ちょうど、1年前の記事↓の追記というか、
新情報が出ています。
当ブログ2008年12月29日付け記事
「北米版『絶対無敵ライジンオー』エグゼクテ
ィブ・プロデューサーJimmy Taylor氏イ
ンタビュー記事」
アメリカ中西部のミズーリ州セントルイスに
拠点を置く、Anime Midstreamという新
しい会社が、サンライズ制作のスーパーロボ
ット作品、「エルドラン」シリーズの第1作目
である「絶対無敵ライジンオー」のライセンス
を取得したと発表したのが、1年前のことでした。
アニメ!アニメ! 2008年12月25日付け記事
「新しいアニメ流通会社が『ライジンオー』の
米国ライセンス獲得発表」
その後しばらくは、公式サイトの更新もなく、
どうなっているんだろうと思っていたんですが、
Mania.comのアニメ・マンガコーナーのフォ
ーラムに、1週間ほど前、
"Anime Midstream to release Press Release
on for Raijin-Oh in a few days!"
というスレッドが立てられていたんですね。
内容は、Anime Midstreamに北米版「ライジ
ンオー」DVDの状況について問い合わせてみ
たら、企画は健在で、数日中にプレスリリース
が出されるだろう、なる返答が来たというもの
でした。
その後数日が過ぎても、プレスリリースが出
される気配はなかったんですが、昨日になっ
て、Anime Midstreamの公式サイトが改
装され、「ライジンオー」DVDの直販についても、
受付が始まっていました。
それによると、DVD第1巻は約130分の5エピ
ソード収録、日本語・英語音声に英語字幕と
いう仕様で、定価は19.99ドル(約1840円)に
なっています。発売スケジュールは未定です。
第1巻のDVDジャケット画像もありますが、これ
で決定デザインです?
「ライジンオー」は全51話ですから、この収録
ペースだと、どこかに6話収録巻を含んだ、全
10巻になりますね。
とりあえず現時点では、AmazonやRight Stuf
といったオンラインストアでの扱いは、まだ始まっ
ていないようです。
このAnime Midstreamによる「ライジンオー」
DVDリリースが上手くいくかというと、素人目
でも、不安点をいくつか指摘出来ます。
それらを並べてみると、
1.作品の古さ・ジャンル
「絶対無敵ライジンオー」は91〜92年にかけて
日本で放送された作品で、好評を博し、「エルド
ラン」シリーズがさらに2作続いたわけですが、
さすがにもう、20年近く前の作品になるわけです。
「ガンダム」シリーズのように、今でも新作が作
られているのならともかく、知名度という点では
厳しいかもとか、映像・音質のクオリティ的にどう
だろう、とは思います。
一方でその古さゆえに、現在英語ファンサブが
ネット上でまったく流通していない、という利点
はあります。
加えて、北米ではスーパーロボットというジャン
ル自体が不人気とされてもいます。
「エルドラン」と並ぶ、サンライズのスーパーロ
ボットを代表する「勇者」シリーズ最終作の「勇
者王ガオガイガー」は、北米ではMedia Blasters
によって、2006年から英語吹替収録仕様で、
まず単巻でのリリースが始まりましたが、セー
ルスの不調により、リリースは前半のみで中断
され、後半はコストカットのために英語吹替を収
録しない、安価なBOXセットのみでの発売とな
った、という過去があります。
2.リリース形態
既に伝えられている第1巻の仕様が続くのなら、
「ライジンオー」は、おそらく全10巻の単巻リリー
スになります。
FUNimationやVIZ Mediaなどの大手は、
まだ頑張っていますけれど、北米の中・小規模
な会社では、日本アニメのDVDリリースについて
は、英語吹替を収録しない、安価な単巻・BOXセ
ットでのリリースが、トレンドになりつつあります。
その中で、北米でテレビ放送されているわけで
もない、20年近く前の旧作を、10巻買い続けて
くれる人がどれだけいるだろう、という話ですね。
将来的なBOXセットの発売にしても、エグゼク
ティブ・プロデューサーのJimmy Taylor氏は
認めていますし(Otaku Review.net
2008年12月24日付け記事)、Mania.comの
フォーラムでも、単巻では買わずに、BOXセット
を待つという声があります。
ただし、現在でも単巻リリースがされる場合は、
日本側の権利者からの要望であるとも聞くので、
Anime Midstream側による判断かどうかは、
断定出来ません。
3.英語吹替への新人起用
まだ残っていますが、旧公式サイトのページで
声優オーディションを告知していたように、この
「ライジンオー」の英語吹替トラック制作におい
ては、通常、アニメ英語吹替が制作されるテキ
サス、ニューヨーク、ロサンゼルス、カナダ・バン
クーバーといった地域の人材・スタジオに依頼
するのではなく、ミズーリ州の新たな人材を採
用する方針になっています。
実際、2009年3月27〜29日にセントルイスで
開催されたコンベンションAnime St. Louis
では、公開オーディションも行われたようです。
ソース・Anime St. Louisフォーラム
"AnimeStL & Anime Midstream"
・Anime St. LouisのTwitter
地元の人材を発掘する、中西部のアニメ声優
志望者にチャンスを与えるという意味ではとて
もいい話ですよね。ご存知のように、「ライジン
オー」はとてもキャラの多い作品ですし。
それにまっさらの新人ということで、ギャラも低
く抑えられるかもです。この地域でのユニオン
の影響力についてはよく知りませんが。
ただ、全ての声優がそうなるかは不明ですけ
れど、オーディションで集めた新人を多く採用
することになれば、やはりその技量についても、
どこまで期待出来るのかわかりません。それな
りの期間があるのですから、訓練がきちんと積
まれればいいのですけど。
また、新人声優さんばかりということは、人気
声優さんのネーム・バリューに頼れない、とい
うことでもあります。
いま北米で、アニメ英語吹替声優さんのファン、
この人が吹替えているから、正規版のDVDを
買うという人がどれだけいるのかはわかりませ
んけれど、少なくとも、そういう面での購入意欲
は煽れない、ということですね。
なので、クオリティを確認するためにも、英語吹
替版の第1話くらいは、無料配信してみた方が
いいと思います。