アメリカ最大のレズビアン・エンターテイン
メント情報サイトであるアフターエレン
Afterellen.comについては、日本製の
百合アニメ「青い花」や「ささめきこと」をその
サイト上で配信してくれていることもあり、
何度かご紹介したことがありますよね。
ちなみに両作品とも、コメント欄に目を通す
限りでは、現地の方の反応はそれぞれ良好
のようです。
アフターエレンの"Aoi Hana" ("Sweet Blue
Flowers") 配信ページ
"Sasamekikoto" 配信ページ
そのアフターエレンが、2009年最後の日であ
る12月31日付けで発表した特集企画が、
"Best. Lesbian. Decade. Ever. (2000 - 2009)"
というものでした。
これは、この10年間にアメリカのポップカルチ
ャー/エンターテインメント界で起きた、レズビア
ン関連の重要ニュースを、各年ごとに選んでい
こう、という企画です。
眺めていくと、アメリカのメディアにおけるレズ
ビアンの扱い・その対応への10年間での変遷が、
駆け足ですがざっとわかるものになっています。
そして、その2003年度の重大ニュースのひとつ
として選ばれていたのが、うちのブログ・Twitter
の閲覧者・フォロワーさん達にはお馴染みの、
いつもお世話になっているエリカ・フリードマン
Erica Friedmanさんが代表を務める、ニュー
ジャージー州の百合普及団体/コミュニティである
Yuriconと、その出版部門ALC Publishing
(ALC出版)の創立だったんですね。
Yuricon 公式サイト
・日本語での解説ページ
同サイト内ALC Publishingページ
エリカ・フリードマンさんの個人ブログ
「Okazu」
・最新記事は、「マリア様がみてる リトル
ホラーズ」(今野緒雪 コバルト文庫)レビュー
アフターエレンが選んだニュースには、他に
アニメ/マンガ関連の話題はありませんが、
コミックではいくつかと、レズビアン関連書籍
専門の出版社Bella Books(2001年)や
Bold Strokes Books(2004年)について
の記述はあります。
90年代だったら、「美少女戦士セーラームー
ン」の北米進出は、ニュースに含まれていた
かもしれませんね。
アフターエレンの記事をざっと引用させていた
だくと、
2003年「エリカ・フリードマンがYuriconを創立」
エリカ・フリードマン女史は、彼女の百合マン
ガ・ウェブサイト「AniLesbocon」を、「Yuricon」
として再創立し、ニュージャージー州ニューア
ークで、コンベンションとしての「Yuricon 2003」
を開催しました。
そのイベントには、5人の北米の研究者達が、
キャラクターであり、読者であり、作者である
といった、アニメやマンガにおける女性の役
割についての論文を発表していく、学術的な
講義企画も含まれていました。
この種の研究プログラムがアニメコンペション
で行われたのは、初めてのことになります。
同年に、フリードマン女史は、彼女のいう、
「100パーセント百合 ―― レズビアンによる、
レズビアンのための百合、レズビアンの生き方
と愛し方を表現していくこと」を専門とした、
ALC Publishing(ALC出版)を立ち上げます。
といった感じになると思います。
「AniLesbocon」としての活動自体は、2000年
頃から始まっていたのですが、それが「Yuricon」
に変わった経緯については、公式サイトでの
解説が参考になるでしょう。
ともあれこの2003年が、イベントの開催、ALC
出版の設立と合わせて、Yuriconの活動が本
格化した、パブリックなものになった、記念の年
ということになるわけですね。
一番近いジャンルとしての、「やおい/BL」と
比較すると、北米での百合の人気やシェアは、
まだまだ、ずっと小さいものかもですけど、
Yuriconの、百合普及のための努力は、これ
からもずっと続いていくのだと思います。
僕個人としても、エリカさんとはずっと交流を
続けさせていただいてて、正直、「世界で一番
心の優しい人」だと思っています。
僕の側から、Yuriconとエリカさんの活動に
大きく貢献出来たようなことは、これまで特に
何もないのですけど、せめて時々はこうやって、
日本の方にも、アメリカの百合ファンの活動と
その認知について、お伝えし続けていきたいと
思っています。
Shoujoai Ni Bouken: The Adventures of Yuriko
- 作者: Erica Friedman
- 出版社/メーカー: Alc Publishing
- 発売日: 2006/11
- メディア: ペーパーバック