2009年08月06日

サンディエゴ・コミコンでの、武井宏之さん(「機巧童子ULTIMO」)の発言まとめ


えっと、今日は宿題にしていた話題ですね。
サンディエゴ・コミコン(公式サイト 7月23〜
26日)のVIZ Mediaのパネル(7月24日)に、
「機巧童子ULTIMO」の共作者であるスタ
ン・リー氏と共にゲスト参加されていた、
武井宏之さんの現地での発言を、まとめて
みたいと思います。
引用するのは、パネルでの発言と、Publishers
Weekly、ICv2、Manga About.comと
いった現地メディアによる、個別インタビュー
からですね。
それぞれソースは、

Publishers Weekly 7月28日付け記事
"Talking with Ultimo's Hiroyuki Takei"

ICv2 8月3日付け記事
"ICv2 Interviews Hiroyuki Takei
On 'Ultimo'"


Manga About.com
"Interview: Stan Lee and Hiroyuki Takei"

になります。
当然重なる話題も多いので、発言そのままで
はなく、大意ということでお願いします。
では以下、箇条書きで――。


short_g.gif


・読んで育ったと言えるマンガは、「ジョジョの奇妙
 な冒険」(荒木飛呂彦)。同作者の「魔少年ビーテ
 ィー」もお気に入り。
 残念ながらスタン・リーの代表作である「スパイダ
 ーマン」を読んで育った、とは言えない。

(初めて「機巧童子ULTIMO」の企画を知らされた
時の反応は?)
・スタン・リーは、アメリカ、そしておそらくは世界
 で一番のコミック・アーティストなので、「私でい
 いんですか?」というものだった。
 だから、かなりのプレッシャーを感じていたが、
 一番最初にスケッチを見せた時に、とても喜ん
 でくれたので、こちらも嬉しく、やっと安心出来た。

・究極の善と悪の対立というコンセプトは、完全に
 スタン・リーからのもの。

・最初に頭の中にあったキャラクターのデザインは、
 「鉄腕アトム」のようなものだった。

・ウルティモの髪が赤い理由のひとつは、スタン・
 リーの代表作である「スパイダーマン」のコスチ
 ュームの色から。モチーフにあった「鉄腕アトム」
 にも赤色は使われているし、日本の絵画やイラス
 トでも、赤はとても人気のある色だから。

・スタン・リーは、日米での創作環境の違いをよく
 理解してくれていて、これまでの自作を手がけた
 時と、手法にあまり違いはない。
 これまでのところ、意見の衝突のようなものはない。

・「機巧童子ULTIMO」は月刊連載なので(ジャンプ
 スクエア)、週刊連載だった「シャーマンキング」の
 時よりは仕事量も減り、楽になって嬉しい。
 作品について考えるための時間も増えたので、
 それをいっぱいに活用している。

(シャーマンキングと比較すると、絵柄に変化がある
ようだが?)
・そんなことはないと思う。自分は常に新しいスタイル
 を求め続けていたいクリエイターだから、ウルティモ
 のデザインにも、多少の変化はあるかもしれない。
 けれど、「ULTIMO」を始めた時は、「シャーマンキン
 グ」完全版の作業も同時進行だったので、絵柄は似
 てしまっていると思う。

・バイスの殿であるKのモデルは、自分の制作オフィ
 スのスタッフ。

・ダンスタンのモデルをスタン・リーにしたのは、彼に
 初めて会った時に思いついた、自分のアイディア。
 彼が作品の作者なのだから、作中でもウルティモ
 とバイスの生みの親である、ダンスタンにしてしま
 おうと考えた。彼は、自作の映画化作品に、自分
 で出演したこともあるし、マンガでも登場させたら、
 きっと喜んでくれると思った。ただし、最初にスケッ
 チを見せる時は、「殺されるかもしれない」くらいに
 は不安だった。
 自分自身をマンガのキャラとして登場させる可能性
 は、恥ずかし過ぎるので、ない。

・日米双方の読者のことを考えつつ作品を作っていく
 のは、とても大変だと理解したので、自分も含めた
 日米の作家が、今後も「ULTIMO」のような共同制
 作作品を作っていくべきかどうかは、わからない。

(先に連載されている、日本での反応は?)
・ジャンプスクエアの読者アンケートでは、常に首位
 争いをしている。7月4日に発売になった単行本の
 第1巻は、3日で増刷の要請があった。
 出だしとしては順調で、映画化でもされれば、反応
 はもっとよくわかるだろう。

(外国で自作が翻訳され、読まれていることをどう思う?)
・もちろん嬉しい。ただ時々、作品の意図がきちんと
 外国の読者に伝わっているだろうかと心配になるこ
 ともある。特に自分の作品は、表現が曖昧だったり、
 読者の心に疑問を残したままにしたりすることがあ
 るので。
 アメリカン・コミックのように、「ULTIMO」も究極の善
 と悪との物語ではあるが、自分が「ULTIMO」で伝
 えたいことは、善と悪を分ける線は、もっと曖昧で、
 そんなにはっきりしたものではないかもしれないと
 いうこと。アメリカの読者には、特にその点に注目
 して、裏の意図まで読み取って欲しい。


short_g.gif


という辺りが、主なところでしょうか。武井さんの
日本語から、通訳を通した英語への翻訳を、さらに
日本語にしているので、細かいニュアンスまで汲み
取れているかどうかは、あまり自信がないです。
ジャンプスクエア今月号の後記で、武井さんは訪米
について触れていましたから、来月号には、きっと
詳しいレポート記事が掲載されるでしょう。
スタン・リー氏との対談は以前にもありましたけど、
実際に連載が進んでからの、お2人の会話をまた
聞いてみたいですね。
VIZ Mediaのパネルでも、お2人は顔を合わせて
いるのですが、リー氏はなんだかテンションがハイ
過ぎで、冗談ばかり言ってます。
VIZ Mediaの編集さんによると、お2人が直接会う
のは、これまでも数えるほどしかないとか。日米での
やりとりは、主にテレビ電話を通してになるそうです
けど、回線の調子がいつも悪いと、リー氏に茶化さ
れていますね。
それと、武井さんは自分をマンガのキャラにする気
はないと仰っていますが、リー氏の方はぜひそうし
て、2人を元にしたキャラの出番を、「ULTIMO」の
中でどんどん増やしていこう!と言ってるとか(笑)。


日米の共同作業について、リー氏は他のクリエイタ
ー達も、どんどん進めていくべきだと主張している
んですけど、武井さんの方が慎重なのは、アイディ
アを出す人と、それを実際に形にしていく人の違い、
なのかもしれませんね。後者の方がずっと大変だろ
う、という想像ですけど。
アメリカでの「ULTIMO」の評価は、まだSHONEN
JUMP誌7月号(公式サイト)から連載が始まった
ばかりなので、よくわかりませんが、少なくとも、
かつて「シャーマンキング」も連載されていた、
SHONEN JUMP誌の読者は、同じmangaとして
読んでくれるでしょうから、大丈夫だと思います。
「スタン・リー原作だから」と読もうとする、コミック
界側の人達からの反応は、皆目見当もつきませ
んけど……。




posted by mikikazu at 08:30 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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