イタリアの大手メディアグループであるメディアセッ
トが保有している民間放送局Italia 1(地上波)
及びHiro(有料チャンネル イタリア語Wikipedia)で、
アニメ・カートゥーン作品を担当しているディレクタ
ーの、Fabrizio Margaria氏へのインタビューが、
フォーラムAnimeFun!に、8月3日付けで掲載され
ていました。
このフォーラムは先日も少しお伝えした、日本と
同じくイタリアでも、「美少女戦士セーラームーン」
のテレビ放送が再開されることが最初に伝えられ
た場所なんですが、「詳しくは、Fabrizio Margaria
氏へのインタビューを後日掲載するので」とも合わ
せて伝えられていて、ちょっと楽しみに待っていた
のです。
インタビューというか、寄せられたファン達からの、
イタリアでのあのアニメの放送はどうなっているの
か、という質問に、Margaria氏がどんどんと答える
形になっています。
「美少女戦士セーラームーン」については、当初
秋頃からでは?という話もありましたが、正しくは
2010年1月から、Hiroでの放送開始ということ
だそうです。
また、放送権についても、シリーズ全てを購入済
ということですから、第1作から、最終作の「セーラ
ースターズ」まで、次々放送されると思います。
この「セーラームーン」の放送解禁は、日本を含む
世界的なものみたいですから、イタリア以外の国で
もどうなっていくのか、注視したいですね。ブームの
再来だってあるかもしれません。
Yuriconのエリカ・フリードマンさんのように、「セー
ラームーン」でanimeに目覚めたという人には、
とても嬉しいことだろうと思います。
インタビューの中では、「あの作品の放送の続きは
どうなっているの?」「あの作品をイタリアで放送し
てくれる可能性は?」という質問が、たくさん寄せら
れていたんですね。
例えば、日本で高視聴率を記録した、イタリアでも
人気のある作品のカップリングである、TVスペシャ
ル「ルパン三世vs名探偵コナン」を、イタリアでも見
られるかどうかについての質問もありました。
Margaria氏によれば、権利を持っているTMSに
問い合わせはしたものの、現在海外に売る予定は
ない、と答えられたとか。ただし、交渉は続けていき
たいとも。
で、質問の中には、「家庭教師ヒットマンREBORN!」
についてのものもあったんですね。放送権を購入す
るつもりはあるのかと。
Margaria氏が答えるところによれば、
"Per ora no, poi l'argomento mafia anche
se in maniera scherzosa non è molto semplice,
soprattutto per un cartone animato."
(差し当たりノー、というのはマフィアに関する
話題は、例え冗談めいた作風であっても、そう
単純なものではない。とりわけアニメに関しては)
ということだそうなんです(翻訳ありがとうござい
ました)。
やはり子供向けアニメとして、マフィアを扱った作
品をテレビ放送することは、難しいという判断があ
るように読めるんですけど。
ご存知のように「REBORN!」は、イタリアンマフィア・
ボンゴレファミリーの10代目ボスとしての、主人公・
沢田綱吉君の成長物語ですよね。
現実にイタリア国内に犯罪組織として存在し、社会
問題となっているマフィアが、アニメ版「REBORN!」
の中でどう描かれていて、それをイタリア国内の人
がどう感じるかは、日本人の側からは想像するしか
ありませんが、放送するかしないかを決定する、テレ
ビ局の担当の人の判断として、「放送は難しい」とい
うものがあるようです。
ただし、ドイツにおけるナチスの扱いのように、
メディアの中では絶対に駄目だというわけではなく、
原作マンガはPlaneta DeAgostiniからの出版が、
順調に巻を重ねているようですし、問題視された
というニュースも、とりあえず耳にはしていません。
だからあくまで、アニメ版のテレビ放送における判
断ということだと思います。
判断自体の是非については、イタリアのテレビ視聴
者やアニメファンからも、それぞれ反応があるでしょ
うけれど、ここで重要なのは、放送をする・しないを
判断する担当者のコメントが確認出来た、というこ
とだと思います。
アニメにしてもマンガにしても、海外のたくさんの国
で放送・流通するようになった一方で、文化の違い
による問題もまた発生しているとされていますよね。
日本では問題のない描写が、海外のある特定の国・
地域では問題視されてしまう、という風に。
で、「問題視されている」という話が出てきた時に、
では実際のところ、「誰が」問題視しているのか、と
いう事実の確認もまた、大切だと思うんです。
というのも、「問題視されているのでは」という想像
する際に、実はその想像の根拠となっているのは、
「この国・民族の人は、こういう考えをするのだから、
こういう描写を問題視するに違いない」という、ステ
レオタイプの先入観でしかない危険性も大きいから
です。
なので今回のように、その判断をしている「誰か」が、
他でもないテレビ局の担当者であるMargaria氏だと
知れたことは、正しい客観事実の確認が出来たとい
う意味で、価値があると思います。