2009年05月30日

「かわいいあなた」(乙ひより)・「星は歌う」(高屋奈月)・「ストロベリーシェイクSweet」(林家志弦)など、読みました。


それから他に読んだのが、まずお気に入りだと
りょうさんにメールで教えてもらっていた、百合コ
ミック短編集の「かわいいあなた」(乙ひより 一
迅社 作者さん公式サイト)。
出版は2007年7月と、少し前ですが、雑誌「コミッ
ク百合姫」
に掲載されていた、女の子同士の恋愛
を描く短編を集めたものです。
ちなみに僕自身は、「百合姫」及びその関連雑誌を
定期購読してはいないので、こうやって作家さん単
位でお薦めされたら、単行本で購入する、という立
場ですね。


収められた6編の作品は、百合作品に詳しいわけ
ではない僕の目からしても、どれも既読感の強い
ストーリーばかりで、女の子同士の恋愛を描く上
でまず思いつく、基本的なフォーマットをそれぞれ
紹介してみせた、という役割色の強い短編集にな
っていると思います。
百合コミックというジャンルの歴史の短さ、市場の
小ささからすれば、ジャンルを紹介する出発点的な、
定番のお話ばかりのこういう短編集も、商品として、
きっと必要なんでしょうし。
そういう意味でオリジナリティは薄いと思うんです
が、それだけどれもシンプルなお話になっているの
で、読みやすいとはいえます。
これが初めての作品集ということで、作者さん個
人のオリジナリティが発揮されているとしたら、次
の作品「クローバー」からでしょうか。
単行本の表題作である「かわいいあなた」が、一
番訴求力がある作品だとは僕も思いますけれど、
それは自己否定から、他者による自己肯定のハッ
ピーエンドという文脈の力強さゆえだと思います。


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高屋奈月さんが新作「星は歌う」を連載されている
ことは、もちろん知っていましたけど、すぐに読もう
としなかったのは、やはり大長編「フルーツバスケット」
の後で、すぐに別の物語に移るのにも、少し気後れ
があったからですね。
でもとりあえず、5巻までまとまったということで、
読んでみることにしました。
語り口のクオリティ的には、「フルーツバスケット」
終盤の雰囲気そのままで、安心して読み進められ
ました。微笑ましいキャラクター達のやりとりを楽し
む一方で、こちらの心を痛く抉るそれぞれの事情が
展開されていくのも同様で、ページをめくるのに、
いい意味での覚悟が必要な作品というのも変わりま
せん。
ファンタジー設定が導入されていた「フルーツバスケ
ット」の場合は、呪いが解けるという、ひとつの救い
というか展開が用意も出来ましたが、それがないこの
「星は歌う」は、本当に生身の人間の出来ることだけ
で事態に立ち向かわなくてはいけないというシビア
さが明確なので、「フルーツバスケット」の次にやる
作品としては、正解だと思います。


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文字通り息を詰めて読み進めなくてはならない
「星は歌う」の後だと、その馬鹿馬鹿しいテンション
の高さが、いい意味で救いというか気分転換になっ
てくれたのが、「ストロベリーシェイクSweet」全2巻
(林家志弦 一迅社)ですね。
これは、「かわいいあなた」と同じく「百合姫」(と今
は亡き「百合姉妹」)掲載作品ですが、僕が読もうと
思ったのは、同じ作者さんの「はやて×ブレード」が
面白かったからです。


一応学園バトル物の体裁をとっている「はやて×ブ
レード」では、女の子同士の関係は、戦うパートナ
ーあるいは敵としてのものが、まず前提でしたが、
こちらの作品は、正面から、恋愛感情を主体として
描いています。
バトル物でないのに、こんなにも女の子が鼻血を出
す作品はスゴイとは、確かに思いましたけど(笑)。
ギャグ四コマがメインの第1巻と違って、ストーリー
モードがメインとなる第2巻では、主役2人の恋愛
関係も、それなりにシリアスに進んで、読み応えは
あると思います。
「はやて×ブレード」がそういう意味では寸止めなの
で、逆に直球の恋愛心情物語を、とことん満喫出来
るというか。
少しずつ歩み寄り始める2人の恋心の描きようが、
微笑ましく嬉しい物語です。


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マンガ版に限定してなんですけど、「マリア様が
みてる」(長沢智 集英社)で一番可愛いと思った
キャラは、実は祥子さんかもなんですね。
これは絵柄の影響が大きいんでしょうけれど、
いい意味で不器用な、表情と感情の多彩さが楽し
めるという感じで、キャラが生きていると思いました。
由乃さんもいい子ですけど、まあ担当が令さんと
して、はっきりしてますし(笑)。変に堅苦しくない、
祐巳さんとのまっすぐな友情も素敵ですよね。
ともあれ、お気遣いありがとうでした。ぼちぼち
出来る範囲で頑張っていきます。

posted by mikikazu at 11:16 | TrackBack(0) | マンガ感想-いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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