あ、では僕も「ARIA」は原作コミックを先に試して
みようかな、と考え中です。アニメはアニメで評判
高いし、第2期も決定しているようですけども。
「乙女はお姉さまに恋してる」の方も、アニメ化
が決まっているようですが、移りゆく季節の中での、
日常のコミュニケーションの繊細な積み重ねがあ
るからこその作品なので、映像でどこまでそれを語
れるかという点では、全然違うアプローチが求めら
れそうですね。
スターチャイルド・レーベルということは、タイトルに
関係なく、一般向けになるとは思いますが。
というわけで、以下は引き続きPS2版の「乙女はお姉
さまに恋してる」のレビューです。ラストまでのネタバ
レありますので、お気をつけください。
最近寝不足なので、こちらもペース・ダウンした方が
いいかも?
「乙女はお姉さまに恋してる」公式サイト
http://www.alchemist-net.co.jp/products/otoboku/

よくわかりませんが、12月の物語が始まると、そのま
ま由佳里ちゃんルートが始まってしまいました。
狙っていた、というわけではないですけれど、例えば
院祭で行くお店で、一番最初に約束したのが彼女だっ
たから彼女を優先して選択した、みたいなことが影響
しているのでしょうね。
ともあれ、ラストまでの感想を簡単に言うと、「男とか
女だから、ではなく、瑞穂さんという『人間』を好きに
なった」という結論に至る、ある意味理想的な、意地
悪に言えば教科書通りのまとめ方だったとは思います。
作中でも一子さんが語るように、性的指向としてのホ
モ、ヘテロ・セクシュアルといったカテゴライズを超えて、
瑞穂さんの「人間」を受け入れるという文脈は、結論と
して確かに美しいというか、心地よいと思うし、僕も否
定はしません。
他人を好きになるという感情の中には、性的嗜好の問
題も含まれるのが正しいリアリズムだという指摘もある
でしょうけれど、このPS2版の世界観と、そして由佳里
ちゃんのキャラクターを考えれば、ここまでの結論でよ
しとしていいと、僕は考えます。
オリジナルのPC版では、肉体的接触のある性的関係
も描かれるわけで、その辺難しいのですが、タイトル
も違うことですし、ここは別の作品として考慮に入れな
い方がいいと思います。
お話としては一応、瑞穂クンと由佳里ちゃんの恋の行
方がメインではあるのですが、印象としては、ずっと
瑞穂クンが待つだけの受身の立場でいることもあって、
その間の由佳里ちゃんと一子さんのやり取りの方が
心に残っていますね。
一子さんがただの騒がしっ子じゃなくて(笑)、彼女に
しか出来ない、でもご都合主義には見えない役割をき
ちんと果たして物語をエンディングに向かわせてくれ
たという点で、とても完成度の高いお話になったと思
いますし、感謝したいです。
また、年が明けてからは、語り口の主点が多く由佳里
ちゃん側にも与えられ、その困惑と決意の過程が丁
寧に伝えられたことでも、ハッピーエンドの説得力が
増していると感じました。
「お嫁さんになる」という結論も、選択肢のひとつとして
はもちろん許容範囲内です。当人同士がそれで幸せな
ら、他人に口出しする権利はないのです――くらいの
感情移入はしていいですよね?
瑞穂クンの正体がばれた上での結末を担当するとい
う立場では、ある程度スタンダードにまとめられた
と思うのですけれど(人気投票での不人気は、その普
通さゆえでしょうか)、では他のヒロインのまとめ方は
どうなるでしょうかと気になります。
今ルートでの反応を見る限り、同じく瑞穂クンの正体
を知らない奏ちゃんのお話はなんとかなるでしょうけ
れど、由佳里ちゃんでこれなら、貴子さんのお話は荒
れに荒れそうな気も(笑)。
まりやさんは、幼馴染関係の決着と新しい関係への
出発、一子さんは超常ルートだからなんとでもなると
して、紫苑さんが難しそうです。
既に瑞穂クンの正体は知っているのだから、まだほと
んど語られていない、彼女自身の物語が大きく描かれ
るわけですよね。
つい頭に浮かんでしまった怖い展開は、瑞穂クンだけ
じゃなくて、前エルダーの紫苑さんも、実は女装して
いる男性だというもの(笑)。
由佳里ちゃんは、相手が同性であっても「好きだ」と
告白する勇気を示してくれたわけじゃないですか。
だったら、仮に紫苑さんが瑞穂クンと同性であっても、
好きになったのなら受け入れるのが主人公としての
義務というか、フェアだろうということで。
もちろん、好きになった結果として「異性だった」と
「同性だった」じゃ、全然違ってくるんでしょうけど。
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