アメリカで放送されるテレビ番組の内容をチェックし、年齢
に相応しいかどうかをレーティングする、保守的な市民団
体のPTC-Parents Television Councilが、子供向き番
組における、過剰な暴力描写や性的暗喩、不適切な言葉
の使用を調査・告発したレポート、「Wolves in Sheep’s Clothing: A Content Analysis of Children’s
Television」(羊の皮をかぶった狼―子供向き番組の内
容分析)を、3月2日付で発表しています。
タイトルの意味は、かつては安全で微笑ましかった筈の子
供向き番組の、今日の中身が、危険極まりないものになっ
ている、ということですね。
「Wolves in Sheep’s Clothing: A Content Analysis of
children’s Television」(pdfファイル)
PTC-Parents Television Council公式サイト
http://www.parentstv.org/
Agape Pressによる3月6日付・概略記事
「PTC Council's Study Finds Children's TV Content
Disturbingly 'Mature'」
http://headlines.agapepress.org/archive/3/62006d.asp

28ページに及ぶこのレポートは、ABC FAMILY、Cartoon
Network、Disney Channel、NICKELODEON、ABC、FOX、
NBC、WBといった放送局でオンエアされている子供向け
番組の内容をチェックし、子供達にふさわしくない表現や
描写をリストアップしたものですね。
調査時期は2005年夏、対象とされた子供向け番組の総時
間は443.5時間ということです。
例えば、
「443.5時間の放送の中で、暴力が用いられる描写の数は
3488件に及び、これは1時間に7.86件の割合である」
「口汚い囃し立てや、陰湿な侮辱、貶めといった攻撃的な
言葉が用いられているのは858件で、1時間に1.93件」
「暴力描写の総計が一番多いのはCartoon Networkだが、
一番組内での割合が多いのはABC Family Channelで、一
番組につき平均10.96件の暴力が描かれている(注・日本
のスーパー戦隊シリーズの翻案である「Power Rangers」
が最大の理由らしい)」
などなどの報告が、詳細な数字と共に掲載されています。

近年アメリカで放送されている、日本のアニメもその調査
対象に含まれていて、特にタイトルと内容を例に出されて
告発されていたのが、FOXの4KIDS TV枠で放送されてい
た、「シャーマンキング」(米題「Shaman King」)です。
アメリカ版「シャーマンキング」公式サイト
http://4kids.tv/shamanking/
子供番組における、行き過ぎた暴力描写として指摘されて
いるのは、作品のクライマックス、主人公の麻倉葉と、宿
敵のハオ(アメリカ版の名前はZeke)との対決シーンです。
以下、指摘を引用しますと、
「子供向けのカートゥーンにおける、日本製アニメの影響
は特に明白である。以下の例は、その影響が、どのように
生み出されていくかを示している。この強烈なシーンは、
FOXで放送された『Shaman King』で描かれていた。
Zekeと葉は戦いを続けている。葉は何度も倒され、ボロボ
ロに傷ついてしまっている。ついに、Zekeは葉の剣を弾き
飛ばすと、その頭を蹴り飛ばし倒す。そして葉の髪を掴ん
で起こすと、その胸に手を当てる。葉は悲鳴をあげる。
Zekeは葉の魂を奪うと、自らの身体に収めた。葉は死ん
でしまったかのように見える。
2005年8月13日」
判断はそれぞれですが、PTCの目からは、このシーンは子
供達にはふさわしくない描写に見えたようですね。
アメリカで放送された「シャーマンキング」は、地上波午前
枠ということもあって、かなりの内容改変・規制が加えられ
ていたようですが、それでもPTCにすればまだまだ甘い、と
いうことでしょう。
ともあれ、このレポートで挙げられているのは、主に僕が
全然知識を持ち合わせてないアメリカ製のカートゥーンば
かりなので、その方面に詳しい方の評価をお願いします。