まりや「なになに? こっちでも寸劇風レビューやるの?」
瑞穂 「レビューというわけじゃなくて、こちらが先行して
しまっているのが申し訳ないから、第4話以降のネ
タバレはしないで、、『乙女はお姉さまに恋してる』
という作品の面白さについて語ってください、なる
お願いをされたんだけど」
紫苑 「ストーリー展開の細かい部分には触れずに、世界
観や雰囲気といった点からなら、語りようもあるの
では、と思います」
まりや「そうですね、紫苑さま。ではさっそく、本命メイン・
ヒロイン、御門まりや嬢の魅力に迫れ! まりや嬢
101の秘密!、でいってみよー!」
瑞穂 「もう企画変わってるし……」
紫苑 「まあ、まりやさんには秘密が101もおありになるの
ですね。全て覚えておくのは、きっととても大変で
はありませんか?」
まりや「あ、あの……、マジボケ返されてもこちらが辛いだ
けなんですけど……」
瑞穂 「だったら最初からやらない」
まりや「はいはい、わかったわよ、もう。えっと真面目に始
めると、この作品のアピール・ポイントは、やっぱり
瑞穂ちゃんじゃない?」
瑞穂 「え?、ぼ、僕?」
まりや「プレイヤーさんの好みというものは多様だろうけど、
その中には瑞穂ちゃんの立場みたいになって、『お
姉さま』『お姉さま』と慕われたい、女の子達に騒が
れたい、という願望も結構あると思うよ?」
瑞穂 「うーん、例えば『お兄ちゃん』になって、妹や妹み
たいな女の子に慕われたいというのならわからな
くもないけれど、『お姉さま』になりたい男性なんて、
どうだろう」
紫苑 「そうですね……、宝塚の男役の立場に憧れる女の
子もおられるわけですし、異性への変身願望という
ものがあっても、おかしくはないのかも」
まりや「かの、『五番街は霧』のねりのさまによれば(12月
19日付け記述)、『コスプレで女装が増えてきてい
る』とのことだし、そういった時代のニーズにも合っ
ているのかもね。メイド喫茶の次は、女装喫茶がブ
ームになったり?」
瑞穂 「それは絶対にないと思うけど」
紫苑 「まあ、そういう外見上のギミックだけではなくて、
瑞穂さんの内面のキャラクターの魅力、という部分
も、もちろんあると思いますよ」
瑞穂 「ぼ、僕なんか……、普通の男だし……」
紫苑 「そういう謙虚なところもそうなんですけれど、瑞穂
さんは自分が男の子で、女の子が好きだから、皆さ
んに優しくしているわけではないのでしょう?」
瑞穂 「深く考えたことはないですけれど、それはそうかも
しれませんね」
まりや「ホントに? なんか怪しいぞ?」
瑞穂 「周りに女の子しかいないから、そもそも選択の余
地がないのも事実ですけれどね」
紫苑 「恋愛ゲームとして必然となっていく、結果として
のストーリー展開において、瑞穂さんが男性であ
るという要素は、いずれ問題になってくるでしょう
けれど、そこに至る日常の中で、瑞穂さんが見せ
てくれている他人への優しさというものは、瑞穂さ
んご自身の心根の中にある、私欲のない、優しい
人間性のあらわれだと思います」
まりや「あ、その点はあたしも認める。不器用な点も多々
あるけどね」
瑞穂 「なんだか照れますけど、そうなんでしょうか」
紫苑 「はい。そしてそういう、恋愛感情のようなエゴに基づ
かない、広い意味での普遍的な、慈愛の精神というも
のは、実は誰でもが、心に備えていたいと密かに思っ
ていることではないでしょうか? 自分がそう出来る
のなら、立場と関係なく、他人に優しくしたいという気
持ちは、誰にでもあると思います」
瑞穂 「でも、ほんとうにそんな大それたことをしているつ
もりはないんですが。エルダーとしての義務もある
でしょうし」
紫苑 「それはつまり、一種の公務ということですよね。瑞穂
さんの行動を見つめているプレイヤーの方々にとって
も、その方が、瑞穂さんの立場に感情移入するための、
よいエクスキューズになるのです。瑞穂さんという個人
からだけでなく、エルダーという立場からも、聖央女
学院という世界を見つめられる、広い視点を提供して
いるのですね。そういう意味でも瑞穂さんは、学院だ
けでなく、もっと大きな世界に向けた、大切な『エル
ダー・シスター』としての務めを果たされているのか
もしれませんよ。素敵なことだと思います」
まりや「あー、その、なんですね、話が深くなり過ぎてわから
なくなってきたんですけれど、要するに、瑞穂ちゃん
の天然なところが受けてる、ってことですか?」
紫苑 「そうとも言えますね。ふふふ」
瑞穂 「端的過ぎるよ、まりやは……。でも正直、僕はそんな
聖人君子でもないんですよ? 現に、学院のみんなに
男であることを隠し続けているような、ひどい人間で
すから」
紫苑 「そのことによって傷いたり、困った立場に追い込ま
れてしまう方が生まれないとは、私にも断言出来ま
せん。なんにせよ、1人の人間に出来ることは限ら
れているものですから……。でも、なにがあろうと、
私は瑞穂さんの味方ですので。瑞穂さんご自身が困
った時には、いつでも頼ってくださいね」
瑞穂 「紫苑さん……。ありがとうございます。そう仰ってい
ただけて、本当に嬉しいです」
紫苑 「ふふ……。だって私達、お友達でしょう」
瑞穂 「はい! そうですね」
まりや「えっと、まあ、あたしにも責任あるというか、瑞穂
ちゃんを今の立場に引きずり込んだ1人なわけな
んだし、何かの時には、その、力になるから」
瑞穂 「あ、うん。ほどほどに期待してる」
まりや「むきー! なによ、その紫苑さまとの態度の違いは!
あんた、あたしを敵にしたいわけ?」
瑞穂 「そ、そんな恐ろしいこと……」
まりや「だから何? 言ったのはこの口か? うりうり」
紫苑 「まあ、相変わらず仲がいいのね。仲良きことは美し
きかな。うふふ」
瑞穂 「あ、あの紫苑さん、そんな綺麗にまとめる場面じゃな
いですら……」
まりや「綺麗じゃない? 瑞穂ちゃん、自分の方が綺麗だって
言いたいの? なにそれ自慢!?」
瑞穂 「ご、誤解のデフレスパイラルだ……」
紫苑 「かわいさ余って憎さ百倍……。ゲームなら、ここで
注釈がつくところですね」
瑞穂 「(悪妻は百年の不作、なんてここで言ったらホントに
命の危機だなあ)」
まりや「なーに? 言いたいことは明日じゃなくて、今日い
ま言っちゃいなさい!」
紫苑 「恋に師匠なし、ですね。私達の物語も、どうなるか
楽しみにしていきましょう。では、ごきげんよう」
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