2009年05月21日

「かんなぎ」(武梨えり)は、第6巻まで読みました。


というわけで引き続き、「かんなぎ」(武梨えり 
一迅社 公式サイト)を、第1巻から、最新刊の
第6巻まで読んでみました。
この作品を選んだのは……、タイトルに聞き覚え
のある、確かアニメ化もされていた、最近の人気
作みたいだから、以上の理由ではありません。
ヒロインであるナギさんの前髪の揃い具合がいい
なあと、ずっきゅんと本屋さんで感じて、つい全巻
衝動買いしてしまったとか、そんなことはけっして
ありません。


short_g.gif


マンガ作品の場合、僕は基本的にどんなジャンル
でも読む人間で、積極的に読まないのは、BL/やお
いくらいですね。百合についてもそうであるように、
良い作品だというお薦めがあれば、読むのは決して
やぶさかではないですけど。
この「かんなぎ」という作品の場合、事前に知って
いたのは、「美少女姿の人間になった神様が、主
人公宅に居候することになる」ということ程度で、
それだけを聞くと、典型的な押しかけヒロイン物の
設定ですよね。
同じような設定が最近あったなあと思い出したのは、
アニメ春新番で第1話だけ見た、「タユタマ -Kiss
on my Deity-」(公式サイト)ですか。


80年代に「うる星やつら」があって、以降にも「ああっ
女神さまっ」や「天地無用!」があったように、押しかけ
ヒロイン物は、その時代時代でニーズがあり続ける
ジャンルだろうとは思います。
可愛い男の子が、女の子の家に押しかけて居候す
るという、逆の設定の作品については、どうでしょう。
この「かんなぎ」もそうですが、物語を都合よくする
ために、思春期年齢の主人公を1人暮らしさせると
いうのは、女の子の場合、男の子に比べて難しいで
しょうから、女子大生やOLさんくらいの年齢なら出
来るかもですけど。あるのなら、読んではみたいで
すね。


ともあれこの「かんなぎ」、第1〜2巻までは、正直
あまり内容的にまとまっていないというか、エピソー
ドごとに方向性が散発的で、あまり面白いとは感じま
せんでした。珍しく、「外れ」かなって。
作品としてクオリティが格段に向上するのは、ナギさ
んの、神様としてのアイデンティティ探しという、本筋
の物語がやっと始まる、第3巻になってからですね。
作画的にも一気に解像度が上がり、アシスタント・チ
ームが補強されたのかな、とも想像しました。
第1〜2巻までは、わりにコメディ色が強くて、ナギ
さんのファンクラブが出来るみたいなナンセンスなお
話も、それはそれでいいんでしょうけれど、個人的に
は物足りない感じでした。
だから、物語がシリアスな方向に動き出してから、や
っと読みたかった物語が始まってくれた、という気持
ちになれましたね。


本筋が始まってからは、それぞれのキャラクターの、
思春期ならではの心の揺らぎが、もどかしくもそれな
りにリアルで、引き込まれていきます。
仁君も、ナギさんのことだけではなく、つぐみさんや
白亜さんからの気持ちなど、いずれは向き合わなくて
はならない問題があるのですけど、現状ではナギさん
のことだけでいっぱいいっぱいという、高校1年生の
少年としての行動と気持ちのキャパシティが、語り口
の核になっていますね。彼にしても他のキャラにして
も、出来ることしか出来ないという限界が明確で、
ゆえに描ける物語の幅、世界観がしっかりとしている
といいますか。


シリアスな語り口が踏み込む領域のレベルも、個人的
には受け入れられる範囲だったので、安心しました。
世の中には、キャラの心を捻じ曲げたり、壊すことが
シリアスな展開だと考える作り手さんもいて、そういう
思想とは、僕は相容れられないのですけど、この作品
の場合は、特に白亜さんの過去話でドキドキもしまし
たが、まだまだ大丈夫というか、未来に進めていけそ
うな感じです。
メイド喫茶とか同人誌とかいうオタクネタは、必要かど
うかはわかりませんが、これは時代の要請もあるでし
ょうか……。


この作品について、他に知っていたことというと、作者
の武梨えりさんが、昨年病気をされて、現在連載を中
断しているということもありました。
こうやって、作品を購入することがエールになればいい
とも思います。最後まで読み遂げたい物語ではあるので、
体調の完全回復を、心から祈っています。お大事に。


short_g.gif


先に読んだ「さよなら絶望先生」や「げんしけん」など
の作品の場合だと、アニメ化されてはいても、全くそれ
らを見る必要は感じませんでした。
マンガ自体が、「この物語はこう語る・映す」という、
確固たる文体を構築しているので、それで満足出来ま
したから、他のクリエイターによる映像解釈を、わざわ
ざ繰り返して試そうとは思わなかったんですね。
実写映画でいうと、小津安二郎作品を、誰もリメイクし
ようとは思わないでしょう?みたいな。
一方この「かんなぎ」の場合は、わりにプレーンな語り
口ですから、逆にアニメで語れることが多そうだとは感
じました。色合いにしても空気感にしても、作品世界内
にカメラを置いて、映せる領域がたくさんある、と思い
ます。
だから、作品の舞台をしっかりと設定して、実際にどこ
かの街でロケしたように作りこめば、とても素晴らしい
作品に仕上がる可能性は秘めていると思います。
幸いに、現在アニマックスで連日リピート放送中です
から、途中からですけど、雰囲気だけでも確認してみ
たいですね。


次に読むのは、同じ押しかけヒロイン物繋がりで、
「パンゲアの娘 KUNIE」全5巻(ゆうきまさみ 小学館)
になりそうです。



posted by mikikazu at 11:25 | TrackBack(0) | マンガ感想-いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
eXTReMe Tracker