2006年03月19日

ドキュメンタリー映画「Otaku Unite!」について・その2


では引き続き、アメリカのアニメファン・コミュニティーを
描いたドキュメンタリー映画「Otaku Unite!」の内容に
ついて述べていきますね。
この作品のDVDには、リージョン・フリーとはいえ、日本
語字幕は収録されていないのですが、翻訳を担当した
ceenaさんによると、エリック・ブレスラー監督から、日本
語訳をネットで公開する許可がいただけたようなので、
その際にはぜひそちらも参照してください。
ただし現在、DVDの方はアマゾン経由だと、日本でもす
ぐには届かなくなってしまっているようですから、また別
の入手ルートがあればよいのですけど……。

「Otaku Unite!」公式サイト
http://www.otakuunite.com/otakuunite.html
ceenaさんのサイト「英語で読むアニメ・マンガ」
http://www.geocities.jp/anmecomics4u/
(あ、ブログの方、100万HITおめでとうございます♪)


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この作品「Otaku Unite!」の前半は、アメリカにおける日
本アニメの普及の歴史を、その時代の経験者の証言を
基に、解説していくものです。
意見を提供してくれるのは、日本のポップカルチャーを
その著書で紹介してきた、

・フレデリック・ショット(「Manga! Manga! The World
 of Japanese Comics」)
・ジルズ・ポイトラス(「Anime Companion」&「2」、「Anime       Essentials」)
・ヘレン・マッカーシー(「The Anime Encyclopedia」共著)
・フレッド・パッテン(「Watching Anime, Reading Manga :
 25 Years of Essays and Reviews」)

といった研究家の皆さん、アニメ・コンベンションの主催者
やスタッフ、「SPEED RACER(マッハGO!GO!GO!)」の
主演声優であるCorinne OrrさんとPeter Fernandezさん、
「Robotech」のプロデューサー、カール・メイセック氏、
そしてもちろん一般のアメリカ人ファンの方々などです。
色々な方面からの声が、バランスよく配合されていると思
いますね。
歴史検証という意味からも、このパートにおける情報の古
さ(主要部の撮影は、監督のコメンタリーによれぱ2000年
11月〜2002年4月。ただし作中に「2003年」の数字も登
場するので、追加撮影は2003年の夏くらいまで続けられた
ようですね)は、あまり関係ないでしょう。


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語られていく具体的な内容としては、

・アメリカにおける「otaku オタク」という言葉のポジティブ
 な受けとめられよう
・「スタートレック」などの、アメリカ産のgeek(otaku以前の
 オタク的)文化と、外国のポップカルチャーであるアニメ
 との、内容傾向やそのファン気質の違い
・アメリカ人から見たアニメの魅力
・60年代の「鉄腕アトム」「マッハGO!GO!GO!」に始まる、
 アメリカ市場・ファンダムでの、ネットが普及する現在ま
 での歴史
・アニメの認知において、「Robotech ロボテック」の果たし
 た役割とその功罪
・次々生まれるアニメソフト販売会社、放送局Cartoon Net
 workによる、アニメ市場の拡大と充実

といったもので、これらを30分強で解説していきます。
もちろん、その長さで全ての情報をカバーすることは無理で
すが、これまであまりアメリカでのアニメの歴史に詳しくなか
ったような人でも、大体の流れは掴める構成になっていると
思います。
興味を覚えて、さらに詳しく知りたくなった人は、アメリカのテ
レビ放送局・劇場での日本アニメの扱いを詳細に検証した、

「アメリカで日本のアニメはどう見られてきたか?」
(草薙聡志 徳間書店)

25年間に渡って、アメリカに日本アニメを紹介してきた記事
をまとめた歴史的記録でもある、

「Watching Anime, Reading Manga : 25 Years of Essays
and Reviews」

(フレッド・パッテン Stone Bridge Press)

辺りがとても役に立つと思います。
特にパッテンさんの本は、その時のリアルタイム感覚で
の状況(あ、この会社はまだこの頃あったんだ、とか)、
ネットでさかのぼれない時期の事情なんかもわかるので、
特にお薦めです。
(パッテンさんは、今体調を崩されて入院中なので、御本
を買うことで経済状況にも貢献出来れば、とか思ってたり
もします。パッテンさんの容態については、こちらを)


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僕個人の意見として、まず思ったのは……、可能なら、
フレデリック・ショットさんやフレッド・パッテンさんといっ
た研究家さんのインタビューの、編集前の全長版を見
てみたい、ということかな(笑)。
映画としてコメントを整理・編集しなくてはならない、
ということは理解出来ますし、監督のオーディオ・コメ
ンタリーによると、最初の編集では3時間もの尺になっ
てしまったそうですから、商品版の編集は、これはこれ
として受けとめたくはありますけども、著書で先に知っ
ている方々だけに、もっと喋っている姿を見たいという
ミーハーな意見なんです。


全般的にポジティブなトーンでまとめられている構成の
中で(例外は、ファンからのカール・メイセック氏への
攻撃)、あえて触れられていないと気づくのは、海賊版
やファンサブといった、アニメ・コミュニティの発展に貢
献しつつも、明確にダークサイドに属する事柄ですね。
特にファンサブについては、「みんなで字幕無しのコピ
ーのコピーのコピーのビデオを見た」「1人だけ日本語
がわかる人間が、テレビの横で翻訳した」といった苦労
話が登場する一方で、紹介されない不自然さはあります。
ただ、不要に議論を巻き起こすことを避けるために、あ
えて触れないという判断も、作品全体のパッケージから
すれば、わかる話だとは思います。
ファンサブを紹介するとしたら、どういうスタンスで示す
べきか、とは悩むところでしょうし、またそのスタンスに
によって、作品全体の評価も定められてしまうでしょう
から、今後はともかく、この時点での黙殺は正解なので
はないでしょうか。



というわけで、とりあえず前半についてはこんな感じで。
次回は、アメリカのアニメファンの「今」を、日本のオタ
ク・イベントとは少し違うコンベンションという舞台で紹介
していく後半です。
僕自身も、特典など全てのコンテンツを見終えたわけで
はないので、少し時間はかかるかもしれません。
posted by mikikazu at 12:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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