2009年12月16日

スペインの「DEATH NOTE」研究本における、本家単行本第13巻表紙画像の盗用事件


今日2つ目のスペインからの話題も、あまり
楽しくはないというか、困ってしまう種類の事
件ですね……。
引き続いて、スペインのアニメ/マンガ情報サ
イトのRamen Para Dosからご紹介します
けれど(あ、こちらでの記事の引用については、
運営者の方に報告済です)、原作/大場つぐみ
・作画/小畑健の人気マンガ、「DEATH
NOTE」についての事件です。


ソース・Ramen Para Dos
2009年12月15日付け記事
"Polémica con los libros teóricos"
 (研究本をめぐる議論)


スペインにおける、マンガ及び小説版「DEATH
NOTE」出版は、最大手のマンガ出版社であ
るEdiciones Glénat(公式サイト)によって
行われていて、既にマンガ単行本全13巻、小
説2作(「ロサンゼルスBB連続殺人事件」「L
change the WorLd」)の出版を終えています。
売り上げランキングでも、フランスやドイツと同
じく上位の常連で、スペインでもベストセラー
になった、人気作品と判断していいと思います。


short_g.gif


今回告発を行っているのは、そのGlénatの
編集ディレクターである、Joan Navarrod氏。
その個人ブログに12月15日付けで、以下のよ
うな記事が投稿されました。

Joan Navarrod氏の個人ブログ「Viñetas」
2009年12月15日付け記事
"ESTE ES EL LEGAL"
 (これが正規物だ)

"This is the legal"とストレートなタイトルの
記事の内容は、同じスペインのコミック出版社の
Dolmen Editorial(公式サイト)の行為を告発
するものです。


Dolmen Editorialは、JETRO(日本貿易振
興機構)による調査レポート「スペインにおける
日本のテレビアニメ・マンガ・映画市場の実態」

にも名前は出てこなかったので、規模としては
小さいところだと思うのですが、「薩摩義士伝」
(平田弘史)、「ブレイクダウン」(さいとうたか
お)、「おもひでぽろぽろ」(岡本螢・刀根夕子)
といった、日本マンガも出版しているようです。


GlénatのNavarrod氏が、電気製品・本・CD
などを扱っているチェーン店Fnacで見つけて驚
いたのが、Dolmenの出版していた、「Death
Note:jugando a ser un dios moderno」

という本です。
著者はジャーナリスト/ライターのEduard
Terradesという人物にされている、「現代の神
になろうとして」と訳せるような副題のついたこ
の本は、「DEATH NOTE」の作品それ自体で
はなく、研究本というか、日本語で平たくいえば
「謎本」のような内容だと思います。


Navarrod氏を驚かせたのは、この「Death Note:
jugando a ser un dios moderno」の表紙
に用いられているイラストが、他でもない、Glénat
が集英社から翻訳権を正式に得て出版している、
単行本第13巻表紙と同じだったことなんですね。
比較検証のために、表紙画像を各公式サイトから
引用掲載させていただきますけど、


Glénatによる
「DEATH NOTE」単行本第13巻表紙

deathnote13a.gif


Dolmen Editorialによる
「Death Note: jugando a ser un
 dios moderno」の表紙

deathnote13b.gif


見てわかるように、トリミングこそ違いますけ
ど、Dolmen側が、Glénatによる単行本第
13巻のイラストを引用しているのは明らかです。
Dolmenは過去にも、「NARUTO」、「Bleach」
CLAMP作品などの研究本を出版しているよ
うですが、今回は特に、正式な単行本の表紙
イラストをそのまま使用したことで、はっきり
と問題視されているのだと思います。
「DEATH NOTE」の権利を管理しているVIZ
Mediaヨーロッパの人も、Dolmenの本を目
にして、心底驚いていたようですし。
権利管理者が驚いたということは、イラストを
無許可で、勝手に使用しているということだと
理解していいと思います。


同じイラストを使用しているのなら、事情に詳
しくない人だと、どちらも正規の出版本だと考
えてしまう恐れはあると思います。
本家の第13巻の内容も、物語・キャラの解説
といった、研究本的なものでしたから、同じイ
ラストを使って、あえて混同を狙ったのかも、
とも勘ぐれますし。
スペイン国内の著作権の扱いの細かいことは、
正直よく知らないのですけど、例えば日本だっ
たら、謎本に画像の引用許可を出すことはあり
ませんよね。著作権法で認められている、批評
のための引用は、また別の話として。
このDolmanの件は、表紙イラストまでそのま
ま使ってしまったということで、問題を議論する
大きなきっかけになったでしょう。今後の動き
を見守ります。


posted by mikikazu at 21:08 | TrackBack(0) | 海外情報(スペイン) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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