2009年10月26日

映画「Astro Boy」(邦題「ATOM」)の、アメリカでの第1週週末成績


アメリカではこの10月23日から、3014スクリーン
で公開の始まった、手塚治虫さんの「鉄腕アトム」
を原作とするCGアニメーション映画「Astro Boy」
(邦題「ATOM」 米公式サイト)の、1週目の推定
週末興行成績の数字が出ています。
Box Office Mojoによると、「Astro Boy」は初
登場6位で、興行成績は701万7000ドル(約6億
5188万円)になっていますね。


ComingSoon.netが事前に出していた予想では、
順位は4位で、数字は1270万ドルでしたから、
順位はともかく数字としては、予想の半分少し上
と、かなり下回ってしまったものになっています。
配給側の期待がどの辺りだったのかは、知りま
せんけど。
「Astro Boy」の製作費は、4000万ドル(IMDb)
から、6500万ドル(Box Office Mojo)まで諸説
ありますが、おそらくは2000万ドルを超えないだ
ろう、アメリカ国内だけの成績ではまったくの赤字
でしょうから、今後の世界各国での頑張りを期待
するしかないでしょうか。
とはいえ、最も「鉄腕アトム」フランチャイズの
認知度が高い筈の日本では、初登場で10位、
二週目でトップ10圏外ということで(eiga.com)、
既に頼れない市場になってしまっていますが。


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僕自身は未見なのですけれど、現時点でネッ
ト上では、75ほどのレビューが確認出来て、
その三分の一である25ほどのレビューにざっ
と目を通してみたんですが、かつての宮崎駿
作品のような、絶賛の嵐というわけじゃないで
すけど、そんなに反応は悪くないと思います。
Rotten Tomatoesの分類だと、肯定・否定
で半分ずつくらいにされていますが、実際のレ
ビューを読んでみると、Rotten Tomatoesが
引用するようなネガティブな文章もあるものの、
評価出来る部分もある、というものも結構見
つかります。
ただもちろん多くの場合、「子供・ファミリー
映画としては」「コアな鉄腕アトム・手塚治虫
ファンからは、『あれが違う』『これを変えた』と
批判を受けてしまうかもしれないが」という注釈
付きではありますが。
批評家受けがそんなに悪くなかったとしたら、
やはりメイン観客である子供達、あるいは彼ら
を劇場にまで連れて行く、親御さん達向けのマ
ーケティングの失敗、ということになるんでしょ
うか……。


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多くのレビューで指摘されていた、「Astro Boy」
における「鉄腕アトム」からの変更点のひとつは、
アストロのモデルとなった、テンマ博士の息子で
あるトビーの死因が、「アトム」における飛雄での
「交通事故死」から、ロボットの実験中の事故で
ビームを浴びての、「消滅死」に変わったことみた
いですね。
これは何故かというと、あくまで想像ですけど、
交通事故ではリアル過ぎるし、死ぬほどの事故
ですから流血の描写などがあったら、映画のレイ
ティングだって上げなくてはならなくなる。
ビームを浴びての消滅死なら、血も描写しなくて
済む、「きれいな」死に方に出来る ―― という
ことかなとも思うんですが、どうでしょう。


それはともかく、批判ということではないですけ
ど、このトビーの死が、いくつかのレビューでは
話題にされていたんですね。
つまり、「子供向けの映画で、キャラクターの『死』
を描いてもいいのか」「子供が『死』を理解出来る
のか」という指摘です。
もちろん飛雄/トビーが死ななければ、そもそも
アトムもアストロも作られないわけで、これは変
更のしようのない大前提のプロットなわけですけ
れど、新たにそういう指摘を目にすることは、個人
的に興味深かったです。
そんなにアメリカ製の子供向けアニメーション映
画で、「死」を描くことがタブーなのか稀なのかは、
僕は不勉強なのでわかりませんけれど、逆にいう
と、今回の「Astro Boy」製作者は、死なせ方は変
えても、とにかく死なせるという、そのゆずれない
一点は守ったわけですね。



posted by mikikazu at 08:03 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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