2009年01月14日

「Yes!プリキュア5GoGo!」のぞみ×うらら新作SS、出来ました。

えっと、ではお年玉代わりということで(遅過ぎじ
ゃないといいですけど)、「Yes!プリキュア5GoGo!」
から、のぞみさん×うららさんの新作SSをひとつ
贈りますね。
もちろん、うららさんルート分岐以降のお話で、
りんさんとのお話とはまた別の、夢原のぞみさん
ということでよろしくです。
これで「のぞみさんには、りんさんとうららさん
二人とも幸せにして欲しい」というリクエストに
お応え出来たでしょうか……。
アニメ本編は第45話まで見ていて、特に批評的
コメントはないのですけれど、残り時間を考えると、
これが最後のSSになるかもです。
なにかアイディアが「降りて」くれば別ですけど、
自分ではわからないことですし……。
そちらのくるみさんとかれんさんの会話も、やはり
微笑ましくて好きです。残りのお話の感想寸劇も、
楽しみにしていますね。


あ、アニメ版「戦場のヴァルキュリア」(公式サイト)、
ゲームは未プレイなので、どんなお話なのかは全
然わかりませんが、こちらでも放送はあるので、
チェックしてみますね。


short_g.gif





 「The Sweet Afternoon」

 寝息すら立てず静かに眠り続ける、自分の細い腿
の上の、穏やかで幸せそうなのぞみの寝顔は、どれ
だけ見つめても、飽きることはなかった。
 そっとその柔らかな髪を、指先でかすかに撫でると、
うららの胸の中は、温もり以上の、熱気のようなもの
で満たされる。どんなに息をはいても、なくならない。
それは、心地よい苦しさだった。
 のぞみは、丈が長めの、赤色が鮮やかなセーター
姿で、うららは白い薄手のカーディガンを羽織ってい
た。2人とも下はジーンズという偶然が、うららにはな
んだか嬉しくも感じられた。
 冬休みに入ったある日の午後の、ナッツハウスの
2階部屋である。
 その日は2人だけだったうららとのぞみは、それぞ
れの冬休みの宿題を片付けていた。のぞみが困った
時には、うららも喜んで知恵を絞った。
 ひと段落ついたところで、うららはいつものように、
ソファの上でのぞみの膝枕に甘えることになった。
 いつものように――なったのは、いつ頃からだろう。
 ナッツハウスに、かつてのようには5人全員が揃え
なくなってきて、皆勤しようと努めているらしいのぞみ
と、うららが2人だけでいる機会は増えた。
 というより、そういう状況に気づいてから、うららの方
で、よりナッツハウスへ足を運ぶようにしていた。
 最近では言葉に出さなくても、甘えた視線を向ける
だけで、のぞみはいつも笑顔でぽんぽんと膝を叩き、
自分を受け入れてくれるようになっていた。


 ところが今日は、うららに膝枕をしているうちに、
のぞみの方がうたた寝をはじめてしまった。
 思いついたうららは、起こさぬように気をつけて身
体を入れ替え、そんなのぞみを逆に膝枕しているの
だった。うららにとって、かねてよりの夢でもあった。
 今日は風も少なく気温も高めで、とても静かで気持
ちのよい冬の日だった。窓から差し込む午後の光が、
部屋の空気を暖めてくれている。のぞみが睡魔に負
けても許したくなった。
 不意に、ナッツハウスの1階から、階段をのぼって
くる足音が聞こえてきた。足音の軽さで、誰なのかは
見当がつく。
 その予想通りに、顔をのぞかせたくるみが言葉を発
する前に、うららは自分の唇の前に人差し指を立てて、
懇願の視線を向けた。
 ひと目で状況を理解した風のくるみは、苦笑を浮か
べて肩をすくめる。
 (もう、まったくのぞみは――!)
 と呆れた風に、声には出さずに口を動かした。目を
見れば、本気で怒っているわけではないとわかる。
 くるみはうららに優しく頷くと、指でオーケーサインを
出してくれた。うららも小さく頭を下げる。
 そして今度はまったく音を立てずに、階段をゆっくり
下りていく。
 その姿を見送ったうららは大きく息をはくと、ソファ
に背中をあずけ、ゆったりと、のぞみと2人だけの時
間が流れていくのにまかせた……。


