2009年09月16日

言語学習における、マンガの多用性(インドネシア・アラブ首長国連邦の例)


外国におけるマンガの、言語学習における
影響・活用の違い、という話ですね。
まず、インドネシア共和国の日刊英字紙
The Jakarta Postの電子版が、9月15日
付けで伝えていたのが、

"Manga and dorama entice RI students
to learn Japanese"


という記事で、日本のマンガ・アニメ・ドラマ
に触発されて、インドネシアで日本語を学ぶ
人が増えていることと、その人達の日本語教
育をサポートしている、現地の日本大使館の
働きを伝えるものでした。
駐インドネシア日本大使の塩尻孝二郎氏に
よると、公・私的教育機関を合わせて、イン
ドネシアで日本語を学んでいる人の数は、
50万人に達するそうです。
同時に、日本語を教えられる先生の需要も急
増しているそうで、確かに、生徒が50万人い
たら、先生がどれだけ必要になるか、という話
になりますよね。それが学校を卒業した日本語
学習者の、よい就職先にもなっているようです。
言語だけでなく、日本文化と歴史に興味を抱く
人も多いそうですが、そうすると、1942〜1945
年までの、日本による占領期のことにも、当然
触れるわけで、そういう歴史への、若い人達の
反応は、どんなものなんでしょう……。


インドネシアでの日本マンガの歴史については、
以下の記事が参考になります。

Manga Blog 2007年10月25日付け記事
"What Manga is Like in Indonesia - Part I"

同11月7日付け記事
"Part II: Issues around Publishing"


また、インドネシアの人達の日本語学習につい
ては、公使の方のスピーチも情報になると思い
ます。

在インドネシア日本国大使館
リアウ大学日本語学科でのスピーチ(要旨)
「インドネシア人学生への日本語学習の勧め」



short_g.gif


続いては中東に飛んで、UAE(アラブ首長国
連邦)の英字紙The Nationalの、9月11日
付け記事。

"Search for a new chapter in Arabic
youth fiction"


この記事は、UAEでの、アラビア語による児童・
ティーエイジ向け文学と、その作者の少なさを
憂いるものですね。
ティーンエイジャーの子供達がもっぱら読んで
いるのは、ステファニー・メイヤーの「トワイラ
イト」や、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」
といった、欧米発の英語物語になるそうです。
アラビア語の本もわずかならあるけれど、その
内容や語り口は、「トワイライト」などと比較す
ると古臭くて、今の子供達が楽しんで読めるよ
うなものではない。


このままでは子供達が英語ばかりを使う・読む
ようになって、伝統的なアラビア語が廃れてし
まうのでは、という危惧があり、それに対する
活動のひとつとして紹介されているのが、うち
でも7月23日付け記事にした、日本人のマンガ
家(姫川明さん)とUAE人の作家(Qais Sedki
さん・出版者兼)との共作による、初のオリジナル
マンガ作品の「Gold Ring」(公式サイト)です。
ここではマンガによって、日本語ではなく、母国
語であるアラビア語のリテラシーを向上させ、
かつ伝統文化を正しく伝えようという、作品の
目的が語られています。


short_g.gif


つまり、インドネシアでは、日本語を勉強するき
っかけの一つとなっていたマンガが、UAEでは、
その土地伝統の言葉である、アラビア語の学習
のためにも利用されているんですね。
そもそも、マンガはあくまでもmedium ―― 表
現のためのツールですから、用いる言語に縛ら
れることなく、それぞれの目的のために活用し
てくれていいわけです。
結果として身につくのが日本語であれアラビア語
であれ、役に立ったのならそれでいい。
国境を越えたマンガの多用性を示す、いい例だと
思います。


posted by mikikazu at 10:40 | TrackBack(0) | 海外情報(総合) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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