昨年末から、どうなるのかと見つめている
問題です。
経緯を説明しますと、カナダ・オンタリオ州
トロント在住で、同地のコミックストアThe
Beguilingのマネージャーを務めている、
Christopher Butcher氏のブログ
Comics212が、2009年12月23日付けで、
"Tokyopop Makes A Criminal Of Me"
という記事を掲載したんですね。
記事の内容は、北米のマンガ出版社である
TOKYOPOPが、公式サイトで意見を求めた、
"Poll: What would you pay for online manga?"
という調査に対するものです。
TOKYOPOPが意見を求めたのは、同社が
北米で英語版を出版した「フルーツバスケッ
ト」の高屋奈月さんの新作「星は歌う」を、
オンライン配信するとしたら、いくらなら購入
するのか、という問いでした。
その調査についての考察はまた別にすると
して、僕を含む一部の人が注目したのは、
記事のコメント欄におけるやりとりでした。
記事の追記において、Butcher氏が、違法な
マンガスキャンレーションサイトであるOneManga
を、何故出版社は放置しているのか?という
コメントを寄せていたんです。
それに対して、出版社Verticalのマーケティ
ング・ディレクターEd Chavez氏と思われる
"ed"氏が、Vertical社が北米での翻訳出版
権を保有する作品のスキャンを掲載し続けて
いる、大手スキャンレーション・サイトの
OneMangaとMangaFoxに対して、二週間
前に、2010年1月1日を期限とした、警告を
送っていることを、明らかにしました。
そして作品を撤去しない場合は、法的手段に
訴えると。
OneMangaの方は、すぐにVertical社の作
品を撤去したようなんですが、もう一方の、
MangaFoxにおいては、期限から1週間が過
ぎた1月8日現時点においても、Vertical社が
出版している、
「ブラック・ジャック」
「ブッダ」
「MW」
といった手塚治虫作品の、Verticalによる英
語版の内容をそのままスキャンしたものを、
掲載し続けているんです。
ファン翻訳ではなく、北米で発売されている内
容そのままをスキャンして、ネットに流している
のですから、さらに悪質で、明白な営業妨害と
いえます。
おそらくVerticalの側は、既に法的措置に動き
始めていると思いますが、費用がかかり過ぎる
ために、小さな出版社は、スキャンレーションさ
れても、泣き寝入りするしかないといわれてもい
ますし、今後の経緯に注目したいです。
また、MangaFoxは、VIZ MediaやTOKYOPOP
といった、大手の北米マンガ出版社の人気作
品のスキャンレーションも、堂々と掲載し続けて
いますし、今回のVerticalの動きが、スキャン
レーションを黙認し続けている(続けざるをえな
い?)、他の出版社のスタンスに、どういう影響
を与えるのか、与えないのかも、気になるところ
です。
少なくとも僕個人は、手塚治虫さんのファンです
し、Verticalによる英語版出版が、高い評価を
得ていることがとても嬉しかったので、Vertical
を応援します。