「アニメ・コンベンション」とは何か?
・SFやコミック・コンベンションの一部から始まり、
 やがて独立して開催されるようになった、その歴史。
 黎明期の映像も。
・コンベンションAnime Weekend Atlantaの代表デイブ・
 メリル氏の活動
・同イベントにスタッフとして参加した、ジョナサン・クッ
 ク氏の様子
・コンベンションでセレブリティ扱いされるアニメ声優さ
 ん達の喜びと、戸惑い
・かつて日本マンガの翻訳会社を運営していた業界人
 スティーブ・ベネット氏のコンベンションでの活動
・コンベンションの拡大と参加者層の変化
・コンベンションで出会ったカップルが、コンベンション
 で行った公開結婚式
・さらに細分化したオタク・ジャンルのコンベンション
 のひとつである、ヤオイをメインに扱った「Yaoi-con」
 スタッフへのインタビュー
・様々なコスプレイヤーたちと、その傾向の変化
・「セーラームーン」のコスプレによるショーを披露する
 セミプロ・グループ「セーラー・ジャンボリー」
・あるコスプレ・コンテストに「犬夜叉」のコスプレで挑む
 ジョナサン・クック氏

・各人からの、アメリカでのアニメ産業とファンダムの変
 容と、未来への展望についてのまとめコメント

short_g.gif

といった感じですね。
前半と同じく30分強の時間に、可能な限りの情報が詰め
込まれているのではないでしょうか。
歴史という大きな軸があった前半と違い、コンベンション
という、多角な視点から扱える状況をテーマにしたパー
トなだけに、評価も様々になると思います。
例えば、収録されているコメントの多くは、一般参加して
いるファンからではなく、運営しているスタッフやゲストの
側からだったりするので、「生の声」が足りない、という
感想はあるでしょう。
ただ、素人の意見を言わせてもらえれば、人に話し慣れ
ているスタッフやプロの方が、一般のファンよりは、わか
りやすく「絵」になるコメントをしてくれるから、ということ
もあるとは思います。
ある程度俯瞰的なレポートをまとめようとした、作り手の
立場を想像すると、そういうわかりやすいコメントを多く
採用するのは必然でしょうね。
コメンタリーでも監督が、「アニメ・ファンなら既に知って
いるだろう情報と、アニメについて何も知らない観客に
伝えるべき情報とのバランスを取るのに苦心した」と仰
っていましたし、そういう点から、整理されたコメントの方
が重宝したと思います。
その良心的な姿勢が、監督個人の、ドキュメンタリー作
家としての個性を薄めてしまっているきらいもあります
が、僕としては努力を評価したいです。


あ、それとコスプレについて一言ですけど。
セントラルパーク・メディアから発売された今回のDVD
のジャケットは、今アメリカでブレイク中の「NARUTO」の
コスプレ写真を中央にデザインされているんですが、そ
れも含めて、ジャケットに掲載されている写真は、
「Otaku Unite!」本編とは関係なく、製作からずっと後の
2005年のOtakonの会場で、映像特典用に別に撮影さ
れたもののようですね。
本編の撮影は、2000〜2003年という時期であり、その内
容をそのまま反映したのでは、2006年の今のトレンドから
は古く見えてしまうから、という商業上の判断なのだと思
います。ジャケットにそのまま使える当時のスチール写真
が無いのか、公式サイトのイラストではインパクト不足と
判断されたのか……。


というわけで、次回はまとめとして、作品全体に対する、
僕なりのドキュメンタリーとしての評価というか総論、
みたいな話をしたいと思います。
posted by mikikazu at 09:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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