というわけで、いろいろ始まっている冬新番の中か
ら、お薦めいただいた「VIPER'S CREED」(公式サ
イト)の第1話「独眼-cyclops-」を、アニマックスで
見てみました。
とりあえず、放送が始まる日になっても、ついに
正式な放送日・時間を伝えなかった公式サイトは、
無用の長物だと思います。
この作品の前に、たまたま22年前のOVA「バブル
ガムクライシス」の一部を見てたんですね。
「VIPER'S CREED」の監督さんも関わっていた作品
というのは偶然でしたが。
復興後の未来都市でのメカアクション作品という意
味では同趣向なわけですけど、確かに映像の密度
というか、絵の情報量は全然違いますね。
にもかかわらず、「VIPER'S CREED」の方が、圧倒
的に「物足りない」「薄い」と感じてしまうのは、映像
と、それ以外の物語パーツの情報量との釣り合いが
取れていないからだと思います。
一番大きいのは、アクション・シーンでの音響演出で
すね。絵の情報量が増えれば、その絵から発生する、
伝わってくるだろう音情報も増えてきて欲しいわけで
すが、あいにくと、そういう部分での緻密さは用意さ
れていなくて、せっかくの絵に見合うだけの臨場感が
伝えられていないのは、物語演出として、とてももっ
たいないと思いました。
これはいわゆる物理音だけではなくて、そういう絵
で描かれた世界の中にいる、キャラクター達の言葉
の響き、なんかも含むんですけど。これだけのメカを
動かしている人達にしか出来ない、息づかいまで感
じさせて欲しくなるというか。
よく「CGだから軽い」というような意見がありますけど、
メカを軽く感じるのは、それを扱っている人間なり、組
織なりの芝居が軽いから、という時もあると思います。
高速走行中にロボットに変形出来るバイクなんて嘘か
もしれませんが、嘘だからこそ、上手に騙してほしいの
です。
「バブルガムクライシス」の場合は、手描きのセルアニ
メですから絵としての情報量は比較すると少ないんで
すが、キャラクターが出来る芝居のレベルもふまえて、
その少なさに見合った程度の音像の構築がされてい
たとは思えます。
まあ、「当時はこれでよかった」という、80年代アニメ
へのノスタルジーを含んでいる意見だとは認めますけ
ど(笑)。
これは僕の視聴環境における音響設備の貧弱さが理
由かもしれませんが、これだけのメカが疾走しバトルす
るのであれば、もっとスゴイ音を聞きたかった、聞こえ
て来る筈だ、というのが一番の感想ですね。
そういう意味で、「VIPER'S CREED」ならではの世界
観・リアリティの構築、というレベルには達していない第
1話だったと思います。
作業量ということを考えると、テレビアニメには求め過
ぎなのかもしれませんが……。
映像の密度を上げると、他にも密度を上げなくてならな
い要素が出てくる一方で、そもそもが記号表現に多くを
ゆだねるアニメとしての「らしさ」をどう平行させていくか
という、難しさを考えさせられる作品ではありますね。
キャラクター・音楽については、まあ普通というか、特に
目新しいインパクトはありませんでした。