 やがてのぞみが、「う……ん」と声をもらしながら、
ぴくぴくと眉をしかめる。
 うららがどうしようかと迷っているうちに、その目が
ぱっちりと開かれた。うららは動けずに、のぞみを見
下ろすのみだ。
 「……うん? 天井に……、それからうららの顔?」
 「お、おはようございます、のぞみさん」
 うららはとりあえず、思いついた言葉を口にする。
 「あー、おはよう、うらら。えっと?」
 目が覚めきらぬ様子ののぞみは、しばらくそのまま
で、視線だけを上下左右にめぐらせた。大きな瞳がぐ
るぐるとまわる。
 そして「あっ!」と小さく叫ぶと、勢いよく身体を起こ
した。もう少しで、うららの顔とぶつかるところだった。
 「私、寝ちゃってたの? うららの膝枕で?」
 「はい。その、いつものお返しで――」
 「そっかー。ごめんね、うらら。重くなかった?」
 「いえ。むしろ、楽しかったです」
 「ふふ。そう言ってくれると私も嬉しいよー。お姉さん
 失格かもだけど」
 「そんなことないです。のぞみさんさえよかったら、
 私はいつでも……」
 「うん。ありがとう、うらら。――ほわわ」
 答えてのぞみは、顔いっぱいという感じの、大きな
あくびをし、両目をごしごしとこすった。
 そんな無防備な仕草に、うららもつい笑みを浮かべ
てしまう。
 「よいしょっと」
 子供のように声をもらして、のぞみはソファの背に
深く座りこんだ。うららもその隣に身体を寄せる。うら
らの肩が、のぞみの上腕にわずかに触れた。
 「なにか――夢を見ました?」
 うららはのぞみの体温を感じながら、囁くように尋
ねてみる。
 「ううん。なんにも思い出せないけど、とっても気持
 ちよかったのは憶えている。うららの膝枕のおかげ
 だよね。膝枕って、こんなに気持ちよかったんだ。
 いつも私にしてもらっている、うららがちょっと羨まし
 いよ――。ん? この言い方はおかしいかも?」
 「クス。さっきも言ったとおり、私でいいのなら、
 いつでもどうぞです。――その、のぞみさんは、も
 う誰かに膝枕してもらったりはしてないんですね?」
 自然と、うららの声音は慎重なものになる。のぞみ
の瞳をじっと見上げた。
 「まあ、さすがにね。お母さんも忙しいし、身近にい
 るお姉さん――例えばかれんさんにお願いとかしち
 ゃったら、後でくるみに何されるかわかんないし」
 真面目なのぞみの言い方に、うららは先ほどのくる
みの気づかいを思い出して、内心苦笑する。
 「――りんさんはどうです?」
 「それこそとんでもないよ――。『あんた、いったい
 いくつだと思ってんの――!』って怒られちゃう」
 「そうですか……」
 「それに、りんちゃんは幼馴染みで親友だけど、そ
 んなに甘え過ぎちゃいけないっていう気もするし」
 「……私がのぞみさんに甘え過ぎちゃうのも、やっ
 ぱり迷惑でしょうか……」
 うららは、自分の声が小さく細くなっていくのがわか
った。膝の上の拳を握りしめる。心臓が、氷で包まれ
たような冷たさを感じた。
 「違う違う! うららのは全然構わないっていうか、
 むしろ甘えて欲しいし、それこそ私の方こそ、うらら
 に甘えているんだから……」
 「のぞみさんが、私に、ですか? 確かにさっきは膝
 枕させてもらいましたけど、あれは私が勝手に――」
 「ううん。そういうことじゃなくてね……」
 のぞみは一度言葉を切って、視線を宙に向けた。腕
を組み、頭の中で、自分の考えを整理しているようだっ
た。うららは、ただのぞみの次の言葉を待つ。
 「えとね……、上手く言えそうにないけど、うららには、
 すっごく感謝しているの。こんなにも大切に思える女
 の子でいてくれて、ありがとうって――」
 「のぞみさん……」
 「それは私の正直な気持ちなんだけど、正直なぶん、
 わがままなのかなって思ったりもしちゃう。うららに
 だけは、そんな自分の気持ちを許して欲しいってい
 う……。それこそ、私の方が私の気持ちを押しつけ
 て、迷惑かけちゃってるんじゃないかって――」
 「迷惑じゃありません!」
 思わずうららは声を上げていた。言葉が気持ちに追
いつかないもどかしさに、両手で胸を押さえる。
 「……うらら」
 「甘えでもいいじゃないですか! のぞみさんが甘
 えたくなったら、いつでも甘えてください。私、ぜん
 ぶ受けとめてあげられるように、頑張りますから、
 強くなりますから……。のぞみさんのためになら、
 いくらだって頑張れます……」
 うららは、のぞみの瞳をまっすぐに見つめ返した。
 「だからのぞみさんも、私を受けとめてください。
 私だって……誰かに甘えたくなったり、すがりたく
 なったりするんです。抱きしめてほしくて、たまらな
 くなる時があるんです。そんな時にいて欲しいのは、
 他の誰でもない、のぞみさんなんです……。
 だから、私のそばにいてください、のぞみさん……」
 そこまで言って、身体の力が抜けてしまった。うらら
はそのまま、ゆっくりとのぞみの胸に額を寄せる。
 自分の身体を、のぞみの両腕が包み込むように、
優しく抱きしめてくれた。のぞみの頬が頭を撫でる感
触が、こぼれる寸前の涙をとめてくれた。
 「ありがとう……。ごめんね、うらら」
 囁きに、うららはそっと顔をあげる。
 息が届くくらいの近さに、のぞみの笑顔があった。
 「私の大切な、大好きなうららに、そこまで言わせち
 ゃダメだよね。うん! 私も強くなるよ。いつでもうら
 らが甘えられるように。でも、私が甘えたくなった時
 にはお願いするね。私にだって、うららが必要なんだ
 から。――これでいい?」
 「はい! いいと思います」
 うららは自分に出来る、精一杯の笑顔をのぞみに向
けた。返してくれるのぞみの笑みに、全身が嬉しさで
満たされる。自分はいま、世界で一番幸せな女の子だ
と、心の底から思えた。
 「ふふ。じゃあ、これで契約成立、みたいな?」
 「はい。その、これからもずっとよろしくお願いします、
 のぞみさん」
 うららはあらたまって、ぺこりと頭を下げる。のぞみの
方も、慌ててかしこまった。
 「あ、こちらこそ、ふつつか者ですが、末永くよろしく
 です――」
 「はい! よろしくされちゃいます!」
 答えて、我慢が出来なくなったうららは、思いきりのぞ
みに抱きついた。そのまま勢いで、ソファに2人の身体
が倒れこむ。
 重なり合う自分とのぞみのひそやかな笑い声の温か
さを、うららは胸いっぱいに吸いこんだ――。


               <終>






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