日本では4月5日午後5時から放送開始された
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」
(公式サイト)は、原作コミック、アニメ版の前TV
シリーズ・劇場映画の人気により、異例の速さで
世界的に広く展開されることが決まっています。
参考・アニメ!アニメ! 2009年4月3日付け記事
「新『ハガレン』世界展開開始 北米、欧州、アジア、
豪で一斉リリース」
最速は、北米地域の4月9日午前10時で(ネット配
信)、以降、
・オーストラリア(ネット配信)
―― 数日後
・フランス(ネット配信)
―― 1週間後
・フィリピン・南アジア・東南アジア地域
(Animax-asiaによるテレビ放送)
―― 4月10日午前8時半
・台湾(Animax-asia)
―― 4月11日午後10時半
・香港(地上波デジタルTVB)
―― 4月22日午前11時半
などの地域が、現在までに決定しているようです。
(北米での、FUNimationによる配信開始時刻
は、日本公式サイトだと9日正午なんですが、
ここではプレスリリース掲載の、午前10時にして
おきました。どちらが正しいんでしょう?)
ちなみに前作テレビシリーズは、日本での第1話
放送日が2003年10月4日で、北米での放送日は
1年1ヵ月遅れの、2004年11月6日でした。
この素早い世界配信・放送の目的については、ア
ニメ!アニメ!さんの記事の言葉を借りると、「イン
ターネット上に広がっている違法配信コンテンツの
視聴を食い止める目的もある」とのことですが、では、
その違法配信の実態は、日本での放送開始後、
どうなっているでしょうか。
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」の第1
話「鋼の錬金術師」のP2Pファイルが、どのようにネ
ット上で展開していったか、ちょっと追跡してみました。
時刻は全て日本時間ですが、1〜2時間くらいの誤
差はあるかもしれません。
4月5日午後5時に、まず日本でのテレビ放送が行
われたわけですが、午後8時頃までには、RAW(字
幕の入っていない、放送されたそのままの素材)ファ
イルが流れ始めています。
その後、一番早いグループで、
英語ファンサブ
4月5日午後10時頃
4月5日午後11時頃
4月6日午前2時頃
中国語ファンサブ
4月6日午前零時(簡体中国語)
4月6日午前2時(繁体中国語)
スペイン語ファンサブ
4月7日午前4時
といった、各国語のファンサブが制作・配布されて
いるのが確認出来ました。スペイン語版はおそらく
日本語から直接ではなく、英語経由なので、少し時
間がかかるのでしょう。
英語ファンサブを制作しているグループは少なくとも
四つ、中国語グループについても五つ以上は見つか
って、「鋼」という注目作でもあり、それぞれ競い合っ
ているようです。
また、これらのファンサブ素材をそのままUPしてい
る動画サイトもたくさん存在していて、ダウンロード
するまでもなく、画質は落ちますが簡単にストリーム
視聴可能になっています。
「NARUTO-疾風伝」の時と同じく、例え海外での
公式配信が素早く行われる、あるいはその予定で
あろうとも、関係なく違法視聴があっという間に広
まっている状況は、予想通りといえます。もちろん、
海外全ての地域で、公式配信が決定しているわけ
でもありませんが。
こうやって、配布する側についてはある程度わか
りますが、実際にどれだけの数の人が違法視聴し
ているのかは、もう把握不可能ですね。
「数日か一週間待てば、公式の配信・放送で楽し
めるのだから、それまで大人しく待とう」と考えて
くれている人も、該当地域ではそれなりにいるか
もしれない、という想像は楽観的過ぎるでしょうか。
おそらく権利者側も、「ライセンスされている作品
のファンサブは制作・配布しない」といった、誰も
守っていない不文律に期待もしていなかったとは
思いますけれど、「合法的に見られるものがない
から、ファンサブで見るしかない」というエクスキュ
ーズを封じる役目としては、効果はともかく存在意
義があると思います。
こういう状況を受けて、明後日から始まる公式配
信への反応を、どう権利者側が判断するのか、興
味深いところです。