日本・横浜。
マサは、彼のアパートのカウチに座っている「このは」の
肩に、愛しそうに手をまわす。そして、彼女の輝く青い瞳
の上の髪に、優しくブラシをかけていく。フリルのついた
ドレスで着飾られた「アイリス」が、彼らの後ろに立って
いる――。
マサは、このはとアイリスに愛情をこめて話しかけ、毎朝
出かける時と、仕事から帰宅した時には、明るく挨拶を
する。けれど、彼女達が答えてくれることは決してない。
彼の2人の同居人は、等身大の人形なのだ。
「彼女は、話さなくたっていいんです。だって、僕は人形
である彼女を楽しんでるんですから。生身の人間の代用
品なんかじゃないんですよ」
ファースト・ネームの一部だけで伝えられることを要望
した、32歳のコンピューター・エンジニアであるマサは、
彼のお気に入りである、このはについてそう語る。
(AP通信・Mari Yamaguchi氏の記事
「Japan's 'Nerd Culture' inches toward mainstream」
冒頭部)
結構時間が経っているので、どこかで紹介・翻訳されて
いるかもしれませんが、とりあえず。
日本のオタク文化の最先端として、ロイター通信やCNN
から報道されたメイド喫茶と共に、アメリカの大手通信
社AP通信(Associated Press)からは、等身大フィギュ
アを愛するオタクを紹介する記事が発信されていました。
アメリカを始め、中国・ロシアなどのニュース・サイトに
掲載されていたようですが、記事内容から、メイド喫茶
の時の数ほどは、紹介されなかったみたいです。
各サイトによって記事のタイトルは異なりますが、
Chicago Sun-Timesだと、
「Japan's 'Nerd Culture' inches toward mainstream」
(日本のオタク文化は、メインストリームまであとわずか)
同じシカゴのChicago Tribune だと、
「In Japan's `nerd culture,' dream girls are real dolls」
(日本のオタク文化では、理想の女の子は本物の人形)
MSNBCではマサさんとドールの写真入りで、
「Japan's 'nerd culture' almost mainstream」
(日本のオタク文化は、まもなく本流に)
といった扱いになっていました。
「このは」と「アイリス」というのが、マサさん自身で人形
につけた名前なのか、それとも何かの作品のキャラク
ターなのかは、ちょっと僕にはわかりません。
記事は、高価な等身大フィギュアを代表として(二体で
6030ドル・大体70万円)、日本におけるオタク文化の経
済効果の大きさを伝えるものですが、そういう文脈だと、
日本の成年男子オタクさんが、みんな等身大フィギュア
と共に暮らしていると誤解されるのではと、ちょっと心
配だったりします。
生身の女の子と接するのはメイド喫茶だけで、1人暮ら
しの自宅に帰ってからは、可愛らしい衣装で着飾らせた
人形を愛でて過ごし、結婚する気も恋人を探す気もない、
という、記事中のマサさんのようなライフスタイルを貫い
ている人はいるにしても、マジョリティではないでしょう。
あ、マジョリティじゃないからダメだとか言うつもりは全
然ないんですよ、もちろん。趣味は人それぞれで構わな
いし、なにより人に迷惑をかけるようなものでも全然な
いのだから、大いに楽しんでよいのです。
各地掲示板での反応も、当然カキコむのがotakuさんだ
からでしょうけど、極端に否定的なものはなかったです。
むしろ、お薦めのドール・ショップを紹介したりとか、
盛り上がってました。これもいずれは、輸出されたりす
るのかな? でもDVDみたいに安くは出来ないでしょう
から、価格的に難しそうですね。

